著者
印南 博之
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.5, pp.326-333, 2013 (Released:2018-01-12)
参考文献数
7

1 0 0 0 頼山陽と酒

著者
池田 明子
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.1, pp.32-36, 2013-01-15

筆者は著書「吟醸酒を創った男」で,この業界に知られる作家。北陸の古都・金沢に生まれ育ち,広島へ嫁いだのち,賴山陽に傾倒し著作も多い。「山紫水明」は山陽発明の語,山陽の晩酌は「酒に自分好みに水をブレンド」していた由。本解説を楽しく味わっていただきたい。
著者
菅原 悦子
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.12, pp.863-872, 2013 (Released:2018-02-13)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

味噌や醤油はわが国独特の発酵調味料から世界的に広く知られる調味料として飛躍している。その旨味成分や呈味機構についての研究が多く成されてきたが,近年では特有香気成分HEMFに関する研究が進んでいる。本解説では,味噌,醤油の特徴香成分としてのHEMFの生成メカニズムについて,これまでの研究成果をとりまとめてわかりやすく解説していただいた。本解説の著者は,味噌におけるHEMFの発見者であり,生成メカニズム解明の生化学的研究を進めていられ,今後求められる未解明の研究領域,HEMFの生理機能研究や味噌・醤油に含まれる未知の微量香気成分の可能性についても言及していただいている。わが国の発酵調味食品の製造において,品質向上の面から大変に興味の持たれる研究分野であり,同時に応用面にも寄与する研究である。
著者
太田 裕一 中村 賀香
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.11, pp.743-749, 2015

調味料の地域別消費傾向を見ると,味噌・食塩を好む東日本と,砂糖・醤油・食酢を好む西日本に分けることができる。食酢は九州・四国・関西を中心に消費が多く,寒い地方は消費が少ない。その様な中で本稿では,寒冷地オホーツクでの食酢開発として,低コスト且つ短期間で誰もが簡単に食酢を醸造できる発酵方法の確立と,原材料は道産の農産物を用いて付加価値を付けた食酢の開発で,地域活性化に大いに貢献したことについて纏めて頂いた。
著者
奥田 徹 矢嶋 瑞夫 高柳 勉 堀 郁郎 横塚 弘毅
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.91, no.6, pp.446-451, 1996

キウイフルーツワイン発酵中における有機酸及びフェノール酸の濃度変化を調べた。果汁マストからワイン製造終了までの間, 主な有機酸類としてクエン酸, キナ酸, リンゴ酸及びアスコルビン酸が検出された。これらの有機酸のうち, キナ酸以外の有機酸は発酵中の濃度変化は認められなかった。キナ酸は発酵開始後1口目よりその濃度が苦干増加したが, 4日目から発酵終了まての間, 緩やかな濃度低下が見られた。フニノール酸の場合, クロロゲン酸が果汁の主要成分として検出されたが, 発酵開始とともにその濃度は急激に低下し, 5日臼には全く見られなくなった。これに対して, 果汁中には検出されなかったコーヒー酸が, 発酵開始後急速に生成し, 5日目には果汁中に存在したクロロゲン酸と同じ濃度にまでな-った。酵母を添加しない場合, 果汁中のクロロゲン酸の消失及びコーヒー酸の生成が認められなかったことから, 発酵中におけるクロロゲン酸の減少は, 酵母のエステラーゼによリクロロゲン酸が加水分解され, コーヒー酸とキナ酸が生成した結果であると考えられた。クロロ・ゲン酸は果汁中に8.2mg/l, 雛一ピー酸はワイン中に5.Omg/l, キナ酸は果汁中に7.4g/l含まれ, これらの量はそれらの苦味の閾値よりやや少なかったが, 他のワイン成分との相乗作用により, 果汁やワインの苦味に寄与しているものと考えられた。
著者
佐川 巖 飯嶋 直人
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.95, no.10, pp.759-762, 2000-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7

伝統調味料である醤油は, 昔からの固定概念があるために, 醤油そのものの新製品開発は大変難しいと言われている。筆者らは, チャレンジとして県の特産品を原料に使用し, 新たな調味料開発を行った好例である。大いに参考になると思われる。
著者
中野 真知 秦 洋二
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.98, no.3, pp.168-174, 2003

冬は,「お燗酒」が特においしい季節である。しかし, 徳利に日本酒を入れお湯で温めるのは手間がかかる。手っ取り早いのは電子レンジであるが, 上手にお燗をするのは難しかった。その問題の1つはお燗の温度ムラである。筆者は, 電子レンジによりお燗をした場合の徳利内の温度分布から加熱ムラの要因を明らかにし, 加熱ムラの少ない新しい形状の徳利を提案している。<BR>電子レンジにより, 家庭や料飲店でおいしいお燗酒が簡単にできるようになれば, 日本酒離れの若者にも日本酒を勧める上での強力な手段にもなるし, 日本酒ファンにとっては大変うれしいことである。
著者
峯木 眞知子
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.5, pp.346-351, 2014 (Released:2018-03-12)
参考文献数
12
被引用文献数
1

熊本の郷土酒である赤酒は,飲用酒や料理酒として用いられている。料理酒としての効果はこれまでほとんど報告されていないが,調理の現場ではその効果が経験的に認識され,その科学的な解明は大変に興味深いところとなっている。筆者は赤酒の調理効果を本みりんと比較しながら,成分分析及び官能評価の観点からアプローチされている。そこで赤酒の調理効果について魚料理を対象に詳しく解説していただいた。調理関係者はもとより酒類製造関係者にも有益な知見が幅広く提供されている。
著者
斉藤 博之
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.5, pp.327-333, 1998-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7

従来から清酒製造では「酒造好適米」という言葉がよく使われるが, 分析値等の具体的数値で定義されたものではなかった。今回は「最新の醸造科学」としての観点から酒米分析値による好適米の判別, 酒造適性の評価方法について紹介していただいた。より効率的な好適米育種や酒造米の選択に資するところが大であると思われる。
著者
柳内 敏靖
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.26-32, 1994-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
19

1麹, 2酸, 3造りといわれるように麹の品質は酒質に大きく影響するとされてきた。昔から様々な製造条件と麹品質との関係については多くの研究がなされてきたが, 今だに判然としない部分もある。最近の計測・制御技術の発展により実験機器も精度の高い条件設定が可能になってきた。ここでは, それらの技術を用いた麹品質に及ぼす諸条件の影響についての研究結果について解説していただいた。
著者
伊藤 清
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.17-21, 1992-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
3

清酒麹の造り方は万流と言われているが, 造り方によってα-アミラーゼ, ヴルコアミラーゼ, 酸性プロテアーゼなど酒造りにとって重要な酵素の活性バランスが異なると共に麹菌の代謝生産物も異なり, 醪での発酵に大きく影響する。銘柄による酒質の違いはこの麹の違いに依存するところが大と思われる。本稿では, 清酒麹で重要と考えられいる破精込について初めて科学的な解明に取り組まれた著者にその研究成果を解説していただいた。
著者
工藤 秀明
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.101-103, 1995

ワイン市場は, ボジョレーヌーヴォーの異常なまでの騒ぎが下火になると共に大きなトンネルに入ったまま抜け出せない状態が続いており, 抜本的な対策が望まれている。その方策の1つが, ワイン消費層の拡大を目指したローコストオペレーションの徹底による低価格ワインの市場投入であった。筆者にその決定までのいきさつ, オープンプライス出現の背景, その反響等について紹介していただいた。
著者
宮村 直宏
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.102, no.7, pp.520-526, 2007-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

醤油, 味噌など醸造発酵物, チーズ, 天然だしなどが「コク味」を付け,「おいしさ」を向上させることはよく知られている。著者には,「おいしさ」の中にある「コク味」の概念について, その表現方法および「コク味」を付与する調味料などについて長年の試験・研究を基に, 詳細に解説頂いた。適切な「コク味」付与による「おいしい」食品づくりに大いに参考になるものと思われる。
著者
中川原 郁也
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.36-38, 2000-01-15 (Released:2011-09-20)

青森県の代表的なブドウ品種であるスチューベンは現在10月から翌年の2月頃までと, かなり長期間にわたり出荷されている。これは品種の特徴を生かした栽培方法, 貯蔵方法を開発したためである。このあたりの事情に明るい著者に解説していただいた。
著者
佐見 学
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.90, no.7, pp.536-541, 1995-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
10

従来, 酵母の活性を測定する場合, 工場などでは簡便な方法としてメチレンブルー染色法が広く用いられてきた。測定の際, 微酸性の緩衝液を使用しているが, 筆者の研究ではアルカリ性のそれが優れており, その機構を分かりやすく解説していただいた。醸造工業の現場で容易に採用できる方法と考える。
著者
村上 雄哉
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.111, no.11, pp.728-735, 2016 (Released:2018-08-06)

日本産食品の海外輸出は,国の施策の後押しもあって増加しているが,イスラーム食品市場では,ハラールやハラール認証への理解と対応が必要だ。しかし,ハラールやハラール認証については,なじみが薄くよく知られていない。また,国により詳細は異なっている。これらの実態に詳しい専門家に,ハラールやハラール認証,イスラーム圏のマーケットの実態について解説をいただいた。
著者
秋山 裕一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.7, pp.542-547, 1999

吟醸酒は, 日本酒の中でも醸造技術を極めた酒であるといっても過言ではない。その中には造り手の吟醸酒に対する思い入れや文化なども伝わってくる。吟醸酒の発展には少なからず, 品評会や鑑評会の果たしてきた役割が大きいと思われる。<BR>本稿では吟醸酒の変遷について, その技術的な進展とともに二回にわたって解脱していただいた。その歴史的価値も極めて大きい。
著者
秋山 裕一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.7, pp.542-547, 1999-07-15 (Released:2011-09-20)

吟醸酒は, 日本酒の中でも醸造技術を極めた酒であるといっても過言ではない。その中には造り手の吟醸酒に対する思い入れや文化なども伝わってくる。吟醸酒の発展には少なからず, 品評会や鑑評会の果たしてきた役割が大きいと思われる。本稿では吟醸酒の変遷について, その技術的な進展とともに二回にわたって解脱していただいた。その歴史的価値も極めて大きい。
著者
一島 英治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.7-16, 2002-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
50
被引用文献数
1
著者
水品 圭司 高島 邦夫 高橋 利郎 戸塚 昭
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.120-126, 1990-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

(1) ワイン中の中高沸点硫黄系化合物の抽出・同定を試み7個の化合物を同定した。このうち, 2-メチルーメルヵプトエタノール (MME) とジメチルースルホン (DM) はワイン中に初めて同定された。(2) 2-メチルーメルカプトエタノール (MME), ジメチルースルホン (DM), 3-メチルチオプロパノール (MTP), デヒドロー2-メチルー3-(2H)-チオフェン (DMTP) 及び3-メチルチオプロピオン酸エチル (EMTP) について品種を異にするワインにおける含有量を求めたところ, 香味の正常なワイン中にもこれらの化合物が広く存在していることが明らかとなった。(3) 中高沸点硫黄系化合物は, ヌカミソやタクアン, ゴム, タマネギ様の匂いを有した。官能検査からこれらの化合物のワインにおけるF. U. 値を求めたところ3-メチルチオプロピオン酸エチル (EMTP) と赤ワインにおけるジメチルースルホン (DM) を除いて, いずれの化台物もF. U. 値が1以上を示し, これらの化合物が供試ワインの香気特性に対して寄与しているものと考察された。