著者
吉川 次郎 高久 雅生 芳鐘 冬樹
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
pp.2020_033, (Released:2020-07-10)
参考文献数
50
被引用文献数
3

Wikipedia 上での学術文献の参照記述の追加という事象を明らかにするための前提となる方法論として,参照記述の初出時点を特定するための手法を提案し,評価実験を行った.提案手法は,まず,参照記述の参照先を判定し,ページ情報,文献タイトル,識別子を取得する.次に,対象のページの全編集履歴およびページ本文に対して識別子または文献タイトルを用いた手法を適用し,複数の初出時点候補を取得する.最後に,候補から編集日時が最古のものを選択する.英語版のDOI リンクの初出時点データセットを基に評価実験を行った結果,精度は全体で93.3%,22 分野中20 分野で90%以上であり,研究分野を問わず概ね高い精度で参照記述の初出時点を特定できる手法であることが明らかになった.

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著者
根岸 正光
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-5, 2011-02-23 (Released:2011-04-13)
参考文献数
1
著者
村井 源 川島 隆徳 工藤 彰
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.279-284, 2011-05-28
参考文献数
5

評判分析などが自然言語処理技術によって進められているが,対象は主にWeb上のテキストであり,人文学的な批評文はその主たる対象となっていない.本研究では人文的な批評文の具体的批評対象を計量化することで,批評行為のより深い意味分析に向けての基礎固めを行う.本研究では批評文中の人名と作品に絞り,総合的作品である映画と演劇の批評において,誰についてどの作品について中心的に語られる傾向があるのかを計量し,カテゴリー分類と共起分析を行った.結果として演劇批評は集中的であり,映画批評は分散的・個別的であること,また演劇批評は強い芸術的指向性を持つことが明らかになった.
著者
渡邉 英伸 上野 宣 村田 健史
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.291-296, 2014-10-06 (Released:2014-12-31)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

科学データのオープン化に対する取り組みが進められる中で,Web アプリケーションの脆弱性は避けて通れない問題である.NICTサイエンスクラウドでも,Web アプリケーションの公開を希望するクラウド利用者の技術的スキルや専門知識を問わず,高水準のセキュアなWeb アプリケーションの開発が可能な仕組みや体制が要求されるようになった.本論文では,一般競争入札方式を想定し,NICTサイエンスクラウド利用者のWeb アプリケーション開発の技術的スキルや専門知識が乏しい場合においても,セキュアなWeb アプリケーションを開発するための開発協力手法を提案する.
著者
茂田 健 久枝 嵩 高橋 翔太 高橋 幸雄
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.337-339, 2019-11-23 (Released:2019-12-23)
参考文献数
13

オンラインゲームにおいて状況に応じて勝利するためのスキルを獲得することは初心者にとって難しい作業である.オンラインゲーム上達のためには長い時間練習をして攻略のコツを習得したり,コーチの指導を受けて学んだりするということが考えられるがこれらにはコストがかかるという問題がある.本研究はオンラインゲームのプレイログを抽出し,勝敗に寄与する特徴がユーザスキルによって異なるのかを分析 した.分析の結果,ユーザスキルによって勝敗に寄与する特徴が異なることが分かった.
著者
後藤 真
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.309-314, 2019-11-23 (Released:2019-12-23)
参考文献数
3

本報告においては、特に地域歴史資料のデータ化とオープン化について検討を行う。特に、地域歴史資料をどのように長期的に保存し、未来に長く伝えていくのか。それを支える情報技術について検討を行うとともに、デジタルデータそのものの長期的な維持と実物の関係について、実際のシステムに言及しつつ検討する。 歴史資料の危機的な状況に対応すべく、いくつかのプロジェクトが並行して進みつつあるが、これらのプロジェクトの鍵の一つと目されているのが、いくつかの情報技術である。とりわけ、地域資料のデータプラットフォームの構築とその活用は、歴史資料の現状把握と緊急時対応、そして地域における資料活用への可能性という観点からの期待が大きい。本発表では、これらの事例について報告を行うとともに、歴史資料とそのデータを長期的に維持し、活用するための見通しを述べることとした
著者
佐藤 翔 石橋 柚香 南谷 涼香 奥田 麻友 保志 育世 吉田 光男
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
2019

<p> 本研究では非専門家にとっての論文タイトルの「面白さ」を得点化し,Twitterからの言及数が多い論文と言及されたことのない論文でこの得点に差があるかを検証した.Twitterからの言及数データはCeek.jp Altmetricsから収集し,2008年に出版された論文の中でTwitterからの言及回数が特に多い論文103本と,言及回数が0の論文の中からランダムに選択した100本を分析対象とした.4名の非専門家が各論文タイトルの「面白さ」を7段階で評価し,その点数の合計を「面白さ」得点と定義した.分析の結果,Twitterからの言及数が多い論文グループと,言及数が0の論文グループで「面白さ」得点には有意な差が存在し,Twitterからの言及数が多い論文の方がタイトルが「面白い」傾向が確認された.さらに,この差は分野別に分析しても確認された.</p>
著者
三浦 泰 舛本 和輝 佐藤 圭 大槻 明
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.174-179, 2016-05-14 (Released:2016-07-15)
参考文献数
19

今,日本では首都圏と地方との間で地域格差が広がっている.内閣に「まち・ひと・しごと創生本部」が設置され,様々な取り組みが行われていることからもこの問題の重要性がうかがえる.地域格差を分析する際にはジニ係数がよく用いられるが,この係数は,国民の所得に焦点をあてたものが多い.そこで我々は公共インフラの観点から地域格差を分析するために,公共施設数に焦点をあてた新たなジニ係数モデルを開発した.そして本モデルを用いて,47 都道府県の主要駅周辺の公共施設数データを元に分析を行った結果,主要駅周辺の公共インフラという観点では地域格差がないことが明らかとなった.
著者
小町 祐史
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.323-333, 2008-11-29 (Released:2009-01-27)
参考文献数
13

ISO がSGML を制定することにより,マーク付け言語が国際的な舞台に登場した.HTML の構文としてSGMLが採用されてからSGML はインターネット上での圧倒的な利用者を獲得して,それはXML の開発に繋がった.XML の公表と共にXML 関連規定が充実し,マーク付け言語の第二世代が始まる.ここにDTD に代わるスキーマ言語の開発競争が激化し,この分野での日本のリーダシップが表面化すると共に,DSDL の国際標準化が進んだ.これらの議論を紹介し,今後の展望に言及する.
著者
岡本 一志 丸茂 里江 佐野 悠
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.227-244, 2017 (Released:2017-11-24)
参考文献数
13

RFID システムを用いた資料の図書館内利用調査を2 年間実施し,資料が書架から持ち出された回数およびその利用時間に関するデータ分析法を提案する.分析結果より,館外貸出に比べ3 倍程度の持ち出しが起きていること,利用時間のピークは2~4 分であり立ち読み的利用が中心であること,持ち出し回数と利用時間のピークは一致せず時期によって資料の利用形態が異なること,大半の資料が持ち出された回数はごく数回にとどまっていること,といった従来の貸出統計などには現れなかった利用傾向が確認された.得られたデータや分析結果を踏まえ,RFID システムを用いた資料利用調査の実施における検討事項についても議論する.
著者
河合 美穂
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.291-297, 2012-11-04 (Released:2012-12-31)

東日本大震災の地震・津波災害,原子力災害の記録・教訓等を誰もがアクセス可能な一元的に活用できる仕組みを実現するために,国立国会図書館では,国立国会図書館東日本大震災アーカイブ構築プロジェクトを開始した.プロジェクトの活動として,震災の記録等の収集,統合検索等のアーカイブシステムの構築について紹介する.
著者
岩本 崇
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.452-455, 2011-10-29

弊社がリリースしたばかりの新しい制作ツール「Adobe Digital Publishing Suite」を中心にプレゼン致します。 新しいAdobe Digital Publishing Suiteはクラウドサービスで提供をする、旧来とは異なる製品です。但しコンテンツを作成するツールは、多くの出版社様や印刷会社様で採用していただいているInDesignを中心です。旧来の紙ベースのワークフローを大きく崩すことなく、従来から制作やデザインに準じている方々にも容易に作成できるように開発をしました。実際どの様に使い、どうコンテンツを作成するのかを実機でのデモを交えながらご紹介していきます。 またフォーマットとして、PDF,Flash,EPUB,FolioといくつかのフォーマットをInDesignでは作成が可能ですが、ユーザーはどのフォーマットで作成するのかを悩むことになるでしょう。でもどんなゴールを目指すのかで答えは見えてきます。それはそれぞれに得意不得意があるからです。 弊社は電子出版という広い言葉では「EPUBとFolio」をベースに考えております。電子書籍では「EPUB」が、リッチコンテンツでは「Folio」を活用していただきたいと考えております。あまり馴染みの「Folio」は上記のAdobe Digital Publishing Suiteで作成ができるフォーマットで、既に世界中で採用していただいており、700近いコンテンツがリリースされています。アメリカなどの電子出版の先進国だけでなく、ワールドワイドでコンテンツが生まれております。日本の出版社さんでも採用していただいている会社が複数有り、どんなコンテンツに向いているのか、そしてどんなモノが作れるのか、日本の事例も多く紹介したいと思います。
著者
孫 昊 金 明哲
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.3-14, 2018
被引用文献数
2

<p> 川端康成の少女小説における代筆問題は昔から指摘されており,中でも『花日記』は中里恒子の代筆という疑いが強い.本研究では計量文体学の方法を用いて,この小説の代筆問題に新たな解決策を提示する.本研究では,文章から抽出した文字・記号のbigram,形態素タグのbigram,文節パターンを特徴量とし,アダブースト(AdaBoost),高次元判別分析(HDDA),ロジスティックモデルツリー (LMT),サポートべクターマシン(SVM)とランダムフォレスト(RF)を用いて判別分析を行った.分析の結果,『花日記』は川端康成と中里恒子の共同執筆という結論に至った.</p>
著者
常川 真央 小野 永貴 岡野 裕行 谷村 順一
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.314-317, 2018-12-08 (Released:2018-12-21)
参考文献数
6

文芸同人誌は日本の独自の文芸活動として発展し,作家の揺藍期を研究する格好の資料である.しかし,新興の文芸同人活動である「文学フリマ」の文芸同人誌に関しては,網羅的かつ体系的なデータベースは構築されてこなかった.本研究では日本大学芸術学部文芸学科に寄贈された文芸同人雑誌即売会『文学フリマ』の第3回から現在に至るまでの約一万冊以上におよぶ見本誌に基づき,文芸同人誌に適したデータモデルについて検討した.その結果として,同人誌を対象とする既存のメタデータモデルは,同人誌固有の性質である「委託販売関係」などを扱えない課題を発見した.
著者
前田 侑亮 金 明哲
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
pp.2018_027, (Released:2018-10-19)
参考文献数
22

関西都市圏は「私鉄王国」と呼ばれており,関西5私鉄(近鉄・京阪・南海・阪急・阪神)は競って沿線を開発し,関西都市圏の街づくりの一角を担ってきた.本研究では,関西5私鉄の沿線を文化的価値の側面から定量的に分析し,沿線の特徴を明らかにすることを目的とする.分析においては,どの駅勢圏にどの文化施設等が何回出現したかという頻度行列を作成し,そのカウントデータが持つ情報そのものに焦点を当てられるトピックモデルLDAを用いた.分析の結果,関西5私鉄の沿線には6つの特性が潜んでいると分かった.また,これらの特性を整理し各社の主要路線を分類すると,「歴史的な沿線を持ち,地域密着型の商業地域が目立つ路線」,「都心とその間の郊外を結び,良好な生活環境が整備された路線」,「都心と文教地区を走り,通勤通学の足としての性格が強い路線」の3つに分けることができた.
著者
中渡瀬 秀一
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1-5, 2017-03-10 (Released:2017-05-12)
参考文献数
5
被引用文献数
1

本速報では学術における境界領域研究の現況を分析する方法として近年の科研費データに注目し,これを分析した結果を報告する.
著者
登藤 直弥 孫 媛 井上 俊哉
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.180-185, 2015-05-23 (Released:2015-07-11)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

本研究では,教育成果に対する学習環境と教育プログラムの効果について検討するため,医学部を対象に,ロジスティック回帰分析による検討を行った.その結果,教育成果に対して学習環境がほとんど影響を与えておらず,教育プログラムが教育成果に対し正の影響を与えているという,学校効果研究と同様の知見が得られた.
著者
幸野 晶
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.167-173, 2018-05-26 (Released:2018-06-08)
参考文献数
11

本調査は哲学研究の引用行動の把握を試みるために,引用の理由や機能等を分析する引用文脈分析を行なった.引用の理由や機能等を意味するカテゴリを作成し,哲学論文の引用箇所を対象にして他の学問領域との違いを分析した.分析の結果,哲学分野では他分野と比較して他の研究者への批判や否定を行なう目的での引用が行われること,また自身の論旨の展開に関わる研究を説明する目的のために行われる引用行動が多いこと,儀礼的な引用が比較的少ないことなどが明らかとなった.人文科学の下位領域とされる哲学に否定的な引用が多いという点は,先行研究を裏付ける結果となった.
著者
久永 忠範 渕田 孝康
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.127-133, 2018-05-26 (Released:2018-06-08)
参考文献数
4

近年,多くの行政・団体がオープンデータの公開,活用に取り組んでいるが政府の推進する「機械判読可能で人手を多くかけずにデータの2次利用が可能である」というデータ活用までには至っていない.これらのオープンデータを共通の述語を用いて簡易にRDF 形式に変換できれば、データの連携によるオープンデータの活用が促進される。本研究では、オープンデータとして開示されているデータのRDF[1]形式への変換をするためにWord2Vec[2]というアルゴリズムを活用した述語の自動生成の応用を考えた.オープンデータの各データ項目をベクトル化する述語ベクトル法という統計的処理を用いて項目名にあたる述語の共通化を図り、RDF 形式に変換するための述語の推薦手法の提案をおこなう.
著者
高久 雅生 小幡 将司 江草 由佳
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.111-120, 2018-05-26 (Released:2018-06-08)
参考文献数
36

図書館資料を対象とした文献検索における適合度順による検索結果ランキングを改善する手法として,OPAC 利用ログを用いた,A)書誌情報の閲覧回数の重み付けによるリランキング手法,B)同一セッション内で使われたクエリキーワードを加味する検索手法の2 つの手法を提案した.筑波大学附属図書館OPAC における約46 ヶ月間にわたるOPAC 利用ログを用いて,提案手法を適用して評価した.評価にあたっては,春日ラーニングコモンズにおける質問事例を参考にした評価用クエリセット16 件を作り,それぞれの手法による検索結果を人手により適合判定して評価した.結果,手法A とB はいずれもベースライン(書誌項目を用いたBM25F ランキング手法)に比べて高い評価が得られ,さらに,手法A よりは手法B のほうが高い評価が得られることが分かった.