著者
石塚 夏実 時実 象一
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.265-272, 2013-05-20 (Released:2013-07-25)
参考文献数
8

子ども新聞とは, 新聞社等が子供向けに発行している新聞である. 日本最初の子ども新聞は, 1876 年創刊の「童蒙新聞」といわれる. 日本新聞博物館の所蔵紙等を調査し, 子ども新聞の歴史を調査した. また日本新聞博物館 (横浜) 所蔵の戦前戦後期の 16 紙 (写真撮影した) と, 独自に収集した現在発行中の子ども新聞 23 紙について, 各記事を, 「ニュース」, 「学校紹介」, 「娯楽」, 「学習」, 「広告」, 「戦争関連 (戦前の新聞のみ)」に分類し, 各記事の割合を調査した. 過去の子ども新聞と現在の子ども新聞を比較してみると, 記事の種類や構成, スタイル, ルビが付いているところなどは基本的に変わっていないが, 現在発行中の新聞については, 学習記事の割合が増加し, 娯楽記事が減少している傾向がある.
著者
西澤 正己 孫 媛
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.159-166, 2021-05-22 (Released:2021-07-03)
参考文献数
12

我々は大学に関連したプレスリリースを調査しており,それは近年大幅に増加し,新聞への掲載も増加している.また,新聞への掲載率が原論文の掲載誌や分野に依存していることも分かってきた.しかし,新聞掲載の要因の分析にはプレスリリースと非対応の学術記事の抽出も必要である.ここではプレスリリースと対応した新聞報道記事を教師データとした機械学習により新聞報道中の学術ニュース記事(速報記事),フィーチャー記事(特集記事)の抽出を試みる.
著者
渡邉 憲二 箕輪 弘嗣
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.204-210, 2021-05-22 (Released:2021-07-03)
参考文献数
9

COVID-19 が蔓延する中で,社会的な変化だけでなく,個人の生活や行動にも影響がみられている.そこで,人々の考えや社会的な反応を俯瞰することを目的として,Twitter のツイート内容から得られる質的データに着目した.Twitter のツイートには,リアルタイム性が強く,様々な情報や意見を含んだ投稿が多い.このツイート内容から得られる質的データを解析することで,COVID-19 の今後の対応や取り組みにも活用が可能となる. 本研究では,Twitter のツイート内容を対象に,テキストマイニングからツイート傾向を確認する.また,新型コロナウイルス感染の拡大によるツイート内容の変化も検討する.
著者
朝岡 誠 林 正治 藤原 一毅 岩井 紀子 船守 美穂 山地 一禎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.168-175, 2020-05-23 (Released:2020-06-26)
参考文献数
18

研究データの再利用を促進するためには,単純な公開だけではなく,条件付き公開(制限公開)に対するニーズを満たしたシステム基盤の整備が不可欠である.本研究では,制限公開データを提供している機関のワークフローを調査し,研究データを提供するフローの類型化を行った.さらに,汎用的なリポジトリシステムWEKO にその機能を実装し,JGSS 研究センターの制限公開ワークフローをシミュレートすることでその運用を検討した.
著者
小林 恭輔 高久 雅生
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.287-293, 2022-05-28 (Released:2022-07-01)
参考文献数
11

本研究は効果的なブラウジング探索を通した楽曲の発見を促すことを目的としている. その手法として,楽曲間の関連関係を表現する類似楽曲の提示方法を提案する. これを実現するにあたり, Spotify のAPI が提供する楽曲データの一部を利用してユークリッド距離による類似度計算を行った. 探索の始点となる楽曲と上位の類似楽曲を取り出し, グラフレイアウトの力学モデルによるネットワークの可視化を行った.
著者
相田 満
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.208-213, 2022-05-28 (Released:2022-07-01)
参考文献数
6

1879年の建議から36年の歳月を費やし編纂まれた『古事類苑』は今なお日本最大の百科全書の地位を占める.発表者は協力者と共に,当該書の全文データベース化を進めてきたが,同時に『古事類苑』自体を意義ある研究対象とするための分析と工夫も重ねてきた.具体的には,入力・校正方法の効率化,分類体系の利用,引用の原本の同定,データの共有化のために,支援ツールの豊富な青空文庫形式を採用したことなどである.
著者
保田 洋 木村 弘子 中野 久美子 堀田 浩之 永藤 清子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.236-239, 2022-05-28 (Released:2022-07-01)
参考文献数
5

近年,推し進められている高等教育改革において,学習成果の可視化は重要なキーワードであり,そしてその可視化が多くの高等教育機関において精力的に取り組まれている.しかし,多くの大学で実施されている方法は,ディプロマ・ポリシーに対応するような評価であるとは言い難い.そこで,甲子園短期大学ではディプロマ・ポリシーの内容に基づき,卒業までに学生が身につける12の能力を抽出し,その12の能力をカリキュラムマップと対応させた学習成果の可視化方法について検討を行ったので報告する.
著者
天野 晃 大波 純一 山地 一禎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.229-235, 2022-05-28 (Released:2022-07-01)
参考文献数
12

研究データ共有の活発化や研究評価再検討の動きから,学術情報検索サービスへの需要は高まりつつあるが,その構成要素となる機能は明らかではない.そのため,本研究では,国内外の59の学術情報検索サービスを対象として画面機能に注目,これを抽出・項目化し,比較分析を行った.項目化では31の項目が得られ,該当する機能の有無による0/1ベクトルとして現した.報告では,項目のベクトルに基づく計量的な分析,および各サービスを観察して得られた特徴について述べる.
著者
池谷 瑠絵 大波 純⼀ 金沢 輝⼀ 高久 雅生 山地 ⼀禎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.218-228, 2022-05-28 (Released:2022-07-01)
参考文献数
38

論文や引用等の独自DBを持ち,研究評価指標等の情報を提供するサービスにWeb of Science (WoS)やScopusがある.これらの基盤にオープンアクセスの研究成果物を集約する学術情報基盤を加えた海外主要4基盤のダッシュボードを比較分析した.提供される指標を分類して各基盤の特徴を可視化した結果,商用系は研究IR,学術系はオープンサイエンスに関わる指標に特徴があり,新たな指標を採用する例も観察された.
著者
松田 雛乃 村井 源
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.289-296, 2020-05-23 (Released:2020-06-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究では日記の重要性に着目し,書き手の属性による文体特徴の差異の分析を行った.ブログから文章を収集し,文体特徴を示す単語を抽出した.tf-idfを用いて作成した単語ベクトルで因子分析を行い,老年男性・老年女性・若年男性・若年女性の4カテゴリの文体特徴を分析した.その結果,属性による文体の差異が判明した.また,全カテゴリ共通の文体特徴などが見られた.
著者
渡上 将治 村川 猛彦 宇都宮 啓吾 中川 優
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.189-194, 2010-05-15
参考文献数
6
被引用文献数
1

筆者らがこれまでに構築してきた聖教書誌情報全文検索システムは,サーバに接続して使用する必要があるため,山奥などでは利用できないという問題点があった.そこで,インターネット環境に依存しない,1台のノートPC上のみで動作するスタンドアロンのシステムの構築を行った.サーバ部のOSをLinuxからWindowsに変更したが,対象データと全文検索エンジンは同じものを使用し,従来のシステムに存在した機能に加えて,新たなデータの追加や,各聖教に対するコメントを残すことができる機能を実装した.本システムと従来のシステムとで検索結果が同じであり,検索時間に関しても2秒以内で結果が表示されることを確認した.
著者
松平 拓也 笠原 禎也 高田 良宏 濵 貴幸 蟹屋敷 祐介
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.486-492, 2021-12-18 (Released:2022-02-19)
参考文献数
16

金沢大学は,令和2年度「先端研究基盤共用促進事業(コアファシリティ構築支援プログラム)」の採択を受けた.本事業の柱の一つとして,本学研究者に対する研究データマネジメント(RDM)基盤のインフラ提供を掲げており,我々は本学研究者に対するRDM基盤のシステム構築を進めてきた.本学におけるRDM基盤は,国立情報学研究所が提供する研究データ管理サービスであるGakuNin RDMを利用することとし,データを保管するストレージは外部クラウドサービスと学内ストレージのハイブリッド形式とした.本報告では,我々が構築したRDM基盤について説明するとともに,今後の展望についても述べる.
著者
西岡 千文 宮田 怜 村上 史歩
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.482-485, 2021-12-18 (Released:2022-02-19)
参考文献数
6

オープンサイエンスの潮流の中,健全な学術の発展,データ利活用によるイノベーションの創出などを動機として,適切な研究データ管理・公開が求められている.本稿では,京都大学図書館機構の研究データ管理・公開支援の取り組みとして,ポリシー等の策定,体制づくりと,京都大学学術情報リポジトリ(KURENAI)での研究データ公開事例について紹介する.ポリシー等については,これまでに京都大学は「京都大学研究データ管理・公開ポリシー」,「実施方針策定のためのガイドライン」を図書館機構も携わって策定している.これらの策定までの経緯とともに,現在の取り組みを示す.研究データ公開支援については,KURENAI での研究データ公開件数とその内訳を示すとともに,ファイルサイズ,公開範囲を限定した共有等の課題を報告する.
著者
逢坂 駿也 村井 源
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.283-288, 2020

<p> 本研究では,物語から登場人物の感情状態を抽出するため12 種類の感情に分類した感情語の辞書を構築した.分析対象として「キノの旅-the Beautiful World-」という小説を選択し,辞書を用いて感情語を抽出した.感情語の抽出回数を多次元データとして扱い因子分析をかけた結果,皮肉な物語の因子・意外性の強い物語の因子・悲喜劇的な物語の因子の3 つに分類された.また各因子での登場人物の役割ごとの感情の差異を抽出した.</p>
著者
石川 大介 栗山 和子 酒井 哲也 関 洋平 神門 典子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.73-85, 2010-05-15
参考文献数
19

本研究では,Q&A サイトにおけるベストアンサーを計算機が推定可能か検証した.まず最初に,人間の判定者によるベストアンサー推定実験を行った.ベストアンサー推定実験にはYahoo!知恵袋データを利用し,「恋愛相談」「パソコン」「一般教養」「政治」の4つのカテゴリからそれぞれ無作為抽出した50 問を使用した.判定者二人による推定結果の正解率(精度) は,「恋愛相談」では50%と52%(ランダム推定:34%),「パソコン」では62%と58%(ランダム推定:38%),「一般教養」では54%と56%(ランダム推定:37%),「政治」では56%と60%(ランダム推定:35.8%) であった.次に,この実験結果を分析し,ベストアンサーを選ぶ要因として「詳しい」「根拠」「丁寧」を素性とする機械学習システムを構築した.判定者らと同じ50 問を用いた推定実験の結果,機械学習システムの精度は,「パソコン」では判定者らの結果を上回り(67%),「恋愛相談」では判定者らの結果を下回った(41%).「一般教養」と「政治」では機械学習システムと判定者らの結果はほぼ同等であった.
著者
石川 大介 酒井 哲也 関 洋平 栗山 和子 神門 典子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.362-382, 2011-09-27
参考文献数
24
被引用文献数
1

コミュニティ型質問応答サイト(CQA)は,ユーザが自身の状況に応じた情報を得ることができる新たな手段である.しかし投稿された回答の質は様々であるため,その中から良質な回答を選択する方法が求められている.そこで本研究は,まず Yahoo!知恵袋データにおける良質回答を人手で分析し,その結果に基づいて良質回答自動予測システムを構築した.具体的には,「恋愛相談」「パソコン」「一般教養」「政治」の4つのカテゴリからそれぞれ無作為に50問の質問を抽出し,判定者2名によって手作業で良質回答を決定した.次に,その結果を分析し,良質回答の特徴として「詳しさ」「根拠」「丁寧さ」に基づく機械学習システムを構築した.機械学習システムの評価結果は,「パソコン」と「一般教養」カテゴリでは判定者らを上回った.「恋愛相談」と「政治」カテゴリでは,機械学習システムの評価結果は判定者らとほぼ同じであった.以上の結果から,CQAアーカイブから自動的に良質回答を発見するシステムの可能性が示唆される.
著者
ソロビヨワ イェレナ 石塚 英弘
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.22-46, 2008-02-19
参考文献数
37
被引用文献数
1

我々は,XML/RDF (Resource Description Framework 技術をアレルギーに関する知識領域への適用を試みた.その領域には複雑なデータ構造と、データ要素・リソース間の意味関係が存在する.本論文の目的は次の3要素で構成される.(i)アレルギー疾患の要因に関する知識領域を最適に表現するために,概念の群およびそれら概念間の関係を記述するオントロジーを設計・開発すること;(ii)アレルギー疾患に関係する情報資源の主題索引に本オントロジーを適用すること;(iii)構築したオントロジーと索引を用いて情報資源からデータを検索することの3つである.メタデータの構造化,表現そして蓄積はセマンティクウェブ技術であるRDF とSimple Knowledge Organisation System (SKOS)を用いて実行した.一方,Web リソース自体の構造はXML フォーマットを用いて記述した.セマンティクWeb 技術とXML によって表現された情報を検索するために,我々はWeb アプリケーションのプロトタイプを開発した.また,RDF と他のセマンティクWeb 技術がこのライフサイエンス分野に蓄積された情報の探索,ブラウジング,検索に新しい可能性を提供することも示した.
著者
村井 源 松本 斉子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
2022

<p> 本研究では日本語の自称詞,対称詞の表現の多様性に着目し,話し言葉と書き言葉でどのような用いられ方をするか統計的な分析を行った.また,自称詞,対称詞が発話文中で果たす役割を調査するため発話文の語用論的機能を分類し,呼称との関係を分析した.結果として,書き言葉では呼称の頻度が高くまた語彙も豊富であるが,呼称利用のパターンと役割に関しては話し言葉と書き言葉の発話文で大きな違いないことが明らかになった.</p>
著者
吉川 次郎 高久 雅生 芳鐘 冬樹
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.370-389, 2020-09-30 (Released:2020-11-06)
参考文献数
50
被引用文献数
1 3

Wikipedia 上での学術文献の参照記述の追加という事象を明らかにするための前提となる方法論として,参照記述の初出時点を特定するための手法を提案し,評価実験を行った.提案手法は,まず,参照記述の参照先を判定し,ページ情報,文献タイトル,識別子を取得する.次に,対象のページの全編集履歴およびページ本文に対して識別子または文献タイトルを用いた手法を適用し,複数の初出時点候補を取得する.最後に,候補から編集日時が最古のものを選択する.英語版のDOI リンクの初出時点データセットを基に評価実験を行った結果,精度は全体で93.3%,22 分野中20 分野で90%以上であり,研究分野を問わず概ね高い精度で参照記述の初出時点を特定できる手法であることが明らかになった.
著者
Itoko KITAHARA
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.316-327, 2012-11-04 (Released:2012-12-31)
参考文献数
19

本論は災害史研究において、歴史資料の果たす役割を具体的に示すために、江戸・東京という日本の首都で発生した地震災害のうち、1703 年元禄地震、1855 年安政江戸地震、1923 年関東大震災を対象として、歴史資料を通して、時代の変遷のなかで災害像はどのように変化するのか、あるいは災害の歴史を通じて共通に認められる社会事象とはなにか、すなわち、災害の社会像について考察した。その結果、進歩や開発という理念を持たない近世社会は大災害に遭遇しても都市の基本構造を変えることはなかったが、近代の関東大震災のような都市を焼き尽くす大災害では、災害を好機と捉え、都市計画による都市の再生・復興が行われた。また、本論では特にいまだ元禄地震における江戸市中の被害が明らかになっていない理由が前後の火災の広範な延焼範囲によって地震被害の実相がマスクされた可能性が高いことを指摘した。