著者
光岡 知足
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.24-31, 2006 (Released:2011-11-30)
参考文献数
10
著者
土田 さやか
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.56, 2021-06-25 (Released:2022-07-21)
参考文献数
3
著者
Mheen Tae Ick
出版者
Japan Society for Lactic Acid Bacteria
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.56-71, 2003-12-01 (Released:2012-09-24)
参考文献数
75
被引用文献数
8 9

Kimchi is a Korean fermented food that is prepared through a series of processes including pretreatment of Chinese cabbage, salting, blending with various spices and other ingredients, and fermentation. The characteristics of kimchi differ depending on the kimchi variety, raw materials, processing methods, and fermentation conditions. Kimchi fermentation is initiated by the various lactic acid bacteria (LAB) present in the raw materials. Sugars in raw materials are converted to lactic acid, acetic acid, carbon dioxide, and ethanol by hetero and homo fermentative LAB during kimchi fermentation, along with other chemical changes. Many physicochemical and biological factors influence kimchi fermentation. This review covers in some detail the factors affecting kimchi fermentation.
著者
岡田 早苗
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.23-36, 2002-06-01 (Released:2012-09-24)
参考文献数
58
被引用文献数
15 14

Plant origin Lactic Acid Bacteria (POLAB), lactic acid bacteria associated with the fermentation of plant-materials, are discussed in this paper.If we mention about dairy fermented foods, we automatically think of yogurt, cheese, and LAB drink. These fermented foods were originated from Europe and West Asia, and mainly produced from milk which fermented by lactic acid bacteria (LAB). The author called “dairy LAB” for L AB concerning in the dairy fermented foods. The beneficially of dairy LAB for human health have been studied intensively in Europe and America.Whereas, in Japanese traditional fermented foods, plant origin are almost used as the raw materials. The well known fermented foods, such as Sake (alcohol beverage from rice), Miso (soybe an paste), and Shoyu (soy-sauce) are made from rice and soybeans. In the three mentioned above fermented foods, beside of molds and yeasts, LAB (L. sakei and Leuc. mesenteroides, Tetragenoco c cus halophilus) have also participate in the fermentation. Tsukemono (fermented vegetab les with salt), which consumed daily in various parts of Japan, LAB (L. plantarum, L. brevis, Leu. mesenteroides, etc. ) mainly have an important role for souring vegetables. Tsukemono is known as a food to promote Japanese health from long time ago. Moreover, as peculiar fermented drink, Awa-banch a and Goishi-cha (fermented tea leaves without salt in a big tub for ten days) produced in mountain area of Shikoku Island (Japan) were known as healthy foods in this area. It is recorded that large amount of Awa-bancha and Goishi-cha were consumed for long time in Japan. From the recent our researches, it is interesting that only L. plantarum equipped with DAP-peptidoglycan in cell wall participate in th e fermentation of these tea leaves because they can survive from tannic acids containing in the leave s. However, LAB equipped with Lys-peptidoglycan in cell wall unable to survive in this condition.In conclusion, traditionally, Japanese did not have any dairy fermented foods, but only had p lant materials fermented foods which benefit for health for long time. Therefore, the author empha s ize that “plant origin lactic acid bacteria”, which are associated with the fermentation of plant materials, have been important role for human health.The author consider following distinguish char a c teristics of POLAB-Compare with dairy LAB, POLAB are able to grow in environment with poor nutrition.-POLAB are able to survive from various inhibitory compounds produced by micr o o rganisms inhabit in plants.POL A B are useful for probiotics, the fermentation of agriculture biomass to collect lactic acid, and the biopreservative of raw-eating vegetables.
著者
脇田 義久 神田 一 高澄 耕次 土屋 陽一
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.145-151, 2018-11-06 (Released:2020-01-29)
参考文献数
11

代表的な酒類酵母である Saccharomyces cerevisiae はラクトースを分解する能力がないことから、乳のみを原料としてアルコール飲料を製造することは容易でない。一方、ヨーグルトで使用されている乳酸菌 Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus(LDB)は β- ガラクトシダーゼによりラクトースをガラクトースとグルコースに分解可能である。本研究では S. cerevisiae とLDB の複合発酵による乳からのアルコール産生について検討を行った。最初に、LDB48P 株を親株として、N-methyl-N ’-nitro-N-nitrosoguanidine を用いた変異処理により β- ガラクトシダーゼのカタボライト抑制を解除した LDB48A-12 株を取得した。LDB48A-12 株はラクトース分解能が向上するのみならず、増殖速度が遅く、且つ乳酸の生産量が低下するという予想外の特徴を有していた。そこで LDB48A-12 株と S. cerevisiae SBC3207 株を用いて、10% 脱脂粉乳溶液を原料とし 30℃あるいは 37℃で、4 日間発酵を行ったところ、アルコール度数が 1 ~1.5% であり、LDB48P 株を使用した際の 1.5 倍に上昇した。また、LDB48P 株を使用した際と比較して、発酵後の pH 低下が抑えられた。これらの結果は、乳を原料とした新たな低アルコール飲料製造の可能性を拓くものと考えられる。また、LDB48P 株と LDB48A-12 株の比較ゲノム解析から、LDB48A-12 株において、ゲノム複製に関与する dnaA 遺伝子およびカタボライト抑制に関与する rpoA 遺伝子に変異が確認され、これらの遺伝子変異が組み合わさることで、乳酒製造に適した表現型が現れているものと推察された。
著者
外内 尚人
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.6-13, 2015-03-16 (Released:2016-03-29)
参考文献数
16
被引用文献数
1

酢酸菌は我々にとって非常に重要な微生物であり、食酢の製造に利用される。酢は酒から作られ、原料や気候など酒と同様に各地の文化を形成した。日本の酢は、4 世紀頃朝鮮から伝えられた。古代から肉食が禁じられた中で、魚介類や野菜を調味して食す、という独自の和食文化が発達した。酢は、その調味料の一つとして用いられた。時代とともに、「鱠(なます)」や「すし」といった代表的な料理も発展した。世界的にも、先史時代、古代文明において酢はそれぞれの地域に誕生し、中世ヨーロッパでは食品保存や消毒の目的でも多く使われた。アジアでも酢は重要であり、食欲増進と雑菌抑制に用いられる。ナタデココも酢酸菌を利用した発酵食品である。酢酸菌の生理的特徴は、膜上の酸化酵素による強力な酸化能と、空気や液面との接触を維持する菌膜形成である。この2つの特徴は、自然環境下での生存戦略に関わっている。有害な酢酸を生成して他の生物の生育を妨げ、その後に自身が耐性をつけて徐々に資化していく。自身の生育を犠牲にしてまでもその生存環境を形成する、シンプルで傍迷惑な戦略と考えられる。
著者
佐藤 英一
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.30-36, 2008 (Released:2009-03-31)
参考文献数
34
被引用文献数
1 1

近年、予防医学の重要性が再認識されており、特に腸内細菌叢をコントロールすることにより宿主に保健効果を付与させるという考えから、プロバイオティクスが脚光を浴びている。腸内常在菌の中でも乳酸菌は宿主に様々な保健効果をもたらし、我々の健康にとって重要な役割を担っている。乳酸菌の効果が発揮されるには、有用菌が腸内細菌叢を正常化する過程が必要であり、腸管内に定着することで足場を築き、周囲の細菌叢や宿主組織に作用するという段階を経る。そのため、乳酸菌の腸管定着メカニズムの解明はプロバイオティクスとしての応用を考える上でも重要視されているのである。また、膨大な数の微生物が共生している腸内環境において、乳酸菌がいかに生活の場を確保しているか、すなわち微生物生態学的な意味からも興味深い課題である。これまでにいくつかの乳酸菌腸管付着因子が報告されているが、従来の研究では宿主側の因子としてcollagen、fibronectin、laminin などの細胞外マトリックスの精製標品を用いるのが主流であった。この方法は定着性の高い菌株のスクリーニングなど応用面を重視する場合には有効であるが、腸管定着機構の本質を理解しようとする場合、よりin vivoに近い環境から宿主側の付着因子を検索するのが妥当であろう。また、腸管定着を分子同士の結合というレベルにまで掘り下げて研究している例は少ない。本稿ではLactobacillus reuteriが腸上皮細胞に付着する仕組みを、腸管付着因子と上皮細胞受容体様分子との相互作用と捉え、細胞レベル・分子レベルでの解析を試みた結果を紹介する。
著者
松本 光晴
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.18-25, 2013-03-15 (Released:2015-05-21)
参考文献数
31

腸内常在菌の代謝産物の研究は少ない。我々は、数多く存在する腸内常在菌の代謝産物の中から、細胞の増殖や分化に関与し、非常に多岐に渡る機能を有するポリアミン(PA)に着目してきた。特に、PA の有する①抗炎症作用、②核酸安定化作用、③腸管バリア機能の充実化作用、④オートファジー促進作用、は健康と疾病に密接に関与している。腸管内PA 濃度を上昇させるBifidobacterium animalis subsp. lactis LKM512 を10 ヶ月齢マウスに週3 回、約1 年間LKM512 を投与した結果、腸内PA 濃度の上昇と共に寿命伸長効果が得られた。演者らが知る限り、カロリー制限無しでの哺乳類に対する寿命伸長効果が得られた食品成分は、レスベラトロールに次ぐ報告であり重要な知見である。本稿では、この効果の詳細を解説すると共に、今後の腸内常在菌の代謝産物の研究にとって強力なツールとなると考えられるキャピラリー電気泳動と飛行時間型質量分析装置(CE-TOF MS)によるメタボロミクス解析について紹介する。
著者
岡田 早苗
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.5-8, 1998-09-30 (Released:2012-09-24)
参考文献数
2
著者
相川 知宏 丸山 史人 中川 一路
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.14-21, 2015-03-16 (Released:2016-03-29)
参考文献数
25

CRISPR/Cas システムは真正細菌および古細菌に広く保存され、外来性遺伝子の一部を自身の染色体に取り込み記憶することで、同一の外来性遺伝子が再度侵入した場合には、これらを分解・排除する獲得免疫機構として機能する。最近では、獲得免疫機構としてだけでなく、細菌の毒性や病原性に関与していること、様々な環境下での細菌の生存や進化においても重要な役割を担っていることが明らかになりつつある。本総説においては近年の我々の研究成果を交え、最新の研究トピック、特に細菌の生存戦略におけるCRISPR/Cas システムの役割を概説する。また、優れたゲノム編集技術としてのCRISPR/Cas システムの適用例を簡単ではあるが紹介したい。
著者
青木 亮
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.26-32, 2018-03-10 (Released:2019-04-20)
参考文献数
18

生活習慣・食習慣の変化による肥満・メタボリックシンドローム(MS)の増加が世界的な問題となっている。近年の研究により、腸内細菌叢が宿主のエネルギー代謝に密接に関わっていることが明らかとなってきた。このことから、プロバイオティクスやプレバイオティクス・糞便移植など、腸内細菌叢の修飾をターゲットした MS 抑制戦略が注目されている。本稿では、腸内細菌叢による宿主の代謝調節について概説するとともに、プロバイオティクスである Bifidobacterium animalis subsp. lactis GLC2505 の腸管内動態と抗 MS 作用メカニズムの関連性について紹介する。
著者
渡辺 幸一
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.153-161, 2011-11-10 (Released:2015-01-06)
参考文献数
21
被引用文献数
4 6

何世紀にも渡ってモンゴルの遊牧民は非常に多種の伝統的発酵食品を作り続けている。モンゴルの伝統的なアイラグ(馬乳酒)は、馬乳を原料に固有の乳酸菌による発酵と酵母によるアルコール発酵とによって作られる。アイラグばかりでなくタラグ(ウシ、ヤク、ヤギあるいはラクダなどの家畜の乳で作られたヨーグルト)は古来からモンゴル人の栄養源として重要な役割を演じてきた。これまで、モンゴルの伝統的発酵乳のプロバイオティクスとしての有用性を評価する目的で多くの研究がある。本稿ではモンゴルの伝統的発酵乳のアイラグとタラグにおける乳酸菌と酵母の多様性について概説する。
著者
孫 建強 湯 敏 清水 謙多郎 門田 幸二
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.124-132, 2015-06-29 (Released:2016-07-29)
参考文献数
10

次世代シーケンサー(以下、NGS)データの解析は、大まかに①データ取得、②クオリティコントロール(以下、QC)、③アセンブルやマッピング、④数値解析の4 つのステップに分けられる。連載第4 回は、Bio-Linux にプレインストールされているFastQC(ver. 0.10.1)プログラムを用いたQC の実行および解釈の基本を述べる。また、FASTX-toolkit(ver. 0.0.14)で提供されているアダプター配列除去プログラムであるfastx_clipper の挙動を例に、Linux コマンドを駆使した動作確認の重要性を述べる。多様なインストール手段に対応すべく、apt-get, pip, cpan コマンドを利用したプログラムのインストール(FastQC ver.0.11.3、nkf ver. 2.1.3、cutadapt ver. 1.8.1、HTSeq ver. 0.6.1、FaQCs ver. 1.34)やパスなどの各種設定についても述べる。ウェブサイト(R で)塩基配列解析(URL: http://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/~kadota/r_ seq.html)中に本連載をまとめた項目(URL: http://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/~kadota/r_seq.html#about_ book_JSLAB)が存在する。ウェブ資料(以下、W)や関連ウェブサイトなどのリンク先を効率的に活用してほしい。
著者
内川 彩夏 田中 優 中山 二郎
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.74-83, 2017-06-26 (Released:2018-08-31)
参考文献数
36

ほぼ無菌状態で生誕するヒトの腸管には、出生とともに様々な細菌が定着を始める。そして成長とともに食事が母乳から離乳食、そして大人と同様の食事を摂取するようになるまで、腸内細菌叢はダイナミックかつ多様な変化をしながら成熟していく。この複雑な過程を微生物学と生体医学の原理で理解することが腸内細菌学の一つのゴールと言えよう。世界中の腸内細菌学者がこの目標達成のために、新生児の腸内細菌叢の形成過程を詳細に調査し、また世界中のヒトの腸内細菌叢データを収集している。特に、近年の次世代シーケンサーの登場により、腸内細菌叢のプロファイル化が容易になり、この分野の研究が爆発的に進展している。著者らも、国内の新生児 200 名以上の腸内細菌叢の変遷データを収集し、また、Asian Microbiome Project(AMP)を設立し、アジア人老若男女の腸内細菌叢データを網羅的に収集している。本総説では、それらのデータを紹介しながら、ヒトの腸内細菌叢のダイナミズムとダイバーシティーについて考察する。
著者
山平 聡子 戸羽 正道 岸 和正 岡松 洋
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.57-60, 2006 (Released:2011-11-30)
参考文献数
16
被引用文献数
13 12

多くの抗原は、食事や呼吸に伴い粘膜面を介して体内に侵入することから、粘膜免疫機能を強化することは早期の生体防御の観点から重要である。粘膜免疫における中心的な生体防御因子は分泌型IgAであり、感染防御や抗アレルギーに関与している。本研究では、150株の乳酸菌を用いて、マウスパイエル板(以下、PP)細胞からのIgA産生を指標に、粘膜免疫機能を高める乳酸菌のin vitroスクリーニングを実施した。その結果、発酵食品(発酵茶)を分離源とするLactobacillus plantarum ONRICb 0239およびb 0240に高いIgA産生誘導能を見出した。最も高いIgA産生誘導能を示したb 0240については、マウスに菌体を7~21日間経口投与し、ex vivoにおけるIgA産生への影響を検討した。その結果、b 0240の生菌および死菌の経口投与はPP細胞からのIgA産生を有意に高めた。さらに21日間投与においては血清IgG濃度を高める傾向にあった(P=0.0582)。このように植物由来のb 0240は、ポリオワクチンの例の如く、経口的に粘膜面のIgA産生を誘導し、血中ではIgG産生を刺激することで、体の外(粘膜免疫)と体の内(全身免疫)から生体に作用することが示唆され、“immunobiotics”製品としての開発が期待される。
著者
鈴木 敏弘 海野 良輔 山里 一英 小泉 幸道 石川 森夫
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.129-134, 2020-11-17 (Released:2021-12-11)
参考文献数
20

Marinilactibacillus 属や Alkalibacterium 属などの好塩性・好アルカリ性乳酸菌は塩類の影響を受ける海洋環境からの分離例が多い。一方で、これらはチーズをはじめとする塩分を含む発酵食品にも存在するが、その由来については明らかにされていない。本研究では、同乳酸菌群の分離源の多様性の解明を目的として、発酵食品製造に用いられる可能性が考えられる海水天日塩から好塩性・好アルカリ性乳酸菌の分離を行った。供試した 23 点の海水天日塩のうち、フランス産の 2 点から集積培養によって Alkalibacterium 属乳酸菌を分離した。分離株は海洋環境より分離・報告された好塩性・好アルカリ性乳酸菌 Alkalibacterium putridalgicola と同定され、生理学的性状も類似していた。一方で、分離株は NaCl 20% 以上の耐塩性を有さず、生育に糖類を要求し、天日塩への付着時には増殖はしていない可能性が推察された。これらのことから天日塩には海洋環境で生育する好塩性・好アルカリ性の乳酸菌が付着、増殖はしないものの生存し、天日塩を使用した様々な食品製造環境に伝播している可能性が考えられた。