著者
青木 隆明
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.525-529, 2020-06-18 (Released:2020-08-12)

東京2020パラリンピックが開催されるにあたり,パラリンピック独特のスポーツを紹介する.近年パラリンピックの競技性も向上し,世界の強豪と戦うのは大変である.それだけ選手の層も厚く,日本でもさまざまな競技に対する研究や指導が進んできている.実際の競技をみる前に,スポーツ観戦の見どころを紹介する.例えば,陸上や水泳は種目としては同じだが,クラス分けや障害に応じて道具や義足などが異なり,投げ方や泳ぎ方など,さまざまな工夫がなされている.練習に対してもコーチの指導の工夫が必要で,医療従事者とのかかわりが大切である.
著者
草野 修輔
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.497-500, 2020-06-18 (Released:2020-08-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1

ドーピングは,スポーツ活動において競技能力を高める目的で不正に薬物を使用するか,不正な方法を用いることを指し,世界アンチ・ドーピング規程で,アンチ・ドーピング規則違反として10個の項目が定義されている.パラアスリートにおいても同じ規程が適応される.過去の国際大会での薬物使用者は約70%と高率であり,パラリンピック前に行った参加選手の使用薬物調査では,禁止薬物使用割合は,アテネ大会30.2%,北京大会16.7%,ロンドン大会5.7%であった.パラアスリートにおいては,視覚障害者,知的障害者,未成年者も多いため,禁止物質使用がある場合には,対象選手に通知文書を郵送し,対処方法の指導を行っている.
著者
武原 格
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.345-351, 2013

It is difficult to make dysphagia assessments in actual meal settings. Therefore, instrument-based evaluations are necessary, and videofluoroscopic examinations (VF) and video-endoscopic examinations (VE) of swallowing are typically performed for this purpose. Much information can be obtained by understanding the respective advantages and disadvantages of VF and VE and combining them for evaluations, making them useful for both assessment and treatment. Essentially, VF is contrast radiography using a fluoroscope. It uses test food containing a contrast agent that allows the flow of the food from the mouth to the pharynx and esophagus accompanying swallowing movements to be observed in real time to determine whether there is aspiration or food remaining in the pharynx. The images are taken mainly from the frontal and lateral views under fluoroscopy. VE is a test that involves direct fiberscopic observation of things such as glottal closure, saliva and secretions, and food boluses or other substances remaining in the pharynx. Assessment includes evaluation of vocal cord paralysis, redness and swelling of the arytenoid region, and whether there is saliva aspiration into the larynx. Next, the swallowing function is assessed using actual food. The body posture used in the test is the individual's regular posture when eating and a safe, proper posture with a low risk of aspiration. Today, VF and VE are essential tools for assessing and treating dysphagia. It is hoped that many practitioners will acquire the skills to administer and make use of these tests in the rehabilitation of patients with eating and swallowing disorders.
著者
村井 俊哉
出版者
日本リハビリテーション医学会
巻号頁・発行日
pp.46-51, 2018-01-18

高次脳機能障害とは,社会的行動障害とは 高次脳機能障害とは,もともと精神科,神経内科,脳神経外科などで医学的病名として用いられていた脳梗塞後遺症,頭部外傷後遺症,器質性精神障害などにまたがるわが国特有の行政用語である.行政用語としての「高次脳機能障害」という名前が作られた背景には,脳梗塞や頭部外傷,脳腫瘍などさまざまな疾患により生じる後遺症が,これらさまざまな診療科の狭間にあり,どの科でも十分な診療や支援が受けられないという状況があった. 2001年度に開始された高次脳機能障害支援モデル事業において,脳損傷患者のデータの分析が行われた結果,脳損傷後の後遺障害の中でも,特に記憶障害,注意障害,遂行機能障害,社会的行動障害に着目し,これらの障害を示す一群を,「高次脳機能障害」と呼ぶことが定められた.高次脳機能障害の4症状領域のうち,記憶障害,注意障害,遂行機能障害は「認知」の障害とみなすことができるが,そこに分類できないようなさまざまな「行動」の障害はすべて「社会的行動障害」に含まれている.「高次脳機能障害者支援の手引き」では,社会的行動障害として,意欲・発動性の低下,情動コントロールの障害,対人関係の障害,依存的行動,固執が列挙され,訓練プログラムの章では,抑うつ,感情失禁,引きこもり,被害妄想,徘徊もそこに加えられている1).同じ高次脳機能障害として並列に挙げられてはいるものの,記憶障害・注意障害・遂行機能障害と社会的行動障害はその概念的な基盤が異なる.すなわち,記憶障害・注意障害・遂行機能障害は特定の情報処理過程の障害として定義され,脳の特定のネットワークの損傷がその神経基盤として想定されている.一方で,社会的行動障害は特定の脳領域が障害されると起こるという,脳との明確な対応関係があるものではなく,さまざまな問題行動の総称として用いられる.すなわち,概念を規定する背景理論が希薄なのである.このことが社会的行動障害を神経心理学的に理解することを難しくしており,高次脳機能障害を専門とする臨床家の中でも社会的行動障害に苦手意識をもつ者が多い原因となっているのである.しかし,社会的行動障害は,高次脳機能障害に伴うそれ以外の主要症状以上に脳損傷患者および介護者の生活に多大な困難をもたらすことが多く,高次脳機能障害の臨床を行ううえで社会的行動障害は避けて通ることはできない.
著者
船瀬 広三
出版者
日本リハビリテーション医学会
巻号頁・発行日
pp.573-578, 2012-09-18

脊髄伸張反射の可塑性 筋紡錘入力によって無意識に生じる脊髄伸張反射も上位中枢からの下行性入力による修飾を受け,柔軟な可塑性を有することがWolpawら1,2)によって報告されている.軽いトルクのかかったハンドルをサルに握らせ,そのハンドル位置をサルの目前の画面に表示しておく.この状態でサルの肘関節をトルクモーターによって他動的に伸展させ,与えられた肘の伸展に対して保持しているハンドル位置を画面上に設定された範囲にとどまるようにさせ上腕二頭筋から伸張反射を導出する.この反射サイズがコントロール条件のサイズより大きい(up条件),あるいは小さい(down条件)時にのみ報酬としてジュースを与える.これらの試行を1日に数千回繰り返すと,伸張反射サイズはup条件では増大し,down条件では減少する.同様な結果は,サルとラットのH反射やヒトの伸張反射においても観察される.このような現象は,反射誘発の刺激強度に変化がなく刺激タイミングが予測できない状況下では,伸張反射回路の構成から考えて上位中枢からの影響によるものであると考えられ,事実,皮質脊髄路を破壊したラットでは観察されない.学習によって獲得したこのような伸張反射の変化は,除脳標本においても維持されており,脊髄レベルでの変化が“memory trace”として残存するものと考えられる. 姿勢の保持や不意の外乱時に骨格筋収縮の自動制御装置として機能する伸張反射回路は,感覚細胞(筋紡錘),神経細胞(motoneuron:MN),筋細胞(筋線維)の3つの細胞で構成されるシンプルな単シナプス性反射であるが,その利得調節機構はそれほどシンプルではない.伸張反射の利得はαMNの興奮性に影響を与えるpresynapticな要因(シナプス前抑制やpost-activation depressionによるⅠaシナプスでの伝達効率の変化など)とpostsynapticな要因(MNに対する促通あるいは抑制性シナプス入力),およびγMN活動で支配される筋紡錘感度によって調節されており3,4),MN自体の性質やシナプス入力などのpostsynaptic factorとⅠaシナプス終末上のシナプス前抑制やpost-activation depressionによるⅠaシナプスの伝達効率変化などのpresynaptic factorによって調節されている.同時にγMNによる筋紡錘感度調節の影響も受けており,状況に応じた柔軟な反射利得調節が行われている.中でもⅠa終末部でのシナプス前抑制によると思われるH反射の変化は,学習1,2)やトレーニグ5)だけでなく姿勢条件6~12)や運動課題3,13~16)にも依存することが報告されている.例えば,ヒラメ筋(m. soleus:SOL)H反射は座位や伏臥位条件に比べて立位条件では抑制される.Katzら11)は座位と立位時(肩をサポートした立位とサポートなしの立位)に異名筋Ⅰa促通法やpost-stimulus time histgram(PSTH)法を用いてシナプス前抑制の動態を調べたところ,座位条件に比べ立位条件において,また同じ立位条件でもサポート有り条件よりサポート無し条件において,SOL-MNではシナプス前抑制が増強し,大腿四頭筋(m. quadriceps:Q)MNでは減弱していることを報告している.自発的な運動単位発火が必要なPSTHの実験を除いて,立位条件においては非被験筋側に重心を移動させ,H反射誘発側には背景筋電図(background EMG:bEMG)が生じていない状態で実験を行っている.この措置によって座位と立位条件ともにH反射誘発時にbEMGは生じないことになりα-γ連関による筋紡錘活動も低下していることになる.この状態でのⅠa終末部でのシナプス前抑制の増強は介在ニューロンへの下行性入力によることが示唆される.興味深いことにSOL-MNとQ-MNとでシナプス前抑制が逆の効果を示しており,足関節伸筋では伸張反射利得を減弱させ関節可動性を増して下行性調節を行いやすくし,膝関節伸筋では逆に伸張反射利得を増強して膝関節を固定する方向に作用していることが考えられる.また,同じ立位姿勢でも,通常の歩行時より走行時13,14,16),より難易度が高い線上歩行時ではSOL-bEMGとH反射の関係を示す回帰直線の傾きが低くなることが報告されている3).この回帰直線の傾きの低下は,随意運動時のαMN活動が同程度であってもⅠaシナプスを介したH反射誘発時に活動するαMN数は異なっていることを示しており,Ⅰa終末部のシナプス前抑制が増強していることを示唆している.
著者
Kimura Jun
出版者
日本リハビリテーション医学会
巻号頁・発行日
pp.507-509, 2009-08-18

Effect of Volitional Muscle Relaxation on H reflex To test the effect of volitional inactivity and subsequent voluntary muscle contraction on the excitability of the anterior horn cells in the lower limb, we studied the time course of H reflex recorded from the soleus muscle in 11 healthy subjects after resting the muscle for one and two hours.1) The H-reflex amplitude declined (p<0.05) after rest, remained the same after standardized exercise, and recovered after standing. Statistical analyses showed a significant difference in the degree of suppression induced by one- and two-hour periods of rest. We conclude that the excitability of the spinal motor neurons tested by H reflex undergoes a substantial diminution after a relatively brief cessation of volitional motor drive, recovering quickly upon resumption of normal muscle activity.
著者
中村 学 遠藤 聡 佐藤 恵 手島 雅人 久米 亮一
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.272-276, 2019-04-18 (Released:2019-05-30)
参考文献数
5
被引用文献数
1

装具療法は脳卒中患者の立位・歩行獲得のために有効な手段であり,運動療法を合わせて実施することでその効果を高めることができる.セラピストの介入が少なくなる生活期においては,下肢の変形や異常運動を防ぐために下肢装具が重要な役割を担うが,その効果を発揮するためには,装具メンテナンスなどの患者指導も重要である.生活期でも多職種チームで連携してリハビリテーション診断と治療を行い,装具を装着したことによる歩行時の筋活動や下肢の運動を学習させる運動療法が重要である.さらに,介護保険サービスとの情報共有,地域の装具ユーザーやケアマネジャーへの相談窓口を設置するなど,地域連携も不可欠である.
著者
陳 隆明
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.31-36, 2012-01-18 (Released:2012-02-08)
参考文献数
10
被引用文献数
1 4

Rehabilitation using myoelectric prosthesis for trans-radial amputees has become wide spread and well established in several developed countries. However, the clinical use of myoelectric prostheses for trans-radial amputees has not yet spread in Japan. It is well known that once amputees become accustomed to using their prosthesis efficiently through adequate rehabilitation, that various activities which the amputees had given up so far will become possible through enhanced bimanual activities. Although myoelectric prostheses have proved to be useful, the majority of amputees have not been satisfied with their function. As an amputee becomes a better user, they request not only simple tasks but also complicated ones. As a consequence, the amputee comes to know the limits of their myoelectric prosthesis, thus expectations for superior prostheses will arise. The recent remarkable development of engineering technology has enabled the progress of prosthetic limb technology, leading to the production of far superior functional prostheses which meet the user's expectations. However, there is a paradox in developing such superior prostheses. The more advanced the prosthesis we produce, the higher the cost. To achieve this end, it is absolutely imperative to secure the cooperation of both clinicians and engineers. Furthermore, a rehabilitation strategy for patients with a higher level of amputation(trans-humeral amputation, shoulder disarticulation)remains unsolved. In this paper, we propose a “Hybrid Myoelectric Prosthesis”, which consists of a myoelectric hand as a terminal device and a body-powered active elbow joint, as a realistic solution for higher level amputees. In addition, we introduce Targeted Reinnervation (TR) as a future strategy for reference.
著者
千田 益生 堅山 佳美 兼田 大輔
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.928-933, 2016-12-18 (Released:2017-02-14)
参考文献数
11
被引用文献数
1

肩関節の運動では,肩甲上腕関節,肩鎖関節,胸鎖関節,肩甲胸郭関節などの関節および肩峰下滑液包などが関与している.正常の可動域の獲得には肩甲上腕関節のみならず,肩甲胸郭関節,および脊柱の動きが重要である.肩甲上腕関節を動かす筋群としては,内在筋として肩腱板を形成する棘上筋,棘下筋,小円筋,肩甲下筋があり,外在筋としては三角筋,大胸筋,広背筋,大円筋などがある.肩関節のリハビリテーション(以下,リハ)の基本として,疼痛管理,肩甲上腕関節や肩甲胸郭関節の自動・他動運動の行い方,肩腱板の筋力エクササイズについて記載した.また,日常よく遭遇する肩関節疾患について,疾患の概要とリハについても記載した
著者
宮澤 靖
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.121-126, 2017-02-18 (Released:2017-05-22)
参考文献数
7

経腸栄養法は,生理的な投与方法であり,経口摂取についで有用な栄養管理法である.近年は150種類を超える経腸栄養剤・濃厚流動食が上市され,疾患別での組成もラインナップされるようになった.また,投与に際するデバイス類も充実し,以前よりも患者によって快適に,確実に投与が可能となった.さらに手技に関しても正しい理解が広まり,合併症の低減や回避が可能になってきた.しかし,リハビリテーションの世界では,経腸栄養法に対して間違った認識やリハビリテーション施行中には投与をしてはいけないのではないかという誤解が散見される.今回は,リハビリテーションの観点から経腸栄養法の正しい認識と手技を概説する.
著者
木村 慎二
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.908-913, 2016-12-18 (Released:2017-02-14)
参考文献数
33

骨粗鬆症は閉経後の女性に高率に発症し,さらには骨折によるADL障害,寝たきりへと進行する可能性がある.骨粗鬆症に対する運動療法のシステマチックレビューもしくはメタアナリシスで,閉経後女性では骨密度を上昇させることが推奨グレードAで,また,骨折を抑制することは推奨グレードBであると骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版で述べられている.運動の種類としては,レジスタント(筋力増強を含む)運動,有酸素運動,歩行や太極拳などの軽い動的荷重運動や,ジョギング,ダンス,ジャンプなどの強い動的,および衝撃荷重運動単独,もしくは組み合わせが骨密度の上昇をもたらし,さらに水中訓練,およびダイナミックフラミンゴ療法などのバランス訓練はバランス機能の改善と転倒回数の減少が期待できる.
著者
小林 龍生
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.404-408, 2020-05-18 (Released:2020-06-13)
参考文献数
5

運動器疾患の診療にもロボットが導入されつつある.人工関節手術ロボットは術者の技量によらず術前計画通りの手術を可能にする.リハビリテーションにおいても療法士の技量にかかわらずよいリハビリテーションを可能にするロボットが期待される.Honda歩行アシストは歩行練習に際し,療法士の技量にかかわらず,微妙な股関節の可動域の変化を数値として表示し,微妙なアシストを加え,動きの悪い患側の股関節の動きを健側とほぼ同じ動きに誘導する歩行練習が可能で有用性が期待できる.また,慢性期歩行障害患者の歩行速度,歩幅の改善にも有効であり,ロコモティブシンドロームやサルコペニアのリハビリテーションへの応用も期待される.
著者
大高 洋平
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.910-914, 2018

<p>高齢者の転倒予防について,系統的レビューでは,運動や転倒リスクの評価と修正などの介入に転倒減少効果があるとされる.しかし,これらは厳しく統制された条件や対象者の選択過程を経て得られた知見であり,実際に地域社会の中で転倒予防プログラムを実施するにあたっては,実現可能性と受け入れ状況が長期間にわたり確認される必要がある.群馬県館林市の高齢者サロンにおいて実施した転倒予防の活動の検証により,転倒リスク評価と個別のフィードバック,転倒予防講義を含むプログラムは,地域社会構造の中で実施することで転倒を減少させ,長期的な地域の受け入れがよく,適切なプログラムであることが示唆された.</p>
著者
松元 秀次 小林 美香
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.751-756, 2018-09-18 (Released:2018-10-29)
参考文献数
16
被引用文献数
4

電気刺激は,治療的電気刺激(TES)と機能的電気刺激(FES)に大きく分類される.神経筋電気刺激(NMES)はTESに含まれ,運動機能障害に対して神経支配筋の筋収縮を目的とした電気刺激を指す.電気刺激装置には,TES・FESの両方のモード設定ができるものがあるため,医療承認機器の名称も含めて十分理解しておく必要がある.中枢神経障害による麻痺や痙縮の改善,末梢神経損傷による神経原性筋萎縮などがNMESの適応であり,いずれにしても運動療法を併用することで治療効果を促進することができる.機器の特徴を知っていれば,下肢機能回復を図る電気刺激療法として,また歩行障害に対する電気刺激療法として装具の代行効果だけでなく,運動機能改善効果が期待できる.
著者
小木津 武樹
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.149-153, 2020-02-18 (Released:2020-03-25)

本稿は,近年の自動車分野の中でも特に注目されている4つの分野CASE(Connected,Automation,Shared & Services,Electric)のうち,Automationに属する自動運転技術の動向について論じる.現在自動車分野を取り巻く社会的背景を説明し自動運転研究に対する潜在的なニーズを論じたうえで,現在の研究開発のアプローチが大きく3つに分類できることを説明する.そして,3つの分類の特徴をそれぞれ示したうえで,現在特に国内で活発に取り組まれている限定地域での無人移動サービスの実現に向けた活動について,群馬大学の取り組みとその特徴を交えながら説明する.