著者
嘉村 哲郎
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.91-94, 2021-04-01 (Released:2021-06-01)
参考文献数
5

近年、文書類をはじめとした紙資料をデジタル化して、コンピュータ上で扱うことが増えてきた。本稿は、小規模組織や少人数プロジェクト等が保有する文書資料を、なるべく平易な方法でデジタル化してWeb公開するデジタルアーカイブの一例を紹介する。
著者
金城 弥生
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.86-90, 2021-04-01 (Released:2021-06-01)
参考文献数
4

2001年より20年近く、機道具や機織りに関する調査と復元製作、特に竹筬の製作と、苧麻や大麻などの繊維を糸にし、機で織る活動を続けている。その中で、文献調査、実測調査、そして様々な職人や技術者から聞き取りを実施し、そのデータや映像をアーカイブとして保存し、伝承する活動を行ってきた。2020年にはCOVID19の影響のため、従来の伝達方法以外の仕方を考える必要もでてきた。ここでは、今までに行ってきたデータ収集とアーカイブ製作、さらに蓄積してきたデータの管理および活用方法とオンラインを利用した技術伝承について、「伝統技術に携わる当事者」の視点より具体的な例をあげ、述べている。
著者
井上 透
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.83-85, 2021-04-01 (Released:2021-06-01)
参考文献数
5

デジタルアーカイブの対象は当初の博物館、図書館、文書館の文化遺産を中心とした資料から、大学、国・自治体の行政資料、企業の産業資源へと広がった。デジタルアーカイブが扱うメディアも、静止画、動画、音声、テキストから、数値、3D計測データなどAIやデータサイエンスに活用できるものに広がっている。一方、誰がデータを提供し、誰がデジタル化を行うか、デジタル化機器・技術の向上への対応など対象への多様なアプローチによるデジタル化が、データの質と利用価値の向上させる可能性がある。そのため、多様な分野からデジタル化を学ぶことは、デジタルアーカイブ開発と発展にとって極めて重要な要素になるではなかろうか。
著者
岑 天霞 渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.227-230, 2019

<p>本研究の目的は,日中両国の戦争に関する歴史認識を明らかにすることである.このために,すでにネットでアーカイブされている映画情報とコメント情報を分析し,日本と中国の戦争映画の「送り手」と「受け手」の現状を読み取った.まず日中両国の歴史・戦争を題材とした映画の内容と舞台を解読・比較し,日中両国の映画製作側の意図と表現手法の変遷を明らかにする.その上で,映画情報サイトから映画のレビュー情報や,「ニコニコ動画」などの弾幕動画サイトのコメント情報を収集・分析し,若者の映画鑑賞者(これらのサイトの主なユーザは10代後半から30代の若者)の戦争・歴史認識を明らかにする.本研究の成果によって,日中両国の若者における歴史認識の違いを明らかにし,新しい時代における日中歴史和解実現に示唆するものを得ることができると考えられる.</p>
著者
坂部 裕美子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.199-202, 2020

<p>宝塚歌劇団から、「虹の橋 渡りつづけて」という過去の在団者および主催公演のデータを完全網羅したアーカイブ本が発行されている。これの「人物編」掲載データのうち、1961年以降の入団者について、デジタルデータ化を行った上で、在団期間や各年次の退団者数の推移を集計した。2014年時点の既退団者の平均在団期間は7.92年だが、在団年数のヒストグラムを描くと最頻値は5である。歌劇団には入団後5~7年頃に退団を考えさせるような各種施策があり、実際にこの時期までに退団する者が多い。また、退団は自己判断で決められるため、各年次別の退団者総数にも多寡がある。この年次推移を見ると、ブームの到来や記念行事の開催といった歌劇団全体の動向が、各々の退団の判断に影響を及ぼしている、と考えられるような数値変動もある。このような、宝塚歌劇団の公演データ分析の、今後のさらなる進展を希望している。</p>

2 0 0 0 OA 活動報告

出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.70-71, 2021-01-12 (Released:2021-02-24)
著者
時実 象一
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.38-41, 2021-01-12 (Released:2021-02-24)
参考文献数
19

世界および日本のCOVID-19 (新型コロナウィルス感染症)による外出禁止や学校閉鎖の中での生活を収集するデジタルアーカイブについて、収集対象ごとに事例を紹介する。
著者
松岡 資明
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.20-24, 2021-01-12 (Released:2021-02-24)
参考文献数
9

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止に関する国の対応が、公文書管理法に基づき初の「歴史的緊急事態」に指定された(2020年3月10日)。記録の作成・保存が義務づけられたが、医学的見地から政府に助言などを行う感染症対策専門家会議の議事録は作られていなかった。東日本大震災に関連して政府が主催した主要な会議で議事録が作られなかった事態の改善策として2012年6月、公文書管理ガイドラインを改正したことがそもそもの始まりだ。だが、その後に起きた政権交代、第二次安倍政権による特定秘密保護法制定など様々な政治的要因が作用した結果、発言者や発言内容を具体的に記した議事録ではなく議事概要にとどめる運用が横行することになった。
著者
渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.16-19, 2021-01-12 (Released:2021-02-24)
参考文献数
6

今回のCOVID-19感染症を巡る社会の動きに、過去の疫病の教訓が十分に生かされているとは、必ずしも言えない。厳重に管理され、社会に“ストック”されるはずの新型コロナウイルス対策専門家会議の議事録が残されず、公文書の存在意義が揺らぐような状況も生まれている。筆者は、こうした状況を踏まえ、歴史に残るであろう現在の社会のありよう=“フロー”を、仔細に記録=“ストック”していくことの重要さを改めて主張したい。本特集では、筆者が主査を務める「SIG COVID-19」のメンバーをはじめとして、各地でアーカイブの実践に取り組んでいる方々の、リアルタイムなアーカイブ活動を網羅することを企図した。これらの取り組みの成果が、現在進行系の、そして近未来・遠未来に確実に起きるであろう、あらたなパンデミックに活かされることを願っている。