著者
宮本 聖二
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.9-14, 2019

<p>米軍が撮影した沖縄戦、米政府の沖縄の出先機関「米国民政府」が記録した占領期の沖縄の姿、これらの映像や写真が沖縄県内の公文書館やメディアに大量にアーカイブされている。その映像資料から私たちは沖縄の歩んできた現代史を辿った上で、今の沖縄について深く知ることができる。さらに、どういう未来を構築すべきなのかを考える基盤にもなるだろう。筆者は、沖縄県公文書館の映像収集と公開の取り組み、沖縄のテレビ局が60年に渡ってアーカイブしてきた映像や番組を地域貢献や新たなコンテンツ制作のためにどう公開・活用しているのかを調査した。その結果、アーカイブの持つ、新たな知を生み出し人々と地域を結びつける力をあらためて確認できた。</p>
著者
西山 絵里子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.15-25, 2019

<p>本稿は、沖縄戦以降の米国統治下において、沖縄に存在した統治機構である、琉球政府及びその前身組織により作成・取得された資料群(琉球政府文書)が、施政権返還、保存環境、保存場所等の課題を乗り越え、沖縄県公文書館で永久保存に至った経緯と、その後の資料を巡る動向について概観を試みるものである。当時の実務担当者の論考や記録等を中心に、①復帰前、②復帰後~沖縄県公文書館設置前、③沖縄県公文書館設置後の3つの時期における、琉球政府文書の保存・利用に係る経緯及び動向を整理した。これらの結果から、今後の可能性として、デジタルアーカイブ構築後の継続的な運用及び利活用推進に向けた取り組みの重要性や、次世代へのアプローチの視点を示唆した。</p>
著者
大橋 正司 平川 裕蔵
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.167-170, 2019-03-15 (Released:2019-06-01)
参考文献数
1

毎日新聞社とフューチャー社グループのフューチャーアーキテクト社は、2018年11月、新聞制作のコンテンツ管理システムを共同で開発し全面的に刷新した。この刷新と同時に、それまで紙面を降版したあとにインターネットなどに配信する「紙面中心・ベルトコンベア型」だった業務フローは、紙面と各媒体向けの記事制作・リアルタイム配信を同時に行っていく「紙とデジタルの同時並行展開・分散型」業務フローへと大きく舵を切った。本発表では新聞社がどのように膨大なコンテンツの制作とデータ管理に取り組んでいるのか、コンテンツ管理システム刷新の過程で検討されたコンテンツ制作、アーカイブ収録管理、利活用における課題と工夫、新しい業務フローと考え方がもたらす変化について、全国紙の大規模なコンテンツ管理・アーカイブシステムの全容をお見せしながら紹介する。
著者
塩 雅之 町 英朋 坂井 知志
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.79-82, 2018

<p>平成29年度子どもゆめ基金の助成を受け、日本デジタルアーキビスト資格認定機構東日本支部が中心となり茨城県水戸市、茨城県高萩市、島根県大田市の3か所で「子どもデジタルアーキビスト養成講座」を実施する。会場ごとに異なる内容・時間でのカリキュラム開発を行って実施し比較することにより、子どもデジタルアーキビストの養成カリキュラムとしてより適切なものを目指した。この取り組みについてまとめ、今後の展望を合わせて報告する。</p>
著者
金井 光代 中村 弥生 田中 直人 近藤 尚子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.56-59, 2018-03-09 (Released:2018-05-18)
参考文献数
2

本事業では、服飾分野における機関横断型デジタルアーカイブの構築に向けて、服飾資料収蔵機関への訪問調査を行うとともに、服飾資料収蔵機関・有識者・先進的取り組みを行っている機関との連携構築に向けてのネットワークづくり、情報収集に努めてきた。その結果、データベースを一般公開している機関は約半数にとどまることが明らかになった。各機関とも、公開に意欲はあるものの、構築・継続的公開のための人員、予算、ノウハウがなく、実際に公開するには至っていない。また、公開の目的、想定利用者が各館で異なることが分かった。横断検索システム構築には、共通の目的、利用者を設定することが重要であるため、その先導役、取りまとめ役を担う拠点の存在が必要不可欠であることも明らかになった。本報告では、機関横断型デジタルアーカイブ実現に向けて取り組んできたこれまでの活動を報告すると共に、今後の展望についても言及する。

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出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.65-66, 2019-01-07 (Released:2019-02-18)
著者
山口 学
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.99-102, 2018-03-09 (Released:2018-05-18)
参考文献数
4

市町村立図書館では所蔵資料をデジタルアーカイブ化したいという希望が多いが、財政難のため実現できない図書館が多いので、低コストでデジタルアーカイブを構築できるようにするため、ユネスコが発展途上国の図書館向けに無償で提供しているオープンソースソフトウエアGreenstoneの日本語版の開発に着手したが、組み込まれているインデクサーが日本語の形態素分析ができないためメタデータの検索ができないという問題に直面したのでクラウドシステムのオープンソースのソフトウエアであるFess serverをGreenstoneと組み合わせGreenstoneのメタデータをクローリングさせてメタデータを検索可能にした。今後検索したメタデータにもとづいてGreenstoneのデータをユーザーがウエブ上で直接利用できるよう計画中である。図書館員が主体的に低コストで構築できるオープンソースのデジタルアーカイブをめざす。
著者
細矢 剛 神保 宇嗣 中江 雅典 海老原 淳 水沼 登志恵
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.60-63, 2018 (Released:2018-05-18)
参考文献数
5
被引用文献数
1

気候変動解析や保全政策などのためには、どこにどのような生物がいたかというオカレンスデータ(在データ)は重要であり、多数のデータを集積して利用するという活動が必要となる。GBIF(地球規模生物多様性情報機構)はこの目的で2001年に設立された。この活動のため、日本の機関から生物系の自然史データを収集し、国内利用のためにデータを公開しているのがサイエンス・ミュージアムネットである。S-Netは、国立科学博物館が運営する標本情報の公開サイトであり、現在80を超える日本全国の協力機関から収集された450万件の自然史標本データが公開されており、検索・ダウンロードの他、検索結果を地図に表示することができる。これらのデータは、チェックリストの作成や、分布域の予想などに利用されている。S-Netから公開されているデータの大部分は動物および植物であり、菌類のデータ数は限られている。また、データは日本全域をカバーしてはいるが、数は全国で一定ではない、などの課題も多い。
著者
住本 研一 余頃 祐介
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.152-153, 2018-09-03 (Released:2018-05-18)
参考文献数
5

科学技術基本計画[1]にもオープンサイエンスの重要性が明記され、論文のオープンアクセス化、研究データのオープン化への動きが活発になっている。また、オープンサイエンスの基盤としてのデジタルアーカイブの重要性も増している。このように多くの情報が行き交うようになると、コンテンツの特定や識別が重要になる。今回ジャーナル論文では一般的になった国際的永続識別子DOIを紹介する。DOIは、論文だけで無く登録対象コンテンツを最近増やしており、今回国内での古典籍への適用事例や海外でのデジタルコンテンツへの適用事例等を紹介したい。当日はそれらの事例を踏まえて、デジタルアーカイブに搭載されたコンテンツへのDOI適用の可能性を議論させて頂きたいと考えている。
著者
大西 亘
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.71-74, 2018-03-09 (Released:2018-05-18)
参考文献数
9

自然史博物館に収蔵される自然史標本は、研究成果の証拠標本として引用明示されることで、自然科学研究の再検証可能性を担保する。近年、自然科学研究の文献情報は、その引用・被引用関係も含め、インターネットを通じて広く閲覧・参照可能となっている。また、自然史博物館の収蔵標本についても、目録や標本画像のインターネット公開が進み、参照・引用への障壁が取り除かれつつある。こうした状況下において、「博物館資料」×「引用先文献情報」間のクロスリファレンスシステムは、博物館における学術情報の流通と博物館資料の利活用を推進する仕組みとして期待される。この仕組みの現状と課題について、自然史標本のうち、生物のタイプ(基準標本)の事例に着目すると、国際的な情報基盤が整いつつある一方で、国内の博物館における、進行途上のデジタル・アーカイブについての課題と、従来からある資料管理上の課題が浮かび上がる。