著者
茂原 敦之 水口 充
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.55-64, 2020-08-22

偶然の遊びにおいて,制御幻想として知られる,関与することで確率をある程度制御できると思い込む認知錯覚がある.最近の研究では,遊技者は確率は変わらないことを知りつつも制御幻想を引き起こす要因によって熱中度が向上することが示唆されている.しかし既存の研究は統制された実験であり,実際的な自由に遊べる環境で遊技者はどのように制御幻想の要因を楽しんでいるかは調べられていない.そこで本研究では抽選(ガチャ)を題材としたカードゲームと抽選アプリを用いて,制御幻想に関連する行為を遊技者がどのように行ったかを調査した.その結果,抽選間への期待感が高まる状況ほど操作量が増え,特殊な操作を行う傾向が確認できた.また,特殊な操作を他のプレイヤに見せたり模倣するといったコミュニケーションの存在が観察された.
著者
川崎 仁史 脇坂 崇平 笠原 俊一 齊藤 寛人 原口 純也 登嶋 健太 稲見 昌彦
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.26-32, 2020-08-22

我々は5分間程度のVRトレーニングによって,今まで成功したことが無い技の習得を支援するけん玉トレーニングシステムである「けん玉できた!VR」を開発した.VR空間で玉の速度を遅くしてから徐々に速くしていくことにより難易度を調整した.また,玉の速度を遅くしたVR空間で,実際に熟練者がプレイした身体動作をキャプチャし,それをバーチャルなお手本として提示した.本システムの体験者1128人のうち,1087人(96.4%)がけん玉の技を習得した.
著者
嶋田 有里 羽田 久一
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.162-165, 2020-08-22

生物は無意識のうちに様々な情報を出している.その情報である匂いや音等が集まったものが気配である.本研究はそれらの要素を抽出することで,動物がいない空間でも,動物の気配を生み出すことを目標にしている.今回は多くの人が触れたことのある犬に着目した.中の見えない箱の中で犬の鼻先にある湿気や温度を再現することで,視覚や聴覚情報ではなく手のみで犬の気配を感じられるようにした.
著者
星野 瑠海 橋田 朋子
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.40-45, 2020-08-22

犬はしばしば飼い主の食事を食べたそうな様子を見せ, 人も愛犬と食事を共にしたいと考える. しかし, 人の食事は犬に有害なものもあり, そのまま与えることは難しい. 本研究は犬の嗅覚の鋭さに着目し, 食事のうちの「匂い」をファンとチューブからなる匂い伝送システムを用いて犬の食事(ドッグフード)に伝えて付けることで, 人と犬とが部分的に食体験を共有できるようにするものである. 提案手法により, 犬が人の食事の匂いが付いたドッグフードをよく食べること, その際に犬の飼い主計50人へのアンケートで得られた嬉しそうな仕草をすることを確認した.
著者
山田 大誠 高 有為 宮田 一乘
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.1-7, 2020-08-22

モバイル音楽プレーヤーやスマートフォンの普及によって,歩きながら音楽を聴くという鑑賞スタイルは当たり前のものとなっているが,歩いて音楽を聴くのと同時に歌詞を楽しむための方法はこれまで提案されてこなかった.本研究ではそのための方法として,Microsoft HoloLensの空間認識技術を用いて文字を壁や床など周囲の環境に張り付けることにより,歌詞を音楽鑑賞者の見ている景色に融け込ませる複合現実システム,”Words Street”を提案する.
著者
中原 ひかり 松永 康佑
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.204-205, 2020-08-22

二次元で描かれたイラストを立体的に動かす技術が発展しており、近年多くのコンテンツで利用されている。本研究では、Live2Dを用いたキャラクターの疑似的な立体表現と、従来の3DCGによる立体表現を重ね、それぞれ異なるカメラワークと立体表現の組み合わせによる映像を制作する。異なる立体表現を同時に提示することで得られる空間認識刺激を利用した映像表現手法について報告を行う
著者
髙原 慧一 脇坂 崇平 荒川 陸 檜山 敦 稲見 昌彦
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.199-203, 2020-08-22

身体スキル学習において,教示者が学習者の習熟状態・適正を見定め,適宜教示を行うことが必要となる状況がしばしば存在する.本発表では,ボールジャグリングを対象として,独習時にも学習者が適切な教示を取得可能な学習支援システムを提案する.本システムは,1. 学習時映像からの姿勢・ボール軌道等の検出,2.検出情報に基づく習熟状態算出,3.習熟状態に対応する教示が記録されたデータベース(経験バンク)の三点により構成される.
著者
小栗 賢章 三武 裕玄 杉森 健 佐藤 裕仁 長谷川 晶一
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.170-173, 2020-08-22

身体的なインタラクションを行う自律キャラクタの行動・動作の開発過程で求める表現に適うようになるまでには,テストプレイを行い,試行錯誤による微調整が必要である.しかし,複数人を相手とするテストプレイでは開発の現地に必要な数のテストプレイヤーを集めることは容易であると限らない.そこで本稿では,遠隔・複数人のテストプレイヤーがVR機器を用いてテスト実行中のキャラクタプログラムに参加し,キャラクタの動作を即時確認・調整することを可能とする共有VRフレームワークを提案・実現した.
著者
森 鈴果 田中 哉汰 橋田 光代 藤井 叙人 片寄 晴弘
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.113-114, 2020-08-22

現在,”うちで踊ろう”が流行するなど未経験者でもダンスに触れる機会が増えている.カラオケの採点機能に相当する定量的な評価がダンスに対しても提供できるようになれば,その楽しみ方をさらに拡張できるだろう.我々は,恋ダンスを対象にダンス動画から取得した時系列ポーズデータとそれに対応するキレ評価結果の組みから深層学習を用いてダンス動作のキレ度を推定するモデルの構築を進めている.本稿では,そのモデルを利用した恋ダンスの採点システムについて紹介する.
著者
フラハティ 陸 橋田 朋子
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.69-74, 2020-08-22

本研究はタンポポの冠毛を帯電させることで,立つ・飛ぶ・横たわるといった重力に抗う振る舞いを可能とし,冠毛が生きているように感じさせる仕組みである.従来の,重力に抗う動きにより生命性感じさせる仕組みの多くは人工的な素材や機構を用い,単体での動作を想定している.提案手法は自然素材である冠毛を用いて重力に抗う動きを実現し,さらに複数の冠毛の振る舞いを制御することで群れのように感じさせる.複数の冠毛を帯電させるための2枚の電極板の間隔を調整することで,自律的な動き(個体性)と同時的な動き(協調性)のバランスが多様な群れの在り方も可能とした.