著者
飯島 健志 馬場 修 河田 哲典 上野 順士 田所 忠弘 前川 昭男
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.497-502, 1989-10-25 (Released:2018-03-16)
被引用文献数
1

DNPH法,DP法及びHPLC法を用いて20種類の食品中の総AsA含量を測定し,測定法による値の相違について検討した.その結果,トマトジュース,ジャガイモ,アルファルファモヤシ,ダイズモヤシ及び調製粉乳では,いずれの測定法によってもほぼ一致した値が得られた.しかしブラックマッペモヤシではHPLC法,紅茶及びシイタケではDP法が,それぞれ他の測定法に比べ高値を示したので,DNPH-HPLC法を用いてさらに検討した.その結果,ブラックマッペモヤシではDP法,DNPH法とほぼ同値となったが,紅茶ではDNPH法よりも低値を示し,シイタケでは検出されなかった.これより紅茶及びシイタケのAsA測定法については,さらに検討の余地があることが判った.
著者
近藤 寛樹
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.12, pp.624-625, 2004-12-25 (Released:2017-10-10)
参考文献数
3

ビオチン合成の最後の段階, デスチオビオチン(DTB)への硫黄の導入, の最大の謎は活性化されていないメチル基とメチレン基にどのような仕組みで硫黄が挿入されるかという点である. この反応がbioオペロン中のbioB遺伝子の産物BioB, つまりビオチン合成酵素(モノマー分子量3.8万の二量体のタンパク質)によって触媒されること, また反応にフラボドキシン, フラボドキシン還元酵素, NADPH, S-アデノシルメチオニン(AdoMet), システイン, ジチオスレイトールが必要とされることなどがわかっていた. ビオチン合成酵素はAdoMetから還元的に生成する5'-デオキシアデノシルラジカルを利用する一群の酵素のスーパーファミリーに属し, これらには保存されたcys-X-X-X-Cys-X-X-Cys(いわゆるシステインボックス, Xは任意のアミノ酸)の配列が存在して鉄硫黄クラスターの結合部位となっている. 最近AdoMetとDTBが結合した形の大腸菌ビオチン合成酵素の立体構造が3.4Aの分解能で解かれた.
著者
太田 好次
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.87, no.9, pp.501-505, 2013-09-25 (Released:2017-08-10)

There are many gene polymorphisms for glutathione S-transferases (GSTs). The relationship between vitamin C (VC) and gene polymorphisms for GSTs was first explored in 2001 in a study of middle-aged men in Slovakia which found that GSTM1-null genotype was related with increasing circulating VC levels. This was also observed in a more recent study in a US cohort, where individuals with the highest serum VC levels were more likely to be GSTM1-null than to have a functional copy of GSTM1. However, this relationship between blood VC levels and the presence of GSTM1 has not been universally observed. Two studies, one in a Chinese cohort and another with nonsmoking adults in Canada, showed no differences in blood VC status associated with GSTM1 genotype. In a study of factory workers in Slovakia, an overall decline in plasma VC levels was found to be associated with GSTM1-null genotype. Thus, it appears that there are interactions between blood VC levels and gene polymorphisms for GSTs, but overall conclusions are difficult to reach. Therefore, further studies are needed to clarify the relationship between blood VC levels and gene polymorphisms for GSTs.
著者
小田 宗宏 桑田 有
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11, pp.565-567, 2004-11-20 (Released:2017-10-10)
参考文献数
14

生活の向上や環境衛生の改善により生活習慣病やアレルギー性疾患が多くなっている. そのため, 日常的に利用できる食品が, 健康維持や疾病予防改善に対して貢献することに大きな期待が寄せられている. 食生活では, 摂取カロリーや栄養バランスなどに配慮することが重要であることは勿論であるが, 食品あるいはその成分で保健効果や安全性が科学的に実証されたものについては, それらを適切に摂取していくことも生活習慣病予防の観点からは重要なことである. 2. 整腸食品の主な有効成分とその機能 我が国では, 1991年に特定保健用食品制度が制定されて以来, 2003年末までに398品目が「特定保健用食品」の表示許可を受けている. これら食品の中で, 保健の用途として整腸作用を訴求する品目数は193品目にのぼり, 特定保健用食品のほぼ半数を占めている. いずれも「お腹の調子を整える」等の旨を表示できる食品として厚生労働省より表示許可を受けていることから, これらを整腸食品ということができる.
著者
辻村 卓 小松原 晴美 荒井 京子 福田 知子
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.67-74, 1997-02-25 (Released:2017-12-26)
参考文献数
16
被引用文献数
6

本実験の結果、ミネラルは各試料について、特徴的な年間の含有量変動をつかむことはできなかった。分析項目中、含有量の変動が比較的大であったカロチンとV.Cについて含有量変化の通年の変動が大きい試料、小さい試料に分けて示す。(1)栄養成分量が季節で変動する試料 カロチンとV.Cの充実期が重なるもの:キャベツは通年が出回り期であるが、12〜4月を両ビタミンの充実期としている。ミネラルは特に傾向を示していない。トマトは夏期にビタミンが充実していた。しかし、四訂食品成分表作成時とは異なる品種が店頭に出回っている。カロチン、V.Cとも成分表値を下回った。ほうれんそうは11〜3月の出回り期がビタミンの充実期であった。ミネラルでは季節による含有量の変化は認められなかった。カロチンとV.Cの充実期が異なるもの:かぼちゃはカロチンの含有量が2〜6月に充実していた。V.Cは3, 6, 12月に40mg以上となったが、7, 8月は低値であった。さやいんげんはV.Cが5, 6月に最高含有量であった。キウイフルーツはV.Cが1〜5月にやや低値であったが、年間を通じて高含有量(最低36mg)を維持した。カロチン含有量は低値であった。カロチンのみ変動:にんじんは通年が出回り期(10月が少し多い)であるが、カロチンは5〜10月に充実していた。ビタミンCのみ変動:ジャガイモはV.Cが5〜9月に充実していた。ミネラルでは季節による含有量の変化が認められなかった。(2)栄養成分量が季節で変動しない試料 セロリーの通年の測定平均値はカロチン77μg, V.C6mg/100gであるが、毎月の測定値もこれらに近いものであった。ピーマンの出回り期は5, 6月であるが、栄養成分、特にV.Cは通年にわたり高含有量(最低70mg)を維持した。