著者
川島 陽子 田中 真一郎 近田 博之 石田 貴志 野中 康弘
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.B_21-B_30, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)
参考文献数
9

高速道路の片側 2 車線区間である中央自動車道(下り線)多治見 IC~小牧東 IC 間の登坂車線設置区間において、我が国で初めて付加追越車線の試行運用を実施した。登坂車線運用時と付加追越車線運用時の交通状況を比較分析した結果、付加追越車線運用によってキープレフトが促進され、特に低速の大型車の最外側車線利用が顕著になった。また、相対的に速度が低い車両がより外側車線を利用するようになり、車線間の速度階層が明確になった。さらに、相対的に速度が高い最内側車線において車群形成が抑制されたことで追越行動の自由度が高まり、同時に危険を誘発する恐れのある左側からの追越行動が減少したことなど、付加追越車線運用が望ましい交通状況の実現に寄与できることを確認した。
著者
宮内 弘太 高田 和幸 篠原 もえ子 藤生 慎
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.A_19-A_28, 2021

<p>近年,高度道路交通システムの発展に伴い,車両の性能向上に関心が高まっている.一方で,我が国では,自動車運転者による故意な危険運転や煽り運転,高齢運転者による事故が深刻な社会問題となっている.これらの問題を解決する方法として,事故の発生に結びつく要因を検知し,車両が適切な対応をする技術が必要である.</p><p>本研究では,事故の発生場所が多いとされている交差点部の走行挙動に着目し,事故の発生に結びつく要因が表れた時に検知する手法の提案を行う.LSTM Auto encoder を用いて普段の運転とは乖離した走行挙動が観測された時に異常運転が発生したと仮定し,手法の有効性を検証した.提案した手法を既往研究と比較したところ,検知精度は最も高く,検知タイミングは比較的早く検知できることが確認された.</p>
著者
根本 美里 谷口 綾子 佐々木 邦明 小菅 英恵
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.1-9, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
19

本研究では、認知機能検査が受検者にもたらす心理的影響の効果・副作用を検証するため、インタビ ュー調査と認知機能検査によるメッセージ効果検証実験を実施した。インタビュー調査の結果、認知機能検査結果に関わらず多くの対象者が、検査を難しいと感じていることや過去の検査結果と比較して結果を解釈していることが明らかになった。認知機能検査によるメッセージ効果検証実験の結果、認知機能の低下のおそれがない第3分類の人は、クルマ利用抑制意図・運転免許返納行動意図など4項目の値が、検査実施後に有意に低くなり、検査による副作用の存在が示唆された。認知機能の低下のおそれがある第2分類の人は、運転免許返納行動意図が事後に有意に高くなった。以上より認知機能検査による心理的効果・副作用の両面が存在する可能性が明らかになった。
著者
松村 翼 鳩山 紀一郎 木村 大地 佐野 可寸志 Faniya SULTANOVA Valentina BARABANSHCHIKOVA
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.A_1-A_7, 2021-04-01 (Released:2021-04-01)
参考文献数
13

本研究は、渋滞下のドライバーに対して適当な副次課題を与えることにより、ドライバーの精神疲労や知覚時間が軽減されるだけでなく、運転のパフォーマンスが向上する可能性にも着目し、ドライバーが運転操作以外の副次課題を行うことの影響を明らかにすることを目的とする。具体的には、渋滞下での運転操作を模した室内実験環境において 15 分間にわたり 4 種類の副次課題を課す実験を行い、その影響を反応遅れ時間や多角的な心理指標によって計測を試みた。結果として、副次課題によって注意レベルに明確な差異は生じない一方、受動的な副次課題は知覚時間を増大させ、能動的な副次課題は短縮させる効果がみられた。また、「会話をする」という能動的な副次課題は、男性のストレス及び疲労は軽減させるが、女性の場合は増大させる可能性が明らかとなった。
著者
松村 翼 鳩山 紀一郎 木村 大地 佐野 可寸志 Faniya SULTANOVA Valentina BARABANSHCHIKOVA
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.A_1-A_7, 2021

<p>本研究は、渋滞下のドライバーに対して適当な副次課題を与えることにより、ドライバーの精神疲労や知覚時間が軽減されるだけでなく、運転のパフォーマンスが向上する可能性にも着目し、ドライバーが運転操作以外の副次課題を行うことの影響を明らかにすることを目的とする。具体的には、渋滞下での運転操作を模した室内実験環境において 15 分間にわたり 4 種類の副次課題を課す実験を行い、その影響を反応遅れ時間や多角的な心理指標によって計測を試みた。結果として、副次課題によって注意レベルに明確な差異は生じない一方、受動的な副次課題は知覚時間を増大させ、能動的な副次課題は短縮させる効果がみられた。また、「会話をする」という能動的な副次課題は、男性のストレス及び疲労は軽減させるが、女性の場合は増大させる可能性が明らかとなった。</p>
著者
稲垣 具志 藤澤 正一郎 高橋 和哉 池田 典弘 竹内 聖人 荻野 弘
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.A_166-A_173, 2016

市街地での移動制約が著しく高い視覚障害者の交差点横断を支援するために,視覚障害者誘導用ブロック,音響式信号機,エスコートゾーン等の施設の普及が全国各地で進んでいる.一方,横断時の方向定位の手がかりとなるこれらの支援施設や歩車道境界部の縁石等の信頼度が横断場面によって異なる状況は,当事者にとってむしろストレスを助長する要因にほかならず改善が急務の課題である. 本稿では,視覚障害者の道路横断時のより正確な方向定位を促す手法の構築を目指し,横断歩道口の視覚障害者誘導用ブロック付近へ敷設する方向定位ブロックの提案を目的として,全盲者を対象とした歩行実験を実施した.実験参加者の主観評価のヒアリングならびに歩行・方向定位状況の観察に基づき,支援性を最大限に高めるための仕様要件と敷設方法を抽出するに至った.
著者
早内 玄 中村 文彦 田中 伸治 有吉 亮 三浦 詩乃
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.A_223-A_228, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)
参考文献数
13

近年、都市内交通としての索道整備が複数報告され、新たな交通手段としての役割が期待されている。 そこで本研究ではトランスポーテーションギャップの考え方に基づき、所要時間の観点から索道の役割を定量的に明らかにすることを目的とする。はじめに、東京都市圏パーソントリップ調査から得られる手段別所要時間分布と人々が受容する所要時間との比較により、都市内交通において現在、既存交通手段では所要時間が受容されない、またはされにくいトリップ距離が複数存在することが明らかとなった。 次に、世界各都市の索道について、同様の比較によりその受容可能範囲が 0.3km~4.2km であることが明らかとなった。最後に両者を重ね合わせた結果、課題の残るトリップ距離のうちおよそ 2~4km の領域における課題を索道が改善しうることが明らかとなった。
著者
櫻井 和輝 小早川 悟 菊池 浩紀 田部井 優也
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.A_151-A_159, 2021-02-01 (Released:2021-02-20)
参考文献数
15

わが国では、高度経済成長を機にバブル経済期に至るまで駐車場不足が顕在化し、路上における違法駐車問題が発生した。この問題を解決するため、路外の駐車場整備のための制度が整えられ、次第に都市における普通乗用車のための駐車スペースは整備が進み、都心部では路外駐車施設の利用率が低下するようになった。そのため、駐車場の配置適正化や集約化の議論がされ始めたが、駐車場の集約化が駐車場利用者に与える影響については解明されていない。そこで本研究では、駐車場の利用者の駐車場選択行動を明らかにすることで、駐車場集約後の駐車場利用者の歩行距離に与える影響について分析を行った。その結果、各駐車場の利用者の利用実態を考慮して駐車場を組み合わせて集約することで利用者の徒歩距離に与える影響を小さくできることが明らかになった。
著者
石田 翔平 小早川 悟 菊池 浩紀 田部井 優也
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.A_78-A_85, 2021-02-01 (Released:2021-02-20)
参考文献数
13

交通事故が多発する交差点では、事故データ等の分析に基づいて様々な交通事故対策が実施されている。しかし、対策の検討に用いられる交通事故データやヒヤリハットデータでは危険事象発生時の全ての状況を把握できるわけではない。例えば、交通事故やヒヤリ事象の発生時における信号現示の状況等は主観的なデータしか記録されない。また、交通事故は偶発的事象であるため、特定の交差点部の事故件数だけで定量的な分析を行うことは困難である。そこで本研究では、右折自動車と横断者の交通事故が多発する交差点を対象に、危険事象を定量的に抽出する交通コンフリクト指標の PET を用いて危険事象の発生状況を分析した。その結果、車群の中の右折車や単独横断の歩行者・自転車は危険性が高く、青開始から時間が経過するほど危険であることがわかった。
著者
佐藤 拓郎 小早川 悟 小柳 純也 菊池 浩紀 田部井 優也
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.A_142-A_150, 2021-02-01 (Released:2021-02-20)
参考文献数
15

自転車の車道通行促進のため車道上に自転車通行空間整備が進められている。しかし、自転車専用の空間は幅員が確保できない等の理由でネットワーク化が進んでいない。その中で、ニュータウンは計画的に道路が整備されたため、自転車専用空間のネットワーク化を図るための幅員確保が可能と考える。本研究は千葉ニュータウンを対象に道路幅員構成の調査を行った結果、現状において車道上の自転車専用通行帯として必要な幅員である1.5m以上の確保が可能な道路延長は3割程度であることを確認した。また、通行実態として、自転車利用者の多くが歩道通行し、属性によらず歩道を徐行しない傾向があることがわかった。さらに、構造改変を伴わず車線や側帯の修正のみの道路再配分を提案し、その結果7割の道路において自転車専用通行帯が確保できることを示した。
著者
両角 岳彦 割田 博 赤羽 弘和 稲吉 龍一 加藤 周平
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.B_13-B_21, 2017

<p>都市高速道路の側壁には、自動車による擦過痕が相当数存在する。これらは、接触した部位や角度、車両速度によって、様々な色彩や形状を示す。特に、大型貨物車は施設接触後も自走可能な場合が、より小型な車両と比較して多く、物損事故としても記録が残りにくい。本研究では、高速道路側壁をビデオ撮影し、擦過痕画像を取得した。また、擦過痕画像は正対化により詳細な特徴を抽出し、位置情報と共にデータベース化した。擦過痕の分布状況と事故データを比較し、危険区間を抽出した。これらと道路幾何構造を統合分析し、擦過痕が形成された車両挙動の仮説を構築した。また、大型貨物車の実測検証を行い、速度変化の実態と、線形により加速が始まる箇所を確認した。</p>
著者
横関 俊也 森 健二 矢野 伸裕
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.B_6-B_11, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)
参考文献数
7

本研究では、歩行者用交通信号の赤表示での残留歩行者の発生を抑制することを目的に、歩行者用交通信号の青表示の残り時間秒数を 1 秒毎にカウントダウン方式で表示する装置を開発して交差点に試験設置し、その効果を計測した。その結果、装置の導入により、全歩行者に占める歩行者用交通信号の赤表示での残留歩行者の割合が 6.1%から 3.4%に改善した。また、歩行者用交通信号の青点滅表示時に横断歩道に到着した歩行者の信号遵守率は 40.9%から 64.3%に大幅に改善するといった効果、歩行者用交通信号の青表示終了前後に横断を開始する歩行者の横断速度の上昇といった影響も観測された。このことから、装置の導入により歩行者の横断の安全が確保できるものと期待される。
著者
松ヶ谷 玲弥 塩見 康博 邢 健 糸島 史浩 甲斐 穂高
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.A_121-A_130, 2020

<p><tt>近年,高速道路の交通容量が経年的に減少傾向にあることが報告されており,その原因究明と対策の検討が急務的課題となっている.本研究では,交通容量の変化要因を考察するため,過去と現在のミクロレベルでの交通流特性の差異を検証することを目的とした.具体的には,都市間高速道路(関越道,中国道,名神)の単路部ボトルネックを対象に,過去・現在の </tt>2 <tt>時点で収集された車両感知器パルスデータを用い,車線利用率や追従車頭時間分布,</tt>TTC (Time to collision)<tt>,希望走行速度分布,車群台数分布の変化を分析した.その結果,全体的な傾向として,追越車線利用率,追従車頭時間,</tt>TTC <tt>は全体的に増加傾向にある一方,希望走行速度,車群構成台数は減少傾向にあることが,交通容量減少の要因となっている可能性を明らかとした.</tt></p>
著者
辰巳 浩 堤 香代子 吉城 秀治
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.B_24-B_33, 2019-02-01 (Released:2019-02-06)
参考文献数
3

本研究は、地方自治体によるコミュニティバスおよびデマンド交通の運営状況を明らかにすることで、地域公共交通を担当する自治体職員への情報提供を図ることを目的とする。そこで、全国の市町村に対するアンケート調査を実施し、全国の約半数の市町村から回答を得た。得られたアンケート調査データをもとに、まずコミュニティバスおよびデマンド交通の導入状況と適用法令(道路運送法)について整理した。次に運行状況として、運行日、運行便数、コース長、所要時間、運賃、デマンド交通の予約システムの導入状況について集計した。さらに、2015 年度における地域公共交通の利用実績(1 便当たりの平均乗車人数、住民1 人当たりの年間平均利用回数)や収支(運賃収入額、補助金受入額、総収入額、総支出額、赤字額)の状況について集計した。
著者
金子 雄一郎 田中 瑛
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.A_47-A_53, 2015

<tt>本研究は東京圏の高齢者を対象にアンケート調査を実施し、外出状況や公共交通の利用実態などを把握したものである。主な結果として、外出頻度が高い移動目的は買い物と仕事であり、通院は加齢とともに高くなること、外出先は居住地域内が大半で、交通手段は徒歩と自動車が目的に関わらず広く利用されていることが分かった。また、公共交通の利用頻度は鉄道の方がバスより高いこと、頻度自体には、居住地域や就業状況、自動車保有の有無、健康状態、シルバーパスの保有状況等の個人属性が影響を与えていることが分かった。さらに、対象地域では、将来的にも自動車の運転を継続する意思を持つ人の割合が高いことが明らかになった。最後にこれらを踏まえた交通施策の必要性について述べた。</tt>
著者
永見 豊 鈴木 晴子 滝沢 正仁 木嶋 彰
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.A_230-A_237, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
参考文献数
6

道路に標示される区画線や規制標示の補助的役割をもつ路面標示「止まれ」を対象に、その文字を運転者に立体的に見えるようデザインすることで交通安全に寄与することを目的として研究を行った。遠近法によって三次元立体を平面上に再現する手法をアナモルフォーシスと呼ぶ。この手法を用いて、「止まれ」の路面標示文字を立体的に見せるデザイン案を作成した。ドライブシミュレータを用いたCG走行実験に加え、実物大シートを設置した道路での実走実験によりその効果を検証した。その結果、「止まれ」文字の横表示ブロック案と「止まれ」の道路標識を表示した案は、運転の障害になることなく、止まろうとする意識を高められることが確認できた。
著者
大橋 幸子 川瀬 晴香 関 皓介 瀬戸下 伸介
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.A_263-A_270, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
参考文献数
6

生活道路の交通安全確保のためには、走行車両の速度抑制対策が重要な事項となる。本研究は、生活道路における安全性確保のための屈曲部に着目し、大型車が走行可能で、普通車の速度を抑制できる屈曲部の形状を明らかにすることを目的とする。研究では、大型車の車両軌跡を確認した上で見通し幅の異なる屈曲部を 3 パターン設定し、これらの形状の屈曲部を設置した実験用の走路で、被験者による普通車の走行実験と意識調査を行った。そのうえで、見通し幅と車両速度、ドライバー意識との関係を分析した。その結果、見通し幅 2m 以下で、速度が概ね 30km/h 以下に抑制される傾向があることが分かった。また、見通し幅 3m では、ドライバーが周辺に注意して運転するようになる効果はあるものの、屈曲部での十分な速度抑制がなされないことなどが分かった。
著者
山中 亮 神谷 大介 比嘉 健人 和田 賢哉 具志堅 清一 澤部 純浩
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.A_79-A_84, 2020

<p><tt>近年、訪日外国人の増加とともに、急増する訪日外国人レンタカー利用による事故を防止するため、警察庁、国土交通省、民間事業者などにより、各種取り組みが推進されている。しかしながら、早急な安全対策が必要とされているものの、原因が特定できていないため、具体的な対策に結びついていない。 本研究では、沖縄本島を対象として </tt>ETC2.0 <tt>プローブデータを用いて、居住者、日本人レンタカー利用者及び訪日外国人レンタカー利用者(居住地別:台湾、韓国、香港)の急制動発生箇所比較を行った。</tt> <tt>結果、既存の事故危険箇所の特定方法では、見落とされる可能性が高い訪日外国人ドライバーにとって危険な区間を特定した。この区間の道路交通環境を比較し、訪日外国人ドライバーによる急制動と道路交通環境の関係を明らかにした。</tt></p>
著者
浦田 淳司 羽藤 英二
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.1-10, 2017-04-01 (Released:2017-04-01)
参考文献数
33

東日本大震災における避難時の課題として,多くの避難行動要支援者に被害が生じたこと,同時に支援送迎者側も被災してしまったことがある.避難開始への他者の影響や職住地の分離を考えれば,こうした支援送迎行動の全てを止めることは有効とはいえず,また現実的ではない.そこで,本研究では,送迎避難交通の動的制御モデルとその求解方法を提案する.支援による避難促進の正の影響と渋滞増大による避難遅れの負の影響の双方を評価した上で,被災リスクが最小となる動的制御を検討する.また,最適動的制御導出にかかる計算コストの抑制のため,将来予測を利用しない逐次・演繹的な決定方法を提案する.最後に,数値計算により送迎避難とその制御の導入によるリスク低減の効果を例示する.
著者
萩田 賢司 森 健二 横関 俊也 矢野 伸裕
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.B_22-B_27, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
参考文献数
7

飲酒運転取締りによる飲酒運転事故抑止効果を明らかにするために、GIS による飲酒運転取締り・飲酒運転事故の統合分析ツールを活用した分析を行った。東京都と岡山県のデータを活用して、飲酒運転取締り地点の近接空間の飲酒運転事故件数を、飲酒運転取締り前後で比較したところ、岡山県は事後に飲酒運転事故が大きく減少していたが、東京都はそのような傾向がみられなかった。この原因としては、飲酒運転厳罰化により、東京都では 15 年間で飲酒運転事故が約 95%も減少し、加えて代替交通機関も発達しており、飲酒運転取締りによる飲酒運転抑止効果が表れにくい悪質運転者による飲酒運転が多く残されているためと推察される。岡山県の減少率は約 65%であり、飲酒運転取締りによる飲酒運転事故抑止効果が出現する余地があるのではないかと考えられた。