著者
江村 憲夫
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.AGI-012, pp.02, 2019-08-30 (Released:2021-09-16)

A)人の脳の振舞いを模倣した有機的情報処理を持つ人工頭脳の記憶制御の特徴とB)その適用事例を紹介する。 ①連想/階層記憶を構成(記憶素子のリンク接続) ②記憶素子の活性化伝播 with 活性化ルール、 ③対象の特性・性質情報/上位-下位概念の形成、 ④WR:記憶契機(活性化)で関連情報とセットで連想記憶&顕在意識OFF時、階層記憶&連続シーンを更新、 ⑤RD:外部/内部情報で活性化した記憶素子&実体をアクセス、 ⑥階層的抽象化制御(抽象度制御:上位-下位概念)
著者
坂川 翔祐 森 直樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.FIN-030, pp.58-65, 2023-03-04 (Released:2023-03-04)

近年,深層学習技術が著しい発展を遂げており,金融分野では投資ポートフォリオの最適化や市場動向の分析などへの応用が進んでいる.しかしながら,金融市場は非定常性が高く単一の価格時系列に対する機械学習の適用が比較的困難となっている.そのため,目的に応じて複数系列の相対的な関係を予測することが重要である.この問題を解決するために,複数の金融資産に対する将来リターンのランク学習に着目し,Transformer を導入した資産配分決定モデルに基づく投資戦略を提案してきた.ランク予測性能の評価指標である Normalized Discounted Cumulative Gain (NDCG) と獲得リターンの双方を考慮して設計した損失関数を用いることで,収益性能に重点を置いた学習が期待できる.また,一般に深層学習モデルの構築には豊富なデータ量と適切な正則化が必要であり,観測可能なデータが限られている金融分野では様々な疑似訓練データの生成手法が提案されている.本研究では,Computer Vision 分野で利用されている変換ベースの Data Augmentation に対する自動最適化手法に着想を得て,熱力学的遺伝アルゴリズムに基づく時系列データの拡張方策探索に取り組み,これまでの提案モデルの学習に適用する.実際の市場データを利用した数値実験により,提案する投資戦略の有効性を示す.
著者
上田 翼 和泉 潔 坂地 泰紀
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.FIN-030, pp.40-44, 2023-03-04 (Released:2023-03-04)

COVID-19の流行以降、サプライチェーンの混乱が経済や資産市場に大きな影響を及ぼしている。政策当局や金融市場関係者の間で、供給関連指標に対する関心は高まっているが、データの粒度や迅速性の点で課題が残る。そこで、本研究では、オルタナティブデータと深層学習手法を用いて、自動車サプライチェーンの異常度をリアルタイムで測定する指数の構築を試みた。構築した指数は、ミクロ的な生産障害を把握する上で有用であり、既存の統計指標とも一定の関係性があることを確認した。
著者
呂 良誠 許 俊杰 拜 亦名
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.FIN-029, pp.39-46, 2022-10-08 (Released:2022-10-01)

This paper targets to predict overnight stock movement by taking contextualized news and stock information into account, using the Pre-trained Language Model (PLM) that was recently popular in Natural Language Processing (NLP) field. We proposed a model in which, given a piece of news and a stock code, the model can predict its overnight stock movement by utilizing combined news-stock embedding. Such embedding consists of (1) the contextualized embedding that contains the semantics of such a piece of news produced by a language model trained on a set of news and its paired stock movement. (2) The contextualized embedding is produced by a PLM trained on the information of stocks. Moreover, we introduce news augmentation on multiple pieces of news for the input and study its effect, respectively.
著者
Cong Liu 坂地 泰紀 和泉 潔 早川 正亮 塚本 和哉 加藤 大輔
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.FIN-029, pp.28-31, 2022-10-08 (Released:2022-10-01)

近年、中国経済の躍進に伴い、中国の各国経済に与える影響が高まっている。そのため、米国経済を中心に把握するだけではなく、中国経済の動向を把握することがより重要になっている。しかしながら、中国経済に言及した英語記事は中国語媒体よりも少なく、また、中国語で記載された中国経済に関する膨大な記事から選別してトピックを抽出することは現状難しい。そこで本研究では、中国語記事と英語記事の両方からセンチメントを獲得し、これらを合わせて利用することで、中国市場インデックスを予測する新たなモデルを提案する。
著者
澤村 勇輝 谷津 元樹 森田 武史 江上 周作 鵜飼 孝典 福田 賢一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.SWO-059, pp.02, 2023-03-17 (Released:2023-03-23)

自然言語文中のエンティティ名をWikidataなどの大規模知識グラフのリソースと対応づけるタスクであるエンティティリンキング(EL)は,質問応答などの基盤技術として注目されている.最先端のEL研究は英語を対象としており,日本語を対象としたEL研究は少ない.ELモデル構築には言語モデルや知識グラフ埋め込みを利用しており,日本語ELモデルを構築するには言語モデルや知識グラフ埋め込みの日本語対応が必要となる.本研究では,英語ELモデルを日本語対応するための課題の分析を行う.Wikidataを対象とした英語ELモデルPNEL(Pointer Network based Entity Linker)構築において言語依存の埋め込みを変更することにより,日本語ELモデルを構築した.英語データセットであるwebQSP,SimpleQuestions,LC-QuAD2を翻訳し,日本語と英語ELモデルの比較評価から,モデル構築における課題を埋め込み手法の観点から分析した.
著者
水田 孝信
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.FIN-030, pp.17-23, 2023-03-04 (Released:2023-03-04)

主に商品先物を取引するファンドであるCTA(Commodity Trading Advisor) は,かつては多くのファンドが高いリターンを得ていたが,2010年ごろからリターンを得るのが難しくなっている.その原因はいくつか指摘されているが,CTAを餌食にして利益を得る短期的な逆張り戦略が増えたという指摘がある.しかし,これらの指摘は根拠が薄い.そこで本研究では,CTAと短期逆張りを行う投資家を実装した人工市場モデルを構築し,短期逆張り戦略の出現がCTAのリターン減少につながったのかどうかを分析した.その結果,CTA・短期順張りともに,お互いがいたほうが戦略を実行するチャンスが多くなり利益を獲得していることが分かった.このため,短期的な逆張り戦略がCTAを餌食にして利益を得ているというのは誤りである可能性を指摘できただけでなく,むしろ共存共栄である可能性を示した.
著者
真鍋 友則 黒木 裕鷹 指田 晋吾 中川 慧
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.FIN-029, pp.18-22, 2022-10-08 (Released:2022-10-01)

本稿では, 企業の IR 戦略の一つであるパブリックな情報公開の効果を検証する. 企業のIR 活動は自社への投資呼び込みを目的として行なわれている. 決算報告会は主要な IR 活動の一つだが, 企業間で時期が重複しやすく, 投資家の参加が分散してしまうことで機会損失を生じるという課題がある. この損失を埋める目的で, 一部の企業は決算報告会の内容を書き起こしたテキストをウェブ上のプラットフォームや自社 HP で一般公開し, 情報へのアクセシビリティを高めている. しかし, 実際にこのような情報公開が投資家の関心を惹きつけ, 投資の呼び込みを促す効果があるかについては未だ検証されていない. ここでは, このような企業の情報開示戦略の変化と株式の出来高の変化の関連を重回帰分析によって評価し, その効果検証を試みる.
著者
津本 周作 木村 知広 河村 敏彦 平野 章二
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.AIMED-006, pp.12, 2018-11-21 (Released:2021-08-28)

病院情報システム蓄積された実行オーダー歴に系列マイニング・クラスタリングを適用して,外来診療におけるクリニカルパスを構成する方法の開発と検証について報告する。
著者
橋本 文彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.FIN-001, pp.07, 2008-09-13 (Released:2023-01-06)

The purpose of this study is not predict a future stock price based on the past time series data, but is to clarify that how human predict a future stock price, when they see the past time series da Our experiments use computer program that shows time series data on discrete graph to subjects. It is considered that these time series data ( 1 ? 15 day or 1 ? 30 day ) are the past stock price. Subjects are required to predict future price of this stock at certain future time (31st, 35th , 45th , 55th day). The result of this experiment is that human adopt two ways of prediction. The first way is strong depend on nearest past data, man use this way to predict very near future. The second way is almost linear regression using all given data. However this is not just linear regression, but their prediction is approached to average of the past data.
著者
内山 朋規 高橋 大志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.BI-003, pp.01, 2015-11-13 (Released:2022-02-25)

本研究では,企業の利益還元政策の変更が株価に与える影響を分析し,その情報が持つ意味を探究する.結果として,増配アナウンス後の株価の正の異常リターンはマーケットタイミング仮説に整合的で,自社株買いアナウンス後のそれはシグナリング仮説とフリーキャッシュフロー仮説の双方に整合的なことを得た.さらに,アナウンスを行った企業に関するアナリストの推奨やニュース記事のトーンもまたこれらの仮説に整合的であった.本研究の結果は,経営者と投資家の間の情報の非対称性やエージェンシー問題といった市場摩擦がアナウンス後の異常リターンの要因であることを示している.
著者
古川 慈之
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.KST-22, pp.04, 2014-07-22 (Released:2021-08-28)

知識・技術・技能の伝承支援研究会(SIG-KST)は2007年に設立されて以来,関連する研究講演を100件以上実施してきた.また,2012年からはほぼ毎回討論会を実施し,対象とする分野や技術の体系的な整理を試みている.本発表では,これまでの研究会活動から得られた知見をまとめ,考察を行う.
著者
森 俊人 谷津 元樹 森田 武史 江上 周作 鵜飼 孝典 福田 賢一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.SWO-059, pp.08, 2023-03-17 (Released:2023-03-23)

DBpediaやWikidataなどの大規模知識グラフは集合知により構築されるため,人手で構築するのには限界があり,不完全な知識グラフが構築されることがある.この問題を解決するために,知識グラフ中の欠損したエンティティや関係を補完する知識グラフ補完に関する研究が行われている.最近は,知識グラフの埋め込みに基づく知識グラフ補完の研究が注目されている.知識グラフの埋め込みに基づく手法の多くは,学習時に利用する知識グラフ(既存の知識グラフ)に含まれるエンティティの表現ベクトルを用いて関係予測などを行う.既存の知識グラフに含まれないエンティティ(未知エンティティ)は表現ベクトルを計算することができないため,未知エンティティに関する知識グラフ補完を行うことは困難である.最新の話題に対応した知識グラフに基づく質問応答や対話システムを構築するためには,未知エンティティを対象とした知識グラフの構築や補完が必要だと考えられる.本研究は,Wikipediaの赤リンクをDBpediaにおける未知エンティティとみなし,DBpediaを拡張することを目的とする.赤リンクとはWikipediaにまだ存在しない記事(記事名)への,初期設定では赤色で表示されるリンクであり,DBpedia上には赤リンクに対応するエンティティは基本的には存在しない.赤リンクはその性質上,記事が作られるべきであると判断されて作られているため,今後,赤リンクに対応する記事が作成され,DBpediaにおける新たなエンティティとして追加される可能性が高い.本稿では,Wikipediaの記事から赤リンクを抽出して未知エンティティとみなし,DBpediaにおける既存エンティティとの関係構築を行う方法について検討する.
著者
増田 樹 中川 慧 星野 崇宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.FIN-031, pp.81-88, 2023-10-10 (Released:2023-10-12)

近年、大規模言語モデル(LLM)、特にOpenAIが開発したChatGPTの出現は、多岐にわたる領域での応用が試みられている。なかでも、医師国家試験や、司法試験をはじめとする難関資格試験を解かせる試みが増えてきた。それは公認会計士試験も例外ではなく、特に、米国公認会計士試験についてはすでに合格水準を超える精度が観測されている。一方で、米国公認会計士試験の合格率は50%前後であるものの、日本の公認会計士試験短答式試験の合格率は概ね10%程度で推移しており、より難度が高い可能性がある。本研究の目的は、難解な専門資格試験における言語モデルの応答能力や限界を理解することであり、特に、日本の公認会計士・監査審査会が実施する公認会計士試験(短答式試験)のうち、監査論の問題をChatGPTのAPIを活用し、回答する枠組みの提案を行う。そして、GPT-3.5とGPT-4に回答させることでその精度を比較検証する。結果として、GPT-3.5では、正答率は50%程度(チャンスレート同等)のものの、GPT-4では、60%を超える正答率を確認でき、有意チャンスレートを上回ることが確認できた。今後、このような会計・監査分野に特化したLLMを監査業務へ活用することで、より効率的かつ効果的な監査を行える可能性がある。
著者
田中 博生 野村 忠慶 西山 昇
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.FIN-031, pp.154-155, 2023-10-10 (Released:2023-10-12)

過去のプロジェクトで実施した大型小売店舗の来客数予測の取り組みを紹介する。対象となった店舗は都心へ電車通勤できる郊外に位置する。大型小売店舗にとって毎日の来客数予測は、仕入れ数量に関係することもあり重要である。通常の来客数予測は、店長等の現場責任者がそれまでの経験から2,3日後の来客数を予測している。本プロジェクトでは、各店舗の来客数をモデルにより予測、情報共有する仕組みを検討した。予測するにあたり店舗の過去の来客実績、曜日などの季節性、安売り日等のイベント情報に加え、天候情報を組み合わせる事で予測力が向上するとの仮説のもと検証した。最終的には、過去の実績来客数と予測来客数の差異を「学習期間」のデータによる予測により「予測期間」通期で最小化する結果を得られた。
著者
遠藤 修斗 水田 孝信 八木 勲
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.FIN-031, pp.16-21, 2023-10-10 (Released:2023-10-12)

金融市場の最良気配値付近における注文の偏りはオーダーブックインバランス(OBI)と呼ばれており,この OBI とリターンには正の相関があると考えられている.本研究ではOBIを考慮した執行アルゴリズムをモデル化し,本モデルが市場からどのような影響を受けるのかを人工市場を用いて調査した.
著者
水田 孝信 八木 勲
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.FIN-031, pp.09-15, 2023-10-10 (Released:2023-10-12)

証券取引所は市場価格の急変動をおさえるため,現在の価格から大きく離れた価格の注文を出せないようにする値幅制限や,価格が急変動した際にある一定時間注文を受け付けないサーキットブレイカーを導入する場合がある.一方で,どちらがより価格の急変動をおさえるかは多くの議論がある.そこで本研究では人工市場を用いて値幅制限とサーキットブレイカーの効果の比較を行った.その結果,値幅制限とサーキットブレイカーは制限幅や時間スケールといったパラメータを同じにすれば,同じ程度に急変動をおさえる効果があることが分かった.しかし,投資家が注文をキャンセルする時間スケールより値幅制限が短いパラメータを持つ場合,制限価格に付近に注文がたまってしまい,その注文が急変を緩和する方向への価格変動を妨げてしまい,サーキットブレイカーよりも価格急変動をおさえる効果は劣ってしまうことも分かった.今回の結果だけを見れば,値幅制限よりもサーキットブレイカーの方が優れているように見える.しかし今回の結果は,誤発注による下落であり,かつ,いずれの規制も個別銘柄に導入された場合のみを分析しているなど,非常に限定的な状況下のことしか示していないことに注意が必要である.