著者
米沢 剛至
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.336, 1995-05-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
4
被引用文献数
1
著者
古川 義純
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.238-241, 2012-06-20 (Released:2017-06-30)

国際宇宙ステーション「きぼう」において,氷点下に冷却した水中で氷結晶の成長実験を行った。結晶の成長に伴い発生する潜熱のため,結晶内部や周辺には温度の分布が生じる。水の密度は温度に依存して変わるため,地上の重力下ではこれに起因する対流が発生し,これを避けることはできない。これに対し,宇宙空間では,長時間にわたる極めて良質な無重力環境が実現されるため,対流が完全に抑制され,理想的な環境での結晶成長の観察が可能である。本実験では,宇宙で使う実験装置の開発を行い,宇宙での見事な氷結晶の成長の様子を世界に先駆けて観察し,映像に収めることに成功した。宇宙では,見事な対称性を持つ結晶パターンが観察され,氷結晶の形態不安定化のメカニズムの解明に大きく貢献した。
著者
加納 健司
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.138-141, 2020-03-20 (Released:2021-03-01)
参考文献数
3

高校の教科書には,IUPAC方式ではない物理化学的記述が非常に多い。本稿では,高校で学ぶ化学反応速度式や平衡の考え方の問題点に焦点をあて,物理化学的視点から解説する。この中で,平衡点ができる本質は混合のエントロピーに起因することを指摘するとともに,2成分平衡系での平衡点と標準反応ギブズエネルギーの間に見られるシグモイド特性が,反応系に依存せず一般的なものであることについて述べる。
著者
稲垣 怜史
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.64-67, 2018-02-20 (Released:2019-02-01)
参考文献数
7

石油資源に代わる化学品原料を得るための資源として天然ガス・石炭が注目されている。米国シェール革命による天然ガス化学の復興であり,中国の現代的石炭化学の台頭である。ここではシェール革命と現代的石炭化学に関わる学術研究の位置づけや先端技術について紹介する。
著者
佐藤 和則 井上 正之
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.356-359, 2018-07-20 (Released:2019-07-01)
参考文献数
5

加圧を伴わないサリチル酸の合成(コルベ法)の実験教材化を検討した。ナトリウムメトキシドを塩基としてセライト中でナトリウムフェノキシドを調製することで,中和における水の生成を回避しながら二酸化炭素との反応を円滑に進行させた。またセライト中でサリチル酸を遊離させて昇華することで,サリチル酸と残留フェノールとを分離した。得られたサリチル酸は,塩化鉄(Ⅲ)水溶液および炭酸水素ナトリウム水溶液との反応で検出した。
著者
永原 裕子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.212-215, 2020-05-20 (Released:2021-05-01)
参考文献数
7

宇宙の進化は多くの場合物理学で論じられるが,実は物質や化学が重要な役割を果たしている。元素は恒星で合成され,固体物質を作り,次世代の恒星の誕生にともない惑星を作ることになる。物質の種類やサイズが物理過程を支配し,物理過程が化学反応を引き起こす相互作用こそが宇宙の進化・惑星の多様性の本質である。
著者
野原 稔弘
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.418-421, 2001-07-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
2

今から二千年前, 漢方の原典の一つ「傷寒論」は, 邪の架空物体(抗原)を仮定し, 免疫系を予想し, それに対する薬物を考案していた。現代の医療では, 感染症の初期(太陽病)は, 抗生物質を主とする西洋薬物が第一次選択薬剤であるが, その後半期(少陽病期)の食欲不振, 倦怠感などの自覚症状改善薬としては, 「小柴胡湯」などの漢方方剤(主として柴胡剤)が有用であることなど, 漢方の考え方を説く。
著者
角田 鉄人
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.414-415, 2009-09-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
5

光延反応は,リン原子の持つ高い酸素親和性を巧みに利用し,活性水素を持つ広い意味での酸性化合物(HA)とアルコールとを脱水的に縮合させる反応である。利用できるHAとしてカルボン酸,フェノールなどの酸素求核剤,イミドを代表とする窒素求核剤,さらにはイオウ求核剤や炭素求核剤もあげられる。光延反応は,反応の一般性,信頼性,応用性の広さ故,今日の有機合成化学を支える重要な素反応となり,多くの有機化学者がその恩恵に浴している。
著者
室井 高城
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.68-73, 2009-02-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
6
被引用文献数
1

私たちが化学の実験で最初に眼にするのは硫酸,硝酸,アンモニア水溶液などの無機薬品である。これらの強い酸,塩基の性質に驚いて化学への興味をかきたてられた者は多い。今でも学校の実験室でこれらの化学品を合成したことが色濃く思い出される。しかし,これらの無機薬品の工業的製法は実験室とは全く異なっている。筆者は在学中,硫酸やアンモニアを合成している無機化学工場で工場実習を行ったことがあるが規模の大きさに驚かされた。それから約40年が経ち,今では,原料事情や経済変動により当時の硫酸工場もアンモニア工場も操業を停止してしまい工場の跡形もない。この100年の間に硫酸,硝酸,アンモニア共に原料事情と需要動向は大きく変遷した。又,触媒技術の開発とプロセス技術進展により以前のプロセスとは違ったものとなってきた。これらの化学品の最新の製造プロセスについて知ることは化学に携っている者にとって興味深いものと思う。
著者
瀧本 真徳
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.200-203, 2014-04-20 (Released:2017-06-16)
参考文献数
6

カルシウム(Ca)は典型金属の一種であり,地殻中に豊富に存在する。カルシウムは工業的には主として,建設・建築用資材として多用されているが,金属元素としての需要は同族の金属元素であるマグネシウムに比較すると少量に留まる。また,有機合成化学においても,マグネシウムがグリニャール試薬の原料として多用されるのに対し,カルシウムの利用は限られた範囲に留まっている。しかし,カルシウムカーバイドなど有機化学と歴史的に関係の深いカルシウム化合物が存在し,また近年,新たな用途も見いだされつつある。ここでは,カルシウムと有機化学の関係についていくつかの話題を紹介する。
著者
片山 健二
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.318-319, 2019-07-20 (Released:2020-07-01)
参考文献数
2

サツマイモを直に焼きあげた「焼き芋」は,冬の定番スイーツとして人気がある。サツマイモには,加熱調理するとイモに含まれるデンプンが熱により糊化し,β-アミラーゼが糊化デンプンを糖化してマルトースを生成し,甘味が増すという性質がある。加熱調理により生じるマルトースと生イモに含まれるスクロース等の遊離糖の含量の総和,及びそれらの甘味度が,焼き芋の甘さを決める主な要因である。マルトースの生成量は加熱調理の方法,デンプンの糊化温度やβ-アミラーゼの活性の影響を受け,生イモのスクロース含量はイモを収穫した後の貯蔵期間・条件等の影響を受ける。
著者
深野 和裕
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.396-399, 2014-08-20 (Released:2017-06-16)

スズは,周期表の14族の炭素族に属し,単体は銀白色のやわらかい金属で展性や延性があり,人間生活に古くから関わっている。たとえば,包装材としてスズ箔,鉄板にスズを塗布したブリキ,食器などに用いられている。合金の青銅は,紀元前より武器や美術品などに用いられてきた。同じ合金のハンダは鉛とのいろいろな配分で作られてきた。しかし,最近では,環境への影響を考えて,鉛フリーのものが開発されている。様々なものに利用されてはいるが,一番利用されているのは,なんといってもブリキである。ここでは,高校の授業の中で紹介されていることと人間生活とスズの関わりを含めて紹介する。
著者
熊本 卓哉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.266-269, 2012-06-20 (Released:2017-06-30)
被引用文献数
1

アジピン酸の工業的合成とその利用について述べる。アジピン酸は,シクロヘキサンの酸化より合成されるシクロヘキサノン-シクロヘキサノールの混合物(KA oil)を硝酸酸化して得るKA法が一般的であるが,副生する一酸化二窒素が環境に対して問題があるため,硝酸酸化を用いない方法や一酸化二窒素の再利用法の開発も進んでいる。本稿では,アジピン酸の製造について,KA oilを経由する方法のほか,シクロヘキセンを経由する製造法や,シクロヘキサンからの1段階合成法などについて概説し,その利用について簡単に述べる。
著者
竹林 [トヨ]矩 末永 俊朗
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.116-119, 2007-03-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
2

医薬品の開発研究は創薬化学とプロセス化学に大別されるが,一般に,創薬化学に比べてプロセス化学はあまり馴染みがない。本稿では,両者を対比させながら,医薬品の探索研究から申請までの過程におけるプロセス化学について紹介する。
著者
冨田 友貴 井上 正之
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.132-135, 2016-03-20 (Released:2017-06-16)

現行の高等学校「化学」の教科書におけるキサントプロテイン反応に関する記述には,本反応が観察されるタンパク質やアミノ酸の構造,および実験条件の記述に相違がある。今回我々は,芳香族アミノ酸を基質として,濃硝酸および二分の一の濃度に希釈した硝酸水溶液によるキサントプロテイン反応を行い,ニトロ化の進行について調べた。また側鎖に酸性の官能基をもたないフェニルアラニンが,ニトロ化された後に塩基性水溶液中において色調の変化を示す理由を調査した。