著者
茂木 巖
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.12-15, 2006-01-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
5

リンゴや米粒,力エルまでもが強磁場の中で浮上する様子が観察された。磁場に応答しないと考えられるこのような物質で,どうして磁気浮上が実現するのか?強磁場によってつくりだされる擬似無重力状態とはいかなるもので,どのような応用が可能なのかを概説する。
著者
村田 容常
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.90-91, 2019-02-20 (Released:2020-02-01)
参考文献数
3

メイラード反応とは糖とアミノ酸,タンパク質が反応して茶色く変色する一連の反応であり,加熱による色づきと香気の形成に大きく関わっている。パウンドケーキなどの焼いたお菓子では,この反応がおこり,焼き色がつくとともに甘い香りなど様々な香ばしい香りを呈する。糖がメイラード反応により分解して種々のカルボニル化合物が形成され,それらが再びアミノ酸と反応し,色や香りが形成される。
著者
篠原 厚
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.120-123, 2017-03-20 (Released:2017-09-01)
参考文献数
3

人類の物質観や自然科学の中で重要な基盤をなしている元素の周期表がどこまで拡張されるかという問いに対しては,元素そしてその周期表とは何か? 周期表の拡張とは何を意味するか? を考える必要がある。ここでは,これらについて概説し,新しい元素の創成の現状と将来について展望する。
著者
大勝 靖一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.210-213, 1998-04-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
3

油脂及び油脂関連物質の酸化反応を自動酸化の立場から記述した。油脂の自動酸化は二面性がある。最初にその二面性に共通した, しかも基本的な, 特に油脂に特有な点を強調した立場から酸化反応を解説した。続いて油脂の酸化が必要不可欠であるという分野, 特に塗料における油脂の酸化と乾燥の関係について説明した。一方酸化が好ましくないものとして油脂の酸敗を取り上げ, さらには生体膜の構成成分であるリン脂質の酸化劣化とその防止の生体における重要性を記述した。
著者
熊本 卓哉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.70-73, 2013-02-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

高校の教科書では,同位体どうしは,原子番号が同じであり,同一元素の属する原子であるので,化学的性質はほぼ同じと紹介されている。しかしながら,核種や利用法によって特徴のある性質を示すものがある。一昨年の原発の事故以来,放射性同位体に関する話題が喧し<,何かと悪者にされる同位体であるが,同位体の分類や性質,エネルギー源として以外の利用法について理解を深めることは重要ではないかと考えられる。本稿では,同位体が見つかった経緯と同位体の種類,最近の同位体を用いた研究例について概説する。
著者
梶山 正明
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.440-443, 2017-09-20 (Released:2018-03-01)
参考文献数
6

高校生の多くは,有機化学は覚えるものだと思っている。確かに,教科書には数多くの化合物が並び,その構造や名称を覚えるだけでも精一杯である。しかし,そのために身近な物質が多い有機化合物について,深く学ぶ意欲を失い,人生を豊かにする知識や考え方を得ることができなくなるのは残念である。「化学基礎」で学んだ,共有結合や結合の極性の理論をはじめとする化学の本質でもある電子の振る舞いによって,有機化合物の性質や反応を学ぶことで有機化学の学習のイメージを変え,文字通り「生命」を吹き込みたい。
著者
田代 充
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.296-299, 2013-06-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
3

核磁気共鳴(NMR)装置は,理工系から生物系に渡る広範な分野で使用されている分析機器のひとつである。画像診断など医学分野で使用されているNMRイメージング(MRI)は,大多数の読者が名前は聞いたことがあるだろう。MRIでは磁場の中に人間が入り,人体中の水分子の水素原子核を観測している。同様の原理で,構造未知の化合物の構造解析にNMRがよく用いられる。NMRは他の分析機器と比べると,価格が1桁高い高額な分析機器であるが,理工・薬学系の大学および製薬会社には,必ずと言っていいほどNMR装置が数台ある。理由は,それだけNMRが便利であり,研究に不可欠だからである。本講座では,NMRの観測対象である原子核について,NMRの観点からその特徴を説明する。
著者
竹上 直史
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.164-165, 2008-04-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
1

中学1年での「光」の授業で,高校化学で学習する「チンダル現象」を取り上げた。「光の直進」を確認することが目的であったが,「目は何を見ているか」「凸レンズで屈折して焦点を通る」なども非常に簡単な準備で目の当たりにすることができた。中学のしかも物理分野で「チンダル現象」を取り扱ったのであるが,中学理科としての学習内容の理解はもちろん,高校化学の考え方へのスムーズな導入にもなったと考えられるので報告する。
著者
上方 宣政
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.488-491, 1999-07-20 (Released:2017-07-11)
被引用文献数
1

有機化合物の反応では, 用いる触媒や反応温度が変わると異なった化合物が生成することがしばしばある。では, 触媒や反応温度など反応条件が変わると, どうして異なった化合物が得られるのか?これらの実験事実を説明するためには触媒の役割をふまえた反応機構を理解することが必要不可欠である。本稿では, エタノールを硫酸の存在下に加熱すると, 反応温度の違いによって, どうしてジエチルエーテルとエチレンがそれぞれ生成するのか, その機構について解説する。
著者
村松 容一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.398-401, 2011-08-20 (Released:2017-06-30)

環太平洋造山帯に位置する日本に火山性温泉が多いことはよく知られているが,近年温泉ブームを反映して,関東平野等の非火山地域で温泉開発が盛んに行われている。温泉水の多くは天水や化石海水起源であり,温泉水に含まれる溶存成分は起源となる水に由来するほか,地下を流動する過程で火山ガスを溶かし込み,また周辺の岩石と反応して,岩石中の各種物質を溶かし込んでいる。ここでは,地球科学的観点から,温泉に含まれる主要成分及び特殊成分の特徴を,起源と併せて概観する。