- 著者
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田代 充
- 出版者
- 公益社団法人 日本化学会
- 雑誌
- 化学と教育 (ISSN:03862151)
- 巻号頁・発行日
- vol.61, no.6, pp.296-299, 2013-06-20 (Released:2017-06-30)
- 参考文献数
- 3
核磁気共鳴(NMR)装置は,理工系から生物系に渡る広範な分野で使用されている分析機器のひとつである。画像診断など医学分野で使用されているNMRイメージング(MRI)は,大多数の読者が名前は聞いたことがあるだろう。MRIでは磁場の中に人間が入り,人体中の水分子の水素原子核を観測している。同様の原理で,構造未知の化合物の構造解析にNMRがよく用いられる。NMRは他の分析機器と比べると,価格が1桁高い高額な分析機器であるが,理工・薬学系の大学および製薬会社には,必ずと言っていいほどNMR装置が数台ある。理由は,それだけNMRが便利であり,研究に不可欠だからである。本講座では,NMRの観測対象である原子核について,NMRの観点からその特徴を説明する。