著者
津越 敬寿
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.596-599, 2015-12-20 (Released:2017-06-16)
参考文献数
3
被引用文献数
1

質量分析と一口にいっても,実に多岐にわたる。検出器としての質量分析計でも大きく数種類挙げられるが,イオン化手法は10種を軽く超える。それぞれにユニークな特徴があり,様々な分析のニーズに応えることができる分析法といえる。
著者
石井 正樹
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.270-271, 2012-06-20 (Released:2017-06-30)
被引用文献数
1

夏の暑い環境をより快適に過ごすために,冷涼感性や,皮膚からの汗をすばやく吸って,そして急速に乾燥させる吸汗速乾性を有する衣料は,近年夏物衣料としては必須アイテムになりつつある。本稿では人体から発生する水蒸気や汗の移動により,人体をより快適な状態に保つことを目的とした衣服における繊維素材の実例を紹介する。
著者
瀧本 真徳
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.30-33, 2014-01-20 (Released:2017-06-16)

硫黄(S)は火山周辺などの自然界から,単体としてほぼ純粋な形で得ることのできる元素の一つである。単体の硫黄は,古くより火薬の原料,マッチの着火燃焼剤,燻煙殺菌や皮膚軟膏の原料として用いられてきた。また,含硫黄有機化合物として,植物や我々の体内にも存在する。この,含硫黄有機化合物は現在の抗生物質が登場する以前には感染病の化学療法にも用いられていた。本稿では,硫黄の用途や,身の回りに存在する硫黄化合物について化学的な視点から紹介と解説を行う。
著者
臼田 孝
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.220-223, 2019-05-20 (Released:2020-05-01)
参考文献数
4

計測はあらゆる通商,産業,科学の基盤である。計測の同等性を時代,地域によらず確保するためには単位の基準が不変であることが不可欠である。単位はかつて人間の体の部位にちなんだものを定義として,石や金属を使って形作られた。やがて計測精度への要求と科学技術の進歩に伴い,自然界の法則を定義にするなどの見直しが進んできた。2018年11月に開催された国際度量衡総会において,国際単位系(SI)の基本7単位のうち,4単位を改定することが決議された。そして2019年5月20日をもって定義改定が実施された。本稿では単位および単位系について基本と全体像を概説する。新旧の定義を対比し,その意図と利点,および改定がもたらす将来像について述べる。
著者
乃口 哲朗
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.294-297, 2019-07-20 (Released:2020-07-01)
参考文献数
2

香川県立観音寺第一高等学校における理数系課題研究の実践について報告する。先行して課題研究を実施していた理数科での指導・評価の方法,およびそれを応用しながら普通科へも拡大した過程,指導・評価方法の応用と改善,普通科で課題研究を実施した成果を報告する。
著者
平松 茂樹
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.396-399, 2017-08-20 (Released:2018-02-01)
参考文献数
28
被引用文献数
1

中学校理科および高等学校化学で扱われる「色の変化を伴う反応」の一つに,酸塩基指示薬の変色がある。本稿では,種々の酸塩基指示薬とそのpH変化に伴う色の変化,その際に起こっている構造の変化などについて解説する。あわせて,酸塩基指示薬と同じメカニズムで発色するキレート指示薬や,酸塩基指示薬として実験に使われることが多いアントシアニンをはじめとする天然色素についても,発色団の構造の変化について解説を試みた。
著者
大野 誠
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.56-59, 2015-02-20 (Released:2017-06-16)

重力の法則,ニュートン・リングなどの光学,微分積分学で有名なニュートンは,学者として最も脂がのっていたケンブリッジ大学教授時代に,実験を含めてかなりの時間を化学・錬金術に費やしていた。本稿では最新の研究成果を基礎として「ニュートン錬金術」の土台をなすニュートンの手稿に焦点をあわせ,まず,このテーマがどのようにして発見されたかを明らかにする。次に,ニュートンの錬金術手稿の来歴や概要について述べ,この研究分野の第一人者ですら犯した誤りを取り上げて,手稿を扱うことの難しさについても論じる。
著者
大河原 信
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.131-135, 1989

まさに日本人には物あまりの時代のようである。身の周りには, これでもかこれでもかと, あらゆるぜいたく品が満ちあふれでいる。お金が豊かな人たちは気楽にそれらを買いあさる。それはそれなりに, まあ, よしとしよう。ささやかなぜいたくが欲望を満たしてくれるのなら。しかし, ろくに使いもせずにぽいと捨ててしまうのはよくない。特に筆者のように戦争を体験した人間には, 捨てるために造られた一枚のポリ袋でも, これを手にすると万感の思いがつのるのである。いまここで, 資源, 物を大切にしようと教訓をたれようというのではない。なにげない一本の糸, 一枚の布に秘められた科学, 技術の奥深さに接するならば, 少なくとも化学を学ぼうとする若い人たちには, 百言をつらねる教訓よりも, "物"の持つ素晴しさ, 貴重さに感動し, さらに将来に向っで無限の楽しみと夢が生まれてくるはずである。
著者
佐々木 伸大
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.4-7, 2021-01-20 (Released:2022-01-01)
参考文献数
6

食や生活様式が多様化している現代において,加工食品に用いられる食品添加物は必要不可欠なものとなっている。本稿では,食品添加物が,どのような目的で用いられているか,それらの使用についてどのように制御されているか,また,その安全性がどのように担保されているかに焦点を絞って概説する。
著者
高橋 幸奈
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.444-445, 2016-09-20 (Released:2017-03-01)
参考文献数
2
著者
中嶋 省志
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.202-203, 2017

<p>歯磨剤は,様々な成分(研磨剤,湿潤剤,発泡剤,粘結剤,抗菌剤など)を配合して,使いやすく,安全でかつ長期間安定な物理的・化学的特性が発揮できるようにつくられている。一方,フッ化物や殺菌剤などの薬用成分を配合して,虫歯や歯周病の予防・改善あるいはステインや口臭の防止にも有用なものである<sup>1)</sup>。日常,何気なく使っている歯磨剤の中身とフッ化物による虫歯予防のメカニズムを化学の目で見てみる。</p>
著者
柳川 弘志
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.35-40, 1994-01-20 (Released:2017-07-11)

これまで生命の始まりを考えるとき, ニワトリ(=機能)が先か, タマゴ(=情報)が先かのパラドックスに悩まされてきた。言い換えれば, RNAが先か, タンパク質が先かという問題である。最近の分子生物学の進展により, RNAは多彩な機能をもっていることがわかってきた。RNAの触媒作用もその一つである。RNAがDNAの助けを必要とせず, タンパク質の助けも借りずに生命現象を営めることがわかってきて, 最初の生命はRNAから始まった可能性が高くなってきた。
著者
藤井 郁雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.406-410, 2001-07-20 (Released:2017-07-11)

免疫学は歴史的にみて, 免疫応答の調節機構や抗原抗体反応の分子認識をその研究対象としてきた。ところが, この15年の間に免疫学は, 有機化学との学際領域に新しい研究分野を展開し始めている。天然酵素が化学反応の遷移状態と結合し安定化することによって触媒機能を発揮しているように, 化学的に安定な遷移状態アナログを抗原として得られる抗体タンパク質は, 遷移状態と結合して触媒機能を獲得するようになる。ヒトやマウスの体内には多種多様な抗体のレパートリーが備わっているので, この方法を使えばテーラーメイドの生体触媒の設計が可能になる。
著者
廣瀬 里佳
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.436-437, 2018-09-20 (Released:2019-09-01)
参考文献数
6

ストームグラスは別名「天気管」とも呼ばれ,18世紀にはすでに使用されていた。ビーグル号艦長のロバート・フィッツロイが天気予測のため,詳細にグラスの観察を行っていたのは有名である。ストームグラスは毎日変化し,なぜそのようになるのか現在でも解明には至っていない。1つには物質の溶解度が複雑に絡み合っていると推察される。そこで今回,多様な表情をみせるストームグラスの作製を紹介したいと思う。