著者
中西 和樹
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.26-29, 2018-01-20 (Released:2019-01-01)
参考文献数
6

安価かつ安定で日常生活のあらゆるところに使われている二酸化ケイ素(シリカ)。鉱物結晶中での決まった組成・分子量をもつケイ酸塩とは異なり,水溶性のケイ酸・ケイ酸イオンを含む溶液中では,溶液濃度・pH・温度・共存物質などに依存して,微粒子やゲルを生じる様々な反応が起こる。シリカとケイ酸塩の基礎的なことがらを高等学校教科書の記述と対比して復習するとともに,水溶液系における反応の特徴を紹介する。また,シリカやケイ酸塩組成の材料がどのように作製され,どのような因子によって材料形態や物性の制御が可能になるのかを述べる。近年急速な発展を遂げた,高純度ケイ素から合成されるアルコキシシランを前駆体とする合成プロセス(ゾル-ゲル法)についても触れ,溶液中で成長する重合体の形態や性質を制御することによる液相反応法の可能性についても概観する。
著者
菅原 義之
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.134-137, 2022-03-20 (Released:2023-03-01)
参考文献数
6

粉末X線回折分析は,広く化学研究に用いられていることから,理工系学部の化学系の学科では機器分析に関する学生実験で取り上げられることが多い。またブラッグの法則は,高校物理で学習する内容である。本講座では,結晶学の関連する内容を含め化学系の学科で学ぶX線およびX線回折に関する基礎的内容を概説するとともに,広く使われている粉末X線回折法について,原理とこの分析を用いる主な解析法について述べる。

1 0 0 0 OA 硫黄の同素体

著者
久保田 港
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.610-611, 2016-12-20 (Released:2017-06-01)
参考文献数
4
著者
重原 淳孝
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.50-53, 2022-01-20 (Released:2023-01-01)
参考文献数
6
著者
中村 純
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.132, 2022-03-20 (Released:2023-03-01)
参考文献数
4
著者
瀧川 一学
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.122-125, 2022-03-20 (Released:2023-03-01)
参考文献数
4

近年,機械学習をはじめとするAI技術を化学研究で活用する事例が色々報告されるようになった。化学の対象や化学産業に求められる要件が複雑化すればするほど,新しい発見や理解もますます難しいものになる。こうした状況に対する新しい切り口として,AI技術やデータ科学には期待や関心と懐疑が入り混じった状況である。有機化学,触媒化学,量子化学,分子生物学,生化学,創薬化学など色々な研究にも長年関わってきた機械学習の研究者から見たデータ中心的な化学研究の面白さ・難しさ・これからについて解説する。
著者
村上 雅彦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.548-553, 2013-11-20 (Released:2017-06-30)

アルミニウム(Al)は,小さな比重と高い導電性などの優れた特性から工業用金属材料として欠くことのできない元素である。一方有機合成化学においても,有機金属利用の初期から現在に至るまで種々のアルミニウム化合物が有用な反応剤および触媒として用いられており,歴史的にも重要で興味深い応用例が数多く見られる。本講座では,はじめに「Alの化学」を理解する上でのキーポイントとなる元素としてのAlの特徴と,これに基づくAl化合物の一般的性質について述べ,これを軸として有機合成反応での利用(還元剤,ルイス酸触媒およびアルキル化試薬としての作用とその制御)について概説する。
著者
村上 隆
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.6-10, 1998-01-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
8

岩石・鉱物の化学的風化は鉱物・水・大気間の相互作用の結果である。風化された鉱物はいわばその化石である。その「化石」を読むことにより, 作用した時の水, 大気の化学的状態を推定できる。本小論では風化の基本的な機構を原子レベルで概略し, また過去1億年の地球表面での温度変化を風化から計算した例を示す。地質時代の大気中の二酸化炭素の濃度や, 先カンブリア時代における地球表面環境を定量的に推定するのも夢ではない。
著者
安永 秀計
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.420-425, 2020-10-20 (Released:2021-10-01)
参考文献数
27

まず染色における機構を熱力学と速度論の観点から概説し,染料の種類,モーブにまつわる話を述べ,最後に筆者の研究について触れる。
著者
上野 聡
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.268-269, 2019-06-20 (Released:2020-06-01)
参考文献数
5

チョコレートのおいしさを醸しだすものには,甘味・苦味・酸味などの味覚が主として思い起こされる。しかし,チョコレートのおいしさを語る際には味覚だけでなく,口中でのとろけ感(口どけの良さ)や歯ごたえの良さなどのテクスチャーや,融点や硬さなどの物理的な性質(物性)が挙げられる。この物性には,チョコレートの主要成分であるカカオ脂(ココアバター)の結晶が密接に関わっている。本稿では,ココアバターの結晶とおいしさとの関わりについて簡潔に解説する。
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.8-11, 2022-01-20 (Released:2023-01-01)
参考文献数
5

宇宙における元素の存在割合(存在度)は,元素合成プロセスを考えるとどこでもほぼ変わりなく,作られる主要な鉱物(天然の化合物・単体)も限られる。小惑星から採取された,「はやぶさ」や「はやぶさ2」のサンプルも例外ではない。このようなサンプルが具体的にどのようなものなのか,分析から何がわかるのか,新しい太陽系成因論も紹介しながら解説する。

1 0 0 0 OA 鉱物と化学

著者
宮脇 律郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.4-7, 2022-01-20 (Released:2023-01-01)
参考文献数
1

鉱物は地質作用で生じた単体や化合物の固体物質である。鉱物の研究は,元素の発見など,化学と密接に関係してきた。鉱物種は,化学組成と原子配列で分類され,現在では5,700種余りが知られるに至った。近年,新種の発見は年間120種を超えるが,これはまだまだ宇宙や地球に未知の世界が広がっていることも示している。