著者
古川 智恵子 堀 逸子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.75-84, 1977-03-15

以上,東海地区における婦人用農作業衣についての実態調査の結果を要約すると次のとおりである.1.現在最も多く着用されている作業衣は,上衣が既製作業衣,下衣がもんぺいの二部形式のものであり,従来からの和服の二部式はあまりみかけなくなった.その他には既製ブラウスの古着を着用している場合がみられた.2.作業衣の着にくい理由は,1)サイズ面,2)デザイン面,3)縫製面,4)材質面の順序であった.特にサイズ面で,上衣の背幅がきつくて着にくいものが最も多く,より機能的な作業衣の検討が必要と考えられる.3.作業衣の材質は,上衣・下衣とも木綿がもっとも高率を示し,次いでテトロン,ビニロン混紡の順であった.4.田植時の補助衣の使用は,第1位が麦わら帽子であり,次いで手甲,ビニール合羽,割ぽうエプロンの順であった.5.上衣の損傷部位は,袖口,衿,肩という順位であり,下衣においては,裾,居敷当,内股の順であった.6.損傷理由については,まさつによるものが最も多く,次いで洗濯,3位がサイズによる不適合のための布の伸びによるものがみられた.7.作業衣の購入方法は商店で購入するものが最も多く,次いで農協,共同一括購入の順であった.8.古着作業衣の着用状況では,専業農家は新品を購人するが,兼業農家では古着を作業衣におろして着用しているものがほとんどであった.9.作業衣購人時の選択理由についてはサイズを第1順位に選ぶものが圧倒的に多く,次に材質,色,形,値段という順位で,値段よりもまず着やすいサイズの作業衣を購入している合理的姿勢がみられた.
著者
後藤 喜恵 原田 妙子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.31-40, 1986-03-01

1.子供服の入手方法は,既製服の利用が大半を占めるが,お下がり服の利用も多い.手作り服は,女児服に多くみられ母親の手による物が多い. 2.所持服の好みは,女児年少にワンピース,年長はスカート,ブラウス等年齢による違いがみられる.男児はTシャツ,ズボンが大半を占めた.好みの理由は,着脱しやすい,着くずれしない,組合せやすい等機能面が重視されている. 3.子供服模型・スモックによる嗜好色は,女児は赤・ピンク系,男児は青・緑系に集中した. 4.嗜好色のトーン傾向は,母・子共に上衣はv, ltの2トーンであり,下位はd, ltgである.色相傾向は,母・子共にR, Y, RP, Neの嗜好が高く,更に女児は多色に分散した. 5.所持服の色彩は,女児は上衣にlt 24, Wが多く,下衣はv 2, dp 18, Neがみられた.男児は,上衣にv 18, 下衣にdp・dkの18が多く青系に集中した.次いでW, Bkであった.稿を終わるに当り,御指導・御協力いただいた本学付属幼稚園長三輪弘道教授,松尾愛子前主任,名古屋文化幼稚園寺島房子主任に深く感謝申し上げます.また,園児・父母の皆様の協力に対し謝意を申し上げます.
著者
石川 和代
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.251-256, 1980-03-31

「偉大なギャッツビィ」は中西部出身の青年ニックによって語られている.ニックは大学を卒業してから,債券の勉強をするために東部へやってきている.ニック,ギャッツビィ,トム,デイジー,ジョーダンの五人はみな中西部の出身で,語り手ニックものべているように,一応はみな西部人である.現在はみな東部に住んでいるが,トム,デイジー,ジョーダンはロングアイランドの東エッグに,ニックとギャッツビィは西エッグに住んでいる.東エッグに住んでいる三人は,本当に東部に住むことが好きである.東エッグは西エッグよりもっと流行を追い求める場所である.そこに住んでいるトム,デイジー,ジョーダンの三人は,物質的豊かさのみを求める人間,自分勝手で不注意な人間,不正直な人間として描かれている.西エッグに住んでいるギャッツビィは純粋な一面をもっている.彼は貧乏な百姓の子として生まれるが,少年のころから出世を志す.若い将校であるころ,金持の娘デイジーと恋をし,彼女を手に入れるために,あらゆる努力をして富を得る.ところがそのころ,デイジーはすでにトムの妻となっている.「過去はくり返すことができる」と純粋に考える彼は,自分の理想であるデイジーとの生活を夢みる.デイジーが彼の車でトムの情婦をひき殺してしまった時,彼はあくまでもデイジーを守ろうとする.ところが,トムとデイジーの自分勝手なやり方のために,ギャッツビィは殺されることになる.ニックはこのギャッツビィの純粋な一面にふれて,中西部に愛着を感じると同時に,東部がいやになり,東部をすてて再び中西部にもどる決心をするのである.こうして考えてみると,五人のうち本当の西部人はニックとギャッツビィのみであり,トム,デイジー,ジョーダンは西部人であるにはあまりにも純真さがない.作者は東エッグと西エッグの対照によってこのことを暗示しているように思われる.
著者
桜井 淑子 柘植 美紀子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.35-40, 1975-03-15

(1)でんぷんは食器をあらかじめ水浸しておけば洗剤の必要はない。しかしこの場合,湯で予洗して流水すすぎするのが結果がよい。(2)たんぱく質は単純な場合は洗剤は不要である。洗いかたはでんぷんと同様でよい。(3)脂肪は水洗いではとれない。洗剤を用いたほうが早くとれる。しかし湯を用いて時間をかければ洗剤がなくても落ちる。植物性脂肪より動物性脂肪のほうが落ち難く,また皿のふちやくぼみに残ることが多い。(4)食品は実験で行なったような単純なものは少なく,またこれが調理されるとさらに複雑な状態となって食器にもられ,それを汚すことになるから,洗いかたもそれによって適宜行なわなければならないことは当然であろう。(5)食器のABS残留は野菜瀬に比べて少ないようであるが0ではない。特に原液を用いることは使用規準量の1000倍であるから残留も多く,また皮膚からの浸透などを考えれば避けるべきである。濃度を高くしても洗浄効果が上がるわけではなく,不経済でもある。あらかじめ希釈しておいて用いるべきである。(6)流水すすぎは10秒以上したほうがよいが,節水の点からも有効な流水すすぎをすべきであり,実験の結果,ため水洗いと流水洗いを比較して,いずれにも大差なく洗剤残留がみられたことは洗剤が落ち難いものであることを示している。(7)なお洗いかたとして,汚れの少ないものから洗うこと,食器の裏を十分にすすぐこと(特に重ねる場合はそれが必要である)途中で洗剤を足さないことなどに注意すべきである。(8)素焼の食器や,傷のある食器は食品残留も洗剤残留も大であるから使用しないほうがよい。(9)石油系ABS,LAS洗剤は出来るなら使用しないほうがよいが,天然油脂洗剤は洗浄力が弱く,また高価でもあるから,石油系洗剤のメリットを考えてこれを用いるに当たっては十分の注意を払って,極力残留を少なくしなければならない。
著者
住本 哲子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.241-244, 1972-04-01
著者
遠藤 亮子 高橋 平八郎
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.59-63, 1972-04-01

白ネズミ小腸磨砕抽出液を用いてフィターゼ作用を調べた.至適pHがPH6.6とPH8.4の2ケ所に存在し,Mg^<2+>の効果が両pHで異なるところから,白ネズミ小腸には少くとも2種のフィターゼ作用をもつ酵素が存在すると推定した.実験に協力頂いた浅見靖子,友枝由紀両氏に感謝致します.
著者
石川 和代
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.263-269, 1986-03-01

『八月の光』のジョー・クリスマスは私生児として生まれ,物心ついた時には両親はなく,自己の正体が全くわからない.さらに,狂信的なカルヴィニズムの信者である祖父が,彼の中には黒人の血が混じっていると思いこませたがために,自分が黒人か白人なもわからないという状況になる.自己の正体がわからないが故に彼は孤独であり,孤独からのがれるために自己の正体を見いだそうとする.しかし,カルヴィニズムや人種差別によってゆがめられた人格のために,黒人とうまくやってゆくことはできず,白人は彼をただ黒人と見るのみで彼の人格を認めないが故に,彼は白人ともうまくやってゆけない.そのために彼は最後まで自己の正体を見いだせず,環境によって孤独な生活をしいられるのである.『アブサロム,アブサロム!』のチャールズ・ボン,チャールズ・エティエンヌ・サン=ヴァレリー・ボンの状況はクリスマスのそれとはやや異なるものの,彼らもまた,黒人の血のために,自己の正体を見いだせない人々である.以上のことを考えると,フォークナーはこれら二つの作品において,南部の厳しいカルヴィニズムや激しい人種差別を批判していると恐れずにはいられない.
著者
谷 由美子 宮地 成子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.69-77, 1986-03-01

食餌性脂肪肝を形成したラットに対し,一般に肝障害治療に効果があるとされているタンパク食による回復効果と合わせて,脂質代謝と関係深い運動負荷の効果を検討した. 1.肝臓の体重比は,脂肪肝形成時(FL区)に比して1%コレステロール添加脂肪食投与運動区(F-E区)(p<0.05),タンパク食投与比運動区(P-NE区),タンパク食投与運動区(P-E区)(p<0.01)で有意に低下した. 2.肝TL,TG,T-CholにおいてP群はFL区,F群に比して有意に(p<0,01)低値を示し,肝TBA価もFL区に比してP群で有意に低下した. 3. FL区に比してP群においてGOT,GPT,血清TL,T-Cholは有意に低下し,血清TGも低下傾向がみられ,HDL-Chol/T-Chol は有意に上昇した. 4.F群は肝脂質いずれも運動区で低下し,P群は,肝TLが運動区で低下した. 5.F群,P群ともGOT,GPT,血清TLはいずれも運動区で低下傾向がみられた.
著者
熊沢 昭子 中野 米子 酒井 映子 間瀬 智子 森 圭子 間宮 貴代子 吉田 誠子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.49-58, 1985-03-01

多変量解析法を用いて食形態諸要因をパターン化することにより,栄養・食品バランスの両面から食物摂取状況を検討した結果は次のとおりである. 1.食物摂取状況を総合的に評価するために栄養バランス得点と食品バランス得点を考案し,これらが栄養・食品摂取の指標となり得ることを認めた. 2.食形態は1日の料理数,油料理数,野菜料理数,間食品目数,料理形態,主菜タイプ,朝食の食事タイプ,昼食の食事タイプの8要因に類型化できた. 3.栄養・食品バランスを指標として8食形態要因との関連を数量化理論I類によってみると,良好な食物摂取状況においては男女ともに1日の料理数や野菜料理数が多く,油料理数が中程度であり,これに加えて男子では間食品目数,女子では昼食がスナックタイプといったカテゴリーが出現した.一方,摂取バランスの不良をあらわすカテゴリーにおいては昼食が欠食,主菜となる料理がなく,1日の料理数や油料理数が少ないといった要因の集約がみられた.以上のように,栄養・食品の摂取量にとどまらず食形態から食事構造を明らかにすることは栄養指導を展開する上で有用な方法と考えられる.
著者
依岡 道子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.271-278, 1986-03-01
著者
福田 金光
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.231-241, 1979-03-15
著者
松島 由美子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.91-99, 1971-03-15

1) バラおよびツツジ花弁抽出液の食品染着性をみるため,食品試料として甘藷デンプン,可溶性デンプン,デキストリン,寒天,ミルクカゼインを用いて実験した結果,これら天然色素による食品の染着は可能であるが,食紅より若干染着性は劣る.2) ツツジ花弁抽出液でゼラチン,寒天,ミルクカゼインを着色した場合,色調の安定性を15日間室内および冷暗所に放置して観察した結果,肉眼的にはほどんど変化は認められなかったが,ツツジ花弁抽出液で着色した室内放置の寒天がわずかに褪色した.冷暗所放置のものは4ケ月後にも著しい変化は認められなかった.3) バラおよびナスより鉛塩沈澱法によって分離したアントシアン色素とツツジ花弁抽出液の300〜600mμにおける吸収スペクトルを測定した結果,バラは522mμに,ツツジは530mμと435mμに,ナスは540mμと418mμに吸収極大がみられた.4) バラ花弁抽出液のpHによる色調の変化を吸光度により測定したところ,PH2で510mμに吸収がありPH8.5で590〜600mμに少し吸収があって緑黄色となる.なおナスのアントシアンの場合は, PH0.3から2.9に変化すると吸収極大は530mμから580mμまで移行し,色調は赤紫から紺色に変化した.最後に終始親切に御指導下さいました本学の青木みか教授に深謝致します.
著者
荻野 千鶴子 古川 智恵子 加藤 恵子 後藤 喜恵
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.27-39, 1971-03-15

高校履習課程別による,被服構成および実習における履習教材や本学における知識技能差の調査結果をまとめると,1.中学における履習教材では1年活動着では,ブラウス,3年外出着として,ワンピースは90%以上の高率をしめし,2年休養着はパジャマよりゆかたを履習した学校が多かった.高等学校においては,普通課程ではブラウス,スカートの履習教材が多く,家政課程における洋裁はブラウス,スカート,スーツ,ワンピース,ベストが多く和裁においては羽織,帯,ゆかた等が多くみられた.本学短期大学の履習教材においでは3グループともブラウス,スカート,ワンピース,ゆかたを実習細目に取り入れている.また全国短大の集計も第一報に報告したように,ブラウス,スカートは100%を越え,ワンピースは62%の履習となっている.以上の点からみてブラウス,スカート或はやや下廻るがワンピースは中学校,高等学校,短大といずれの学校においても同じ教材を取扱っているが,果してたての関連はどうなっているだろうか,生徒学生の興味の上からもこれら重複教材の取扱い方について今後研究する必要があると思われる.また一方高等学校の履習課程の違いによる入学当初の能力の差をそのままにして,普通課程,家政課程の出身者を同一クラスにおいて授業を進める場合の指導法の問題点などが今後の取り組むべき課題と考えられる.2.学生の関心度では,3グループを通じAグループが最も意識層が高く,次いでBグループで,Cグループは各段階のばらつきがみられて,意識として低くそれぞれの目的とするグループの意識の傾向がすなおに出ていると考えられた.3.技能テストを統計的にみると,入学当初は家政課程出身者が3グループとも平均値が上位であるが,穴かがりの上達度においては普通課程の入学後の技能の伸びが,各グループとも顕著にみとめられたが,家政課程出身者は入学後の伸びがそれほどみられなかった.このことは45年度の巾広い技能テスト調査をまたなければ正確な傾向は把握できない.4.知識テスト結果でも入学時はA・B・Cグループとも,家政課程出身者の方が上位であることがみとめられたが,一年後のテスト結果では3グループとも統計的にみると普通課程と家政課程の間に差はなくなり,平均値ではむしろ普通課程が高く出現した.44年度の以上の結果から入学当初は,明らかに高校の課程別による能力差が認められたが引続き45年度も更に一層能力差とその移行状態を明確にするための調査を続行中であるが,現在本学では,普通課程,家政課程出身者を区別することなく,むしろクラスの殆んどを占める普通課程に規準を置いているために,家政出身者には当初足踏状態のものもあるのではないかとも考えられる.これを解決するための指導方法へ今後は研究を深めていきたいと思うのである.本研究にあたり,実験に御協力下さった本学家政科学生に厚く感謝する.
著者
大野 庸子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.147-153, 1973-03-15

名古屋市内の民間建設による,持家1戸建の鉄骨系プレハブ住宅について,実態調査を行ない居住性について分析を試み次の結果を得た.1)居住者は30才〜40才代の4人家族の勤労者世帯が多く,取得の時期はS40年以降に集中し,完工までに約5ケ月を要した.2)住宅規模に関しては,1住宅当りの平均敷地面積206.6m^2,延べ床面積73.9m^2,1人当りの平均畳数7畳,室数1.1室となる.延べ面積,畳数,室数共に家族人数が増加するにつれ,これらも増加するが1人当りに換算すると,逆に減少する.このことは家族人数が少ない程,住生活空間に余裕があることを示す.又,延べ面積の増加分は,居室空間と共有空間にそれぞれ,2/3と1/3の割合で配分されていることがわかる.3)台所はDKタイプの6畳が圧倒的頻度を示し,このことから食寝空間の分離が,大多数の家庭で実現していることが,うかがえる.4)便所は水洗式で腰掛式便器が1/4あり,使い悪さの点では和風より優位に立つ.5)押入は各室にほぼ一個所あり,物置も3〜4畳のものを過半数が設置している.ペンキ塗替えが良好な状態のもの約6割.6)室内環境では,暑さに対する不満が最も多く,次に音響があってうるさいことを上げているが,反面乾燥していでよい等の声もある.7)居住者のプレハブ住宅への志向性はまだ低い.終りにあたって,調査に御協力いただいた学生諸姉に深く感謝致します.
著者
古川 智恵子 木曽山 かね
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.13-27, 1970-03-15

名古屋地区における青年女子の肌色の季節による変化についてまとめると次のごとくである.(1)肌色のうち,色相については,四季および身体の各部位を通じて, 5.0YRおよび7.5YRが多く出現し,2.5YRおよび10.0YRの出現率は極めて低かった.(2)5.0YRおよび7.5YRの出現率について,季節別に比較すると,春と冬には5.0YRが7.5YRより多く出現し,夏には7.5YRが5.0YRより多く出現し,秋には両者がほぼ同数出現した.(3)5.0YRでは,7/4(L),6/3(B'),6/4(K),6/4(Q)が,7.5YRでは7.5/3(W'),7/3(P_3),5/4(V_1),5/2(V_2)が多く出現したが,季節別にみると,春と冬には高明度の側に,夏と秋には低明度の側に集中し,特に秋にその傾向が著しいと思われた.(4)統計的に考察した結果,肌色の明度は秋に最も低く,夏,冬,春の順に高くなり,また彩度は秋に最も高く,夏,春の順に彩度が低くなるといえる.これは,夏から秋にかけて日焼けするために肌色が黒っぽくなり,その後,冬から春にかけて,日焼けがとれていくため,肌色が白っぽくなることを示すものと思われる.また,肌色の色相については,秋に最も黄味を帯び,夏,春の順に赤味を帯びるものといえる.本研究にあたり,種々のご教示とご便宜を賜わりました本学家政科長広正義教授,ならびに実験にご協力いただいな本学大ロキミヨ助手,小島十九子助手,太田洋子助手および被験者としてご協力いただいた学生各位にあつくお礼申し上げます.(なお,この論文は昭和44年10月4日第20回日本家政学会総会において発表したものである.)
著者
加藤 恵子 近藤 章子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.91-97, 1976-03-15

以上をまとめると, 1.入学式に着用した衣服は,スーツとブラウスの組み合せ,ついでワンピースが多くみられ,衿の型はブラウスは白衿つきカラー,ワンピースはショール・カラー,スーツ,ブレザーはテーラー・カラーが多く,袖口の型はブラウス,ワンピースはカフスつき,スーツ,ジャケットは普通袖が高率であった.またスカートの型はフレアー・スカート,オール・プリーツの裾幅が広く,丈は膝下10cmが好まれていた.2.アクセサリー類は「つけなかった」が約半数であり,主調色は茶,ベージュ,黒,緑が多く,柄についてみると無地が半数以上を占めていた。3.購入する場合のポイントは63.5%の人がデザイン,外観について重視していた.調製方法は既製服が約3/4を占め,専門店と百貨店で97%が購入していた.購入価格についでみると, 38,000円が最高で注文服であった. JIS規格による取り扱い絵表示を見たのは57.5%であった.4.1ヵ月間の着用状況についてみると,1人平均着用枚数は最高ブラウスの6.0枚,着用率はブラウス,スカートの94.7%であった.また日常の組み合せ衣服は三服種が51.6%であった.5.式服着用頻度は0回が27.4%みられ,そのうち「着用しなかった服種」はワンピースの69.2%と高率であった.以上の結果,ライフサイクル,すなわち「モードの寿命」が短くなりつつある中で,被服設計上,合理的,経済的な衣生活をすることが増々重視されなければならない.そのような点について今後深く研究を進めていきたい.本調査に御協力下さった学生諸氏に深く感謝の意を表します.
著者
末田 香里 磯口 由香里 梅村 優子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.167-171, 1988-03-01

乳歯う蝕に関わる要因を明らかにする目的で,4才児の母親にアンケート調査を行った.有効回答160をう歯保有者と非保有者の2群に分けて,う歯予防の処置,子供の食べものの好み,親のおやつの与え方を比較した.その結果,1)歯磨きの仕方,フッソ塗布の普及率はう歯保有者と非保有者の間で差はなかった,歯科検診受診,デンタルフロスの使用率はう歯保有者の群で高かった.2)子供自身の食品の好き嫌い,市販のおやつの好みに両群で差は認められなかった.3)親のおやつを与える回数,時刻,市販のおやつの買い方,家庭で作るおやつの種類に両群で差は認められなかった.しかし,手作りおやつを与える留意点としてう歯保有者群においては非保有者群に比し,子供の好みが優先される傾向にあった.う歯保有者と非保有者群の間では親の意識に差があるのではないかと推測された.