- 著者
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渡部 友晴
- 出版者
- 一般社団法人日本心身医学会
- 雑誌
- 心身医学 (ISSN:03850307)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.7, pp.653-659, 2013-07-01
災害後の学校における中長期の心理支援を考えるうえで,子どもたちが自らの体験に触れ,それを表現する機会をもつことは大変重要である.それはトラウマ反応への対応として有効なだけでなく,喪の作業としても意味がある.またアニバーサリー反応の軽減にも役立っ.そのためにも,そうした表現活動は,適切な時期に,適切な配慮のもと行われる必要がある.時期としては,発災から3カ月あるいは半年くらいが過ぎた以降の中長期対応の時期が望ましい.また表現活動の導入前,事前準備,当日,事後とそれぞれの段階に応じた配慮が必要となる.またこれらの活動は,災害後,子どもたちとともに歩んできた教員らが中心となって行うのが望ましい.実際に表現活動が行われた学校では,心身の反応を呈する子どもたちも少数いたが,そこでの教員らの適切な対処により,反応を成長につなげていくことができた.2年目以降の表現活動としては,心の整理に加え,語り継ぐという観点が加わる.