著者
梅谷 凌平 後藤 晶 岡田 勇 山本 仁志
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.31-38, 2020-11-30 (Released:2020-11-30)
参考文献数
58

Upstream reciprocity refers to a person who has received help helping a third person instead of the person who helped him/her. It is observed widely but lacks a theory explaining its mechanism. Theory suggests that upstream reciprocity cannot maintain stable cooperation. Here we examine the possibility that the strength of a belief in a just world, which is a cognitive bias, drives upstream reciprocity. We test the effects on upstream reciprocity of a belief in a just world by conducting an upstream reciprocity game based on a trust game. The results demonstrate that upstream reciprocity is explained by a belief in immanent justice, a subconcept of a belief in a just world. These results shed light on a mechanism that explains why upstream reciprocity is observed in the real world.
著者
後藤 晶子 村松 武 寺岡 義治
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.19, pp.99-102, 2008-03

第20回名古屋大学年代測定総合研究センターシンポジウム平成19(2007)年度報告<第2部> Proceedings of the 20th symposiumon on Chronological Studies at the Nagoya University Center for Chronological Researchin 2007 日時:平成20 (2008)年1月10日(木)~11日(金) 会場:名古屋大学野依記念学術交流館 Date:January10th-11th, 2008 Venue:Nagoya Uhiversity Noyori Conference Hall
著者
後藤 晶
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.86-89, 2015

プレミアム商品券とは一定分のプレミアム率に応じた金額を上乗せした商品券である.本研究においては2014年度の緊急経済対策による地方交付金の活用方法として採用されたプレミアム商品券政策に関連して,インターネット調査を実施し,社会経済的属性に着目して,プレミアム商品券政策に関する経済行動の特徴について検討した.その結果,低収入世帯ほど,プレミアム商品券を購入していないこと,高収入世帯ほどプレミアム商品券に期待する「最低希望プレミアム率」が低いことなどが明らかとなった.特に,購入者に比べて,非購入者および購入未定者の最低希望プレミアム率が高いことが示されており,非購入者は販売されたプレミアム商品券のプレミアム率が自身の望むプレミアム率を満たさなかったためにプレミアム商品券を購入しなかった可能性が示唆される.
著者
後藤 晶
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-16, 2015-10-31 (Released:2017-01-25)
参考文献数
29

東日本大震災に見られるように, 人間は常にいつ生じるかわからない「変動」に直面しながら生きている。本研究においては突然起こる外生的な変動を「カタストロフ」と定義する。その上で, 発生時期においてあいまい性を有するカタストロフの「予告」及び「発生」が協力行動に与える影響を検討する。そのために, 繰り返し公共財ゲームをベースとした新たなゲームである「カタストロフゲーム」を提案し, 実験的な検証を行った。実験時には損失の「発生の確実性」「発生する期間」, そして「発生する損失の規模」を伝えて実施した。その結果, ①カタストロフの予告による貢献額の変化は認められなかった。一方, 予告されたカタストロフの発生によって, ②全てのプレイヤーにカタストロフが発生する条件における貢献額の増加, 一部のプレイヤーにカタストロフが発生する条件において③カタストロフ発生群における貢献額の増加, ④カタストロフ非発生群における貢献額の増加が認められた。本研究では実験ゲームの枠組みによって災害時に観察されてきた人間行動と類似した結果が観察された。損失発生の単純な予告や予測は人間行動に影響を与えないことが示唆され, どのような情報が予告や予測として効果的なものになるのか, そしてなぜ損失発生時に協力行動が促進されるのか, その動機に対する検討が今後の課題としてあげられる。
著者
後藤 晶
出版者
山梨英和大学
雑誌
山梨英和大学紀要 (ISSN:1348575X)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.32-48, 2013

本論文においては,公共財ゲーム実験(Public Goods Experiments)について,その基本的枠組みおよび先行研究について特に,実験研究に着目して整理する.公共財ゲームとは排除不可能性および非競合性を有する公共財について,ゲーム理論的に記述したものである.協力行動や社会的厚生に関する分析の枠組みとして用いられるものであり,汎用性の高いものである.例えば,自発的貢献メカニズムの解明や経済行動の分析などに用いられてきた.また,様々な学問領域に渡って研究が積み重ねられてきた枠組みである.特に,経済学および心理学領域で積み重ねられてきた実験研究は新古典派経済学が仮定する合理的経済人の行動とは乖離した結果が見られており,新たなモデルの必要性が示唆されている.また,ゲーム理論の枠組みは経済学・心理学的な枠組みのみならず,文化的観点も考慮した新たな人間行動の説明原理となり得ることが示唆されている.
著者
後藤 晶
出版者
山梨英和学院 山梨英和大学
雑誌
山梨英和大学紀要 (ISSN:1348575X)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.32-48, 2013 (Released:2020-07-20)

本論文においては,公共財ゲーム実験(Public Goods Experiments)について,その基本的枠組みおよび先行研究について特に,実験研究に着目して整理する.公共財ゲームとは排除不可能性および非競合性を有する公共財について,ゲーム理論的に記述したものである.協力行動や社会的厚生に関する分析の枠組みとして用いられるものであり,汎用性の高いものである.例えば,自発的貢献メカニズムの解明や経済行動の分析などに用いられてきた.また,様々な学問領域に渡って研究が積み重ねられてきた枠組みである.特に,経済学および心理学領域で積み重ねられてきた実験研究は新古典派経済学が仮定する合理的経済人の行動とは乖離した結果が見られており,新たなモデルの必要性が示唆されている.また,ゲーム理論の枠組みは経済学・心理学的な枠組みのみならず,文化的観点も考慮した新たな人間行動の説明原理となり得ることが示唆されている.
著者
後藤 晶
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.114-117, 2017 (Released:2017-06-01)
参考文献数
6

実験経済学の観点からは価値誘発理論に基づいて,適切なインセンティブを設計する必要がある.しかしながら,通常の紙面およびWebを利用したアンケートでは価値誘発理論を満たす調査を実施することは困難である.しかしながら,クラウドソーシングを利用すれば,低費用かつ短時間で十分な量のデータを収集することが可能である.その上で,適切な設計を行うことにより価値誘発理論を満たした実験の実施が可能であることを示唆する.本研究においてはクラウドソーシングを利用したオンラインアンケートを実施した.その結果の概要を報告すると同時に,今後の課題について報告する.
著者
後藤 晶
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.143-148, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
15

本研究では,実際には監視されていなくても監視されていると思い込む「被監視感」に着目して,その被監視感が主観的幸福度および社会的価値指向性・認知内省テストに与える影響について検討する.本研究では,クラウドソーシングを用いておおよそ1500名を対象として,主観的幸福度および被監視感に関する調査を行った.利他性や競争性などを示す社会的価値指向性,並びに情報処理スタイル(合理性‐直観性)尺度についても調査を行っており,これらを包括的に報告する. さらに,本研究を支えるための基盤としてのクラウドソーシングサービスおよびクラウドソーシングを用いた大規模経済ゲーム実験の可能性について,計算社会科学の文脈から議論をしたい.
著者
後藤 晶
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.11, no.Special_issue, pp.S35-S38, 2018 (Released:2019-04-19)
参考文献数
15

人間は常にいつ生じるかわからない「変動」に直面しながら生きている.本研究においては突然起こる外生的な変動を「カタストロフ」と定義する.本研究においてはそれらの変動が利他行動に与える影響を検討する.そのために,パートナーマッチング繰り返し公共財ゲームと独裁者ゲームを組み合わせた新たなゲームである「公共財カタストロフ独裁者ゲーム」を考案し,クラウドソーシングを用いた大規模オンライン実験による実験的な検証を行った.その結果,①分配率は損失者が分配者,もしくは受益者であると大きくなること,②損失者による分配額に比べて,非損失者による分配額の方が大きいこと,③損失者に対する分配の頻度が多い,また非損失者による分配の頻度が多いことなどが明らかとなった.これらの結果は災害等の事象が生じた際の協力行動は利他的動機に支えられている可能性を示唆している.今後の課題として,外集団に対する行動傾向の解明,およびクラウドソーシングを用いた実験の妥当性の検討があげられる.
著者
後藤 晶
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.127-132, 2017-05-27 (Released:2017-07-21)
参考文献数
6

本報告においては,クラウドソーシングを用いた経済ゲーム実験の結果を踏まえて,3つの経済ゲーム実験の差異に着目した分析結果について報告する.クラウドソーシングとは主にインターネットを利用して,広く群衆を対象としてタスクと呼ばれる課題を依頼するものである. 本研究においてはクラウドソーシングを用いた,独裁者ゲーム・最終提案ゲーム・信頼ゲームと呼ばれる3種類の経済ゲーム実験の結果について比較する.その結果,独裁者ゲームに比べて,相手のプレイヤーに拒否権のある最終提案ゲーム,返報可能性のある信頼ゲームにおいて分配額に差異が認められたが,対象が両親条件・友人条件・他人条件においてその分配額に差異が生じることが明らかとなった.この結果は両親・友人・他人を対象とした分配行動の動機が異なることを示唆して いる.
著者
青柳 寛司 後藤 晶子 藤野 竜也 伊永 隆史
出版者
日本食品科学工学会
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.138-141, 2013 (Released:2013-12-26)

国内に流通する国産ブランド牛肉の産地判別を念頭に,2つのブランド牛(松阪牛と飛騨牛)の炭素,窒素,酸素の安定同位体比を調査した。その結果,炭素安定同位体比において両者の間で明確な差が認められ,その差の大きさは両者の飼料の炭素同位体比の差とほぼ一致した。このように,松坂牛や飛騨牛に限らずブランド牛では,それぞれの生育環境に加え,ブランドごとで管理されている飼料の同位体比を強く反映することが予想される。
著者
廣瀬 喜貴 後藤 晶
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.13, no.Special_issue, pp.S19-21, 2020 (Released:2021-03-24)
参考文献数
9

本研究は,地方公共団体が開示している会計情報は幸福と結びついているのか,を検証するために,各都道府県が開示している財務書類から会計指標を計算し,アンケート調査で得られた幸福度との関連を分析した.本研究の結果は,以下の3点である.第1に,多くの資産形成がなされている都道府県の住民ほど幸福度が高い.第2に,現世代の負担が将来世代の負担よりも相対的に高い都道府県の住民ほど幸福度が低い.第3に,住民一人当たり負債額が大きい持続可能性が低い都道府県の住民ほど幸福度が低い.これらの結果は,これまで伝統的に分析されてきた財政指標のみでは得られなかった結果である.これまで会計情報は財務情報の補足資料として位置づけられてきたが,2017年度から新たに全面適用となった地方公会計基準にもとづいた会計指標は主観的な幸福度と関連しており,会計情報の有用性を示した点が本研究の貢献である.
著者
鈴木 和博 Suzuki Kazuhiro 中村 俊夫 Nakamura Toshio 加藤 丈典 Kato Takenori Takenori 池田 晃子 Ikeda Akiko 後藤 晶子 Goto Akiko 小田 寛貴 Oda Hirotaka 南 雅代 Minami Masayo 上久保 寛 Kamikubo Hiroshi 梶塚 泉 Kajizuka Izumi 足立 香織 Adachi Kaori 壺井 基裕 Tsuboi Motohiro 常磐 哲也 Tokiwa Tetsuya 太田 友子 Oota Tomoko 西田 真砂美 Nishida Masami 江坂 直子 Esaka Naoko 田中 敦子 Tanaka Atsuko 森 忍 Mori Shinobu ダンクリー ダニエル Dunkley Daniel J. クシャク モニカ Kusiak Monika A. 鈴木 里子 Suzuki Satoko 丹生 越子 Niu Etsuko 中崎 峰子 Nakazaki Mineko 仙田 量子 Senda Ryoko 金川 和世 Kanagawa Kazuyo 熊沢 裕代 Kumazawa Hiroyo
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.19, pp.26-38, 2008-03

Umi is located along the Kamimura River within the Kamiyahagi area of southeastern Ena City, Gifu Prefecture. The name 'Umi' means sea or large lake; however, there are no lakes in the mountainous Kamiyahagi area. The Tokai Gou (torrential rain) flood of September 11-12, 2000 destroyed embankments along the river, and exposed sedimentary layers that are typical of a lacustrine depositional setting. This confirms the existence of a paleo-lake from which the name Umi originated. The ^<14>C ages, ranging from 280±37 to 345±25 BP, appear to be contemporaneous with Tensho Earthquake that occurred in central Japan on January 18, 1586.
著者
加藤 和生 丸野 俊一 田嶌 誠一 笠原 正洋 後藤 晶子 田代 勝良 大隈 紘子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

3年間を通して,以下の一連の研究を行った.(1)一般サンプル(大学生)を対象に,潜在的児童虐待被害の実態およびその心に及ぼす影響を検討した.その結果,多くの潜在化した被害者が存在すること明かとなった.(2)これまでに開発してきた「多重性児童虐待目録」の併存的妥当性を検討した.その結果,理論的に予想される方向の結果が得られ,妥当性が確認された.また「多重型児童虐待目録」を養護施設に措置された被虐待児に面接形式で実施し,臨床的妥当性の探索的検討を行った.本目録が,これらの子どもの体験した虐待経験を概ね測定していることが確認された.(3)F県3市の保育園に在園する幼児について,親による虐待の実態の大規模調査を保育士に実施した.その結果,約1.5%の潜在的被虐待児が存在することが明らかなった.また同時に,1-3歳児用・4-5歳児用の「幼児用児童虐待症状尺度」を開発した.(4)保育士の被虐待児の早期発見と対応に伴う問題点に関する質問紙調査を行い,その結果を質的に分析した.この結果をとおして,潜在化する被虐待児の早期発見と対応のための対策を考案する上で,今後の研究の手がかりを得た.(5)保育士による園内での児童虐待の実態を,大学生の回想報告の調査を行うことで明らかにした.(6)大規模な精神科医療機関に通院する患者における潜在的児童虐待被害の実態を調査した.(7)虐待通報が十分に行われていない理由として考えられる「虐待・しつけの認知」に関するズレを,13の職種の人たち(児童相談所職員,医師,検察官,保育士,教師,その他の職種,主婦,大学生など)について調査し,比較検討した.その結果,児童相談所の児童虐待に専門性をもつ人たちは,一般人(主婦,他の職種,大学生)よりも,虐待的行為をより非虐待的に見なしていることが明らかとなった.また他の職種の人の評定値は,これら2群の間にくることがわかった.
著者
後藤 晶
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.200-207, 2015-05-23 (Released:2015-07-11)
参考文献数
11
被引用文献数
1