著者
中野 由章 中山 泰一 筧 捷彦 萩谷 昌己 久野 靖 角田 博保 辰己 丈夫
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.100-105, 2021-08-21

高等学校共通教科情報科は,2025 年度大学入学共通テストから出題されることが大学入試センターと文部科学省から発表されている.しかし,その検討素材としては,大学入試センターが 2020 年に示した試作問題(検討用イメージ)と 2021 年に公開したサンプル問題しかない.そこで,2022 年度から高等学校で始まる「情報Ⅰ」の授業内容の構築に資するべく,1997 年度大学入試センター試験から出題されている「情報関係基礎」の問題を分類し,高等学校共通教科情報科との対応を試みた.
著者
西田 知博 植原 啓介 高橋 尚子 中野 由章
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.226-233, 2019-08-10

2016 年度から 3 年間にわたり,文部科学省大学入学者選抜改革推進委託事業「情報学的アプローチ」による「情報科」大学入学者選抜における評価手法の研究開発」において,「思考力・判断力・表現力」を評価する「情報科」CBT システムを開発してきた.ここでは,2018 年度実施した試行試験用システムと,大学 1 年生および高校生を対象に行なった試行試験とその結果を紹介する.2018 年度の試験は大学生が 111 名,高校生が 1531 名受験した.試験は小問と大問の 2 つのパートに分けて実施し,IRT で用いるような小問で思考力が測れるかの検証を行った.その結果,小問と大問の成績に一定の相関は見られたものの,更に多くの問題を試し,相関の有無を見極める必要があるという結論が得られた.また,大問に関しては,プログラムを作成するのと同等の能力がプログラムのテストを行わせる問題でも測れる可能性があることや,高校の教育内容では取り扱っていない内容でも,問題文を読み解き,間違いを探したり,条件から必要な項目を選択するなどで思考力などを総合的に問う出題が可能であることが伺えた.
著者
桐生 崇
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.1, 2019-08-10

Society 5.0時代を見据え、文部科学省では、昨年11月、「新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けて〜柴山・学びの革新プラン〜」(以下「柴山・学びの革新プラン」という。)を公表しました。この「柴山・学びの革新プラン」を踏まえ、本年6月、多様な子供たちを「誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学び」を実現するため、ICTを基盤とした先端技術を効果的に活用するための具体的な方策について検討し、新時代に求められる教育の在り方や、教育現場でICT環境を基盤とした先端技術や教育ビッグデータを活用する意義や課題を整理し、今後の取組方策をまとめた「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」を公表しました。今回は、この最終まとめに基づき、ICTを基盤とした先端技術と教育ビッグデータを効果的に活用していくための様々な取組を両輪として、新時代の学校、子供の学びを実現するための取組を説明します。
著者
中西 渉
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.101-105, 2020-12-12

筆者は高校の情報科の授業で用いるために,大学入試センター「情報関係基礎」で用いられている プログラミング言語 DNCL の構文表記を Python 風にして,Web ブラウザ上で動作するプログラミング 学習環境 PyPEN を開発した.本稿では,これまでにいただいた意見を元に行った改良について報告を行 うとともに,今後の開発方針についての考えを述べる.
著者
中西 渉
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.130-135, 2019-08-10

筆者はDNCLによるプログラミング学習環境をWebブラウザ上で実行できる環境としてWaPENを開発し,勤務校での授業で用いてきた.新学習指導要領の「情報I」に対応するべく,関数や手続きを自作できるよう改良を行った.さらにプログラムの実行結果が正しいかを判定する機能も追加した.また,WaPENを自分のサーバに置いて使用する教員等がサンプルプログラムを簡単に差し替えられるようなプログラムも開発した.このことによって,授業がよりスムースに行われると考えるものである.
著者
井手 広康
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.246-253, 2021-08-21

平成 30 年告示高等学校学習指導要領において,教科「情報」は,これまで選択必修科目であった「社会と情報」と「情報の科学」が必修科目「情報Ⅰ」に統合される.令和 3 年 4 月から 5 月にかけて,令和 4 年度より開始される「情報Ⅰ」の教科書の見本本が各教科書会社より全国の高等学校へ送付され Python,JavaScript,VBA,Scratch の 4 つプログラミング言語が使用されていることが判明した本研究では,大学入学共通テスト「情報」サンプル問題の第 2 問「プログラミング」に出題されたプログラムを踏まえて 4 つのプログラミング言語及び各教科書の比較を行った.その結果,授業でいずれのプログラミング言語を使用する場合においても,少なくとも DNCL(共通テストに使用されている疑似言語)に関する事前の演習は必要であることがわかった.またサンプル問題のプログラムに使用されたプログラミングに関する 15 個の項目に対して,すべての教科書が網羅できていないことがわかった.
著者
中野 由章 中山 泰一 筧 捷彦 萩谷 昌己 久野 靖 角田 博保 辰己 丈夫 Yoshiaki Nakano Yasuichi Nakayama Katsuhiko Kakehi Masami Hagiya Yasushi Kuno Hiroyasu Kakuda Takeo Tatsumi
出版者
情報処理学会
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
no.2021, pp.100-105, 2021-08-21

高等学校共通教科情報科は,2025 年度大学入学共通テストから出題されることが大学入試センターと文部科学省から発表されている.しかし,その検討素材としては,大学入試センターが 2020 年に示した試作問題(検討用イメージ)と 2021 年に公開したサンプル問題しかない.そこで,2022 年度から高等学校で始まる「情報Ⅰ」の授業内容の構築に資するべく,1997 年度大学入試センター試験から出題されている「情報関係基礎」の問題を分類し,高等学校共通教科情報科との対応を試みた.
著者
赤池 英夫 島崎 俊介 成見 哲
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.164-169, 2021-08-21

本研究では,本学学内における対面での利用のみを想定して作成されていた実験システムを,やむを得ない理由で遠隔対応させ使用した結果,教育にどのような影響を及ぼしたかを調査した.対象となる実験システムは,本学 3 年生の実験科目の中の FPGA を用いて初歩的な論理回路を設計する課題で用いられている.設計した回路の動作確認に実機の物理的な操作をともなうため,例年,機器の設置された計算機室に一堂に介して課題に取り組んできたが,2020 年度は新型コロナウイルス感染症対策として入構禁止措置がとられたため,学外から機器を操作する仕組みを導入し実験を遂行することとなった.とくに致命的なトラブルもなく実験を行なうことはできたが成績の低下がみられた.遠隔対応とすることで学生の好きなタイミングで課題に取り組めたことが見出されたものの,対面であれば容易に行なえる学生の理解度チェックがオンラインでは難しいこともわかり,ひいてはそれが成績低下の一因であることが示唆された.また,機器操作の回数と成績の間に正の相関関係があることもわかった.
著者
岸本 有生 本多 佑希 漆原 宏丞 兼宗 進
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.159-163, 2021-08-21

高等学校の新学習指導要領では,目的に応じた適切なデータ収集や整理,整形について理解し技能を身につけるデータ活用の分野が注目されている.実現のために ICT の活用が期待されているが,その環境はあまり整備されていない.そこで本研究では,身近なスマートフォンの内蔵センサを利用したデータ分析の授業を提案する.実際に工学部の大学 2,3 年生に対して,オンデマンドの動画配信により授業を行った.さらに,高校生に対しても,同様の授業内容が適用できるかを対面授業にて調べた.
著者
周藤 祐汰 高木 正則 市川 尚
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.114-117, 2021-08-21

高等学校の次期学習指導要領で新設される科目「情報I」の研修用教材に対応した,ブラウザ上で動作するオンラインプログラミング環境の開発を行った.本環境では,WebAssembly 上で実装された Python コンパイラ,Pyodide を用いることにより実行結果がサーバを介さずに受け取ることができる.そのため,生徒全員が一斉に演習用サーバにアクセスするための十分なネットワーク帯域を確保できない場合でも,プログラミングの演習を実施できることが期待される.
著者
高野 志歩 田村 みゆ 富岡 真由 秋信 有花 倉光 君郎
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.147-151, 2021-08-21

大学入試センターが公表した大学入学共通テスト(情報)のサンプル問題において擬似コードが用いられたことから,擬似コードによるプログラミング教育は,今後高校生の間に広がる可能性がある.擬似コードは,自然言語による理解しやすさもあり,プログラミング教育に導入しやすいという利点がある一方で,実際に動くコードを書くことなくプログラミング学習を済ましてしまうケースが増える懸念もある.本稿では,自然言語によるプログラムの理解のしやすさを活かし,かつ段階的にプログラミングを覚えることのできる新しいプログラミング言語処理系 Samoyed を提案する.Samoyed の試作を通して,プログラミングに自然言語を取り込む際の多くの技術課題が明らかになった.本発表では,Samoyed の構想と試作開発の状況を報告したい.
著者
黒河内 椋平 新村 正明
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.30-35, 2021-08-21

情報技術系演習において演習システムを web アプリケーションで提供する場合,学習者がサーバにアクセスして作業を行うため,学習者の学習行動履歴の取得が容易である.これにより,それらのデータを活用したラーニングアナリティクスによって,講師や学習者に対して講義全体の進捗把握や学習者のつまずき検知などの支援を行うことができる.しかし,異なるツール間での学習行動履歴を用いてラーニングアナリティクスを行う場合,各々に DB の作成などといった学習行動履歴収集環境を構築するだけでなく,個々のツールから収集した学習行動履歴の整形が必要となる.本研究ではラーニングアナリティクスの導入を容易にするために学習行動履歴の収集を簡易化するプラットフォームの提案と評価を行った.
著者
櫻井 淳 小林 稔
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.22-29, 2021-08-21

近年,児童の投能力などの身体活動量の低下が問題視されている.この状況を鑑み,2020 年度より全面実施の小学校学習指導要領において,体育授業に投の運動に関する指導が新たに追加された.しかし,その指導方法は各教師に委ねられており,児童の動作改善にまで着目した指導は十分になされていない.そこで,本研究では,カメラを用いた投げ動作の分析支援システムを提案する.そして,小学校 2 年生を対象にジャベリックボールを活用した投の運動の授業を実践し,授業前後の投げ動作を分析する.これにより,投能力向上に影響を与える動作要因を明らかにし,児童に対する動作改善指導への活用可能性を検討する.
著者
越智 徹 館野 浩司
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.61-68, 2021-08-21

我々は,大学初年度情報リテラシー教育を担当している.2021 年度は前期授業開始直後は対面授業での実施となったが,関西地区での新型コロナウイルスの急拡大や緊急事態宣言の発出によって,4 月下旬からオンライン授業へと切り替わった.オンライン授業では,教室で実施される対面授業と比較すると,学習環境が学生によってさまざまに異なるという面があるが,一般に,自宅でオンライン授業を受講する際の,机や椅子といった什器を含めた総合的な環境についての推奨例など情報提供は行われていないようである.そのため,学生によってはオンライン授業独特の疲労が蓄積し,それによって学習の妨げになっているのではないかと考え,昨年度に引き続き学習環境や疲労についてアンケート調査を実施した.その結果,居室や PC 環境以上に,PC に対する不慣れからくる姿勢が疲労の原因となっているのではないかと推測された.
著者
石川 晴香 高木 正則 市川 尚 森本 康彦
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.45-52, 2021-08-21

著者らの大学では,数学リメディアル科目を反転授業形式で実施している.この科目では,毎回の授業の中で著者らが開発した学習計画作成支援システムを利用し,授業外学習の学習計画や学習記録を登録させている.これまでの実践では,本システムによる学習目標の達成に結びつく,実行可能性の高い学習計画の作成の支援ができていなかった.本研究では,学習計画力の向上を目的とし,過去の学習計画の実施状況の客観的な把握を促す振り返り支援機能を開発した.また,2021 年度前期に本学で実施された数学リメディアル科目において,本システムの利用実験を行った.システム評価の結果,ダッシュボードと関連付けて振り返りをさせることで,過去の学習計画や学習記録等のデータに基づいて,より実行可能性の高い学習時間に学習を計画できるようになったことが示唆された.