著者
古谷 義人 坂田 公男
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.17, pp.22-23, 1961-10-25

早期栽培陸稲の生育経過を明らかにして,早期栽培法確立の資料とするため,1957年から1959年の3年にわたり,比較として善通期栽培のものについても調査を行った。試験方法供試品種は農林15号,農林24号で,早期を4月10日,普通期を6月4日に播種した。作式は畦幅60cm,株間2cm×10cm千鳥播とし,10アール当り74惆潰播種した。
著者
尾形 武文 矢野 雅彦 田中 昇一
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.55, pp.31-34, 1988-12-15

良食味品種「ミネアサヒ」の移植時期の移動による生育の特徴や収量性の変化は次のとおりである。1.「ミネアサヒ」の安定多収を得るための最適な移植期は6月初旬頃であった。2.移植期が5月6日〜6月20日の問では,主稈葉数は13葉前後でほとんどかわらない。3.出穂,成熟期は10日早植することにより,5〜6日早まった。4.5月.上旬植では,1種籾数の減少がみられた。5.6月20日植では,籾数の確保は容易であるが,穂満期の程の充実や受光態勢が劣るため,登熟歩合の変動が大きかった。以上の結果並びに施肥法試験の結果から,京築地域の平坦〜山麓地における「ミネアサヒ」の栽培において安定多収を得るためには,移植期が5月上旬植の場合10a当り収量500kgを目標に,m^2当り籾数は28,000〜30,000粒が適切であった。また,このための窒素施用量(10a当り)は基肥5〜7kg,1回目穂肥1.5〜2kg,2回目穂肥1.5kgが適当であった。さらに,6月上旬植の場合10a当り収量530kgを目標とすることが可能であり,その場合のm^2当り籾数は30,000〜32,000粒が適当であった。このための窒素施用量(10a当り)は,6月上旬植では基肥5〜6kg,1回目穂肥1.5kg,2回目穂肥1.5kgが適当と考えられた。なお,以上の2移植期ともに,1回目の穂肥を出穂前20日頃(幼穂長2〜3mm)にすることが効果的であった。
著者
近藤 和彦 石井 康之 伊藤 浩司 沼口 寛次
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.60, pp.50-53, 1994-03-11
被引用文献数
1

春播き(4月5日播種)および秋播き(1O月1日播種)のベントグラスにおいて,冬期の乾物生長に対する生長調節剤処理の影響について検討した。生長抑制剤バウンティ散布区(B区),蒸散抑制剤ミドリテール散布区(M区)および対照区(C区)を設け,B区は11月中旬に1回のみ,M区は11月中旬より2週間間隔で,春播きは計8回,秋播きは計上0回処理した。地上部乾物重は,処理後4週間目ではB区が最も小さかったが,春播きでは2月11日以降,秋播きでは1月7日以降B区の地上部重が他の2区よりも大きくなった。秋播きの刈株乾物重および葉身重比率は,B区が一貫して他の2区よりも有意に大きかった。茎数は,生長抑制剤処理により増加し,その処理の影響は秋播きの方が大きいことが示された。これは処理開始時までの茎数が,秋播きでは少なく,茎数増加期に相当していたことによると推察された。したがって,地上部重の区間差は、主に茎数の差によっていた。クロロフィル濃度は宇B区の値が他の2区より高く維持された。M区の生長経過はC区に比べて優ることはなかった。以上により,冬期における生長の抑制と葉身の退色を緩和するには,秋における生長抑制剤の散布は有効であると推察された。
著者
続 栄治 菓子野 政明 田崎 信生 宮元 秀樹 寺尾 寛行
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.58, pp.18-20, 1991-12-20

稀水酸化カリウム溶液に水稲葉身を浸漬する方法で香りの遺伝について検討し,次のような結果を得た。水酸化カリウム溶液に葉身を浸漬する方法によって香り有無の判定が可能と考えられた。水酸化カリウムの最適濃度は1.2〜1.7%にあると推察された。香り米6品種および普通米1品種(日本晴)の細かく刻んだ葉身を水酸化カリウム1.7%溶液に浸漬し,香りの強弱を判定した結果,在来香り米ユノヒラを除いた香り米は香りの強弱に対する判定が高く(平均値が1.0を越える),香り有と判定された。
著者
森 清文 原田 昭夫 露重 美義
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.73, pp.41-43, 2007-05-15

暖地加工用バレイショの収量性,デンプン価向上を達成するための栽培要因解析を行った結果,以下のことが明らかとなった.1.収量性の向上には,施肥窒素量,種いも1個重の効果が認められ,施肥量がN:1.5kg/a,種いも1個重40g使用で増収する.2.デンプン価は,マルチの色,種いも1個重,株間,施肥量のいずれの要因効果は認められず,生育期間と植付期についてのみ要因効果が認められた.3.デンプン価は,植付けを2月1日までに行い,5月中句の収穫によって低下を防ぐことができる.
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.13, pp.54-56, 1958-12-08

九州の馬鈴薯栽培は北の方の馬鈴薯栽培と違い,所謂温暖性を利用した秋作型に特徴があると思びます。叉この作型は收量も多いので今後当然取上げてゆくべき問題と思います。所が今まで馬鈴鞍については園芸関係の人が蔬菜として利用していただけで,種芸関係の人は一般に疎い点があったようです。然し今後は水稲早期栽培の跡作の点でも問題になるので種芸でも当然考えてゆく必要があると思います。馬鈴薯栽培については予備知識が少いので本日の討論では結論は出にくいと思いますが,各方面からのきたんのない意見や質問をお願ひしたいと思います。先づ九州における馬鈴育栽培の現状を秋馬鈴薯栽培について,各県から御説明願いたいと思います。
著者
原田 皓二 鐘江 寛
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.49, pp.33-36, 1982-12-10

構築物が南北方向に位置する西側の圃場において,構築物の日陰による日照時間の減少が水稲の生育に及ぼす影響の範囲と内容について明らかにした。1.秋分の日の日照時間が9時間以上の地点では,水稲の生育に差がなかったが,9時間以内の地点では日照時間が短くなるほど生育に対する影響が大きかった。2.日照時間が短い地点では茎数,穂数,籾数が少なく,乾物重が小さく,葉身,得とも生育が軟弱であった。3.日照時間が短い地点では出穂期,成熟期が遅延し,玄米の品質が低下した。4.日照時間9時間以上の地点に対するそれよりも短い日照時間の地点の収量比率は日射量比率と有意な相関を示し,両者の関係は一次式で示された。
著者
船場 貢 松原 功 立石 博 三好 祐二
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.56, pp.21-24, 1989-12-25

8月中旬までの収穫を目標に,移植期と苗の種類を組み合わせて,出穂・成熟期の早進化程度及び生育・収量について検討し,下記の結果が得られた。1.中苗を4月中旬に移植すれば8月15日までに収穫でき,生育・収量も4月下旬植稚苗に比べて大差はない。また活着及び減数分裂期の不稔についても問題はない。2.4月上旬植は,4月中旬植より更に早進化するが,その程度は小さく,年により晩霜や低温のために減収する危険性がある。3.現在作成中のメッシュ気候図を利用することにより,地域の気象条件に応じた移植時期を設定することが必要である。
著者
松本 豊士
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.32, 1969-07-30

昭和42年度より,九州農試と共同研究事業として発足した水稲品種育成事業を,より良く明確に進めるために,過去11ヵ年間に当分場で供試された水稲奨励品種決定試験の資料をもとにして,当該地方における収量阻害要因のうち,気象要因,生物要因をとりあげ,その関係を逐次解明しようと試みた。今回は,供試数122品種,53系統を〔I〕移植期,〔II〕出穂期の2群に別け,それぞれの群別における穂数,穂長,千粒重,および移植後30日間,出穂前25日間,同じく15日間,出穂後30日間の日照時間が収量におよぼす影響について調べた。その繍果〔I〕移植期では5月15日〜5月25日植,〔II〕出穂期では,8月15日〜8月25日の作型が安定した様相を呈していることがわかった。
著者
市丸 喜久 牧山 繁生 水田 徳美 土橋 利則 釘本 忠人 岩田誠一郎
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.59, pp.13-15, 1992-12-21
被引用文献数
5

水稲潮風害の実態調査を実施し,以下の事を明らかにした。1.NaCl付着は,海岸から8?地点まで広範囲に認められた。水稲に対する付着の様相は一定しており,穂に付着する割合は,10%であった。2.一穂当たりNaCl付着量は,海岸線付近で2.5?を超え,2.5?地点までは0.5?以上の値であった。3.収量調査の結果,0.3?が潮風害発生限界濃度と推察された。4.今回の水稲の生育ステージ(出穂後4〜15目)の範囲で,一穂当たりNaCl付着量および穂の損傷程度と,減収率の関係を明らかにした。5.4.の手法により,潮風害遭遇後5目以内に被害程度を推定することが可能である。
著者
吉田 智彦 楠本 亮也
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.61, pp.70-71, 1995-05-15

1.キビを5月と8月の2回播種して二期作栽培し,その生長解析を行った。5月播きのCGR及び太陽エネルギー利用効率の最大値は20.5gm^-2d^-1と2.67%であり,それに対し8月10日播きは6.11gm^-2d^-1と0.81%であった。2.主稈の収量への寄与率は5月播きは60%,8月播きは72〜74%であった。主稈の寄与率の高い品種が多収であった。
著者
丸峯 正吉 坂井 健吉
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.16, pp.4-6, 1961-04

最近甘藷では原料用高殿紛多収品種の早期育成が望まれている。このため従来の品種間交配によるほか,野生種,近縁種との交雑による種属間雑種の利用や自殖系統の利用など新しい方法が取上げられているが,X線照射による突然変異の利用もまた注目すべきものと考えられる。X線照射による甘藷の突然変異に関する研究は真島,佐藤氏(1958)のものを除き余りないようであるが,甘藷の品種は遺伝的にはきわめてヘテロであって,変異が現われ易いこと及びその変異は栄養繁殖によって瞳ちに利用することができるので,目的とする品種の早期育成には好都合である。前記真島民等は甘藷農林1号を用い,X_1まで観察した結果,藷の皮色,茎の形状にかなり多くの変異が現われたことを報告しているが,蔓や藷の収量及び澱粉歩留等所謂ポリジーン形質に関しては詳細な圃場試験が必要であると述べている。われわれはポリジーン形質に関する変異の程度をみることを主とし,合せて既成品種の中にある不良形質をX線照射により除去することができれば,その品種の価値を一層高めるものでもあるので,早掘用品種フクワセの皮色の淡紅を鮮紅もしくは赤に,原料用品種ナガムラサキの肉色にある紫最を除去することを従として両品種にX線を照射し,1958年より2ケ年各種形質の変異の状態を観察したのでその結果を報告する。
著者
杉本 明 氏原 邦博 前田 秀樹 下田 聡
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.67, pp.52-54, 2001-05-15

琉球弧におけるサトウキビの安定多収栽培実現の主な障害は, 収穫後の萌芽が不良で株出しの生産力が低いこと, および, 台風, 干ばつ被害を受けやすいことである. 琉球弧の気象条件に適応性の高い栽培法を確立するために, 秋植え・秋収穫による1年1作株出し多収栽培法成立の可能性を検討した. 極早期型高糖性品種を用いた秋植えは, 気象災害に比較的強い夏植えと同様の生育経過を辿り, 1年後には収穫しうる糖度に達する可能性が高い. 秋収穫における萌芽時の地温は, 冬収穫時の地温に比べて萌芽適温に近く(宮里 1986, 杉本 2000), 既存の品種を10月に収穫すると, 株出し栽培の萌芽・初期生育が改善されて梅雨時期には生育旺盛期に達することが報告された(杉本 2000). 梅雨前に大きく生長したサトウキビは梅雨の降雨を最大限に利用して旺盛に生育し, 多収になるとともに, 土壌表面の植物被覆により, 土砂流出抑制への貢献も期待される. 本報告では, 収穫時期の異なる1年栽培の株出しサトウキビに認められる蔗茎収量および可製糖率に関連する特性の差異を報告する.
著者
比屋根 真一 真境名 元次 比嘉 明美 儀間 靖 新里 良章 生駒 泰基
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.74, pp.39-42, 2008-05-15

沖縄本島南部地域のサトウキビ畑における曝気処理水の散布時期と量を求めるため,ジャーガルにおいてタンクモデルを適応した.本モデルによる土壌水分量のRMSEは2.5%であり,タンクモデルによる土壌水分量や水収支量の推定は可能であると判断した.過去30年間の降水量をタンクモデルに入力し,作土層からの浸透水の発生時期を検討すると,梅雨時期の5〜6月と台風等の豪雨が認められる8〜9月に多く認められた.月あたりの浸透水量と降水量の関係を検討すると,両者の間に統計的に有意な正の相関関係が認められ,浸透水量=0.8061×降雨量-71.776の関係式が得られた.この式から浸透水が認められない降水量は89mm/月となった.日あたりの降水量と浸透水量の関係から,土壌水分の違いによる作土層から浸透水が認められない降水量は,初期しおれ点付近では27.2mm/日,圃場容水量から数日後のそれは4.5mmとなった.以上より,タンクモデルを用いてジャーガルにおける曝気処理水の散布時期と量が明らかとなった.
著者
高瀬 昇 坂田 公男
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.18, pp.23-24, 1962-05-01

従来,甘藷の栽培で窒素は澱粉歩留りに無関係,燐酸独歩留りを高め,加里は歩留りを低下させるといわれている。これらの関係を甘藷品種および肥料の組合わ背に.おいて検討する。
著者
財津 昌幸 古明地 通孝 田中 滋郎 井口 武夫
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.49, pp.70-72, 1982-12-10

1栽植株間の広狭に対する株当総分枝数の増減には品種間差がみられ,タチマサリは株問とする25〜7.5?の問では増減しないが,ナカテユタカ,千葉半立は株間を広げるほど増加した。2ナカテユタカと干葉半立は株問25?以下の株当総分枝数ではほとんど品種問差異が認められなかったが,株問426棚の疎植区では干葉半立の分枝発生が著しく多くなり,両品種の特性の差が明確になった3.子葉節分枝の節間長が最長となる節位は,タチマサリでは株問を変えても比較的基部の第5〜第6節間にあり,変化しないが,ナカテユタカは株間が狭くなるにつれ上位節に移動し,干葉半立はすべて上位節に位置した。