著者
中澤 芳則 松井 未来生
出版者
日本作物学会九州支部
雑誌
日本作物学会九州支部会報
巻号頁・発行日
no.76, pp.22-24, 2010

8品種系統の大豆品種系統を供試し,凝固剤として塩化マグネシウム6水和物,硫酸カルシウムおよびグルコノデルタラクトンを用い,その濃度を変えて充填絹ごし豆腐を作成し,その最大破断応力のピークを品種系統の最大破断応力とし,タンパク質含量との関係を調査した.その結果,硫酸カルシウムおよびグルコノデルタラクトンで品種系統の最大破断応力とタンパク質含量に有意な相関が認められたが,塩化マグネシウム6水和物では有意な相関が認められなかった.また,栽培条件が同じであるが,タンパク質含量の異なる同一系統の子実を供試し,塩化マグネシウム6水和物の濃度を変えて充填絹ごし豆腐を製造し,その最大破断応力の変化を調査した.その結果,タンパク質含量の高い方の子実が低い方の子実より最大破断応力のピークが高く,また,最大破断応力のピークを示す塩化マグネシウム6水和物の濃度はタンパク質含量の低い方の子実で高かった.
著者
田淵 宏朗 田中 勝 甲斐 由美 高畑 康浩
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.81, pp.46-49, 2015-05-15

22品種・系統のサツマイモについて,「ハイスターチ」のサツマイモネコブセンチュウレースSP1・SP2に対する抵抗性遺伝子座qRmi(t)判別用DNAマーカーE33M53_090・E41M32_206の遺伝子型の決定,および,抵抗性形質の検定を行った.両者の関係を解析したところ,これらのDNAマーカーは「ハイスターチ」の後代品種・系統においてハイスターチ型のqRmi(t)を継承する抵抗性系統の選抜に使用可能であることが示唆される結果が得られた.
著者
吉岡 昌二郎 高木 文男
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.13, pp.44-45, 1958-12-08

苧麻の歩留はすべて剥皮機械を用いて測定されているが,機械の性能も完全なものでなく,従って繊維が切断されたり,又人為的に損失を多くしたりする場合が考えられ,一方生育途中或は熟期に達したものも台風の為に折損し,その部位から繊維が切れて,実験結果が不正確になる場合等もあり,叉幼苗期の選抜は剥皮機械を用いられない等の点から,機械によらないで歩留を調査する方法を見出す為に2,3検討を行ったので取まためて報告する。
著者
江藤 慶一 伊藤 延久
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.17, pp.36-39, 1961-10-25

最近水稲早期米の精白歩合・食味など品質に関して批判の声が高まっている。しかし早期栽培は試験研究の日なお浅く,品質特に食味についての研究は比較的に少ないようである。そこで私達は早期米の品質改善対策の基礎資料を得るため,早期米7品種について玄米の藷特性・精白歩合・食味等予備的な調査を行なったので,その概要を報告する。
著者
紙屋 貢
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.20, pp.78-80, 1963-06-20

最近鹿児島県の本土においても甘藤の栽培が行われるようになり,一部には製糖工場も設立せられて,栽培面積も急速に増加の傾向にある。鹿児島県本土の甘熊栽培の歴史は古く,相当の栽培面積をみた時代もあったので,この機会に鹿児島県本土の甘蕉隷培の消長を明らかにし,砂糖が一部地方では重要農産物であったことをのべて参考に供したい。なおこのことについては筆者が鹿児島県農試熊毛分場場在勤時代に調査したことがあったが,未発表のまま資料が逸散してしまったが,今度鹿児島県農事調査なる資料をみることが出来たので,これを中心にし手許にある資料で急いでとりまとめることにした。
著者
松永 亮一 高橋 将一 小松 邦彦
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.67, pp.62-64, 2001-05-15

九州で栽培されている大豆品種は九州農業試験場で育成された良質多収品種である「フクユタ力」が3分の2以上を占め, 残りのほとんどは「フクユタカ」に放射線を照射して白目化した「むらゆたか」が栽培されている. 両品種とも子実の蛋白質含粒率が高く, 主に豆腐の原料として利用されており, 納豆の原料となる小粒品種の栽培はほとんどないため, 九州の納豆製造会社では国産の小粒納豆製品の原料として北海道産あるいは関東産を使用しており, 九州で栽培できる納豆用小粒大豆品種の育成に強い期待があった. この要望に応えるために, 九州農業試験場では新たに納豆用小粒大豆品種として「すずおとめ」を育成した. 本報告では, 「すずおとめ」の主要な栽培特性を明らかにするとともに, 「すずおとめ」を原料とした試作納豆の試食アンケートを一般の消費者を対象として実施することによって, 試作納豆の官能評価を得るだけでなく, 今後の納豆用品種育成に役立てるための納豆製品に対する消費者ニーズの調査を行った.
著者
清水 康弘 安井 利昭 長谷川 航 大成 忍 白石 真貴夫
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.79, pp.1-3, 2013-05-15

極早生〜早生品種を比較した結果,高温登熟条件下で品質低下が少なく,収量性が高く,良食味である「つや姫」が有望であり奨励品種に採用した.
著者
市原 泰博 舩場 貢 古賀 潤弥 土井 謙児 大脇 淳一
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.79, pp.4-7, 2013-05-15

1.気温と日長を用いて出穂期を予測するDVR関数式を検討した.早生品種である「コシヒカリ」,「つや姫」は気温のみまたは気温と日長を気象要素とする関数式が,中生品種である「ヒノヒカリ」,「にこまる」は気温と日長を気象要素とする関数式が出穂期を高い精度で予測することが明らかになった.2.「コシヒカリ」,「つや姫」は気温のみを,「ヒノヒカリ」,「にこまる」は気温と日長を気象要素とするDVR関数式を水稲生育予測システムに採用した.3.新たな生育予測システム用いて適作型を推定した結果,近年の温暖化が進んだ長崎県央平坦部には「ヒノヒカリ」栽培は適応しにくく,「にこまる」栽培は適応できることが明らかになった.
著者
中澤 芳則
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.80, pp.16-18, 2014-05-15

多数の品種系統を供試し,塩化マグネシウムを凝固剤として濃度を変えた豆腐を加熱絞り法で作成し,その破断応力を測定した.その破断応力の変化から凝固剤濃度を変えたときの最大破断応力を推測し,豆腐の製造条件別にタンパク質含有率との相関関係をしらべた.その結果,塩化マグネシウムを凝固剤として加熱絞り法で豆腐を作成した場合,最大破断応力とタンパク質含有率は必ずしも有意な相関関係を示さないことが明らかになった.
著者
中路 富士夫 吉富 研一 山本 栄
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.19, pp.3-6, 1962-11-01
被引用文献数
3

昭和36年産の水稲は当初好天に恵まれ豊作型の生育相を示していた。9月16日第2室戸台風が来襲したが,本県では風速も比較的おそく,従って当初は水稲には大した影響はなかったかに感じられたが,日時の経過につれて損傷があらわれ,過去に事例のない様相で大きな被害をあたえ,連続4年豊作の夢はむなしくやぶれ去った。なかでも潮風をまともにうけた玄海沿岸地帯は被害甚大で,収穫皆無あるいはこれに近い被害を受けたところがかなりみられた。又海岸線から遠くはなれた佐賀北部及び東部山麓にも潮風がふきこみ相当な被害をこうむった。その上品質の低下が著しく農家経済にあたえた打撃は大きかった。筆者らは佐賀農試内で行なっている気象感応試験圃場において台風にともなう被害程度を推定するため,防風極を用いて台風被害回避試験を実施したので,その結果の概要を報告する。
著者
岩元 保 持留 一成
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.12, pp.12-14, 1958-05-01

鹿児島県に於ける水稲早期栽培は,その成果が極めて顕著で,其の作付面積も急激に増大しつつあるが,この早期栽培の作況も可成り気象的条件によって支配されることが知られている。結論的には早期栽培の収量は気温の関係よりも,幼穂形成期後の日照の多少がより深い関係を持つものと考えられる。特に鹿児島県の早期栽培は8月下旬の台風害を避けるために農林17号の場合で出穂期を遅くとも7月10日頃迄に持って来るような栽培法がとられているので,幼穂形成期直前から出穂期前後迄梅雨期に遭遇することになり,年によっては乳熟期頃迄かかる時もある。鹿児島気象台の観測した過去20ケ年の平均梅雨入り日は6月4日,梅雨上り日は7月15日になっている。しかし,これらの梅雨入り,梅雨上り,梅雨期間及び梅雨期間申の日照時数を色々調査すると可成りの年次差がみられる。例えば,昭和29年度は梅雨入りが早く,梅雨上りは遅く逆に昭和30年度は梅雨入り遅く,梅雨上りは早くなっており,日照時数についてみると,幼穂伸長発育期間は昭和29年度は約41時間,昭和30年度は約80時間であった。叉豊熟期間は昭和29年度は163時間,昭和30年度は192時間であった。そして作況は昭和29年度は稍々不良,昭和30年度は良好であった。以上の事例のとおり,幼穂形成期後の日照の多少が水稲の作況に影響する所が相当大きいと考えられたので,昭和32年は差し当り,人工的に日照を制限した場合,特に稔実関係にどのような悪影響があるかを簡単に試験したので,其の結果を報告したい。
著者
廣瀬 大介
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.77, pp.51-53, 2011-05-15

焼酎もろみ粕肥料の施用量を変えてサツマイモを栽培してそれぞれの収量と品質について比較した.その結果,慣行栽培と同等の収量を上げるには,焼酎もろみ粕肥料を栽培指針に示された量より2倍多く施用する必要性が示された.一方,品質は,施用量の違いよる差異は見られなかった.
著者
鈴木 崇之 佐野 善一 小林 透 安達 克樹 持田 秀之 岩堀 英晶 立石 靖
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.71, pp.44-46, 2005-05-15

サツマイモネコブセンチュウ汚染圃場に薬剤処理区と無処理区を設け, サツマイモ(高系14号, 九州139号, ジェイレッド)-ダイコンの体系試験を実施した.無処理区で線虫に感受性品種である高系14号を栽培すると減収, 塊根の線虫害, 線虫密度の増加が顕著だったのに対し, ジェイレッドを栽培すると減収, 塊根の線虫害はほとんどなく, 線虫密度も栽培期間を通じて低く推移した.いずれの試験区でもダイコン根部には線虫による実害はなかったが, ジェイレッド跡では後作ダイコンの根こぶ指数も小さく, 線虫密度も翌年春まで低く維持された.
著者
前田 英俊 田崎 信幸 竹内 公博 小川 義雄 松場 貢
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.59, pp.9-12, 1992-12-21
被引用文献数
5

1.平成3年9月14日に台風17号,次いで27目に19号が長崎県に襲来し,水稲に大被害を及ぼした。とくに諌早地域を中心とする県失地帯に大被害を及ぼしたので,31地点の坪刈調査により,被害要因の生態的解析を行った。2.品種による差異 早生の日本晴は被害が最も少なく,早生の晩のヒノヒカリから強く影響を受けており,出穂期の遅い品種ほど被害が大きかった。出穂期から登熟期のごく初期に台風にあったものがとくに登熟歩合への影響が強く,登熟が進んでいたものは影響が少なかった。また,出穂期の遅い品種ほど粒厚の薄い方に分布が多くなった。3地形による差異 海岸近接地および平坦地で直接海からの暴風にあった地点での被害は著しいが,回りを山に囲まれ風をあまり受けなかった地点は影響が少なかった。4.海岸からの距離による差異 海岸から離れるほど収量,品質ともに向上した。とくに海岸から2.5?以内に作付されたものは品質低下が著しく,塩分濃度の高い潮風がこの範囲までは強く吹いたことを示した。
著者
土居 健一 真鍋 尚義 菊地 一幸 松永 靖雄 竹藤 賢次郎
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.53, pp.13-16, 1986-12-25
被引用文献数
5

福岡県有明海沿岸地域において,1985年8月31日に来襲した台風13号により1,055haの水稲が潮風害を受けたので,その実態調査と対策試験を行った。また1976年9月13日に来襲した台風17号による潮風害についても比較検討した。1.穂孕期に潮風害を受け,その後12日目の上位3葉身の褐変化程度と精玄米重の間には負の相関が認められ,褐変化程度が大きいものほど精玄米重が低かった。
著者
古城 斉一 原田 皓二
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.35, pp.20-21, 1971-06-30

(1)稚苗を用いて,熟期の異なる品種を晩期栽培に供した場合の出穂期の変化を明らかにするとともに,最も好適すると考えられる日本晴について,品質・収量を調査した。(2)筑後地域での冷害年における出穂限界は9月22〜23日頃と考えられるので,本年の気象を考慮すると9月13〜14日頃までに出穂した品種,移植期であれば,一応安全だと考えられる。(3)日本晴を7月25日に移植した場合,収量も比較的高く,品質も良好なので実用化の可能性がある。(4)育苗箱では苗の生長がおそいので,苗床日数30日以内では,極早生品種でも不時出穂は見られなかった。(5)今後は実際のイグサ収穫跡水田で検討する必要がある。
著者
松尾 太 福島 裕助 大賀 康之
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.59, pp.19-22, 1992-12-21

1991年9月14目および27日に相次いで台風が襲来したので,台風襲来直前に防風枠を設置し,品種別,被害回数別に台風が稲体,登熟進行,収量,収量構成要素,品質に及ぼした影響の実態調査を行った。1.防風枠を設置し,被害回避区を設定することにより台風被害の解析を行うことが可能であった。2.籾の褐変は,出穂直後に被害を受けたユメヒカリで最も多く,各品種とも2次枝頂での程度が高かった。また台風19号による褐変はヒノヒカリ,ニシホマレでは認められなかった。3.葉身の裂傷はいずれの品種でもみられたが,その程度は品種により異なった。また台風19号により増大した。4.脱粒は,台風17号では僅かであったが,台風19号により増加した。増加程度はニシホマレで最も大きかった。5.台風被害により登熟進行は阻害された。またヒノヒカリでは2次枝梗着生籾への影響が大きかった。6.台風被害により収量および玄米の品質は低下し,被害回数が多いほどその程度は増加した。減収要因は登熟阻害によるものであり,減収程度は台風遭遇時の生育ステージの差異,および草型の違いによる葉身被害の差異により異なること,品質の低下は,被害時の登熟進行程度が関与していることが推察された。
著者
陣野 久好 木崎原 千秋 田中 甫
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.19, pp.7-9, 1962-11-01
被引用文献数
5

9月15〜16日に本土を襲った第2室戸台風は,長崎県においては,松浦市,平戸市,北松浦郡,南松浦郡の北部島喚および壱岐,対馬の水稲に甚大な潮風害を与えたので,特に被害の甚しかった北松浦郡田平町を選び,被害の様相を調査したものである。
著者
瀬古 秀生 阿部 新一 波津久 文芳 和田 学
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.14, pp.9-12, 1959-12-08

米作日本一表彰会の昭和33隼度競作において,九州ブロックの全州審査で反当収量5石以上のもものが2点あつたが,このようなことは同会始って以来(昭和2毎年)初めてのことである。両者とも山間部から出品されたものである。平坦部農家でも5石を夢みて努力を重ねて来た人が多数あったと考えられるが,何れも収穫顛かなり前から稲を倒したようである。.この年の秋の如く,台風も強雨もないのに倒伏の甚だしかった年次は珍らしい。この現象は全国的であったようである。従ってこれは農家の施肥,管理の失敗のみではなく,共通的な遠因があるものと考えられる。昭和32年度はこれに反して倒伏した水稲はほとんで見られなかった珍らしい年である。33,32,31年度の稲作と倒伏に関して簡単な考察を加えて今後の参考としたい。
著者
永松 土巳 山本 正雄
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.16, pp.12-15, 1961-04

栽培地を異にした水稲の生育相の差違を明らかにするとともに,暖地の早期栽培における収監構成の機椛を解明せんがために若干の調査研究を行なったのその概要を報告する。