著者
佐々木 紀葉 佐竹 將宏 伊東 知晃 木元 祐介 岩澤 里美 照井 佳乃 上村 佐知子
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.219-224, 2019-07-01 (Released:2020-07-15)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究の目的は,脳卒中片麻痺者の短下肢装具(AFO)の装着方法を調査し,AFOの種類,身体機能およびバランス能力との関係を明らかにすることであった.対象は,AFOの着脱が自立している脳卒中片麻痺者26名(男性18名,女性8名)で,平均年齢は59.3±12.0歳であった.AFOの装着動作を分析した結果,装具を床に立てて装着する方法(立型)と足を組んで装着する方法(組型),その他に分類することができた.立型と組型では装具の種類に有意な違いがみられ,立型は組型よりも感覚と体幹屈曲機能が有意に高く,組型は立型よりも膝伸展筋力と座位バランスが有意に高い値を示した.脳卒中片麻痺者のAFOの装着方法には,装具の種類と身体機能およびバランス能力の違いが影響することが示唆された.
著者
玉城 雅史 大澤 傑
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.50-53, 2007-01-01 (Released:2010-02-25)
参考文献数
13
著者
平山 史朗 宮本 忠司 渡邉 英夫
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.260-263, 2010-10-01 (Released:2013-07-15)
参考文献数
6

脊椎圧迫骨折の治療は保存療法が主体をなし,前屈運動を制御する目的で体幹を外固定する.今回,本骨折に用いられる 5 種類の体幹装具と可撓性プラスチックキャストで製作する即席体幹装具を 1 被験者に製作し,装着下での体幹の可動域より制動力を調査し,さらに装着の仕方による制動効果の変動についても検討した.6 種類の装具は体幹の可動域において,いずれも屈曲への制動効果が比較的に高かった.その中で軟性 LSO の屈曲への制御力が最も低く,本骨折への使用には慎重になる必要があると思われた.また,装具の不適切な装着は制動効果を低下させた.装具の制動力は装着の仕方により影響を受けるため,装着方法や ADL 指導が重要になると思われた.
著者
横江 清司
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.265-269, 1993-07-31 (Released:2010-02-25)
参考文献数
25
著者
岩田 学 近藤 和泉 福田 道隆 橋本 賀乃子 相馬 正始 八戸 善直
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.372-377, 1998-10-01 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5

片麻痺患者に見られる緊張性足指屈曲反射 (TTFR) に対する inhibitor bar の効果について検討した. 対象は慢性期の片麻痺患者で, 短下肢装具を着用し, 独歩可能な患者16名とした. この16名をTTFRが認められるTTFR群8名とTTFRが認められないCONTROL群8名に分け, 短下肢装具への inhibitor bar 装着前後で, 最大歩行速度が変化するかどうかについて比較検討した. その結果TTFR群では inhibitor bar 装着により, 最大歩行速度が14.5%向上し, stride length で6.75%, cadence で6.8%の増加が認められた. CONTROL群では, いずれも有意な増加を認めなかった. TTFRが認められる片麻痺患者では, inhibitor bar の装着により歩行能力の向上が期待できることから, その積極的な活用が望まれる.
著者
今岡 信介 佐藤 浩二
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.270-273, 2016-10-01 (Released:2017-10-15)
参考文献数
14
被引用文献数
4

回復期リハビリテーション病棟に入院し,長下肢装具(以下 : KAFO)を作製した脳卒中片麻痺患者において,発症からKAFO作製までの期間(以下 : 作製期間)が身体機能とADL能力に及ぼす影響を調査した.研究デザインは,横断的研究とし,身体機能,ADL能力と作製期間の関連性,実用歩行を規定する因子とカットオフ値を算出した.結果,作製期間と退院時FBS, 退院時NTP stage, 退院時FIM, FIM改善度は,中等度の相関が認められた.また実用歩行を規定する因子として,退院時FBS得点と作製期間が抽出され,カットオフ値は,退院時FBS得点 : 28.3点,作製期間 : 60.5日であった.このことから,作製期間は身体機能とADL能力に影響を与える重要な要因と考える.
著者
石井 栄一郎 狩野 綾子 有薗 秀昭
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.21-27, 2011-01-01 (Released:2013-08-15)
参考文献数
14
被引用文献数
1
著者
藤原 憲太
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.208-215, 2018-07-01 (Released:2019-07-15)
参考文献数
10

小児整形外科と装具治療は切ってもきれない関係がある.中でも脊柱側弯症に対しては,歴史的に様々な装具治療が行われてきた.現在においても,装具治療は手術治療と双璧をなす重要な治療法である.今回,頻度の高い特発性脊柱側弯症を取り上げ,その基本知識,側弯症装具の歴史と側弯症装具の矯正理論を概説する.各論として,筆者が使用している大阪医大式装具とSemoto-Nagano式夜間装具の開発の歴史,特徴,矯正理論,適応,作成,装具装着上の注意点,患者への説明について述べる.
著者
高倉 朋和
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.71-78, 2017-01-01 (Released:2018-01-15)
参考文献数
32

研究をスタートする際に知っておきたい基礎知識として「EBMの概念」,「研究手法と研究デザインの分類」,「研究の流れ」について述べた.「研究の流れ」としては,まずクリニカルクエスチョン(CQ)があり,これが“研究の種”となって,“研究の骨格”たるリサーチクエスチョン(RQ)や研究の仮説へと発展する.この際にPICO/PECOを用いた“RQの構造化”やFIRMER/FIRM2NESS checkを用いた“RQのチェック”が有用である.“研究の設計図”である研究プロトコルをしっかりと練り上げることが研究の成否を握るカギとなる.研究成果を学会発表·論文報告として積極的に公表していくことにより,次の研究のステップへと発展していく.
著者
高倉 朋和
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.33-39, 2017-01-01 (Released:2018-01-15)
参考文献数
18

近年,コンパートメント症候群や広範囲皮膚欠損創を呈する外傷治療において,陰圧閉鎖療法(NPWT)をはじめとする治療法の進歩はめざましく,患肢温存の可能性がより高くなったといえる.コンパートメント症候群後の障害像は,血流低下,筋·腱組織損傷や虚血性萎縮,神経損傷による運動麻痺や感覚障害など複合的な要因によるため多彩である.早期の機能回復,早期社会復帰にむけたリハビリテーションにおいて,骨折·皮膚治療の段階に応じた適切な装具療法が重要となる.
著者
森田 千晶 山本 澄子
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.75-82, 2007-01-01 (Released:2010-02-25)
参考文献数
9
被引用文献数
5

片側上肢切断が姿勢にどのような影響を及ぼすのかについて, 安静立位姿勢に着目して運動学的分析を行った. 片側上肢切断者10名 (前腕切断5名, 上腕切断3名, 肩離断2名) と健常者10名 (20代男性) を被験者とし, 安静立位姿勢を3次元動作解析装置VICONにて測定した. 前額面での体幹の傾き (側屈) と左右への偏り, 水平面での回旋, また前額面での重心について分析を行った. 前額面での偏りのみ健常者と有意差が認められた. 水平面での回旋も有意差は認められなかったが, 上肢切断者が大きかった. 重心は両者とも大きな偏りはなかった. 上肢の物理的欠損による体重心の移動は前額面での姿勢に影響するが, 水平面での回旋も含めて義手使用や残存上肢の使い方も姿勢に影響することが示唆された.
著者
村山 稔 加辺 憲人
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.91-95, 2014-04-01 (Released:2015-04-15)
参考文献数
8
被引用文献数
5

回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳卒中患者139名を対象に,単変量解析と信号検出分析法を用いて,回復期病棟へ入院後1週間以内に行われる臨床評価のうち,入院より1カ月以上にわたり長下肢装具を使用する場合を効果的に予測できる評価要因の組み合わせと,その最適カットオフ値を分析した.採択された要因は,年齢とFIMのベッド・椅子・車いすの移乗の得点および機能的バランス指数で,組み合わせの1例としてFIMのベッド・椅子・車いすの移乗1点かつ年齢63歳以上の場合には,87.5%が長下肢装具を1カ月以上使用すると予測された.入院から1カ月以上,長下肢装具を使用するか否かの予測が可能になると長下肢装具の処方の遅延が減少することが期待される.
著者
山本 征孝 藤本 康浩 森 義統 椿野 稔
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.64-66, 2017-01-01 (Released:2018-01-15)
参考文献数
9

慢性期脳卒中片麻痺患者1名を対象に,短下肢装具と腓腹筋への機能的電気刺激を併用した歩行練習の治療効果を検討した.シングルケースデザインのABA’B’デザインを使用し,短下肢装具を使用した歩行練習のみを行うA·A’期と短下肢装具と腓腹筋への機能的電気刺激を併用した歩行練習を行うB·B’期で治療効果の比較検討を行った.その結果,最大歩行速度,歩幅がB·B’期に増加する傾向を認めた.歩行率に関しては,いずれの時期においても変化は認められなかった.本症例において,短下肢装具と腓腹筋への機能的電気刺激を併用した歩行練習は,歩行能力の改善に有効であった.
著者
青木 主税 飯田 修平
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.92-97, 2019-04-01 (Released:2020-04-15)
参考文献数
19
被引用文献数
2

近年,下肢装具,特にAFOに関して多くの装具が開発されている.また,脳卒中片麻痺におけるニューロリハビリテーションの重要性が指摘されている.さらに学習理論とロボット技術を応用した新しい装具療法が提案されている状況をふまえて,現状の装具療法をリハ医療の急性期,回復期,生活期に分けて問題点を整理し,今後の課題について論述した.
著者
天本 恵輔
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.39-44, 2011-01-01 (Released:2013-08-15)
参考文献数
16
著者
中村 隆 今井 大樹 濱 祐美 近藤 怜子
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.56-58, 2021-01-01 (Released:2022-01-15)
参考文献数
6

両側股関節離断者はきわめて稀であり,義足の適応を含めリハビリテーションに関する報告はきわめて少ない.症例は24歳,男性.交通事故による両側股関節離断.大振り歩行による義足歩行を獲得したのち,交互義足歩行訓練を試みた.両股義足にはストライドコントロール付き股継手(徳林社製,TH-01C)を改良した遊動股継手と,イールディング機能付き膝継手(オットーボック社製,3R31)を導入した.対麻痺の脊髄損傷者の歩行訓練手法を適用し,左右の重心移動により義足の振り出しが可能になり,交互義足歩行を達成した.また,継手の固定解除機構を工夫し,義足の装脱着と起立,歩行,着座といった一連の訓練動作が自立した.
著者
田澤 英二
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.105-112, 2014-04-01 (Released:2015-04-15)
参考文献数
2
被引用文献数
2

義肢装具の歴史,発展は必要とするニーズに関連している.紀元前の頃から,戦争と貧困は身体障害の原因であり,医学の発達とともに義肢装具に求められるものも向上してきている.長い歴史を見てみると2000年以上も義肢装具形態の大きな変化は見られないが,現在では,材料,電子工学,さらには人間工学を駆使した義肢装具が使用されるようになって切断者のQOLは健常者に近いものとなっている.1957年にドイツで開発された薬物のサリドマイドによって起こった先天性欠損児の問題のために,1968年に“動力義手実用化特別研究班”が組織され早稲田の加藤一郎研究室をはじめとして開発が行われたが,結局は不成功に終わってしまった.しかし,その加藤研究窒は工業ロボット研究開発の基盤をつくり,これから日本が対応を迫られる高齢化支援のロボテクに社会が大きな期待をしている.