著者
野村 眞康
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.46-50, 1953 (Released:2008-11-21)
参考文献数
19
被引用文献数
1

1. One strain of Pseudonas wan isolated from the soil and used in this study. 2. As the decomposition products of d-tartaric acid by resting cells, succinic and acetic acids were isolated and identified. Furthermore, it was confirmed from the quantitative studies (Table 2, Part 1 and 2) that anaerobic decompositien of d-tartaric acid is performed according to the following equation;_??_ 3. Standard free energy of formaton of bivalent d-tartaric ion at 25°C was calculated to be -242, 990 cal./mol. (Table 3) and the free energy change in the anaerobic decomposition of d-tartarate, i, e., 3 Tartaric''+2H2O=2Acetic' +Succinic''+4HCO3'+2H was calculated to be -64, 400 cal., or -21, 500 cal./mol. of tartarate (cf. Table 4). 4. It was suggested that this decomposition may proceed according to the equation (2) (3) (4) (5). 5. Dried preparation of cells was found to contain the enzymes which catalyze the oxidation of d-tartarate. 6. The enzymes involved in the oxidation of d-tartarate by this bacteria were shown to be adaptive in nature (Fig. 1).
著者
佐藤 泰 田中 善晴
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.115-123, 1973 (Released:2008-11-21)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

皮蛋製造の基礎研究として,比較的に性質が知られているゼラチンゲル(GG)を比較対照しつつ,アルカリ変性オボアルブミンゲル(OG)の性質を把握するため,3% GGと10% OGについてクリープ実験を行なった. OGは4要素模型, GGは3要素模型であらわすことができ, OGのクリープコンプライアンスには,瞬間弾性コンプライアンスと1個の遅延弾性コンプライアンスのほかに,定常流粘性コンプライアンスが関与していた. GGとOGの瞬間弾性率は3.2~3.3×104 dyne/cm2で,ほとんど同じであったが, OGの遅延時間は162秒,遅延弾性率は3.2×104 dyne/cm2で, GGのそれらの値より低かった.永久流動の粘性率から計算すると,小さな降伏値1.2×102 dyne/cm2をもつビンガム塑性体と考えられた. OGの剛性率と粘性率は,温度上昇により次第に減少した. 0.1M NaCl添加により剛性率は増加し,遅延スペクトルの分布の広がりがみられた. 2M尿素添加では,遅延時間の短い機構ができ,粘性率が増加した. O.1MのNa2SO3添加では粘性率も剛性率も増加するが, 0.2~0.5添加すると,剛性率は0.5M NaCl添加のときと同じ値まで減少し,粘性率はもとのOGの粘性率と同じになった.しかし遅延スペクトルには,ほとんど変化が見られなかった.以上の結果から, OGの特色ある流動性をもつゲルの構造について考察した.
著者
吉沢 淑
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.115-119, 1976 (Released:2008-11-21)
参考文献数
7
被引用文献数
3 3

主として清酒酵母を用いてアルコール,芳香エステルの生成とそれに及ぼす高級脂肪酸の影響を検討し,次の知見が得られた. (1)N源としてNH4Clを用いるとカザミノ酸を用いる場合に比して, EtOAc生成量はほぼ同様だが, i-AmOH, i-AmOAcの生成量は低い値となった.発酵が進むにつれてアルコールの生成量は増加したが,エステル生成は3~4日後に最大となり,以後減少した. NPP添加により酵母の増殖,アルコール,エステルの生成は阻害を受けた. (2)種々の高級脂肪酸とその誘導体のいずれも通常,醸造に用いられる酵母のエステル生成を飽和酸は促進し,不飽和酸は抑制した.効果の程度は酵母菌株や脂肪酸の存在形態により異なり,たとえばFFAとEtORでは不飽和酸の影響が強い.培地濃度0.1mMで飽和,不飽和脂肪酸(FFA)のエステル生成への影響は顕著に現われ, 0.5mMまで増加するにつれ,その程度は高まった.
著者
沢村 正義 下田 満哉 米沢 崇夫 筬島 豊
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.7-13, 1977 (Released:2008-11-21)
参考文献数
13
被引用文献数
7 5

温州ミカン果汁の加熱臭成分である硫化水素およびDMSの同定ならびに定量を行った.両物質は,果汁の加熱によって顕著に増加し,100°C,8時間でそれぞれ約300 ppb,約560 ppbに達した.硫化水素は,定性釣に8種の全カンキツ果汁に検出されたが,一方DMSは温州ミカン果汁とバレソシア果汁のみに検出され,他のカンキツ果汁には検出されなかった.バレンシアの場合,生成した量は温州ミカンに比べてきわめてわずかであった.温州ミカン果汁のDMS発生因子としてpH,加熱温度およびカチオン画分の影響を検討した.その結果,pH増大とともに発生量は増加し,pH 7で最高値に達し,それ以上はほぼ一定となった.また,加熱温度80°C以下では発生量は少なかったが,90°C以上で急激に増加した.カチオン画分を除いた温州ミカン果汁では,加熱によってもDMSオミまったく発生しなかった.しかし,カチオン画分のみを加熱するとDMSが発生したことから,DMS前駆体がカチオン画分に存在すると推察した.果汁のアミノ酸分析では,各果汁を通してプロンが主要アミノ酸であった.含硫アミノ酸は,温州ミカンでは加熱前後にほとんど変化が認められなかった.
著者
赤星 亮一 大熊 広一
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.357-365, 1984 (Released:2008-11-21)
参考文献数
21
被引用文献数
9 9

(1) 34°Cにおける水,エタノール,エタノール水溶液および蒸留酒のNMRスペクトルの化学シフトについて測定を行った.純エタノールは4.075ppm,純水は3.528ppmであり,エタノール水溶液および熟成蒸留酒のOH基プロトンのNMRスペクトルは,いずれも水の化学シフト位置の近傍に出現する.これは,エタノール水溶液や蒸留酒は,その水素結合の状態がきわめて水に類似した液体構造を持つものと考え,られる. (2)エタノール水溶液や蒸留酒中に微量の酸が存在すると, OH基プロトンのNMRスペクトルは,酸を含まないものに比べて約0.01~0.05ppm低磁場にシフトする. 0.01~0.18%の濃度範囲では酢酸の濃度が変っても,シフトの位置は変らず固定されている. (3)熟成蒸留酒には必ず微量の酸が存在するので,貯蔵年数の異なる試料のNMRスペクトルは,酸の存在によって決まる一定のシフト位置に出現し,熟成に伴う差異をみることができなかった. (4)蒸留酒のOH基プロトンスペクトルの半値幅は貯蔵年数とともに増大し, 10年当り約0.5 Hz増大する.半値幅の増大はプロトン交換速度の減少および単量体の減少を示すもので,熟成に伴う誘電率や気相エタノール濃度減少の事実とよい一致を示している.これは,長い年月貯蔵熟成された蒸留酒中ではエタノール分子が強く束縛されていることを示すもので,その香味円熟と深く関連している. (5)蒸留酒中に存在する酸,エステル,アルデヒド,フーゼル油,樽材浸出物等の微量成分がOH基プロトンのNMRスペクトルの半値幅に与える影響について検討を行った.エステル,アルデヒド,フーゼル油の場合,存在する濃度範囲においては,ほとんど影響がなく無視することができる.酸が存在すると水素交換のためNMRスペクトルはシャープとなり半値幅を著しく減少させる.樽材浸出物は若干半値幅を増大させるが,熟成に伴う半値幅の増大に比べればわずかである.
著者
小菅 貞良 稲垣 幸男
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.251-254, 1962 (Released:2008-11-21)
参考文献数
9
被引用文献数
5 7

とうがらし果実のカプサイシン及びジハイドロカプサイシンの両辛味成分をペーパークロマトグラフィーにより分別し,抽出後定量してほぼ満足すべき結果を得た. 本分別定量法によりカプサイシノイド結晶及び各種とうがらし果実について, 2辛味成分を定量して両辛味成分の含量比すなわちハイドロカプサイシン含量/カプサイシン含量を求めた.その結果本含量比はカプサイシノイド結晶中において単離した時期を異にしてもほぼ一定であり,また収穫年度,開花期,熟度,肥料及び施肥量にかかわりなくほぼ一定であって,おおむね0.40~0.55であった.
著者
松山 晋
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.405-408, 1961 (Released:2008-11-21)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

黄色種(var. Bright Yellow)のタバコ葉から抽出したポリフェノールオキシダーゼについて,その特性を検討し,本酵索はクロロゲン酸に強く作用し,至適pH 5~6にして,温度70°以上で5分間処理すると急速に活性が低下し, KCN, NaN3,チオ尿素によって著しく阻害されることを認めた.
著者
須見 洋行 佐々木 智広 矢田貝 智恵子 小崎 泰宣
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.74, no.11, pp.1259-1264, 2000-11-01 (Released:2008-11-21)
参考文献数
17
被引用文献数
6 7

納豆の水抽出熱処理物中には線溶酵素に対する強い賦活物質(FAS)が存在し,それをトリプシンーフィブリン平板を用いて測定することができた.この簡易法で市販7社の納豆100g (湿重量)中には平均7.41±5.45万単位(サーファクチンμg換算) (平均±標準偏差)という非常に高い活性が検出された. FASはプラスミン,トリプシン,あるいはミミズ酵素のような直接のフィブリン分解酵素だけでなく,ウロキナーゼのようなプラスミノーゲンアクチベーター,あるいはナットウキナーゼなどのプロ-ウロキナーゼアクチベーターに対しても強力な賦活効果を示すことがわかった.本物質は納豆抽出液から酸処理(pH 2.0沈殿)およびエタノール処理(可溶分画)の組み合わせで容易に分離でき, 1kgの納豆からの収率は約81.7万単位(乾燥品4.6g),純度は177.6単位/mg (乾燥重量)であった.
著者
村田 晃
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.1843-1845, 1990-12-15 (Released:2008-11-21)
参考文献数
17
被引用文献数
5 4
著者
富田 繁 寺島 一生
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.111-117, 1970 (Released:2008-11-21)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

デンプンの溶媒であるDMSOおよびNH4SCN水溶液とデンプンの親和性をみるため,デンプン溶液の選択的吸着および溶媒和をしらべた. 溶液中における溶媒和を測定する従来の方法は,定性的知見を得るには間接的で煩雑すぎる欠点があるので,吸着を直接的に迅速かつ容易にしらべる方法を考案した.すなわち,溶媒-非溶媒-高分子系からなる溶液と,溶媒-非溶媒系からなる混合溶媒とが界面をつくったとき,吸着によって両方の混合溶媒系に濃度差が生ずれば拡散が起こり,シュリーレン図形で高分子の界面の周囲の凹みまたは突起として観察することができる.この方法をデンプン-DMSO-水またはジオキサン系に適用したところ, DMSOはデンプンに選択的に吸着することが示され,デンプン-NH4SCN-水系でも同様であった.さらにデンプンの他の塩類水溶液について検討したところ,陰イオンの被吸着性は離液系列に対応することが見出された. ついでSitohla-Svedbergの方法に従い,超遠心法によりアミロペクチンとDMSO-ジオキサン系,水-ジメチルホルムアミド系について溶媒和を測定した結果,アミロペクチンの溶媒和はグルコース残基1個当りDMSO 3個という結果が得られ, DMSOの吸着はOH基に対し1対1であろうと考えられ,また水和量は約6個と計算され, DMSOの吸着量のほぼ2倍である結果が得られた.
著者
中沢 鴻一 隠岐 金蔵 田所 勲 本庄 美喜男 人見 弘 上柳 次三郎
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.296-299, 1954
被引用文献数
1

1) 我我は抗黴,抗酵母,抗植物病原菌物質を生産する放射状菌1545株を分離した.<br> 2) この菌株は<i>spreptomyces hygroscopicus</i>の1新変異株であると同定し,本菌株の生産する抗生物質を仮にHygroscopinと命名した.