著者
朝井 勇宜 星 親一 宮坂 作平 泉田 又藏
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.352-357, 1951 (Released:2008-11-21)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

Among the selected strains of Aspergillus oryzae group, the strain No. 0-9-5 (which of Tokyo) gave excellent anfylase activity for the submerged production.. By using this strain, several resea-rches concerning the cultural environments affecting the amylase production were carried out. It was shown that the optimal initiall pH for incubation lay between 5 and 6 the activity markedly fell down under 4.0 and amylase action was completely inhibited or destroyed under 3.0. The incubation at 30°C was more favorable than at 25°C. When starch and peptone were taken as C and N sources, the optimal concentrations of both of these substrates were about 2 to 3%, NaNO3 and NH4NO3 were suitable inorganic N sources, because these substances played buffer actior during the incubation, viz., they prevented the acidification due to the acid production. As natura; organic N sources, rice bran, wheat bran, dry yeast and stillage showed the excellent results. Amylase production, provided that the cultural conditions were normal, reached to maximun after 3 days' incubation which coincided with the maximum utilization of N by fungus mycelliun and then the activity fell down according to the autolysis and pH rising of the culture medium.
著者
清水 純一 島津 善美 渡辺 正澄
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.203-209, 1979
被引用文献数
1

(1) 国産ワイン(18点)およびドイツワイン(28点)のミネラルおよび有機酸を分析し,両成分の相関および品質との関連について検討した.<br> (2) ドイツワイン中のカリウム,マグネシウムは,それぞれ平均, 1309, 150mg/<i>l</i>で,高級ワインほど多い傾向がみられた.カルシウムは平均109mg/<i>l</i>,ナトリウムで17mg/<i>l</i>であった.また鉄は平均3.0mg/<i>l</i>,マンガンは1.5mg/<i>l</i>で両者とも多く,銅は平均0.3mg/<i>l</i>,亜鉛は平均0.8mg/<i>l</i>で,少なかった.ケイ素は2~30mg/<i>l</i>の範囲であった.<br> ドイツワインの有機酸では,リンゴ酸(M)は平均3.5g/<i>l</i>,酒石酸(T)は平均2.6g/<i>l</i>であり,この2つの酸で全体の80%程度を占めている.また(M)/(T)は,高級ワイン程大きく1~5の範囲であった.<br> (3)国産ワインのカリウムは平均780mg/<i>l</i>,マグネシウム,カルシウムともに平均100mg/<i>l</i>で,いずれもドイツワインに比較してかなり少ない.ナトリウムは平均34mg/<i>l</i>で,ドイツワインの2倍程度多かった.その他,鉄;6.7,銅;0.4,亜鉛;0.2,マンガン;0.8mg/<i>l</i>程度であった.有機酸では,酒石酸が平均2.3g/<i>l</i>,リンゴ酸が1.5g/<i>l</i>であり,また(M)/(T)比は1以下で,ドイツワインに比較してかなり小さい値であった.<br> (4) ミネラル(カリウム,マグネシウム,カルシウム)と主要有機酸との相関を検討した.ドイツワインにおいては,カリウムに対して(M)/(T)が最も高い正の相関(&gamma;=0.770)を示した.酒石酸は高い負の相関(&gamma;=-0.752)を示した.また,リンゴ酸は低い正の相関(&gamma;=0.426)であった.マグネシウムは酒石酸に対し&gamma;=-0.538, (M)/(T)に対し&gamma;=0.585の相関が認められた.カルシウムはリンゴ酸に対してのみ正の相関(&gamma;=0.595)を示した.ドイツワインではとくにカリウム,マグネシウムが有機酸組成と高い相関を示し,ワインの品質に大きく関与していることが確認された.国産ワインでは,カリウムが(M)/(T)に対し, &gamma;=0.458の,カルシウムが(M)/(T)に対し, &gamma;=0.605の相関を示したが,ドイツワインで認められるような高い相関関係は見られなかった.
著者
副島 正美
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.36, no.9, pp.739-743, 1962 (Released:2008-11-21)
参考文献数
19

(1) 活性剤を含まぬ状態の還元型パパィン溶液を簡便に調製する方法として新たにパラチオクレゾール処理法を考案し,その実験条件について検討した. (2) 上の処理によって1個のPCMB反応性SH基が出現し,システインによる活性化の場合と同程度の活性が得られた. (3) 還元型パパインによるゼラチンの分解過程にパパインの酸化に起因する速かな失活がみとめられたが,反応系中に酸化型パパインを還元型の25倍量共存させるとこの失活は防止された. (4) 還元型パパインの活性に対してEDTA, DFP,アルデヒド試薬,カルボベンゾキシアミノ酸類の影響はほとんどみとめられなかった.
著者
堀江 雄 木村 邦男 井田 雅夫 吉田 泰博 大亀 邦仁
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.713-718, 1992-04-01 (Released:2008-11-21)
参考文献数
16
被引用文献数
6 7

酵母に対する加圧殺菌効果を検討するため,耐圧性の高い酵母の分離を試み,イチゴ由来の酵母(Y-3株)を得た.Y-3株はC. parapsilosisと同定された. 他の酵母と耐圧性を比較検討したところ,Y-3株, C. parapsilosis (IFO 1396)およびC. tropicalis(IFO 1400)の3株は,S. cerevisiae (IFO 0234)より高い耐圧性を持つことが確認された. さらに,加圧処理条件が,Y-3株およびS. cerevisiae (IFO 0234)に対する加圧殺菌効果に及ぼす影響を調べた.ジャムに植菌されたY-3株の加圧後の生存率を,10-6まで減少させるのに,500MPa加圧下25分間,ああるいは425MPa加圧下100分間を要した.加圧時の温度を室温より高く設定することにより,ジャムに植菌されたY-3株に対する加圧殺菌効果が増大した.pHが加圧殺菌効果に及ぼす影響は,S. cerevisiae (IFO 0234)を用いて検討したが,糖度が加圧殺菌効果に及ぼす影響に比べて顕著ではなかった.
著者
谷田沢 道彦 石原 隆
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.229-234, 1955

In the preceeding papers<sup>(3)</sup>the authors reported the radioactive contamination of plants<sup>(3)</sup> in Japan covered with rain-out from H-bomb detonated in Spring 1954, at Bikini-atoll. In this paper; absorption of the fission products by sweet-clover and rice plants are released.<br> <b>I. Investigation on the radioactiv contamination of sweet-clover</b>.: Sample plants were taken from grass-land of Shiga Agr. College at three different period of time. In the field, sweet-clovers were cut down at about three weeks interval, and every time new leaves sprouted before long. Since early of June, radioactive density of rain had greatly decreased.<br> Plants ash was analysed in routine procedure of inorgenic separation<sup>(6)</sup>. Ratio of radioactivity of each analytical group was shown in Table. 1. By examining the table, it may be concluded that radioactive alkaline earths especially Sr<sub>89</sub> and S_??_<sup>90</sup> were selectively accumulated in plants from the fact that the increasing ratio of alkaine earths highly exceeded what was brouhht from different half-life time of each radioactive elements.<br> <b>II. Selective absorption of Bikini-ash by rice plants</b>.: A part of long-line (rope) on board No. 5 Fukuryu-Maru was ashed and then dissolved in nitric acid. Excess of acid were neutralized with ammonia to pH 5.2, and diluted with 1 distilled water. Resulted solution was evaluated as about 4m&mu;c/m<i>l</i> in its radioactivity.<br> Nbn-contaminated rice plants were cultivated in this radioactive solution for 20 days in greenhouse, then the absorption by plant of Bikini-ash was examined radiochemically. Group separations of radioactive elements in plant ashes and remaining culture solution were made chromatographically in the use of cation exchanger Amberlite IR-120. Elution curves were shown in Fig. 1 to 3. Total radioactivity and ratio of each separation group was shown in Table 2. From these figures and table, it becomes clear that rice plants accumulated larger parts of fission products in their roots, and selectively absorbed and translocated radioctive alkaline earths in their shoots even if the absorption ratio of Bikini fission products was comparatively small.
著者
松島 三児 石黒 繁夫 菅原 志朗
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.1027-1035, 1980

黄色種,オリエント葉およびバーレー種の各葉たばこの精油について内容成分の検索および香気関与成分の検討を行った.その結果,<br> (1)黄色種葉たばこの精油香気の基調となる油臭の発現には,リノレン酸およびリノール酸が,甘い匂いの発現にはソラノンおよびメガスティグマトリエンが,焦臭の発現にはフルフリルアルコールが,それぞれ寄与しているものと思われた.<br> (2)オリエント葉たばこ精油香気の基調となる汗臭の発現には&beta;-メチル吉草酸が,油臭の発現にはリノレン酸およびリノール酸がそれぞれ寄与しているものと思われた.<br> (3)バーレー種葉たばこの精油香気関与成分については,今回明らかにすることができなかった.
著者
丸尾 文治 小池 ハル子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.123-126, 1941

家蠶の變態に伴ふ蠶體中のLacto-flavinの量が如何に變化するかを試驗した.其の結果幼虫より蛹に變態するに伴ひ明らかに増加することを認めた.又,蛾に變態すると共に極めて迅速に消費せられることも知つた.
著者
亀岡 弘 北側 忠次
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.389-393, 1976 (Released:2008-11-21)
参考文献数
9
被引用文献数
7 10

梅の果肉の水蒸気揮発性油の成分およびその組成比をTable IIIに,種子のn-ヘキサン抽出キスのカルボン酸および中性成分の組成比をTable IV に示す.これら組成比は,いずれもGLCの面積比から算出したものである. Table IIIから, 2, 3-ジメチル無水マレイン酸ならびに5-メチル-2-フルフラールなどフラン系化合物の存在が特徴的であり,特に2, 3-ジメチル無水マレイン酸は,炒ったコーヒーの揮発性成分として(8)確認されているかこのように梅の果実の水蒸気揮発性油に主成分として存在することは大変興味深い. Table IVから,脂肪酸がその大部分を占めるのは当然といえるが,ベンズアルデヒド,安息香酸,安息香酸エチルなど,芳香族化合物は微量存在することが認められた.これは以前,小竹ら(9)によって梅の花の香気成分として,ベンズアルデヒド,安息香酸,安息香酸ベンジル,ベンジルアルコール,イソオイゲノールを確認しているが,今回著者らが行なった研究と比較検討すると,花に存在していた成分が果実中にも存在することが認められることから,花と果実とではその成分が類似していることがわかる.これらのことから,花に存在した成分は,果実に移行するのではないか考えられ,これらの間には,なんらかの相関関係があるように思われる.なお,これら芳香族化合物およびフラン系化合物は,梅の果実の香気成分の1因を成しているものと考えられる.
著者
新原 立子 西田 好伸 米沢 大造 桜井 芳人
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.423-433, 1973 (Released:2008-11-21)
参考文献数
10
被引用文献数
3 2

(1) 製造中における手延素麺の水分含量は,梅雨期の“厄”において上昇して, 15%以上となった. (2) エーテルおよび水飽和ブタノールで抽出される脂質の量は,ともに貯蔵中に減少した. (3) 過酸化物価,カルボニル価は製麺時に上昇し,貯蔵中は15カ月間あまり変化せず,ヨウ素価,リノール酸の比率がやや増加する傾向がみられた.このように,素麺の脂質は酸化に対して安定であった.一方厄中の変化として,酸価の上昇がみられた. (4) タンパク質の溶解性はほとんど変化せず, 2回目の厄を越えた時点でやや減少した.アンモニア,アマイド窒素もほとんど変化はみられなかったが, 1回目の厄で10% TCA可溶の窒素量の増加がみられた.そして遊離のアミノ酸も, 1回目の厄で増加した.しかし油の酸化の始まる2回目の厄には,遊離のアミノ酸の減少がみられた.総アミノ酸には貯蔵中顕著な変化はみられなかったが, 2回目の厄後すべてのアミノ酸がやや減少した.また2回目の厄後,グルテンのデンプンゲル電気泳動図に変化が認められた. (5) 素麺からとれる湿グルテンの猛状が貯蔵中に変化し,生麺およびゆで麺の吸水率が低下した. (6) テクスチュロメーターによる測定では,ゆで麺のかたさが1回目の厄を越すことによって増加した.一方,凝集性は2回目の厄を越して初めて有意差のある低下が認められた.また粉末のファリノグラムも,貯蔵期間とともに変化した. ゆで麺の顕微鏡観察では,厄を越えた素麺はデンプン粒の膨潤が抑制されていることが観察された.
著者
福本 壽一郎 下村 弘
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.13, no.7, pp.613-620, 1937 (Released:2008-11-21)
参考文献数
11

1. 2, 6-dichlorphenolindophenol solutionを用ひて各種の絲状菌の還元性物質生成量を求め, Asp. cellulosae, Asp. fumigatus, Asp. niger, Asp. nidulans, Asp. melleus, Pen. glaucum及びPen. luteum等の菌種が生成量大なる事を認めたが, Bernhauer氏等に倣ひAsp. nigerを試驗菌種と定めた. 2. 炭素源を異にする培養液にAsp. nigerを接種して炭素源と還元性物質の生成量との關係を試驗し, Fructose, Sucose, Mannit, Starchに於て生成量大なる事を見た. 3. 該還元性物質を濃縮精製してモルモツト飼育試驗を試みた結果, Vitamin Cの如き生理的效果を認め得なかつた. 4. 本還元性物質の化學的性質の若干に就て論じた.
著者
橋場 弘長 越山 育則 坂口 健二 井口 信義
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.312-316, 1970
被引用文献数
2

(1) 醤油から鉄,銅等の重金属をDowex A-1で除いたところ,醤油の酸化褐変の速度は遅くなったが,それでも明らかに増色した.<br> (2) Dowex A-1で処理した醤油の酸化褐変に対しては, Fe<sup>2+</sup>, Mn<sup>2+</sup>が促進効果を示したが,極微量で顕著な影響をあらわすということは認められなかった. Cu<sup>2+</sup>, Zn<sup>2+</sup>, Ni<sup>2+</sup>, Co<sup>2+</sup>, Cd<sup>2+</sup>は褐変にほとんど無関係であった.<br> (3) 醤油の加熱褐変に対Lては,金属イオンの影響は余り認められなかった.<br> (4) Dowex A-1処理した醤油に,除かれた金属を再び戻しても,褐変の速度は未処理の醤油の約半分であったことから,醤油の酸化褐変には金属以外の大きな要因があると考えられた.
著者
坂口 健二
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.28, no.9, pp.758-764, 1954
被引用文献数
1 2

1. 醤油醪より細菌を分離する為に,抗黴抗生物質を培地中に加えてplateする方法を見出した.<br> 2. Eurocidin, W-2 substance, Trichomycin共Bacteriaは殆ど抑える事なく, yeastは完全に抑え, moldsもEurocidin 30~100&gamma;/cc, W-2 25&gamma;/cc, Trichomycin 500&gamma;/ccで阻止する. Bacteriaのviable countsは変らない.<br> 3. Eurocidin培地を作るには, EurocidinをpH 1の水にとかして殺菌した培地に加え,試験管に分注し, 100&deg;, 15分の加熱を行うのが適当かと思われる. 1週間の貯藏に耐える.<br> 4. <i>Asp. sojae</i>のsporeを多量に接種すると,これを阻止するにはEurocidinを濃くしなくてはならない. 5. EurocidinはpHによりあまり効力の差がないが, W-2 substanceは酸性側で効力が減る.<br> 6. 培地により効力の変化が,見られる.<br> 7. 1mg/ccの濃度でも, <i>Bac. butyricus</i>, <i>Micro. luteus</i>に影響を与えない.
著者
角田 潔和 小泉 武夫 小玉 健吉 野白 喜久雄
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.951-955, 1987
被引用文献数
1 1

(1) 樹液酵母1670株を用いてプロテアーゼを菌体外に分泌する酵母のスクリーニングを行った.<br> (2) 二次スタリーニングを通過した菌体外プロテアーゼ分泌株32株を供試して培養濾液中のプロテアーゼを測定したところ,いずれの株も酸性で働くプロテアーゼの分泌が最も高かった.これに対して中性で働くプロテアーゼの分泌はわずかであり,アルカリ性におけるプロテアーゼは痕跡程度の分泌であった.これらの供試株中から最も酸性で働くプロテアーゼの強い1株を得,最終目的株とした.<br> (3) この最終目的株<i>Candida</i> sp. KSY-188-5について菌学的諸性質を検討し,偽菌糸形成能,炭素源の醗酵性,資化性,赤色油滴状物質の発現および色素の溶出等より,本株を<i>Candida pulcherrima</i>と同定した.
著者
朝井 勇宣 杉崎 善治郎 相田 浩
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.300-304, 1955

振盪培養によつて<i>Gluconoacetobacter cerinus</i>のグルコース酸化代謝生産物を追究し,従来知られていたgluconic acid, 2-ketogluconic acidの他に新たに&alpha;-ketoglutaric acid及びpyruvic acidの生成されることを確認し,分離同定した,グルコースの醗酵経過を追跡し, pyruvic acid生産のピークが&alpha;-ketaglutaric acidのピークに先行すること,その醗酵経過及び両酸の生成状況が<i>Pseudomonas</i> 33Fの場合, <i>Serratia marcescens</i>の場合に似ていること,またグルコースのみならずgluconate, 2-ketogluconateからも&alpha;-ketoglutarateの生産されること, glucose, gluconate,からpyruvateの生産されること等の事実から, Homo-oxidative bacteriaとしての<i>Gluconobacter</i>が<i>Pseudomonas, Serratia</i>と同様にglucose&rarr;gluconate&rarr;2 ketogluconate&rarr;pyuvate&rarr;&alpha;-ketoglutarateの経路をとつて代謝され得る可能性が有力に示唆された.最近T. E. KING及びV. H. CHELDELIN<sup>(10)</sup>が<i>Acetobacter suboxydans</i>の酸化能をcell free extract及びintact resting cellを用いて研究し,この菌が酢酸及びTCA cycleの中間物質に対して有意義の脱水素能を示めさないこと,またglycolysisの経路を採り得ないことを報告しているが,著者等の今回の実験によれば,燐酸関与の問題は未決としてもKoepsell等の所謂direct oxidative pathwayの系が<i>Gluconobacter</i>に於ても,主経路でないにせよ存在するように考えられる.
著者
大森 正司 矢野 とし子 岡本 順子 津志田 藤二郎 村井 敏信 樋口 満
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.1449-1451, 1987-11-15 (Released:2009-02-18)
参考文献数
7
被引用文献数
74 87

This study was conducted to investigate the effects of green tea made from leaves incubated in an anaerobic condition (Gabaron tea) on the blood pressure of spontaneously hypertensive rats (SHR). No difference was found in the mean body weight of the control groups (first group, fed on water; second group, fed on ordinary green tea) and the experimental group (third group, fed on Gabaron tea) throughout the test period. The mean blood pressure of the three groups was identical at 160 mmHg in the pre-test period. The mean blood pressure of the experimental group was 158 mmHg, whereas the control groups shared 163_??_167 mmHg one week after the experiment started. The blood pressure of the experimental group was significantly lower than pressures of the control groups (P<0.01). In all groups, the mean blood pressure increased gradually from 10 to 20 weeks of age. The mean blood pressure of the experimental group was about 150 mmHg, and those of the control groups reached 175_??_180 mmHg. The mean blood pressure of the experimental animals was 14_??_17% lower than the pressures of the control animals at 20 weeks of age (P<0.01). The hypotensive effect on SHR fed the Gabaron tea infusion disappeared when the animals were returned to ordinary green tea intake at 20 weeks of age.
著者
今安 聰 打越 文雄 斉藤 義幸 山下 正朋 杉並 孝二
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.213-218, 1986 (Released:2009-02-18)
参考文献数
11

(1) 粉砕白米を用いて行う製麹では,引き込み時の水分を粒状の場合より少し高目の35~36%ぐらいにする必要がある. (2) 粉砕白米で作った麹は酵素力価が高くなり,麹歩合をその分だけ少なくすることができる. (3) 生の白米の場合でも粒状麹に比較して粉砕状麹のほうが菌体量ならびに各酵素力価ともに高い数値を示した. (4) 粉砕白米を用いて行う製麹では,麹の菌体量,各酵素活性の米の品種間における差がなくなるので,硬い米でも良質の麹が作りえた. (5) 粉砕状麹は粒状麹に比較して膠中でよく溶けた. (6) 麹を粉砕白米で作ることにより,粕歩合が約4%低くなり,さらに掛米,麹とも粉砕状にし,膠初期の汲水歩合等を勘案して醗酵させれば,粕歩合が約10%低くなって酒化率も43l/t前後向上するということがわかった.