著者
佐藤 信 大場 俊輝 高橋 康次郎 高木 光良 難波 康之祐 小泉 武夫 鈴木 明治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.643-647, 1978
被引用文献数
1

長期貯蔵清酒の一般成分ならびに熟成に関与する成分の分析を行ない, 次の結果を得た。<BR>1) 熟成に関与する成分の貯蔵年数による変化のパターンはこれまでに報告した結果とほぼ同様であった。<BR>2) DFCYが貯蔵年数11年以上の試料には全く検出されなかった。<BR>3) 貯蔵につれて<I>iso</I>-AmOHが増加し, <I>iso</I>-AmOAcが減少した。<BR>4) 96年長期貯蔵清酒は, 通常の清酒に比べて, アミノ酸, 有機酸組成が大きく異なり, 長期貯蔵により成分が変化したものと推定された。また, Feが極めて多く, Cuが少なかった。さらに, アセトンが多量に検出された。筆者らが設定した清酒の甘辛と濃淡の等高線図上に96年長期貯蔵清酒をプロットしたところ, 濃醇辛口の清酒であった。
著者
小玉 健吉
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.426-429, 1965

昨年10月23日より1か月, 東京農大で企画された欧州研修旅行にお伴させていただいた機会に, 平素からお互に書簡で意見をのべ合い, 又文献や菌株などを交換したりし, 知遇を得ている彼の地の酵母学者を訪問し, 親交を深めることの出来たのは誠に幸いであった。本誌にそれらの方々を訪れたとぎの印象や, 大学, 研究所の様子など, 簡単に御報告致したい。
著者
小玉 健吉 京野 忠司 大村田 稔 池見 元宏 立花 忠則
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.276-279, 1981

清酒製造廃水のうち, 洗米廃水はその量は比較的少いが, 全廃水の汚濁物質の50~70%を占めるでんぷんや可溶性糖類を含んで居ることに着眼し, 細菌を用いる廃水処理方式を検討した。<BR>1. 洗米廃水に通気中に自然に生育する好気性の細菌群からでんぷんを主体とする汚濁物質の除去能力の強いものを分離選択した。これらの細菌<I>はCytophaga, Arthrobacter, Pseudomonas Nocardia, Coryneorm, Bacillus</I>等の属に属するものであるが, 洗米廃水をこれらの細菌により処理したときのCOD除去率は, 菌体込みで60~70%, 菌体を遠心分離した上ずみで82~91%を示した。<BR>2. これらの細菌のうち, Bacillus SP. S-22を用いる洗米廃水の前処理と凝集沈澱法との併用および長時間曝気回分式活性汚泥処理との併用による清酒製造廃水処理の実験を行った。
著者
吉沢 淑 石川 雄章
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.148-152, 1979-03-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
19

原料米に粗白米を用いる際の欠点の1つとされている多量の脂質による清酒香味への悪影響を改善する方法として, 筆者らがリパーゼ浸漬法を開発, 全国的な試験醸造をはじめてから3年経た。本法を試みようとする酒造場は着実に増えつつあるが, 効果あるリパーゼ浸漬法を行っていただくために, その理論的背景と現場で実際に行うにあたっての留意点などについて解説していただいた。
著者
加藤 百一 中尾 俊幸 牛島 十郎 島田 豊明 志垣 邦雄 萱島 昭二 久野 耕作
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.983-975, 1957 (Released:2011-11-04)
参考文献数
8

焼酎醪を蒸溜するさい, 分溜液の成分は初溜から後溜に到るまで逐次変化するが, このことに関しては山田, 勝田, 野白等の既往文献があり, 又ブランデーについては加賀美の報告がある。併しこれ等は何れも実験室的業績で, 旧式焼酎の製造工場における蒸溜の場合と必ず一致するものとは考えられない。かかる意味も含めて, 今回筆者等は昭和31年10-11月に醪取焼酎, 更に同32年5-6月に粕取焼酎の実地指導を行つた機会を利用して, 熊本局管内の9工場において分割蒸溜試験を行い, 各分溜液の一定量を分取して, これらの化学的成分の変化ならびに品質等について比較観察した。
著者
鈴木 了 佐武 憲二
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.551-554, 1969
被引用文献数
1

ピール, サイダー, 水についての気温による最適飲用温度を調査した。Thurstone's case V型構造に基づく一対比較法による官能検査を実施し, 解析後, その好みの度合を尺度化した。その結果, 気温が高くなるにつれて最適飲用温度は逆に低下する傾向, および品温に対する好みの度合が強くなる (好き嫌いがはっきりしてくる) 傾向が認められた。湿度を極端に高くすると強い不快感のために判別能力を失い, うまさが判らなくなることも認められた。

1 0 0 0 OA ワインの味

著者
笠原 信松
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.8, pp.631-634, 1980-08-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
32
著者
中田 久保 坂井 劭 竹田 正久 塚原 寅次
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.9, pp.761-764, 1980-09-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

1.こうじ菌の生産する抗菌性物質“Yeastcidin”は, Aspergillus oryzaeのある種の菌株をこうじ汁に静置培養した時のみ生産する清酒酵母以外の醸造酵母の増殖を抑制する抗菌性物質である。2.合成培地や市販糖化酵素剤による蒸米の糖化液にこのこうじ菌を培養しても“Yeastcidin”は生産されない。3.本物質“Yeastcidin”を生産させるためのこうじ汁に用いるこうじ米の精米歩合, 製きく時間, こうじ汁濃度等に差異をもうけても生産量に影響はない。4.こうじ汁のpHは5.0~6.5の間が最も抗菌力を強く示し, 通常のこうじ汁ではpH調整の必要はなかった。5.培養温度については27~30℃の間が最も強く生産し, 培養日数は15~20日間を要した。

1 0 0 0 OA 粕漬について

著者
小川 敏男
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.8, pp.500-503, 1979-08-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
3

甘くて辛くてコリコリと歯切れもよく, これでお酒も進むしご飯もいくらでも食べられるという結構なのが奈良漬に代表される粕漬。しかも一般には「酒屋で造った奈良漬は旨い」と信じておられる。副業として推奨されるゆえんである〇伝統の粕漬に科学の光を当ててみた。