著者
木村 進
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.766-769, 1970-09-15 (Released:2011-11-04)

乾燥味噌を造ってみたいという願いは「味噌の技術」の夢であったといえる。これに関する特許も明治, 大正, 昭和にかけて60件にもおよぶという。その間, 生味噌との品質差は著しく縮まり, 近年ようやく市販にこたえる品質にまで達したのは乾燥技術の進歩のおかげである。食品の乾燥技術開発に貢献されてきた著者によって, 味噌の粉末化の技術をわかり易く解説願ったので, 現在の水準について理解していただければ幸いである。
著者
松本 武一郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.321-325, 1973-05-15 (Released:2011-11-04)

本誌1月号の「日本民族と醸造食品」に関する座談会にのぼった話題に関連して和歌山県酒造史編纂委会より遠く大和時代にさかのぼることができる紀州と朝鮮との酒造技術の交流のあかしとして百済渡来の酒神・鳴武大明神, 朝鮮からの帰化人である村主にまつわる考証がよせられた。景行天皇の第5王子といわれる酒神神櫛ノ王も紀の国の酒部をひらいており, そこに日韓の酒造技術の隔合があったにちがいない。

1 0 0 0 OA アイヌの酒 (5)

著者
加藤 百一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.1247-1253, 1968-12-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
8

アイヌの祭リにもいろいろあって, それぞれに酒が用いられる。さらに祈願酒もある。これらの飲酒作法等興味ある解説が著者特有の筆法で記される。
著者
矢野 正次
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.17-20, 1973-01-15 (Released:2011-11-04)
被引用文献数
1

味噌の品質はよくなってきたといわれているのに消費は停滞だという。味噌の需要喚起が叫ばれて久しいが, その対策となると妙案もないようだ。新春にあたり味噌を愛し, 味噌と共に歩んできた著者に味噌の今昔を語っていただいたが, 本稿は需要喚起の方向指示とも受け取ることができよう。時代が変ったということだけでは済されない。慌しい現代生活の中に日本の四季を取り戻し, 食生活の中で味噌のバライティーと味噌の季節料理の楽しさとを重んじていくようにすることは生産者の務めでもある。国鉄の宣伝する「私の中の日本」は観光と限ったことではない。著者はDiscover Misoといいたげである。
著者
蓮尾 徹夫 斎藤 和夫 藤川 茂昭 吉沢 淑
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.12, pp.962-965, 1983-12-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
5

温度を30℃と15℃, アルコール濃度を60%と50%にした場合, 貯蔵中の樽からの成分の揮散, 成分の変化について以下のことがわかつた。1) 総揮散量については温度の影響が非常に大きく, アルコール濃度は小さかつたが60%の方が多く揮散した。2) エチルアルコールー水の揮散量は30℃ではエチルアルコールの万か多く15℃では逆に水の万か多かつた。3) アセトアルデヒド, 酢酸ならびに酢酸エチルは30℃の方で多く生成され, 揮散量も多く, 50%の方が生成量, 揮散量とも多くなつた。特に酢酸エチルは温度の影響を受けやすい成分であつた。4) アセタールは温度, アルコール濃度の影響の比較的小さい成分であつた。5) 貯蔵中に増加してくるフェノール化合物, 着色度, 紫外部吸収は温度の高い方が, アルコール濃度の低い方が多く生成された。6) 指標として添加したイソアミルアルコールの揮散は温度の影響は受けたがアルコール濃度の影響はなかつた。

1 0 0 0 OA 日本酒 (その2)

著者
二瓶 孝夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.446-452, 1978-06-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
21
著者
高瀬 澄夫 姫野 国夫 冨部 忠篤
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.722-724, 1964-08-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
4

指定した1本の清酒もろみにつき, 製造過程にしたがって原料から製品まで系統的に鉄を定量した結果, 下記の諸点が明らかになった。(1) 原料処理過程における鉄の混入が, 洗米浸せき用水中の鉄の米への沈着というかたちで起っているうたがいがある。(2) 白米中の鉄は大体かすに移行すると思われ, もうみ液状部に溶出すると考えるには非常に無理がある。(3) 米の鉄が未消化部分と結合したままかすに移るのか, あるいは一たん酵母に摂取されて菌体と共にかすに移るのかについてはさらに検討の必要がある。(4) もろみ原料 (水十米) の鉄より製品 (かす十酒) の鉄が多いという前報で述べた事実を再確認した。
著者
菅間 誠之助 西谷 尚道 河内 邦英
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.739-742, 1975-10-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
9

本格焼酎の貯蔵過程での成分変化を調べた結果, 次の知見が得られた。1. 貯蔵年数を異にする泡盛の成分を調べた結果, 高級脂肪酸数が貯蔵中に減少し, 数種の成分が増加していた。2. 室温で7カ月間びん貯蔵した甘藷製および米製焼酎24点について油臭のつよさを官能試験により比較し, 油臭の強い試料と弱い試料にわけ, それぞれの香気成分のガスクロマトグラムを比較した結果, 油臭の強い試料はリノール酸エチルが相対的に少なくジある成分ピーク (e成分と称す) が増加していることを認めた。3.高級脂肪酸類を使ったモデル系について, 日光照射, 加熱, 酸化剤処理による変化を調べた結果, e成分の前駆物質はリノール酸エチルであることがわかった。4. e成分の生成条件を検討した結果, リノール酸ニチルが空気中の酸素により, 比較的温和な条件で酸化された場合に生成することを確認した。5. リノール酸エチルの酸化物をTLCで分画し, これを焼酌に添加して官能試験をした結果, 油臭のつよさは添加量にほぼ比例した。したガミって, e成分が油臭物質を代表する一成分であると推定した。
著者
小泉 武夫 角田 潔和 山本 多代子 鈴木 明治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.173-178, 1979-03-15 (Released:2011-11-29)
参考文献数
37
被引用文献数
3 3

β-フェニルエチルァルコールとβ-フェニルニチルアセテートはバラの香気に似たもので, 多くのアルコール性飲料の香気付与のために重要な化合物である。特にβ-フェニルエチルァルコールは種々のアルコール性飲料の中にかなりの量で存在している。例えば筆者らが分析した種々のアルコール性飲料中の存在量は次の様であった。清酒40~60ppm, ウイスキー10~15ppm, ビール15~20ppm, ブランデー5~6ppm, しょうちゅう30~40ppm。本報告ではこのβ-フェニルエチルアルコールとβ-フェニルエチルアセテートの酵母による生成について検討した。その結果は次のとうりである。1.フェニルアラニンからβ-フェニルエチルアルコールの生成量には, 供試酵母間に差異があり, 清酒酵母はビール酵母, ワイン酵母よりその生成は強い。2.清酒酵母の2, 3, 5-トリフェニルテトラゾリウムクロライド還元能とβ-フェニルエチルァルコールおよびβ-フェニルエチルアセテート生成能との関連は供試酵母間に大きな差異がある。その順位は赤色コロニータイプ>赤桃色コロ論一タイプ>桃色コロニータイプ>白桃色コロニータイプであった。3.β-フェニルェチルァルコールは, フエニルァラニンが酵母による脱炭酸, 脱アミノ反応にょって生じる。また我々の実験結果ではチロシンが酵母によって分解されるときも少量生じることを知った。
著者
鈴木 昌治 小泉 武夫 野白 喜久雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.6, pp.367-373, 1986-06-15 (Released:2011-11-29)
参考文献数
28
被引用文献数
1

吟醸香の生成機作, 特に発酵条件との関係については未だ不明な点も多く, 本稿でも, これから解明されるべき問題とされているところも多いが, 実験事実に勝るものはない。著者らは吟醸もろみの芳香生成の動的変化を適確かつ詳細に分析した。吟醸造りに与える示唆も非常に多い。関心ある読者の方々に一読をおすすめする。
著者
藤谷 健
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.104-107, 1967-02-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
17

今までバラバラに研究されていた酵母の無機成分組成とその要求性とを結びつけ, 特に必須成分であるリン, マグネシウム, カリウムをとりあげて解説。本稿で述べられている “基底含量” という考え方は, 酵母の無機成分組成と増殖との関連性を究明する際の一つの, 新しい見方として注目されよう。
著者
佐藤 仁一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.498-502, 1982

独創的発想により, 全世界に先駆けて粉末酒を発明された著者に, 粉末酒の酒税法上の位置付け, 製造方法, 性状, 生成機構から用途にいたるまで解説いただいた。<BR>酒類を含め, 食品全般にかける著者の情熱が紙面からひしひしと伝わってくる一編である。熟読をお推めしたい。
著者
海老根 英雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.102-108, 1985-02-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
73

味噌はしょう油とともにわが国を代表する発酵調味料である。原型は古く中国大陸から伝来し, 日本各地で数多くのバラエティーを生んできた。その製造工程では, 呈味成分生成のための麹由来の酵素による加水分解作用に加えて, 各種酵母及び細菌の混合培養状態での発酵による複雑な香味成分の醸成があり, 微生物の作用は極めて複雑である。ここでは味噌醸造に関係する微生物についての知見を解説していただいた。