著者
東京・関東信越・仙台・名古屋・金沢・福岡各国税局 国税庁醸造試験所 国税庁鑑定企画官室
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.407-412, 1982

1.前報で述べた価格の異なる種々の原料米を用いて清酒を製造することにより, 原料米の諸特性が清酒の品質にどのように影響するかを調べた。<BR>2.清酒の品質 (総合品質及び熟度) に強く関係する原料米特性として, 使用時精米歩合, 粗たん白分, カリウム分, 死米指摘得点, ジメチルスルフイド分を見いだした。<BR>3.原料米及び清酒の諸特性を主成分分析して, 米質と清酒の品質との関係を調べたところ, 米質の良いものは概ね清酒の品質も良い傾向にあることが分った。<BR>4.玄米換算価格との関連で米質と酒の酒質の関係をみたところ, 玄米換算価格の安いものは米質及び品質が不良で, 玄米換算価格の高いものは米質及び酒質が良くなる傾向があることが分った。
著者
村上 英也
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.13-14, 1979

オンザロックのすすめは, 日本酒の将来を考える著者の体験を通して語られたものである。単に消費の拡大からだけでなく, 消費者により美味しく飲んでいただくためにも, 我々はこの問題ともっと積極的に取組む必要があろう。
著者
安田 正昭
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.12, pp.912-915, 1983-12-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
88
被引用文献数
1 2
著者
東 和男 山本 泰 好井 久雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.121-124, 1987-02-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

電子顕微鏡により耐塩性酵母Zygosacch. rouxiiの微細構造を観察し, 次の結果を得た。1) 2%過マンガン酸カリウムで24時間固定した無塩及び含塩下培養の対照酵母Sacch. sakeは完全に過固定になったが, 同固定条件では耐塩性酵母はやや過固定にとどまった。一方, 両酵母のプロトプラストは過マンガン酸カリウムより固定能の弱い2%四酸化オスミウムによって適切に固定された。上記のことは, 耐塩性酵母の細胞壁が細胞内への固定液の透過を抑制していることを示しており, 細胞壁は食塩の細胞内への透過に対する防壁となることが推定される。2)細胞壁の厚さは,対照酵母では含塩下培養で薄くなる傾向が認められたが, 耐塩性酵母では無塩と含塩下培養の間に差異が認められなかった。3)耐塩性酵母において無塩培養でミトコンドリアが良好に発達したほかは, 耐塩性酵母対照酵母のいずれにおいても食塩は細胞質構造に影響を及ぼさないことが観察された。
著者
吉田 清 稲橋 正明 野呂 二三 村上 英也
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.471-475, 1985-07-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
10

1. 柿渋の原料である天王柿より, それぞれ性質の異る酵母を8株分離し, その特性を調らべた結果レモン型の両極性出芽酵母でCellobioseを良く発酵するKloeckera javanicaと思われる4株と, 胞子を良く形成し柿果汁, 合成培地においても比較的芳香を出す酵母4株を分離し, これらをSaccharomyces bayanusであると同定した。2. 分離した酵母の多くはアルコール耐性があり, またpH2.0の酸性下でも良く生育するタンニン酸耐性の強い酵母であった。3. 原料渋柿搾汁液を熱処理し, 分離酵母F菌を添加して発酵させた柿渋液はアルコールやエステル様の芳香が幾分あり, 柿渋特有の腐敗臭などの異臭が少なく清澄効果も従来の柿渋と変らず, 所期の目的にそった柿渋液を製造することができた。

1 0 0 0 京の貴船

著者
山上 英夫
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.40-41, 1986

酒造をはじめ, 広く食品産業全般にとっても用水の重要性は古今変ることはない。奈良朝以前より人々に水を司る神として信仰されてきた京都鴨川の川上, 鞍馬の漢谷にある貴般神社の伝承等について, 山上宮司に解説していただいた。
著者
柳田 藤治
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.608-610, 1976

昔からもっともなじみの深いすし酢に代表される食酢は, 食生活の変革につれて高度に多様化され, ポン酢, ドレッシング, マヨネーズ, ソース, ケチャップ等の調味料に多く使用されるまでになった。食酢の研究者である著者に, 食酢の利用, 効能, 製造技術について解説していただいた。
著者
荒川 龍雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.323-327, 1983

タバコは銘柄によって味.香リが異なリ特徴がある。タバコは一種類の葉ではなく.品種.収穫年度.産地などによって区分けされた2,000余の原料葉たばこの品質特性を官能的に熟知し.調合することによりでき上るという。この調合を行う人がブレンダーであり.ブレンダーはタバコの味について全責任を負う。ブレンダーの養成課程を解説して戴いたが.嗜好品ということでは立場を同じくする醸造業界にとっても大いに参考になることと思う。
著者
佐藤 信 中村 欽一 蓼沼 誠 茂木 宏治
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.433-438, 1970
被引用文献数
1

各種酒類の日光および単色光照射時の着色度の変化をしらべて次の結果を得た。<BR>1. 日光照射において, 清酒, ミリン, 赤ブドウ酒は着色を増し, ビール, 白ブドウ酒, ベルモヅト, リキュール, ウィスキー, ブランデーでは退色した。ただし, ビールでは長時間の日光照射で着色を増し, 白ブドウ酒の新酒でも着色を増した。<BR>2. ミリン, 白ブドウ酒 (原料: セミヨン) の新酒およびビールの日光着色は照射フラスコの上部空間を窒素ガス置換することによって完全におさえられた。<BR>3. 日光照射による可視部吸収スペクトルの変化の特長は次のとおりであった。<BR>清酒: 370mμにおける増大と350mμ以下での減少<BR>ミリン: 清酒に類似<BR>ビール: 500-550mμに僅かな増大と400mμ以下での減少<BR>自ブドウ酒古酒 (原料: セミヨン): 380mμ以下での減少<BR>赤ブドウ酒 (原料: マスカット・ベリーA): 530mμ における増大<BR>4. 210mμから686mμまでの単色光照射において着色度の変化に関与する波長は次のとおりであった。<BR>ミリン: 320mμによる着色<BR>赤ブドウ酒: 283-357mμ による着色と613-650mμによる退色<BR>ベルモット (ガンチア): 320-430mμ による退色<BR>クレムドバイオレヅト: 283mnμによる退色<BR>ウィスキー: 430mμおよび283mμ による退色<BR>ブランデー: ウィスキーに類似
著者
田中 潔
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.374-377, 1981-06-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
8

過量の飲酒が健康を害することはいうまでもないが, 少量の飲酒は健康にプラスすることがある。本稿では少量飲酒有益論の医学的根拠について述べていただいた。本文中で解説されているように, 近年発見された血清リポたんぱくのHDL成分を増加させて動脈硬化を防ぐことと, 脳の新しい皮質の抑制で古い皮質系を解放し文明病を予防することは, 確実視されている。これは飲酒長寿論につながるもので, プロカイン長寿法とも関連があって, 寿命統計とも決して矛盾しない。問題は過量にならない飲み方にあり, その一法として家庭での晩酌が勧められる。
著者
斎藤 孔男
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.774-780, 1984-11-15 (Released:2011-11-04)

味噌の用途は90%程度が味噌汁の主原料というのがこれまでのパターンであり, 世界的にみてもユニーケな食品としての位置を保ってきた。しかしながら, 味噌には物理化学的, 食品化学的, および広義の栄養化学的見地から極めて興味あり, 食生活向上の面から有意義な特性のあることが, 次第に明らかにされつつある。このような個性豊かな伝統食品の用途を拡大するため, 考え得るあらゆる分野での可能性を具体的に沢山の事例を挙げて解説願った。
著者
鈴木 昌治 小泉 武夫 野白 喜久雄
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.439-442, 1984

水田の稲穂にしばしばみられる糸状菌の菌叢「稲麹」を, 昔, 一部の酒造蔵では種麹として使用し米麹を得, これで清酒を仕込んだという記録を古文書から多く見出したので, このことについて検討したところ次のような所見を得た。<BR>1) 福島県, 埼玉県, 東京都の水田から稲麹を採取してきて, そこから糸状菌を純粋分離したところ, 分離された菌の大半は<I>U. virens</I>で, それに混じって<I>Aspergillus</I>属も多数分離された。 この両菌以外の糸状菌はほとんど分離されなかった。<BR>2) 分離した<I>Aspergillus</I>属について, その形態的, 生理的性質の検討を多項目にわたって行ったところ, アニスアルデヒド培地上での胞子の変色, 梗子の形や状態, 頂のうの型, 胞子の大きさ, 菌叢の色調, アフラトキシンの生成などにおいて<I>A. oryzae</I>の性質を示した。
著者
根元 茂 杉本 仁太郎 薄井 隆 庵谷 治夫
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.9, pp.579-584, 1979

洋酒は飲まれるだけでなく, クッキングワインなど調理用にも広く用いられている。我が国ではラムやキルシュの消費のほとんどが製菓用であるのを始め, 多くのブランデー, キュラソーなども使われている。<BR>本稿では洋酒の使用効果や使用法など洋酒と洋菓子の関係について権威者に解説していただいた。洋酒関係以外の方々にも御一読いただきたい。
著者
吉沢 淑 高橋 康次郎 ウィチェン ヨンマニチャイ
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.64-66, 1985

昭和58年度洋酒鑑評会に出品されたりキュール23点の成分を分析し, その特徴を比較した。<BR>(1) リキュールの品種により成分組織に特徴が認められ, 酸度は果実系リキュールが高く, 甘味度はクレムドカカオが高い。<BR>(2) アルコール分はキュラソーが約4%と最も高く, 梅酒が低い。その他のリキュールは24~30%に集中している。<BR>(3) キュラソーとクレムドカカオは全糖中砂糖の比率が80%以上と高く, チェリーブランデーは低い。<BR>(4) これらの特徴は55年度出品酒のそれと同様であった。