著者
小林 亮介 臼井 玲子 代田 欣二
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.199, 2008 (Released:2008-12-27)
参考文献数
2
被引用文献数
2 1
著者
蟻川 奈緒子 チェンバーズ ジェームズ 林 幸太郎 内田 和幸 苅谷 卓郎
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.77-82, 2018 (Released:2018-06-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

メルケル細胞癌を含む多発性皮膚腫瘍が発生した15歳齢の猫の臨床転帰および病理所見について報告する。腰背部に皮膚腫瘤を認め,病理組織検査からリンパ節転移を伴うメルケル細胞癌と診断した。背部にも多発性皮膚病変を認め,病理組織学的にボーエン様表皮内癌,基底細胞癌,および皮膚肥満細胞腫と診断した。第154病日に斃死し,病理解剖にて骨盤腔内にメルケル細胞癌の浸潤病変を確認した。本論文では,他の複数の皮膚腫瘍との併発がみられた猫のメルケル細胞癌の病理解剖および組織検査所見の詳細を述べる。
著者
Scott Danny W. Miller Jr. William H.
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.169-170, 2012
被引用文献数
3

鼻・趾端の特発性角化症は,特有の外観を呈する犬の疾患である。本症では特徴的な病歴を伴うが,皮膚以外には異常は認められない。過去11年間において35例の犬が本症と診断され,その来院頻度は犬の皮膚科症例では0.4%で,犬の外来症例全体では0.1%であった。イングリッシュ・ブルドッグ,ミニチュア・プードル,ミニチュア・シュナウザー,アメリカン・コッカー・スパニエル,ならびにドーベルマンは本症の好発犬種と考えられた。ほとんどの症例(71.4%)では,鼻部のみに病変が認められた。本症は無症候性で病変が永続し,自然寛解に関する報告はこれまでのところない。<br>
著者
Trenton S. Ewing Charli Dong
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.157-161, 2021 (Released:2021-09-23)
参考文献数
12

獣医療において慢性難治性創傷はよく遭遇する問題で,ユニークな治療戦略が発案されている。人医療及び獣医療でも,難治性の創傷が高気圧酸素療法(HBOT)で加療されている。この治療法では,患者を1気圧以上の気圧下で100%の酸素に暴露し,高濃度酸素化組織にする。これにより,種々の機序で治癒が促進される。本報告では,薬剤の血管外漏出から二次的に生じ,1ヶ月以上治癒しなかった創傷が,高気圧酸素療法に反応した臨床例を解説する。
著者
Nicola Martinez Beth McDonald
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.151-156, 2021 (Released:2021-09-23)
参考文献数
7
被引用文献数
1

本症例報告では,3 頭の犬における肉球の角化腫(たこ)による疼痛緩和を目的としたシンプルな外科治療について解説する。肉球の角化腫とは,肉球の角質層の局所的な過角化によって形成される腫瘤であるが,疼痛により跛行を呈することもある。患指の浅指屈筋(うち1 例では深指屈筋も)の腱切除を外科的に実施すると,患肢端の負重バランスが変化し,疼痛のある肉球にかかる負重が減少する。本報告の全ての犬において,速やかな跛行の改善が見られ,術後の回復も早かった。これまでのところ,この3 例の跛行は再発していない。
著者
Dayle McClintock Frane Banovic Pauline Rakich Michaela Austel
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.81-84, 2021 (Released:2021-07-14)
参考文献数
11

10歳齢,去勢雄のシベリアンハスキーが,臨床的および病理組織学的に粘膜皮膚尋常性天疱瘡と診断された。ステロイドの投与後,症例はシクロスポリンおよびビタミンEによって23カ月間は,2回の軽度な再発だけで維持された。著者らの知る限り,これは シクロスポリンおよびビタミンEによって長期間管理された,初めての犬の 尋常性天疱瘡の症例報告である。
著者
松本 哲 裵 東焄 上村 涼子 三澤 尚明 石井 浩太 橋口 順子 岩花 倫生 藤原 すばる 西藤 公司
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.85-88, 2021 (Released:2021-07-14)
参考文献数
13

2008~2018年に犬の皮膚病変から分離したStaphylococcus属菌に対するセフォベシンナトリウム(CFV)の薬剤感受性を調査した。分離した菌に対して菌種同定を行い,犬膿皮症の主要な原因菌種であるStaphylococcus pseudintermediusについて耐性率を算出した。2008年~2014年にかけて耐性率は約5倍に上昇したが,2014年以降は20%前後で推移していた。今後は耐性率を上昇させないためにも,CFVの適正使用について引き続き留意する必要があると考えられた。
著者
横井 愼一 関口 麻衣子 加納 塁 小林 哲郎
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.211-215, 2010
被引用文献数
2

7歳6カ月齢の雄のヨークシャーテリアの顔面,右後肢から臀部にかけて,丘疹,鱗屑および痂皮を伴う脱毛が認められた。病変部の皮膚押捺塗抹検査では棘融解細胞を疑わせる円形の細胞が見られ,皮膚掻爬検査では鱗屑中に糸状菌の菌糸を認めた。病理組織学的には液状変性を伴う表皮内および毛包壁へのリンパ球浸潤からなる境界部皮膚炎の像を示し,角層中にはPAS陽性の菌糸様構造物を認めた。角層の真菌培養および遺伝子検査の結果, <i>Trichophyton rubrum</i>が検出されたことから,本症を<i>T. rubrum</i>による皮膚糸状菌症と診断した。<br>
著者
貞本 和代 坂本 祐一郎 門屋 美知代 末信 敏秀
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.11-19, 2020 (Released:2021-03-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

0.3%ロメフロキサシンの点耳薬であるロメワン®のイヌ細菌性外耳炎への使用時における安全性および有効性を確認することを目的として,使用成績調査を実施した。本調査では,副作用発現状況の把握を目的とした安全性調査および,有効性および細菌学的効果を承認前に実施した治験成績と比較することを目的とした有効性調査を実施した。安全性評価の対象となった613症例のうち,3症例に副作用(嘔吐,耳擦過傷および外耳障害)が認められ,副作用発現率は0.49%であった。有効性評価の対象となった103症例における有効率は66.0%(68/103)であった。また,有効菌種であるS. intermedius,S. canisおよびP. aeruginosaの消失率はそれぞれ77.1%,79.0%および92.3%であり,ロメワン®は有効菌種に対して高い細菌学的効果を示した。以上の結果より,ロメワン®は副作用発現率が低く,有用な薬剤であることが示された。
著者
澤 由貴 周本 剛大 横山 岳生 三井 一鬼 兼島 孝
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.15-19, 2020
被引用文献数
1

<p>掻痒性皮膚炎をシクロスポリンA(CyA)で治療していた,去勢オス,8歳のスコティッシュフォールドが慢性の消化器症状を主訴に来院した。A/G比の低下,抗猫コロナウイルス(FCoV)抗体価の上昇を認めたため,免疫力低下からのFCoV持続感染を疑いCyAを休薬した。その後,掻痒の管理が困難になったためにオクラシチニブを使用したところ,消化器症状は改善して抗FCoV抗体価も低下した。しかし1年半後に腎臓に腫瘤を認めリンパ腫と診断したため使用を休止した。オクラシチニブは猫の掻痒性皮膚炎に効果を示すが,高用量投与時の免疫抑制には注意すべきだと考えられる。</p>
著者
今道 昭一
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.69-73, 2013
被引用文献数
2

3ヵ月齢,未避妊雌のロシアンブルーで,生後87日目に2回目の猫3種混合ワクチンを接種。その17日後から耳介,頭部,肉球および爪周囲の潰瘍を発症し,爪周囲には乾酪様滲出物を認めた。皮膚病理組織学的検査では,多数の棘融解細胞を含む角層下膿疱が認められた。これらは猫の落葉状天疱瘡を示唆する所見であった。皮疹は拡大傾向にあったため,プレドニゾロンを漸減しながら121日間投与し略治した。現在,全ての治療が終了してから2年を経過しているが,再発は見られない。病態として,猫3種混合ワクチンに誘発された落葉状天疱瘡を疑った。<br>
著者
串田 壽明 串田 尚隆
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.13-16, 2008

猫小穿孔疥癬虫<i>Notoedres cati</i>は猫疥癬の原因寄生虫であり,猫から猫へ接触により容易に感染する。疥癬虫は一般には宿主特異性が高いとされているが,猫小穿孔疥癬虫はときに犬にも感染するとされている。著者らは,疥癬に罹患した同居猫をもつ10歳,雌のマルチーズの皮膚から,猫小穿孔疥癬虫の虫体と虫卵を検出したことから,自験例における同寄生虫の感染を確認した。自験例はイベルメクチン皮下投与ならびにアミトラズ薬浴により治療を行ったが,症状の改善ならびに疥癬虫の陰転を得るまでに3ヵ月余を要した。<br>
著者
串田 壽明 串田 尚隆
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.13-16, 2008 (Released:2008-04-17)
参考文献数
3

猫小穿孔疥癬虫Notoedres catiは猫疥癬の原因寄生虫であり,猫から猫へ接触により容易に感染する。疥癬虫は一般には宿主特異性が高いとされているが,猫小穿孔疥癬虫はときに犬にも感染するとされている。著者らは,疥癬に罹患した同居猫をもつ10歳,雌のマルチーズの皮膚から,猫小穿孔疥癬虫の虫体と虫卵を検出したことから,自験例における同寄生虫の感染を確認した。自験例はイベルメクチン皮下投与ならびにアミトラズ薬浴により治療を行ったが,症状の改善ならびに疥癬虫の陰転を得るまでに3ヵ月余を要した。
著者
榊原 唯雄
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.79-82, 2020 (Released:2020-06-20)
参考文献数
4

臨床症状および病理組織学所見が角層下膿疱症と合致した犬を経験したので報告する。全身性に丘疹・膿疱を形成した。細菌培養検査により,無菌性膿疱と診断した。病理組織学検査では,角層下に形成された膿疱が観察された。膿疱形成に先行してノミ刺咬症及び熱中症に罹患しその治療中及び治療終了直後には膿疱は確認されなかった。これより今回観察された病変は発生初期段階であったと認識された。病態初期では痒みを伴わない症例が存在する可能性が有ると思われる。ダプソンを用いた治療を行った結果,早期に治療改善を認めた。
著者
周藤 行則 周藤 明美 清水 篤 石河 晃 永田 雅彦
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.121-123, 2005 (Released:2006-10-27)
参考文献数
8

5歳齢, 雄のミニチュア・ダックスフントに皮膚の過伸展と脆弱性がみられた。頚部背側の皮膚伸展指数は20.9%と著しい高値を示した。皮膚生検で真皮結合織は粗で, 電子顕微鏡検査では細線維束の太さや形態の不均一が観察された。以上より, エーラス・ダンロス症候群と診断した。姑息的ながらビタミンCの経口投与を実施したが, 皮膚の脆弱性は次第に悪化した。