著者
中村 航洋 浅野 正彦 渡邊 克巳 尾野 嘉邦
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第18回大会
巻号頁・発行日
pp.23, 2021-03-15 (Released:2021-03-15)

政治的意思決定や選挙行動は,政治家の掲げる公約や政策の内容だけでなく,有権者の偏見や政治家の容姿といった,政治とは直接的関連の薄い要因にも左右される。しかしながら,人々がどのような容姿を政治家としてふさわしいと感じ,なぜそれが政治的意思決定に影響を及ぼすのかは明らかにされていない。本研究では,逆相関法を用いた顔画像分類から,日本人が心のなかで想像する政治家の顔ステレオタイプを可視化し,政治家らしいと判断される顔の特性について明らかにすることを目的とした。実験では,2016年の参議院議員選挙候補者の平均顔にランダムノイズを付加した2枚の画像を生成し,実験参加者に「内閣総理大臣」あるいは「防衛大臣」にふさわしい顔つきの写真を繰り返し選択してもらう課題を実施した。参加者の画像分類を逆相関法により解析した結果,各大臣としてふさわしい男性顔および女性顔のステレオタイプを可視化することができた。
著者
浅野 正彦
出版者
Japanese Association of Electoral Studies
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.33-49,212, 2008-02-28 (Released:2011-05-20)
参考文献数
2

本論文は, 選挙学会誌の『選挙研究』と『選挙学会紀要』に掲載された論文を分類・分析することにより, 日本における選挙研究の動向を明らかにすることを目的にしている。研究対象に関しては『選挙研究』でも『紀要』でも, 国別でみると60%以上の論文が日本を研究対象にしていることがわかった。そのうち半数強の論文が重回帰分析など比較的高度な数理・計量度の手法を使っている。『選挙研究』に掲載された論文に比較的高度な数理・計量度の手法が使われた割合は, 1980年代から90年代そして2000年代と次第に増えており, 1986年発刊の『選挙研究』に掲載された論文の約39%, また2003年に発刊され始めた『選挙学会紀要』に掲載された論文の約49%が同様の手法を使っていることがわかった。
著者
浅野 正
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
no.36, pp.195-206, 2014-03-01

犯罪被害者を保護する法制度の整備が着実に進む中、被害者の精神的健康や望ましい被害者支援の在り方に関心が向けられている。犯罪被害者は自然災害や交通事故などと同様に、外傷後ストレス障害を引き起こしやすいことが知られている。外傷後ストレス障害と関連する危険因子のなかでも、犯罪被害支援の実践に役立つと思われる。被害経験を周囲に伝えようとする被害者の態度と、周囲の否定的・肯定的反応を取り上げた実証的な研究を本稿では詳しく紹介する。犯罪被害支援の実践現場、その中でも特に本稿では、被害者参加制度や証人の保護制度などが導入されている裁判所を取り上げる。被害者の精神的健康に関する調査や研究から引き出される知見を踏まえながら、裁判所で生じやすい二次被害を克服し、被害者の精神的健康の促進を図る被害者支援の在り方を検討する。
著者
浅野 正
出版者
文教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

犯罪心理学領域では、犯罪者の性格傾向を解明するためのメタ分析が複数公表されているが、いずれも心理測定尺度や質問紙心理検査を使用した研究論文によるものである。本研究では、さらに幅広い犯罪者の性格傾向を把握することを目指して、投映法心理検査であるロールシャッハ・テスト研究論文のメタ分析を行う。犯罪者の中でも、性犯罪者と暴力犯罪者を対象とする。刑務所等での処遇実践で活用できる心理アセスメントの方法を提示する。
著者
浅野 正
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 = Bulletin of Human Science (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.137-144, 2012-03-01

Education from the victim's veiwpoint is a corecctional measure used in Japanese prisons and juvenile training schools. What is discussed in this paper is how the educational program can effectively prevent re-offending and successfully encourage the psychological recovery of crime victims. The educational program could be improved in three ways. First, the intervention should equally focus on both the individual and his peers. Second, an understanding of individual victims shoud be emphasized rather than that of victims in general. Third, offenders should think about how they wish to specifically apologize to their victims, assuming taht they might meet those victims face-to-face in the future. Knowing what efforts offenders are making can help to improve the mental health of their victims.
著者
浅野 正二 内山 明博 塩原 匡貴
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.165-173, 1993-02-25
被引用文献数
4

1991年および1992年の1月から4月の期間に筑波(36.05゜N,140.13°E)において、大気柱に含まれるエーロゾルの光学的厚さ(AOT)の波長分布を多波長サンフォトメータを用いて測定した。1992年に観測された大気柱のAOTは、1991年に比べて0.1〜0.2ほど大きかった。この違いの主な原因は、1991年6月に起きたピナトゥボ火山の大噴火に起因する成層圏エーロゾルの増大と考えられる。成層圏エーロゾルによる光学的厚さは1992年2月に最大であり、この値は1982年12月に観測されたエルチチョン火山の場合の最大値を超えた。AOTの波長分布から大気柱内エーロゾルの粒径分布を推算した。成層圏エーロゾルに対するAOTから、約0.6μmのモード半径および0.05より小さい有効分散値をもつ一山型の狭い分布が、ピナトゥボ火山性エーロゾルの粒径分布として推定された。この一山型の狭い粒径分布は、ビショップ光環のシミュレーションから推定された粒径分布(Asano,1992)と合致する。
著者
奥山 峻一郎 浅野 正也 有永 誠 古賀 哲二 高岸 直人
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.990-993, 1990-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
4

We allowed early weight-bearing and ankle movement after operation for ankle fractures of supination-external rotation injury type. As this method gave better results in a follow-up, we think that this method can be applied to another fracture types too.
著者
浅野 正
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 = Bulletin of Human Science (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.141-148, 2014-03-01

Previous research has indicated that emotionally abusive parenting, which includes neglect, rejection, hostility, anger, and psychological control, is associated with juvenile delinquency. Prevention programs are known to effectively reduce child abuse by enhancing the emotional relationship between parents and children and improving parents' ability to control their children. Since the Juvenile Training School Act was revised, new educational activities involving both juvenile delinquents and their parents have been conducted in juvenile training schools. This article explores how educational activities should be conducted to effectively reduce emotional abuse and prevent future reoffending. Programs to prevent child abuse are effective at reducing child abuse, so the skills they teach should be actively utilized in educational activities conducted by training school staff when dealing with abusive parents and abused juveniles.
著者
内山 明博 浅野 正二 塩原 匡貴 深堀 正志
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.513-532, 1999-04-25 (Released:2009-09-15)
参考文献数
43
被引用文献数
4 4

気象庁気象研究所では、上層の氷雲の微物理特性と放射特性同時観測のために地上からの観測システムを開発した。観測システムは、雲粒子ゾンデ(HYVIS)、ライダーと各種放射計からなっている。本論文では、観測システムの概要と1989年6月22日,30日に観測された梅雨前線に伴う巻層雲の構造と放射特性について述べた。HYVISによって観測された氷晶の粒径分布は、べき乗関数で近似でき、その指数は全層平均で3.2であった。粒径分布の顕著な温度依存は、見られなかった。全天日射量の透過率は、同時に測定したサンフォトメーターから推定した可視の光学的厚さに関係づけ、理論値と比較した。その比較は、氷晶粒子に対する非等方因子(asymmetry factor)は球形の粒子に対するものより小さいことを示している。放射温度計の測定値から波長10.5μmでの有効射出率を推定した。さらに、フーリエ変換型赤外分光光度計のデータから波数800から1200cm-1の間の有効射出率の波数分布も推定した。観測した巻層雲は可視の光学的厚さが1.0以上で有効射出率は0.4以上あり光学的に厚かった。
著者
中村 航洋 浅野 正彦 渡邊 克巳 尾野 嘉邦
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.23, 2021

<p>政治的意思決定や選挙行動は,政治家の掲げる公約や政策の内容だけでなく,有権者の偏見や政治家の容姿といった,政治とは直接的関連の薄い要因にも左右される。しかしながら,人々がどのような容姿を政治家としてふさわしいと感じ,なぜそれが政治的意思決定に影響を及ぼすのかは明らかにされていない。本研究では,逆相関法を用いた顔画像分類から,日本人が心のなかで想像する政治家の顔ステレオタイプを可視化し,政治家らしいと判断される顔の特性について明らかにすることを目的とした。実験では,2016年の参議院議員選挙候補者の平均顔にランダムノイズを付加した2枚の画像を生成し,実験参加者に「内閣総理大臣」あるいは「防衛大臣」にふさわしい顔つきの写真を繰り返し選択してもらう課題を実施した。参加者の画像分類を逆相関法により解析した結果,各大臣としてふさわしい男性顔および女性顔のステレオタイプを可視化することができた。</p><p></p>
著者
浅野 正
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
no.37, pp.89-95, 2015-03-01

臨床心理アセスメントの実践の中で、複数の心理検査を組み合わせて実施するテストバッテリーが重視される。包括システムによるロールシャッハテストの警戒心過剰指標と、統合型HTPの描画特徴との関連を調べることが、本研究の目的であった。精神病院での43名の患者を調査対象とし、統合型HTPの統合性や遠近感などの評定項目について、警戒心過剰指標が陽性か陰性かによる人数差を、χ2検定により検討した。その結果、ロールシャッハテストの警戒心過剰指標が陽性である対象者ほど、統合型HTPで羅列的な描写は少なく、遠近感や奥行きを表現しながら、全体を統合して絵を描く傾向が表れた。不安定な愛着関係から、周囲に対する警戒心や疑い深さが増し、自分と他者との関係を意識しすぎることが、統合型HTPの描画特徴に反映されていると考えられた。
著者
岡田 雅彦 中村 雄二 古田 博文 斉間 恵樹 松尾 史朗 岸本 道太 埴岡 啓介 浅野 正英 由谷 親夫
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.20, no.7, pp.881-886, 1988

著明な右室の拡張を呈し右心不全に慢性腎不全を合併して死亡した1剖検例につき,生前の諸検査所見および剖検所見から右室の障害を主徴とする拡張型心筋症の症例と考えられたので報告する.症例は67歳女性で全身浮腫を主訴として入院.入院時現症にて全身浮腫,腹水の他に心聴診上三尖弁領域に全収縮期雑音を聴取.胸部X線上心拡大を,また心エコー図にて右房,右室の著明な拡大を認めたが左室の拡大はなく左室壁運動も正常であった.右心カテーテル検査では右房,右室圧の上昇を認めたが肺動脈は正常,また左右短絡所見は得られなかった.これらの所見から右心不全の原因として孤立性三尖弁閉鎖不全および右室異形成症が疑われたが,剖検所見からいずれも否定された.剖検所見は,右室は著明なびまん性拡張を示し左室の拡張はなく,心筋組織所見上は左室に比して右室により高度なびまん性病変を認めた.拡張型心筋症の病態は一般に左室の拡張と収縮障害を主徴とするものと考えられているが,左室の障害が軽度ないしほとんど存在せずに高度の右室の障害を示す拡張型心筋症の報告例も本邦および海外において散見され,自験例を含めて右室型拡張型心筋症と考えるべき症例がまれに存在するものと思われる.
著者
浅野 正道
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.24-36, 2008-12-10 (Released:2017-08-01)

坪内逍遙の『一読三歎 当世書生気質』には夫婦の情動の空間として閉ざされていく直前の家庭の姿が、その過剰なる外部としての<朋友たち>の絆とともに描かれている。そうしたホモソーシャルな絆は、『小説神髄』で定義されているような、所与として主体の内側にあり、異性愛において<自然>に発動するという「人情」の様態を超歴史化すると見えなくなってしまう、それが編制されるまでの不安定で重層的な過程を指し示していたといえよう。
著者
浅野 正彦
出版者
Japanese Association of Electoral Studies
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.174-189,258, 2003

本稿の目的は,選挙制度の変更が政党エリートの行動に与える影響を,日本の自由民主党における公認発行を事例として,実証分析することにある。本稿は,中選挙区制から小選挙区制へ移行し選挙区定数が1になることが,公認発行において,総裁派閥と幹事長派閥に所属する候補者への優遇傾向を加速させる,と主張する。政党公認の決定プロセスを自民党執行部と自民党県連間のゲームとみなし,中選挙区制下では,政党執行部が強く支持しない非現職候補者が公認され,小選挙区制下では,執行部が強く支持する非現職候補者が公認される傾向があることを示した。さらに二つの選挙制度下における衆院選データ(1960-2000)を使って比較分析を試みた結果,中選挙区制下と比べると小選挙区制下において,総裁派閥と幹事長派閥がバックアップした非現職候補者が公認される確率が増していることが確認された。
著者
村上 泉 浅野 正一 幸重 浩一 長屋 秀明 佐藤 宏 稲富 信博
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.108, no.6, pp.323-332, 1996-12-01
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

ランソプラゾールの急性胃粘膜病変に対する治療効果を検討する目的で, ラットを用いインドメタシンによる胃出血と胃粘膜損傷に対する作用を静脈内投与で検討し, オメプラゾール, ファモチジンおよびラニチジンの作用と比較した.インドメタシン30mg/kg投与により胃出血が惹起されるが, この条件下にランソプラゾールを投与すると強い胃出血抑制作用を示し, ID<SUB>50</SUB>値は0.29mg/kg, i.v.であった.オメプラゾールおよびファモチジンも有意な胃出血抑制作用を示したが, ラニチジンは軽度な抑制しか示さなかった.ランソプラゾールの胃出血抑制作用は酸分泌抑制作用と相関し, 灌流液中に50mM塩酸を添加することにより消失したことから, ランソプラゾールの胃出血抑制作用は主として酸分泌抑制作用に基づくと考えられた.ランソプラゾールはインドメタシンによる胃粘膜損傷の進展に対して抑制作用を示し, ID50<SUB></SUB>値は0.10mg/kg, i.v.であった.オメプラゾール, ファモチジンおよびラニチジンのID<SUB>50</SUB>値は各々0.69, 2.58および24.6mg/kg, i.v.であり, ヒスタミンH2受容体遮断薬の作用は比較的弱かった.以上の成績からランソプラゾ-ルは胃出血および胃粘膜損傷の進展に対して強い抑制作用を有し, 急性胃粘膜病変の治療に有用と考えられた.
著者
福井 博一 山本 哲也 浅野 正 中村 三夫
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.139-145, 1988-12-25

Cyclamen persicum Mill.'バーバーク'の種子を無機成分を1/2にしたMurashige & Skoog培地(1/2MS)に播種し,発芽した幼植物の各組織からの器官分化に及ぼす生長調節物質の影響及び大量増殖法の検討を行った。子葉柄からは塊茎様組織(TLO)が形成されたが,その形成量はNAA濃度が高くなるに従い促進された。生長点近傍組織及び塊茎組織からの塊茎肥大にもNAAが密接に関与していた。不定芽の分化はBAPによって促され,不定根の分化はNAAによって促進された。カルス形成はNAAを10^<-5>M,BAPを10^<-7>〜10^<-6>M添加された場合に最も促進された。個々に分割した不定芽を,高濃度のBAPを添加した培地に移植すると各々からフローラルトランクが形成され,実生植物に近い形態の幼植物となった。カルスをNAA 10^<-6>M及びBAP 10^<-6>M添加した培地で液体振とう培養すると多数の不定胚が得られた。
著者
内山 明博 浅野 正二 塩原 匡貴 深堀 正志
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.513-532, 1999-04-25
被引用文献数
1

気象庁気象研究所では、上層の氷雲の微物理特性と放射特性同時観測のために地上からの観測システムを開発した。観測システムは、雲粒子ゾンデ(HYVIS)、ライダーと各種放射計からなっている。本論文では、観測システムの概要と1989年6月22日, 30日に観測された梅雨前線に伴う巻層雲の構造と放射特性について述べた。HYVISによって観測された氷晶の粒径分布は、べき乗関数で近似でき、その指数は全層平均で3.2であった。粒径分布の顕著な温度依存は、見られなかった。全天日射量の透過率は、同時に測定したサンフォトメーターから推定した可視の光学的厚さに関係づけ、理論値と比較した。その比較は、氷晶粒子に対する非等方因子(asymmetry hctor)は球形の粒子に対するものより小さいことを示している。放射温度計の測定値から波長10.5μmでの有効射出率を推定した。さらに、フーリエ変換型赤外分光光度計のデータから波数800から1200cm^<-1>の間の有効射出率の波数分布も推定した。観測した巻層雲は可視の光学的厚さが1.0以上で有効射出率は0.4以上あり光学的に厚かった。