著者
村松 晋
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.72-61, 2006

This study focuses on letters of the well-known theologian Seiichi Hatano from around 1945 that clarify his perception of society and of the times. It becomes clear through this study that one side of Hatano was that of an "old liberalist" who had great pride in the Meiji era.
著者
池上 真理子
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.197-212, 2013

近年,新教育基本法や新学習指導要領の中で,日本の伝統文化教育を重視する方針が打ち出されたことにより,学校教育の中に日本音楽を取り上げる動きが活発になっている。しかし,教師の側の日本音楽に対する理解不足など,実際の導入に際してはいくつかの課題もある。そのような現状を踏まえ,本稿では,日本音楽の一領域である雅楽を,小学校の音楽教育に導入する意義と可能性について,筆者が実際に行った授業の分析や,学習指導要領に基づいた具体的な指導計画の提案などをもとに考察した。そして雅楽の導入が,その音楽を知るのみでなく,日本独自の豊かな芸術的感性を体験的に理解できる,歴史,文学など他教科との関連性をもって伝統文化の体系的な理解を深められる,など幅広い学びの可能性を持つことを指摘した。
著者
清澤 達夫
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.179-188, 2004

This case is written as a college student's teaching materials about the business management of Mary's Chocolate Company. Mary's Chocolate recognizes an information technology early, though it is a medium enterprise. Product planning is connected for this information technology the selling plan from the first. That brought about management innovation and has produced the high profit of 10% of ordinary profits. This unique point of this company is in the management, which composes and verifies the hypothesis from data. That is all employees give the significance.
著者
柴田 武男
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.43-50, 2013

貧困問題を論じる上で河上肇の『貧乏物語』は不可欠の文献であるが,解決策を「道徳論で贅沢を止めよ」としていることで批判を浴びた。しかし,彼の「貧乏線」は現在の貧困問題に繋がる業績でもあった。現在の貧困問題は,絶対的貧困ではないが奨学金返済問題にみられるように,本来若者を支援する制度が逆に将来不安を生じさせるという意味で平成の『貧乏物語』となっている。
著者
柴田 武男
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.201-210, 2014

貧困問題を奨学金返済問題から論じると,戦前の奨学金は育英を理念としながらもその実態は戦争遂行のための手段であった。戦後は育英も奨学も理念として無く,日本学生支援機構は修学のための学資金を貸与する金融機関となった。貧困と格差を解消する手段として無償の教育と給付制の奨学金が指摘されるが,教育の機会均等とは何か,なぜ必要なのか,それを未来への投資と経済概念で理解して良いのか疑問である。学ぶこと自体に社会が支える価値がある,という社会認識への根本的変革が必要であり,それなくしては,現代的貧困は理解できない。
著者
小林 茂之
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.237-248, 2009

古代日本語における主要部内在型関係節は,Kuroda(1974)や近藤(1981)によって統語論的観点から研究されてきた。黒田は,「の」が先頭位置を占めることに着目し,制約(the Pivot Initial Constraint) を提案した。これは,Kayne(1994)などの線状性に関する理論にとって興味深い問題であり,竹沢・Whitman(1998)は,Kayne の仮説に従って,日本語のDP 構造を分析している。当研究も,通時統語論的観点からこの仮説を検討する。近藤は,黒田より広い範囲の主要部内在型関係節を3タイプに分類した。本稿は,これらの一つから他の発達を構造の再分析を通した文法化として分析する。音韻的縮約は文法化を示す(Roberts and Roussou 2003)。本稿は,「の」の変化に伴うアクセントの縮約を指摘し,これが「の」の再分析を支持することを論じる。
著者
K.O.アンダスン
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.1-19, 2009-03-31

詩人デーヴィッド・タッカー(David Tucker)は,ニュージャージー州のピューリッツァー賞を受賞したこともある朝刊紙『スター・レッジャー紙』に勤務する記者でもある。彼が詩人として発表した最初の詩集Late for Work には,「とりとめのない空想」や「夢想」,「無為の楽しみ」を主題とした複数の詩が収録されている。この詩集は,詩人フィリップ・レヴィン(Philip Levine)によって2005年度のキャサリン・ベイクレス・ネイソン詩作賞(the 2005 Katharine Bakeless Nason Prize for Poetry)の受賞作品に選ばれ,同賞はミドルベリー・カレッジ(Middlebury College)およびブレッド・ローフ作家会議(Bread Loaf Writers' Conference)によって授与された。本稿は,同詩集に収められた45編の詩の中から8作品を取り上げ,タッカーの詩における主題としての「静寂」と「静穏への細心の注意」に焦点をあて検討することを目的としている。そのうえで,「愛」,「死」,「家族」,「神」,その他多様な主題を扱うタッカーの詩について,新たな研究と解釈の視点と方法を提示する。
著者
松本 祐子
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.133-143, 1999-03-25

Ursula Le Guin's The Tombs of Atuan is full of sexual imagery. The half-ring hidden in Tenar's dark underground world like an enormous womb is connected with the other half brought from the outside by Ged, which suggests fertilization. The romance between Ged and Tenar, however, does not follow as expected. Since the Tombs of Atuan is one volume of the series whose hero is Ged, Tenar, as a minor character, seems to be left alone and driven away from the stage at the end of the story so that Ged may continue his heroic adventure. It is never the weakness of women, however, that Le Guin lays emphasis on. The extraordinary power which fills the underground world of "Nameless Ones" symbolizes the unlimited energy of the nameless women oppressed for generations. Tenar, who combines directly opposed images of "a captured lady" and "the monster Minotaur", has acquired authority by accepting the conventional system, but her way of life is thoroughly passive. Tenar, as Arha, "the Eaten One", is robbed of her true name and personality and forced to be ignorant in exchange for false authority; then her oppressed curiosity is released by Ged and, with this as a trigger, Arha's identity collapses and that of Tenar's is restored instead. Tenar is charmed with Ged's magic power which is obtained by knowing the true nature of things, but in Tehanu, the last volume of "The Earthsea Quartet", the fact is shown that the magi's power obtained by neglecting their own sex is not the one Tenar should aim for. Le Guin attempts to give a new definition of power, describing an ordinary woman who struggles to be a perfect woman and have power and responsibility at the same time. The Tombs of Atuan is the story of beginning in which Tenar begins to walk in order to get power as a woman by leaving another self who was the innocent and ignorant "vessel of evil".
著者
鈴木 真実哉
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.39-58, 2008-03-31

In practice and theory, French mercantilism had its own uniqueness which was different from one in any other European country. It has been altering with various prime ministers in France and their policies. Especially, Richelieu and Colbert mared French mercantilism.
著者
平 修久 タイラ ノブヒサ
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:9152539)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, 2014-03

全国の市区の協働推進部署にアンケート調査を実施し,?指針等は,協働適用の判断などにある程度有効であるが,職員の理解不足や協働希望の職員不足の解消に十分な効果をもたらしていない,?3分の1弱の市区が協働人材養成の方針を明確にしている,?定期的に協働の研修を実施していない市区もある,?協働人材養成の方針を有する市区の大半が職員採用に地域活動の経験を考慮しているが,昇任試験では約半分にとどまる,?人事ローテーションへの協働人材養成の考慮,協働関連部署の職員の庁内公募,人事考課への協働の考慮は限られていることがわかった。さらに協働を推進するためには,協働推進部署と人事部署との一層の連携が必要である。
著者
加藤 恵司 カトウ ケイジ
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.第22巻, no.第1号, 2009-11
著者
田澤 薫
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.15-28, 2013

保育所制度の変革が進んでいる。改革をめぐり措置制度と保育の公的責任の関連が論点の一つであるが,児童福祉法制定前後の経緯を繙くと,保育所保育が措置制度と結びついたのはSCAPIN775への対策に過ぎず,また保育所運営への公金支出が必ずしも保育の公的責任を意味したわけではないことが明らかになった。この点を踏まえれば,変革への賛否両論が保育所利用方法のシステム論に偏ることは本質を欠く。一方で保育の内容については,児童福祉法制定当初から「託児」ではない「保育」の模索が始まり今日までに相応の充実を見ている。保育責任をシステム論からではなく,乳幼児に対する保育内容保障の点からこそ論じる視点が求められる。
著者
村松 晋 ムラマツ ススム
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.182-161, 2013

本稿の対象は、昭和戦前期にカトリック思想家として存在感を放った吉満義彦である。その思想の構造と特質に関しては二〇一一年度に著した論考と、本年度末に公刊される新稿で明らかにした。本稿はそれらの考察を承け、吉満の思想の展開過程を扱ったものである。具体的には吉満の時代認識と、その認識に基づく〈実践〉のありようを解析した。前者については、「生命への渇望」をめぐる実存への理解、時代を席巻する「二十世紀の神話」への内在的批判、ならびにキリスト教信仰に根ざす同時代把握を指摘し、後者については、吉満の宗教的〈実践〉が持ち得た思想的かつ社会的な射程を説いた。
著者
若松 昭子
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.173-188, 2014

本研究では,ボーモン夫人の「美女と野獣」に描かれた読書の姿を通して,18世紀フランスの読書観の輪郭を探った。その結果,以下の事柄が明らかになった。ボーモン夫人は子どもたちに向けて創った教訓的物語のなかに,単純だが強力な読書啓発のメッセージを込めた。「美女と野獣」はその代表例であった。一方,彼女は書物を自分の体面保持に利用する人々や,有害な読書習慣が身に付いた小説読者を風刺的に描いた。それらの表現の中に,読書の理想形を子どもたちに示そうとしたボーモン夫人の意図を読み取ることができた。それは,新しい教育を模索する同時代の人々の読書観を代弁し牽引したものと思われる。
著者
山田 麻有美
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.209-222, 2006-03-27

In the beginning of the 1900s, the Psychodrama, a sort of psychotherapeutic method for groups, was invented by J.L.Moreno. He was very charismatic and powerful. He trained his follower's. They performed the Psychodrama world-wide. Through they developed their own techniques and schools, they made little theoretical development. The Person-Centred Psychodrama is one of these schools of psychodrama. It is used mainly in the UK and has been gaining acceptance. The purpose of this essay is to point out differences between the Person-Centred Psychodrama and the Classical Psychodrama through a comparison of their techniques.
著者
山田 麻有美
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.221-232, 2002-02-25
著者
柴田 武男 シバタ タケオ
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.105-118, 2013

昭和初期の新聞記事を検索すると,利息制限法改正について数多く報道がなされている。しかし,その一方で当時の帝国議会での議事録を精査すると,政府から利息制限法改正について積極的な提案は見いだせない。それでは利息制限法改正は幻で,数多くの報道はすべて誤報だったのか。そうした歴史認識を覆す文書が,国立公文書館アジア歴史資料センターに所蔵されていた。大蔵省銀行局調とあり,1936年12月24日の日付が記されている「利息制限法改正ニ関スル件」である。同資料を分析すると,当時の高金利被害を根絶しようとする意欲的で,現在の利息制限法よりも先進的な内容のものである。