著者
酒井 善則 鶴原 稔也
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.239-243, 2012-01-01 (Released:2012-01-01)
参考文献数
11

学会への論文投稿は研究者等の重要なミッションであるが,最近二重投稿問題や剽窃問題等の増大が懸念されている.特に,最近のICTやインターネットの発展によりこれらの問題が顕著になっており,学会としての対応も求められている.剽窃問題等が明らかになった場合,研究者個人だけでなくその所属する大学や企業等の組織に与える影響も大きく,更には科学技術全体に対する社会的評価をおとしめることとなる.本稿ではこれらの問題の現状の一部を紹介し,背景について解説するとともに,倫理に関する啓発活動が重要なことを述べる.

85 0 0 0 OA 光学的音響計測

著者
矢田部 浩平 石川 憲治 谷川 理佐子 及川 靖広
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.259-268, 2019-04-01 (Released:2019-04-01)
参考文献数
66
被引用文献数
1

音は空気の疎密変化なので,空気の密度に依存する屈折率を光学系で検出することで,音を非接触に録ることができ,実体の存在するマイクロホンでは扱えない音場も光によって計測することができる.本稿では,筆者らがこれまで取り組んできた「空中可聴音の光学的音響計測」の歴史や原理,用いている2種類の干渉計(レーザドップラー振動計・偏光高速度干渉計)の光学的内容などについて概説し,光でしか計測できない実際の音場への適用例を幾つか紹介する.
著者
大石 進一
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.2_9-2_19, 2008-10-01 (Released:2011-05-01)
参考文献数
25
被引用文献数
1

筆者は1976 年の卒論より研究をスタートしました。すでに32 年間研究に携わってきたことになります。筆者が精度保証付き数値計算の研究に移ったのは1990年のことです。以来本分野で研究を続けてきました。精度保証付き数値計算の研究の研究に移ったのは筆者なりの必然性があります。1990年当時の精度保証付き数値計算の研究は実用的ではないと考えられていたような気がします。実際、数百次元の連立一次方程式の精度保証が精一杯の感じでありました。現在では特殊な構造を持つ方程式であれば一億次元の連立一次方程式でも精度保証できるようになり、精度保証付き数値計算は実用の段階に至っていると思っています。筆者の研究がこのようなブレークスルーに貢献できたと考えておりますが、本稿ではこのような精度保証付き数値計算の研究の発展と筆者の研究の個人史の交錯を描かせていただきました。
著者
高木 剛
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.17-27, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
49
被引用文献数
1

最も有名な公開鍵暗号としてRSA暗号とだ円曲線暗号があり,SSL/TLSによる暗号通信や電子政府でのディジタル署名などで広く普及している.一方で,これらの暗号は量子計算機による多項式時間の解読法が知られているため,量子計算機に耐性のある数学問題を利用したポスト量子暗号(Post-Quantum Cryptography)の研究が注目を集めている.実際,2015年8月にアメリカ国家安全性保障局NSAはポスト量子暗号への移行を表明し,2016年2月には米国標準技術研究所NISTがポスト量子暗号の標準化計画を発表している.本稿では,ポスト量子暗号の歴史と標準化計画の概要を紹介し,代表的なポスト量子暗号となる多変数多項式暗号と格子暗号の構成方法と安全性の評価方法を解説する.
著者
山根 信二
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.197-204, 2016-01-01 (Released:2016-01-01)
参考文献数
64
被引用文献数
1

混乱するハッカー及びハッキングの理解を整理するために,本稿ではこれまでのハッカーのパブリックイメージがどのように形成されたのかをたどり,それらを史的展開の中に位置付ける.ハッカーの極端なパブリックイメージは時代ごとの不安が投影されていると考えることができる.これらはマスメディアによって作られただけでなく,計算機科学者や学会も役割を果たしてきた.更にハッカーに注目することで,これまでのコンピューティングの歴史を見直す新たな試みについて論じる.最後に今後の人材育成戦略についても取り上げる.
著者
田中 雄一
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.15-29, 2014-07-01 (Released:2014-07-01)
参考文献数
91
被引用文献数
2

定義域を時間軸上に持つ通常の信号に対しては,信号の有する周波数特性の解明が研究の中心である.例えばフーリエ変換は,周波数領域へと信号を射影した際の周波数成分,すなわち信号と周波数固有関数の内積として算出される.同様に,定義域をグラフの頂点上に持つグラフ信号に対しては,グラフ信号の有するグラフスペクトル特性の解明が研究の中心となる.グラフ信号に対するフーリエ変換は,グラフスペクトル領域へと信号を射影した際のグラフスペクトル成分,すなわちグラフ信号とグラフ固有関数の内積として算出される.本稿では,近年盛んに研究が進められているグラフ信号処理におけるフーリエ変換,フィルタリング,サンプリング,ウェーブレット変換等に焦点を当て,以下の点を中心にしてグラフ信号処理への研究参入を「おすゝめ」する. i) グラフ信号処理の基礎的事項,ii) 伝統的な信号処理との類似点・相違点,iii) 現在までの理論的発展,iv) グラフ信号処理の応用等.
著者
須崎 有康
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.107-117, 2020-10-01 (Released:2020-10-01)
参考文献数
64
被引用文献数
1 1

現在のCPUではクリティカルな処理を既存のOSから物理的に隔離して実行するためにTrusted ExecutionEnvironment (TEE)機能が提供されている.有名なところではIntelのSGXやAMDのSEV,ArmのTrustZoneであるが,オープンアーキテクチャであるRISC-VでもTEE開発が進められている.残念ながらこれらのTEEの機能はCPUによって大きく異なる.TEEの共通機能は隔離実行を提供するのみであり,その信頼性を支える技術は別に用意する必要がある.本論文では,各TEE実装詳細を解説するとともにTEEで使う機密情報を厳密に管理するための信頼の基点(Rootof Trust)やTEEを含むプラットフォーム及び実行するコードの真正性を確認するリモートアテステーションなど,TEEの信頼性を支える技術についても解説する.また,TEEの開発環境,脆弱性,規格活動も紹介する.
著者
矢田部 浩平
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.25-36, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
124

位相復元は,複素数として表現されたデータの絶対値のみから,元の複素信号を復元する技術である.絶対値を取ることによって失われるのは偏角の情報なので,偏角を復元すれば元の信号を得ることができる.複素信号の偏角は位相とも呼ばれるので,位相復元という名前がついている.位相復元は,光学分野では位相回復と呼ばれて古くから研究されており,そのため光学計測に則った問題設定や手法が中心的に研究されている.一方,音響信号処理においても位相復元が研究されているが,光学分野とは前提が異なるので,音響信号に対する特別な手法も考えられている.本稿では,前半で光学分野も含めた歴史的背景や一般の位相復元手法について概説した後に,後半で音響信号処理における位相復元についても述べる.特に,音響信号の短時間Fourier変換に基づく時間周波数領域の位相復元を扱う.
著者
平原 達也 大谷 真 戸嶋 巌樹
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.4_68-4_85, 2009-04-01 (Released:2011-05-01)
参考文献数
109
被引用文献数
5 5

音源信号に頭部伝達関数が畳みこまれたバイノーラル信号によって立体音像空間を再現する場合に,頭部伝達関数やバイノーラル信号再生系の音響的な厳密さが重要視されている.しかし,受聴者の頭部運動に追従する動的バイノーラル信号を用いると,頭部伝達関数やバイノーラル信号再生系に要求される音響的厳密性を緩和できる.本解説では,複数箇所で多数回計測した実頭とダミーヘッドの頭部伝達関数を精査し,頭部伝達関数の音響計測の問題点,頭部形状の変形に伴う頭部伝達関数の変化,および,頭部伝達関数の比較尺度について論じる.また,様々なバイノーラル信号を用いた一連の音像定位実験の結果に基づいて,静的バイノーラル信号と動的バイノーラル信号が再現する立体音像空間の差異についても論じる.これらを通じて,頭部伝達関数の計測とバイノーラル信号の再生にかかわる諸問題について論考する.
著者
宮地 充子
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.329-336, 2021-04-01 (Released:2021-04-01)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

1985年にMillerとKoblitzは独立に公開鍵暗号の一種である楕円曲線暗号を提案した.楕円曲線暗号は楕円曲線が加法群になることを利用した暗号である.その後,楕円曲線は,楕円曲線上に存在する双線形写像を応用することで,はじめてIDベース暗号を実現した.さらには,近年,楕円曲線上に存在する同種写像を用いた耐量子暗号も提案されている.まさに,暗号の各種問題を解決する数学の宝箱ともいえる.楕円曲線の活用はこのような情報セキュリティにおける理論的なブレークスルーのみにとどまらない.楕円曲線の魅力は高い実用性にある.ブロックチェーンの正しさの検証には楕円曲線上の署名方式ECDSAが利用されるが,これはその短い署名サイズが理由である.更に,楕円曲線は耐量子暗号の一つである同種写像暗号を実現する.このような背景のもと,楕円曲線に基づく各種暗号の国際標準化も進められている.本稿では,楕円曲線の暗号理論における各種ブレークスルーについて紹介するとともに,国際標準化動向について紹介する.
著者
林 正人
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1_44-1_56, 2009-07-01 (Released:2011-07-01)
参考文献数
44
被引用文献数
1

近年の電子情報通信に関するデバイス技術の進化にしたがって,物理層の奥深くまで踏み込んだ情報処理が可能になりつつある.このような事情から,究極の情報処理理論として量子情報理論が定式化され,様々なバックグラウンドを持った研究者の努力により急激に進展した.しかしながら,量子情報理論では,これまでブラックボックスとして扱っていた部分に踏み込んで情報処理理論を展開するので,基本的概念の理解のレベルでさえ様々な参入障壁がある.本稿では,これらの障壁を取り除くため,初学者が誤解しやすい点や概念に重点を絞って解説する.例えば,波動関数と密度行列の違い,物理量とPOVM,状態複製と状態準備の違いなどについて丁寧に触れる.同時に,量子情報理論の最近の研究動向を解説する.具体的には状態識別,量子通信路符号化,量子鍵配送などの最新に成果にも触れる.
著者
山田 昭彦
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.4_9-4_17, 2010-04-01 (Released:2010-11-01)
参考文献数
25

中嶋章は1930年代に独自にブール代数に相当する理論を構築し,スイッチング理論の研究を行ってリレー回路設計に適用した.1935年にド・モルガンの法則を含むリレー回路構成理論を発表し,1936年には榛澤正男と共著で“+”と“×”の記号を用いてスイッチング回路を論理式で表し,この変換及び簡単化を含むスイッチング理論を発表した.Claude E. Shannon が同様の論文を発表したのは1938年である.中嶋の生誕100年にあたる2008年にフィンランドのTampere University of Technology より中嶋の全英文論文を収録した覆刻本が出版された.
著者
大池 祐輔
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.5-15, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
15
被引用文献数
5

電子の眼ともいわれるイメージセンサは,その技術進化によってカメラの性能を飛躍的に向上させて,私たちの現在の生活に欠かせないデバイスとなった.CCDイメージセンサの登場でビデオカメラの小型化に成功して以来,CMOSイメージセンサにおける列並列AD変換回路や裏面照射構造の開発によって,その市場は大きく拓かれた.本稿では,スマートフォン普及による小型・高機能化のニーズに応えたイメージセンサの三次元積層技術とアーキテクチャの進化,さらに今後の展望として画素並列回路アーキテクチャやエッジコンピューティングを統合するイメージセンサの技術動向を示す.
著者
菊池 亮 五十嵐 大
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.12-20, 2018-07-01 (Released:2018-07-01)
参考文献数
46

データを隠したまま任意の関数を計算する秘密計算(secure computation)は,1980年代から始まった暗号技術の一大研究分野である.秘密計算を用いれば,例えば個人の病歴は秘匿しつつ健康指導を行ったり,通信内容は秘匿しつつ異常検知を行うなど,今まではプライバシーの問題や企業の秘密のために外に出すことが難しかったデータを,安全に流通させることができる.秘密計算は近年に至るまで,理論研究の発展に比べ,その社会実装は限定的であった.その大きな理由の一つはその計算速度の遅さである.「データを隠しながら計算する」という性質上,データを秘匿するオーバヘッドに加え,通常の計算機で用いるような高速なアルゴリズムを秘密計算ではそのまま用いることができず,結果として秘密計算の計算速度は非常に遅くなってしまっていたのである.しかし近年,計算機やネットワークの性能向上に加え,高速な秘密計算用のアルゴリズムの研究開発が進み,秘密計算の速度は飛躍的に向上し,今正に研究レベルから実用レベルに移ろうとしている.本稿では,この秘密計算について,なぜ秘匿したまま計算ができるのか,その原理を解説するとともに,近年に至るまでの速度向上の取組みについて紹介する.
著者
戸上 真人
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.257-271, 2023-04-01 (Released:2023-04-01)
参考文献数
132

複数の音が混ざった音を音源ごとに分離する音源分離技術は,無線通信のビームフォーミング技術,確率モデルに基づく信号処理及び最適化に関する技術,そして深層学習に関する技術を取り込みつつ進化を続けてきている.本稿では,空間モデルと音源の確率モデルに基づく複数マイクロホンの音源分離技術,深層学習を用いた単一マイクロホンの音源分離技術,そして深層学習ベースの音源モデルと空間モデルを用いた複数マイクロホンの音源分離技術の概観を示す.
著者
乾 健太郎 石井 雄隆 松林 優一郞 井之上 直也 内藤 昭一 磯部 順子 舟山 弘晃 菊地 正弥
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.289-300, 2023-04-01 (Released:2023-04-01)
参考文献数
54

自らの判断を説明できる能力は自然言語処理システムに期待される重要な要件である.説明はコミュニケーションであるから,説明できる能力についても,説明の目的や受け手との共通基盤化といったコミュニケーションの概念とリンクさせて研究することが望ましい.ライティング評価はそのような研究を進める格好の応用領域である.ライティング評価は,教育シーンにおいて学習者が産出するテキスト(記述式答案や論述文など)の質を評価・診断し,学習者にフィードバックすることによって学習を支援するタスク群を指す.教育目的の評価では説明は本質的に重要であり,したがってそこには説明の目的や手段など,教育学的な研究や実践の蓄積がある.ライティング評価ではそうした蓄積とリンクさせながら「説明できる自然言語処理システム」の研究を進めることができる.本稿では,ライティング評価における説明に焦点を当て,どのような評価タスクにどのような説明方法が考えられるか,どのような技術的実現手段が考えられるか,を論じる.近年の研究動向を概観しながら,内容選択,言語産出各レイヤの評価における説明生成の可能性を論じ,研究者のこの領域への参入を呼びかけたい.
著者
山西 健司
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.186-194, 2017-01-01 (Released:2017-01-01)
参考文献数
30

記述長最小原理(MDL原理)はできるだけ短い符号長でデータを符号化することにより,情報源の推定や予測のための最適戦略を与えるものである.それは機械学習やデータマイニングにおけるアルゴリズムの統一的設計指針を導き,知識発見のコア技術として年々その活用は発展している.これまでMDL 原理は定常的な仮定の下で,正則なモデルを選択するためのモデル選択原理として漸近的な形で与えられ,その適用範囲はある意味制限されていた.本稿では,MDL原理の基礎から始めて,最近の発展,特に,非正則,非漸近,非定常,非確率的といった状況でMDL原理を適用するための方法論についての最近の研究動向を示す.また,データマイニング応用についても言及する.
著者
潮 俊光
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.151-154, 2018-01-01 (Released:2018-01-01)
参考文献数
4

システム工学の研究・教育に携わって40年になる.システム工学とは何かという問いと向き合いながら,今までの研究人生を振り返る.