著者
古神 義則 松村 和仁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.553-558, 2000-06-25
被引用文献数
29

ミリ波帯における低誘電率誘電体材料の複素誘電率測定法として, ウィスパリングギャラリモード誘電体円板共振器を用いる方法を提案する.遮へい導体を測定用共振器の構成に用いない本方法では, ミリ波帯における導体表面抵抗の増加の影響を受けることがなく, 高い測定分解能で誘電正接を評価することが可能である.また, 測定に使用できる共振モードが一定の周波数間隔をおいて現れるので, ある周期数範囲にわたって複素誘電率を測定できる.本論文中では, 複素誘電率を簡便に求めることのできる測定公式, 測定用試料の設計法, 及び測定手順等を示し, 50〜75GHzにおける低誘電率誘電体材料に対する測定結果より, その妥当性を実証する.
著者
生岩 量久 竹内 安弘 鳥羽 良和 鳥畑 成典 谷沢 亨 尾崎 泰巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.666-672, 2001-08-01
被引用文献数
23

電源が不要な光変調器を用いて多数のディジタル放送波(OFDM変調信号)を離れた場所に光ファイバで伝送できるシステムを開発した. 本システムは, 電波の受信点側に電源線を引く必要がなく, 設置工事・保守が容易であるとともに, 伝送線として光ファイバを使用できるため, 長距離伝送(約6km)が可能である. このため, 送信点から受信点への電波の回り込みを低減でき, 地上波デイジタル放送で予定されているSFN(Single Frequency Network:単一周波数ネットワーク)の実現に有効である. 本文においては主に, ディジタル放送波伝送に特有な課題の解決方法と伝送実験, 特に多波伝送特性評価結果について記述する.
著者
高原 秀行 石橋 重喜 石沢 鈴子 平田 泰興 小勝負 信建 恒次 秀起
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.84, no.9, pp.800-806, 2001-09-01
被引用文献数
16 4

高速大容量光モジュールへの適用を目指した次世代フィルムキャリヤ実装技術として, 光導波路フィルム表面に電気配線を設けた光・電気複合フィルム(OEフィルム)上に, はんだバンプでLSIや光デバイスを実装するOE-COF(Optoelectronic Chip on Film)実装技術を提案し, その実現性を検討した.0.85μm帯, 250μmピッチの10チャネルVCSELを, OEフィルムに36個の40μm径80%Au-Snはんだバンプを用いてフリップチップ実装し, OEフィルムに形成した45度ミラーを介して光導波路と結合する基本構造を対象として, 機械的強度の高いVCSELとOEフィルム間のフリップチップ実装, 及びVCSELとOEフィルム間の低損失光結合構造について検討した.その結果, 低熱膨張材料と両面に積層した低熱膨張性OEフィルム(11×10^<-6>/℃)を開発し, 良好な光導波路特性のままで熱膨張係数を従来の1/6に低減させることにより, 機械的強度の高いフリップチップ実装を実現した.更に, VCSELとOEフィルムとの間げきをシリコーン樹脂で充てんして反射戻り光を抑制することにより, 結合損が0.4dBと小さいOE-COF実装を実現した.
著者
内海 要三 亀井 和久 内藤 亮
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.39-48, 2004-01-01
被引用文献数
4

マイクロ波・ミリ波帯における液晶の誘電率を, この周波数帯で可変遅延線等の多くのアダプティブデバイスの開発が進められているマイクロストリップライン構造で, 誘導結合型リング共振器を用いて直接測定した. 液晶層を誘電体基板としたリング共振器の共振周波数の実測値と電磁界シミュレーションの値を照合することにより, 液晶分子の長袖方向が高周波電界に平行であるときの比誘電率ε_<//>と垂直であるときの比誘電率ε'⊥, 及び誘電異方性△ε'を決定する測定法を示した. マイグストリップライン構造では, 液晶の粘性やマイクロストリップライン構進にもよるが, 液晶分子の配向を印加直流電界により完全には制御できない. そのためε_<//>が液晶材料そのものの誘電率より小さな値になる. 本論文ではその原因について考察しマイクロストリ7プ直下とそれ以外の領域の静電エネルギーの計算と液晶分子配向の不完全さを示す観察写真により実効配向係数恥の物理的意味を明確にした. 液晶を用いた7イクロストリップライン構造のデバイスでは, ε_<//>の実効的な値は材料自身の誘電率にη_αを掛けた値で回路設計を行うべきことを示した.
著者
井坂 史人 藤掛 英夫 村重 毅 佐藤 弘人 菊池 宏 栗田 泰市郎 池畑 誠一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.86, no.8, pp.962-965, 2003-08-01
被引用文献数
4

大きなチルト角をもつ強誘電性液晶に,異方性化した微細なポリマを分散することにより,液晶分子を配向膜のラビング方向に単安定化させることができた.光重合相分離法により10wt%のポリマを液晶中に分散し,ポリマのアンカリング効果を発現させることにより,高コントラストな階調表示を可能とする単安定性の分子配向挙動が認められた.
著者
松本 聡
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.552-562, 2001-07-01
被引用文献数
2

シリコンパワーMOSFETは90年代後半, 微細加工技術, 低抵抗ゲート電極材料, SOI構造等のLSI技術を導入して飛躍的に性能が向上し, 2GHz帯では化合物半導体デバイスと同等の性能を示すようになった。更に21世紀に入り5GHz帯での適用の見通しが得られた。本論文では, シリコンマイクロ波パワーMOSFETの研究開発の歴史, 構造的な特徴, 高周波特性改善のための研究開発動向について述べる。
著者
呉 奕鋒 西澤 振一郎 橋本 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.88, no.12, pp.1159-1166, 2005-12-01
被引用文献数
2

近年, 電子機器内部に発生する電磁ノイズは, 機器筐体から完全に遮へいされていないため, 外部に放射される漏洩電磁波となり, 電子機器の誤作動を引き起こす電磁妨害波として問題とされている.このような漏洩電磁波を抑制するためには, 電磁ノイズの発生源となる基板表面の電流分布の特定が有効とされている.本論文では基板表面の放射磁界を測定し, 測定された放射磁界から基板表面の放射源である電流分布をグリーン関数法に基づいて推定する手法を提案し, その有効性を確認した.このような逆問題の解析法として, 連立方程式の解法に共役こう配法を利用し, Hansenらが提案したL-curve法を適用することにより, 電流分布の最適値を推定した.そして, 本手法を用いて一例として解析磁界の位置変化によるマイクロストリップライン(MSL)表面の二次元の電流分布について検討した.この結果, 磁界の推定距離が離れるにつれてストリップ上の電流分布のレベルがほぼ等レベルになることが観察できた.また, 測定と解析による電流推定についても比較検討した結果, 推定した電流の傾向が良好に一致することにより, 本提案手法の有効性を確認できた.
著者
肖 鳳超 中田 洋平 村野 公俊 上 芳夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.89, no.11, pp.885-893, 2006-11-01
参考文献数
19
被引用文献数
16

回路基板において,グランド層に入ったスリットを十分な間隔をおいてまたぐ平行な2本のトレース線路が配置されているとき,この線路間には大きなレベルのクロストーク現象が発生する.この現象が磁界結合(誘導性結合)であることを実験的に明らかにし,これを根拠に等価回路モデルを提案し,実験結果と比較することによって検証している.更に,このモデルを用いてスリット間に挿入するステッチングキャパシタのクロストーク低減効果を評価している.
著者
中島 健介 末松 憲治 竹田 英次 辛坊 俊行 佐々木 善伸 高木 直
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.81-90, 2004-01-01
参考文献数
7

デイスクリートのチップ部品とGaAs-MMICのSW-BANKチップを実装したL帯5ビット移相器マルテチップモジュールを開発した. 移相器回路をチップ部品により構成する場合, 高い移相量精度及び振幅精度が要求されるため, チップ部品の特性ばらつきを考慮した設計が必要となる. 本論文では, チップコンデンサ, チップインダクタの特性ばらつきを考慮したモデリングを行い, 更に, GaAs-MMICをモジュール基板上にベアチップ実装する際のワイヤ長ばらつきも考慮し移相器モジュールの特性ばらつきを考慮した設計を行った. 市販のチップ部品を用いて試作した結果, モジュール全体として移相量誤差3.8°r.m.s.以下, 振幅誤差O.15dBr.m.s.以下の性能が得られた. 以上より, 5ビット移相器として十分な振幅・移相精度を実現していることが分かり, チップ部品の特性ばらつき及びMMICのワイヤ実装ばらつきを考慮した本ばらつき設計の有待性を確認した.
著者
木原 雄治 岡村 怜王奈 中嶋 泰 井筒 隆 中本 正幸 吉原 務
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.89, no.10, pp.725-734, 2006-10-01
被引用文献数
1

DRAM技術とSRAMで実績のあるTFT技術を用いた新しいメモリセル技術を用いて,16Mビットの低消費電力SRAM (SuperSRAM)を開発した.微細化が進むことでソフトエラー,V_<CC>下限動作等の問題が顕在化し,大容量化を進めていく上での難易度が高くなりつつあるSRAMに対し,小面積化が可能なDRAMメモリセル技術を用いてコストの上昇を伴うことなく諸問題を解決するとともに回路技術を駆使して非同期動作のSRAMとの完全互換を実現した.主に設計的観点から当デバイスの特徴を述べる.
著者
門田 道雄 吾郷 純也 堀内 秀哉 池浦 守
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.292-300, 2003-03-01
被引用文献数
5

弾性表面波(SAW)フィルタは,携帯電話の重要な部品の一つである.SAW共振子型フィルタは,すだれ状電極(IDT)の両側に構成されたグレーティング反射器内で閉じ込められた二つのモードを利用して実現されるため,挿入損が小さい.Shear horizontal(SH)波は,基板端面でモード変換なしに完全反射する.従来の共振子型フィルタはIDTの両側にグレーティング反射器を必要としたが,筆者らはこのグレーティング反射器の代わりにSH-SAWの端面での反射を利用したグレーティング反射器の不要な小形な共振子フィルタを実現した.
著者
森本 敏文 森 一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.23-29, 2000-01-25

電子ビームを低圧力(〜10^<-4>Torr)のガス中に注入すると, ビーム・プラズマ相互作用により, 様々な波動が生じる.これらの波動は境界条件を考慮したTrivelpiece-Gouldモードで表されるが, その成長率を求めることはこれまでほとんど行われていない.本論文ではTrivelpieceとGouldの用いた線形分散関係式を改めて複素数で計算し, その結果から, ビーム・プラズマ系において, ガス圧力を変化した場合, どのモードが強力に励起されるかを明らかにする.また, この計算による波動の性質と我々の実験結果を比較検討する.
著者
大川 典男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.92, no.7, pp.301-303, 2009-07-01
被引用文献数
1

小信号電圧増幅回路において帯域利得特性,消費電力に関して一元的に評価する性能指標APIを考案した.APIを最大値に設定すると,最も効率の良いと考えられるFETの動作点に自動的に設定されることが分かり,APIによる評価の妥当性を示した.
著者
亀井 利久 内海 要三 森武 洋 戸田 耕司 鈴木 洋介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.1149-1158, 2002-12-01
被引用文献数
24

マイクロ波・ミリ波帯における可変遅延線などのアダプティブデバイスへの液晶の応用を目的に,5種類のネマティック液晶の複素誘電率と電圧印加に対する応答時間を測定した.誘電率については,液晶分子長軸が高周波電界と平行のときの比誘電率の実数部ε´_//と垂直のときの比誘電率ε´_⊥を,またtanδについてもtanδ_//,tanδ_⊥を求めた.これら液晶の誘電特性の測定においては,10kHz〜13MHzについては,ラビング処理を行ったITOガラスにサンドイッチされた液晶セルのキャパシタンスとコンダクタンスを直接測る方法を用い,100MHz〜40GHzについては,長さの異なる2本の同軸管に液晶を充てんし,それぞれの群遅延量及び伝送損失の差から求めるカットバック法を新しく提案している.低周波領域における誘電緩和を確認するとともに,特に3〜40GHzにおいては連続的な周波数変化に対応する形で誘電特性を示した.その結果ε´_//は3,ε´_⊥は2.5程度の値で周波数に依存せずほぼ一定となり,二つの配向方向による誘電率の差である△ε´は材料によって0.4から0.8と大きな差異を示し,最適材料選択の重要な指針となることがわかった.また,偏光方向を平行に配置した2枚の偏光子の間に液晶セルを配置し,He-Neレーザ(632.8nm)を液晶セルに照射し,透過光をホトダイオードで検出する方法で応答時間の測定を行い,液晶をアダプティブデバイスに用いたときの高速性について検討を行った.更に,二つのネマティック液晶の測定結果を用い,20,30,40GHzにおける可変遅延線の設計についての考察を行い,具体的な液晶材料選択の指針を与えた.
著者
後藤 信夫 宮崎 保光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.86, no.12, pp.1272-1281, 2003-12-01
参考文献数
12
被引用文献数
13

導波型コリニア音響光学素子は波長分割多重(WDM)光に対して波長選択的にスイッテできるためWDMルーチング用のスイッチヘ応用が期待できる.本論文では,方向性結合導波路とY分岐部からなる素子における波長選択スイッチング特性を評価するためFDTD法を用いてシミュレーションを行った.シミュレーションの結果をモード結合理論による結果と比較し両者の一致を確認した.また,長尺相互作用領域における音響光学結合特性を解析するためセグメント分割領域において光パルスを伝搬させる方法を検討した.
著者
中村 克己 南澤 裕一郎 豊田 啓孝 古賀 隆治 和田 修己 斎藤 義行 中村 篤
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.89, no.11, pp.833-842, 2006-11-01
被引用文献数
22

筆者らは,LSIの電源系高周波電流による電磁妨害波(EMI, Electromagnetic Interference)のシミュレーションを目的としたEMCマクロモデルとしてLECCS-coreモデルを提案している.本論文では複数種の電源端子を有し,かつ,異なる電源種の回路間が電気的に結合しているLSIに対し,LECCS-coreモデルの構築方法を検討した.実際に3種類の電源端子を有するマイクロコントローラH8/3694Fを用いて, Sパラメータ測定と等価回路変換から等価内部インピーダンスを抽出した.次に,測定した等価内部インピーダンスと電源端子電流より,位相情報をもつ内部電流源を電源種ごとに導出した.作成したモデルの検証として,バイパスコンデンサによるデカップリング効果をシミュレーションし,実測と比較した.その結果,約300MHzまでの電源系高周波電流を精度よくシミュレーションできることを示した.
著者
打矢 匡 柏 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.84, no.11, pp.1122-1125, 2001-11-01
参考文献数
4
被引用文献数
25

スーパコンピュータは数T FLOPS/数百GByteの性能をもつに至っている.本研究では, 汎用的電磁界解析法であるFDTD法についてMPIを用いて並列型スーパコンピュータに対応した並列化を行い, その実行性能を調べた.
著者
四戸 雄介 羽石 操 木村 雄一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.88, no.12, pp.1063-1073, 2005-12-01
参考文献数
15
被引用文献数
5

本論文では, ひし形マイクロストリップアンテナ素子(以後, RH-MSA)に逆V字型のスリット素子を複数個装荷し, マルチバンド特性を実現させるマルチバンド平面アンテナ, すなわち, スリット装荷RH-MSA素子の構成法と放射特性について述べる.電磁界シミュレータを用いこれらのアンテナ系の特性を求めたところ, リターンロス特性及び放射パターンなどの特性がC-バンド及びX-バンドにおいて良好なマルチバンド特性を示すことが明らかにされた.また, 本アンテナ系のマルチバンド特性を検証するため, スリット装荷RH-MSA素子が試作された.リターンロス特性などの実測値はシミュレーション結果と設計上有意な範囲で良い一致を見た.これらのことより, 本アンテナ系がマルチバンド用の平面アンテナとして有用な一形式となり得ることが明らかにされた.
著者
森下 陽平 荒木 純道 細川 嘉史 齊藤 典昭 倉科 隆 松澤 昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.90, no.12, pp.903-912, 2007-12-01
参考文献数
15
被引用文献数
11

本論文では,ダイレクトサンプリングミクサ(DSM)の広帯域化の手法を提案する.DSMを縦並列に構成することにより,単一の初段アンプで伝達関数の高次化を実現する.更に,高次化された伝達関数に対し,減衰極設計を提案する.また,トランスコンダクタンスアンプ(TA)の出力コンダクタンスと寄生容量が縦並列構成の利得の低下をもたらすことを示し,次にその利得低下を改善する手法を提案する.提案方式の有効性を確認する目的で測定評価を行ったので報告する.
著者
佐藤 弘明 吉田 則信 宮永 喜一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.84, no.10, pp.954-963, 2001-10-01
被引用文献数
22

フォトニック結晶は, ある波長帯の光を強く遮へいするストップバンド特性(フォトニックバンドギャップ:PBG)を有し, 光ファイバやスラブ導波路のような弱導波の導波路では実現できない波長程度の鋭い曲がり等を有する微細構造デバイスの製作の可能性が期待されている.しかし, それらの設計・製作には多くの困難が予想され, シミュレーションによる特性の把握と予測は必要不可欠であり, これまでFDTD法やBPM等で解析されてきている.特に, 機能的光回路デバイス製作のためには, 分散性や非線形効果を有する誘電体を含むフォトニック結晶光導波路構造の全体的解析が必要不可欠である.本論文では, 凝縮節点空間回路網における媒質条件の取扱いの特長を生かして, 種々の媒質を含んだフォトニック結晶光導波路構造の基本特性について明らかにする.