著者
山口 昭三郎 金古 善明 山岸 高宏 大山 良雄 天野 晶夫 新井 昌史 中村 哲也 長谷川 昭 倉林 正彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.143-145, 2003-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

67歳,女性.クラリスロマイシンの投与を受けた後, torsades de pointesが頻発した.内服中止後に頻拍は消失し,本剤により惹起されたQT延長症候群と診断した.内服中止後も, QTc延長(0.51秒)とV2-6の二相性T波,イソプロテレノール,メキシレチン静注投与後のTU波の形態変化を認め,基礎に再分極異常の存在が示唆された.本剤は使用頻度の高い薬剤であり,投与後の経過に十分留意する必要がある.
著者
大西 裕 品田 裕 曽我 謙悟 藤村 直史 高橋 百合子 稲継 裕昭 遠藤 貢 川中 豪 浅羽 祐樹 河村 和徳 仙石 学 福島 淑彦 玉井 亮子 建林 正彦 松本 俊太 湯淺 墾道
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、選挙ガバナンスが民主政治に与える影響を、比較政治学的に解明しようとするものである。本研究は、国際比較と日本国内の自治体間比較を通じて、選挙管理という研究上の大きな空白を埋める。調査結果、常識的見解と異なる二つのことが明らかになった。第1に、選挙の公平性、公正性は、国際的に推奨される選挙管理機関の独立性のみでは達成できず、より複雑な扱いが必要である。第2に、日本では選挙管理委員会の業務は画一的で公平、校正であると考えられてきたが、委員会や事務局の構成のあり方によって大きく左右される。それゆえ、市区町村によってバリエーションが発生している。
著者
日野 晶也 角田 恒雄 釜野 徳明 野川 俊彦 小笠原 強 速水 格 松本 政哲 服部 明彦 西川 輝明 竹内 一郎 橋本 惇 三浦 知之 木津 治久 森田 博史 姚 揚貨 易 新生 小宮山 寛機 林 正彦 川村 将弘 張 恵平
出版者
神奈川大学
雑誌
年報 (ISSN:13420917)
巻号頁・発行日
vol.2001, pp.127-129, 2002-03

約100万種といわれる海洋生物は,地上における最も未知の世界である。この海洋生物から,医薬資源となりうる有用な生理活性物質を発見し,構造を明らかにし,生理活性を検討することを目的としている。NIHで臨床試験中のドラスタチン10(ウミウシ成分)とブリオスタチン1(フサコケムシ成分)は,釡野がその研究に携わったものである。平成元年以来,日野,西川等の協力を得て,平塚付近(相模湾)および岩手県大槌町付近(大槌湾)の海洋生物を検討し,特に青森,浅虫湾のフサコケムシからブリオスタチン10という強い抗癌性物質を見いだし,抗エイズ活性もあることが分かった。また,これらの物質には,ホルモン産生活性などの作用の存在も明らかになり,医薬品としての開発の可能性が考えられる。さらに,フロリダ産コケムシから10数種の新規アルカロイドを単離したが,このうちconvolutamydineが,ヒト急性骨髄性白血病細胞HL-60に対し,強力な分化誘導作用を示し,新たな抗癌剤発見の手がかりになる可能性もある。2000年度には,ほぼこれらのアルカロイドの全合成を完成した。これらの結果をふまえ,日本沿岸およびアジア各地の海洋生物について探索が計画されている。さらに,橋本,三浦等が「しんかい6500」,「しんかい2000」により採集した深海生物に対する検討も行い,今までに相模湾産シロウリガイとヘイトウシンカイヒバリガイおよびサツマハオリムシ,さらに巻き貝2種Alyinconcha cf. hesseleriおよびIfremeria nautileiの化学成分の検討を行っている。また,竹内等による南極付近の生物の入手も期待できる現状にある。さらに,新しく速水先生が加わり,洞窟生物の調査・採集が可能となっている。一方,生理活性,薬理作用検討に新たにそれぞれ小宮山博士,林博士,川村教授の協力が得られている。また,一昨年から中国でのフサコケムシの探索が姚新生教授と新たに参加した易楊貨教授によって開始され,かなり大量の生物が採集された。この生物からの活性物質の単離はこれからの大きな仕事であり,その結果が期待される。本年度は今までの生物成分のまとめを行った。特に,日本産ナマコ類成分,沖縄と真鶴で採集した日本産フサコケムシ成分,および深海巻貝2種の成分研究を完成した。
著者
大村 智 供田 洋 乙黒 一彦 山田 陽城 宇井 英明 清原 寛章 塩見 和朗 林 正彦
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

我々は天然物由来の新規な構造の抗マラリア剤を発見するために探索研究を行った。4年間の研究期間で、天然物素材等12,832検体を北里研究所のスクリーニングセンターに提供し、in vitroでの抗マラリア活性の評価を行った。その結果、選択毒性の高い抗マラリア活性を有する天然物素材として18種を活性物質取得候補とした。微生物素材からの探索の過程で、放線菌K99-0413株、KP-4050株、K99-5147株、KP-4093株(後に、高生産株OM-0060株を選択)及び糸状菌FKI-0266株の生産する抗マラリア活性物質は各々既知抗生物質のX-206、K-41、polyketomycin、borrelidin及びleucinostatin Aであると同定された。また、抗生物質ライブラリーからは、既に当研究所で発見されたtakaokamycin (hormaomycinと同定)及びoctacyclomycinに抗マラリア活性があることが分かった。さらに、X-206、K-41及びborrelidinはin vivoで既存の抗マラリア剤(artemether, artesunate及びchloroquine)よりも優れた効果を示した。特に、K-41及びborrelidinは新規な骨格の抗マラリア剤としてのリード化合物の可能性があり、今後開発に向けて詳細を検討する必要がある。植物素材からの探索の過程では、ジンチョウゲ科植物根部に含まれる抗マラリア活性物質2種を精製し、既知のbiflavonoid誘導体のsikokianin B及びCあることを同定した。上記の化合物類の抗マラリア活性は新知見である。また、新たにな素材としての海洋生物素材、天然物由来の活性物質誘導体については、現在抗マラリア活性の評価中である。他の選択菌株及び和漢生薬からの抗マラリア活性物質についても現在検討中である。
著者
峯木 真知子 小林 正彦
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.53-57, 2000-02-20

卵黄球の大きさは卵黄の部位や鶏卵の品種の違いによって異なる(峯木と小林,1997 ; 峯木,1999)。卵黄球の大きさと卵の大きさの関係を調べた。また,卵黄一個中にどのくらいの数の卵黄球が包み込まれているのかを検討した。大きさの異なる市販卵を用い,重量を量り加熱した。加熱した卵黄の外層部,中層部,内層部に存在する卵黄球の横断面積,最大幅,最大長を画像処理技術で測定した。卵黄球の横断面積は,3.20×10^3〜9,88×10^3μm^2で最大幅は60〜99μ,最大長は71〜124μであった。外層部の卵黄球は中層部より小さく,内層部は中層部より大きかった。卵黄球の大きさは全卵の重量および卵黄の重量と正の相関があった。1個の卵黄に含まれている卵黄球の数を,卵黄と卵黄球の体積から計算した。その結果,卵の大小にかかわらず,卵黄球,の数は約1.8×10^7個であった。小さい卵には小さい卵黄球が,大きい卵には大きい卵黄球が存在した。
著者
古橋 良一 小林 正彦 金子 美博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.455, pp.153-157, 2009-02-23

卒業論文や修士論文など,審査員を伴う論文発表を幾つかの会場で並行して行う場合,同一の審査員が担当する発表が重ならないようにする,同一の研究室は連続して発表する,審査員の会場移動は最小限にするなど,様々な条件のもとで発表プログラムを作らなければならない.我々はこれまでこのようなプログラムを自動作成するためのソフトウェア「江戸っ子」を開発してきた.江戸っ子のアルゴリズムは,各会場での発表件数を均等にすることから始めて,それらの条件を満たすように設計されている.しかし,そのような均等性や連続性を同時に満たさないような事例に今回遭遇した.この事例に対処するためには,これまでのアルゴリズムを改良して,「江戸っ子」をバージョンアップする必要がある.本稿ではこれについて報告する.
著者
石川 敦子 片岡 厚 松永 正弘 小林 正彦 神林 徹 川元 スミレ 木口 実
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.72-80, 2016 (Released:2016-06-01)
参考文献数
11
被引用文献数
4 3

2009年に市販されていた木材保護塗料43種類(水性6種類:各2色,油性15種類:各2色,油性1種類:1色)をスギ(Cryptomeria japonica D. Don)心材に塗装し,屋外暴露試験(つくば市,南面45度傾斜)を4年間実施して,各塗料の耐候性能を比較した。その結果,撥水度については,暴露12ヶ月目までは全ての塗料が塗替え目安の80%を上回っていたが,24ヶ月目までに全43種類中19の塗料が80%を下回ること,また,含浸形と半造膜形塗料は撥水度の低下傾向や劣化の形態が比較的似ていることが明らかになった。屋外暴露期間中の変色について統計的に解析したところ,明色系(ライトカラー)の塗料の方が濃色系(ダークカラー)の塗料よりも変色が大きい傾向が示された。さらに,今回測定した2009年市販塗料は,2004年に購入した市販塗料よりも,屋外暴露による変色と撥水度の低下が少ない傾向があること等が明らかになった。
著者
建林 正彦
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.19-34, 2014 (Released:2018-02-02)
参考文献数
22

2012年に政権復帰した自民党議員は,どのような政策指向を有していたのか。本稿では,2012年総選挙の候補者に対する早稲田大学と読売新聞社の共同サーベイをもとに,自民党議員の政策位置を分析した。分析の結果,2012年に大量に当選した新人議員とシニア(多選)議員の間には,安保・憲法にかかわる争点や,経済開放・国内開発に関する争点において立場の違いが存在し,シニア議員がよりタカ派的,国内開発的な立場を採っていることが明らかになった。また議員の政策的立場を規定する要因としては,前者については,都市選出の議員ほど,選挙で強い議員ほどよりタカ派的な立場を採る傾向にあり,年齢をコントロールした上でも当選歴の効果が見られたのに対し,後者については,地方選出の議員ほど国内開発指向が強く,年齢をコントロールすると当選歴の効果は見られなくなるという争点ごとの違いが明らかになった。
著者
建林 正彦
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.19-34, 2014

2012年に政権復帰した自民党議員は,どのような政策指向を有していたのか。本稿では,2012年総選挙の候補者に対する早稲田大学と読売新聞社の共同サーベイをもとに,自民党議員の政策位置を分析した。分析の結果,2012年に大量に当選した新人議員とシニア(多選)議員の間には,安保・憲法にかかわる争点や,経済開放・国内開発に関する争点において立場の違いが存在し,シニア議員がよりタカ派的,国内開発的な立場を採っていることが明らかになった。また議員の政策的立場を規定する要因としては,前者については,都市選出の議員ほど,選挙で強い議員ほどよりタカ派的な立場を採る傾向にあり,年齢をコントロールした上でも当選歴の効果が見られたのに対し,後者については,地方選出の議員ほど国内開発指向が強く,年齢をコントロールすると当選歴の効果は見られなくなるという争点ごとの違いが明らかになった。
著者
桧 学 中西 和仁 岸本 誠司 牛尾 信也 北村 溥之 東辻 英郎 林 正彦 玉城 進 上原 範子 松浦 健次郎 西条 秀明
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4special, pp.537-563, 1981 (Released:2011-11-04)
参考文献数
25

におい刺激でおこるめまいの機序を明かにし, その診断法, 治療法を開発する目的で一連の検査が行われ, 次の成果がえられた.(1) におい負荷平衡試験を考案した. この検査では, アリナミン (Diallyl sulfide) 溶液2ml (10mg) のアンプルより1mlをとり出し, それをしみこませた綿花 (1cm3) を被検者の鼻孔前1cmの箇所におき, 口を軽くとぢ, 安静呼吸で60秒間鼻呼吸を命ずる. 刺激中止後10分で愁訴, とくにめまいの変動を問診で確かめ, 各種平衡機能検査で客観化する.(2) (1) で述べた検査を正常成人に実施したがめまいの誘発や平衡失調の出現はなかった. しかし, 頭頸部外傷によるめまい例に施行すると, 次の成績がえられた.1) 受傷後, ある種のにおい物質に過敏となり, それを嗅ぐとめまいをおこした経験のあるものにのみ上述の平衡試験は陽性所見を示した.2) におい負荷平衡試験が陽性所見を示したものはすべて“アドレナリン負荷平衡試験; 桧, 他”が陽性所見を示した. この際, 両者の平衡試験で誘発される平衡失調は, その潜時, その形において相似する傾向を示し, 何れも delayed response を示す傾向が強かった.3) におい刺激で誘発される平衡失調型は病巣の局在と密接に相関した.4) 上肢小脳症状検査で陽性所見を示したものはにおい負荷平衡試験が陽性であることが多く, かつ前者の症状がつよいものほど後者の試験の陽性頻度が高かった.5) 我々が発表した“心因性めまい検出を意図した平衡試験”でA型平衡失調 (心身症型) を示すものは, におい負荷平衡試験で陽性所見をうることが多かった. しかし, A型平衡失調を示すものでも後者の平衡試験が陰性のものもあり, B型平衡失調 (非心身症型) を呈するものでも後者の平衡試験が陽性であることが少なくなかった.6) におい刺激で誘発されるめまい. 平衡失調の治療には cloxazolam (Benzodiazepime 系 minor tranquilizer) は効果がある. しかし, 小脳機能異常を有する例ではその効果を期待しがたい.以上の成績とこれまでにえた動物実験の成績より次の結論をのべた.(1) におい刺激でめまいが誘発される機序のうち, 大脳辺縁系 (とくに扁桃核) 中にふくまれる交感成分の活動性亢進は重要な因子である.(2) におい刺激で誘発されるめまいの機序のうち, 小脳は primary neural element ではない. しかし, その何れかの神経要素に作用し, 機能異常を助長して, におい刺激によるめまい・平衡失調の出現に促進的役割を果す.(3) 心身症によるめまいの機序とにおい刺激で誘発されるめまいの機序は overlap し, 相互に影響を与える可能性はあるが, それぞれの機序が独立した面をもつことを肯定すべきである.(4) 中枢神経系の交感神経成分の活動性抑制を目的とする操作はこの種めまい. 平衡失調の治療法として有用性がある.
著者
佐藤 宏昭 中村 一 本庄 巖 藤田 明彦 高橋 晴雄 林 正彦
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.81, no.9, pp.1383-1387, 1988-09-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
10
被引用文献数
2 7

The clinical usefulness of Tsumura-Saireito, which was judged by tympanoaudiometric tests, was compared with that of cepharanthin in 64 ears of 42 children with otitis media with effusion. The trial was a randomized controlled study.The efficacy rate for the 32 ears treated with Tsumura-Saireito was 43.8% and that for the 32 ears treated with Cepharanthin was 18.8%; the difference was significant (p<0.05). No side effects were observed in either group.These results indicate that Tsumura-Saireito is more effective in children with otitis media with effusion than Cepharanthin.
著者
建林 正彦
出版者
JAPANESE POLITICAL SCIENCE ASSOCIATION
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.201-227,353, 2005-11-10 (Released:2010-04-30)
参考文献数
17

This article examines the relationship between politicians and bureaucrats in postwar Japan. The author argues that the governing Liberal Democratic Party (LDP) has manipulated bureaucrats' policy preferences towards the LDP's ideal position by using “ex ante control” such as recruitment and promotion policy. With the framework of the principal-agent model, the author claims that the spurious autonomy of Japanese bureaucrats can be interpreted as the outcome of successful control over bureaucrats' preferences by LDP politicians. The paper provides evidence with a quantitative analysis of surveys conducted in 1976-77 and 2001-2002. For example, the closer the policy preference of the bureaucrat is to the ideal position of the LDP, the wider he tends to find his discretion.
著者
嘉田 真平 林 正彦 岡沢 秀彦
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.191-196, 2003-03-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

頭頸部悪性腫瘍患者への全身18FDG-PET検査の有用性を検討した。当院では2年間に全身FDG-PETを54件45例に施行した。原発巣やリンパ節転移に関して, FDG-PETのみの診断能力とCT・MRI・診察所見のFDG-PET以外の検査を用いた従来の診断能力とを比較し検討した。FDG-PET診断の原発巣に対する感度は90%・特異度は93%であり, FDG-PET以外の診断では感度は95%・特異度は100%であった。リンパ節転移に対するFDG-PET診断の感度は90%・特異度は84%, FDG-PET以外の診断では感度は72%・特異度は80%であった。リンパ節転移に対する診断はFDG-PETが優れていた。しかし, FDG-PETでの診断では, 炎症に集積し偽陽性となることや, 早期の喉頭癌や食道癌などの薄い腫瘍では集積せず偽陰性となる点に注意が必要である。FDG-PETは他の診断と組み合わせることでほとんどの症例で的確な診断ができたが, FDG-PETを用い定期的に経過観察することでさらに正確な診断が期待できる。
著者
森谷 友昭 金子 裕哉 新井 崇博 清水 宣寿 青木 香織 高橋 時市郎 木口 実 片岡 厚 石川 敦子 松永 正弘 小林 正彦 森田 珠生 山口 秋生
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.69-79, 2017 (Released:2017-06-03)
参考文献数
11

本論文では,暴露試験により計測された木材表面の色を基に,木材画像の色の経年変化シミュレーションを高速に行う手法を提案する。暴露試験は,約1年間計測したデータを基に木材表面の色と試験実施場所の気候の関係性を明らかにした。求められた関係性により,提案する手法は温度,雨量,日射量を入力することで任意の地点での木材表面の色変化をシミュレーションすることができる。また,提案手法は建築物の外壁に取り付けられた木材表面の色変化シミュレーションができる。建築物の3D モデルを用意し,事前に遮蔽計算を行う。遮蔽計算の結果を基に提案手法への入力である,温度,雨量,日射量を各箇所で増減させることで,例えば,地面近くの木材では降雨の跳ね返りにより色変化が速い,というように,木材の周囲環境を考慮した木材表面の色変化シミュレーションができる。
著者
阿部 広明 大林 富美 原田 多恵 嶋田 透 横山 岳 小林 正彦 黄色 俊一
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.196-200, 1996

CSD-1系統はカイコ支137号 (<i>nsd-1</i>/<i>nsd-1</i>) に日137号 (+<sup><i>nsd-1</i></sup>/+<sup><i>nsd-1</i></sup>) の濃核病ウイルス1型 (DNV-1) 感受性遺伝子 (+<sup><i>nsd-1</i></sup>) が所属する第21連関群を導入し, 継代, 維持している。このためCSD-1系統は, 第21連関群について, 日137号の染色体と支137号の染色体を一本ずつもつ<i>nsd-1</i>/+の雌に, 支137号の雄を交配し, 蛾区内でDNV-1感受性個体 (<i>nsd-1</i>/+) とDNV-1非感受性 (完全抵抗性) 個体 (<i>nsd-1</i>/<i>nsd-1</i>) が1:1で分離するようにしてある。本研究は, +<sup><i>nsd-1</i></sup>遺伝子に連関しているランダム増幅多型DNA (RAPD) を利用し, CSD-1系統内よりDNV-1を接種することなく, 幼虫ならびに成虫のDNV-1感受性を診断する方法について検討した。PCRの鋳型となるゲノムDNAを, 幼虫の場合は切断した腹脚2本から, 成虫の場合は切断した脚2本から, それぞれ抽出し, 特定のプライマーを使用してPCRを行い, RAPDの有無を調べた。その結果, RAPDによる診断結果とDNV-1感染の有無が一致した。この方法により, ウイルスを使用することなくDNV-1感受性個体を検出し, その個体から次代を得ることが可能となった。