著者
上田 晃三 清野 佳紀
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.57-60, 2008 (Released:2010-12-06)
参考文献数
11
被引用文献数
2

骨の成長・発達は,骨格の構築とともに身体の発育において非常に重要な因子である.多くの骨はいきなり形成されるのではなく,軟骨組織による足場の形成を経て骨へと変換される.このプロセスには種々の細胞間シグナル伝達,遺伝子の転写因子といった内因性の要因や力学的付加など外因性因子を含む数多くの因子が絡み合って,骨形成に影響を与えている.骨形成の一般的な過程とともに,特徴的な症状を呈する骨疾患の成因を通じて,骨形成に関与する主要な因子を概説する.
著者
金子 文成 速水 達也
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.186-190, 2011 (Released:2016-04-15)
参考文献数
21

運動感覚は,位置覚,運動覚,力覚等の統合的な感覚であり,運動感覚の形成には,主として筋紡錘からの求心性入力 が関与することが明らかにされている.筋紡錘からの求心性入力は,筋長の変化速度や筋長そのものの状態に応じて変化する.そのため,運動感覚は,筋収縮の状況に影響を受ける.本稿では,これまでの報告に基づき,筋収縮が運動感覚に対してどのような影響を及ぼすかについて解説する.
著者
田中 英一郎 瀬戸口 隼 森 崇 三枝 省三 弓削 類
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.145-156, 2012 (Released:2017-02-15)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

全身動作である歩行を補助するモビルスーツ型全身動作補助機を開発した. 本装置は, 上肢補助部と下肢補助部をモジュール化しているため分離ができ上下肢単体でも使用可能である. 同時に, 装着者および装置の両方を個別に免荷可能な走行リフターを開発し, これらを併用することにより転倒防止を図り, 移動しながら歩行障害患者の上下肢を使った歩行動作のリハビリテーションを可能とした. 本論文では, ニューロリハビリテーションでの使用を想定し, 歩行動作を上肢・下肢共に補助する全身動作補助機を製作し, 本装置を使用して歩行したときの脳活動の変化を把握し, 運動学習に対する有用性を検討したので報告する.
著者
秋田 浩
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.161-171, 1998-11-25 (Released:2016-12-05)
参考文献数
8

I regarded an oval as a cross section of a torus (defined as closed curve E) cut by a plane II, parallel to the axis of rotation. Closed curve E is expressed as follows: [numerical formula] where a is the distance from the axis of rotation to plane II, and r is the distance from the axis of rotation to the center of the generating circle. I showed four shapes for closed curve E, which are similar to those of "real" eggs, by varying a values under constant r values. Then I demonstrated that shapes constructed by a computer are fairly similar to the "real" egg's shapes. I assumed that the most important function performed by the oval shapes of eggs is that eggs can stay near the original place when they are forced to roll. I showed that the greater the a value is, the shorter the radius of rotation of rolling eggs is.
著者
柳田 益造
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.8-16, 2006 (Released:2007-10-26)
参考文献数
53

ここ20年ほどの間にコンピュータによって音楽を扱う機会が飛躍的に増えた.それはMIDI規格が浸透し,キーボード付きのシンセサイザやエレキギターあるいは一部の管楽器やドラムスまでもがMIDI規格でコンピュータに接続できて,リアルタイムで情報交換できるようになったからである.さらに,MIDI規格の音楽ソフトが多数市販され,やろうと思えば素人でも自分で「作曲」し,「演奏」できるようになった.しかし,現在,純音楽の分野でMIDI 楽器やコンピュータを使って音楽活動をしている人はほとんどいない.それはなぜか,またコンピュータは音楽,特に作曲にどこまで使えるのかを,20世紀の音楽を振り返りながら,情報科学/工学,音楽/音響工学の観点から考える.
著者
荻原 直道
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.83-88, 2019 (Released:2020-05-01)
参考文献数
40

歩行運動は,脚が地面から受ける反力を適切に作用させることによって,身体をある位置から別の位置に移動させる力学現象である.したがって,地面と直接的に接触し,環境と力のやりとりを行う足部筋骨格構造は,ヒトに特有の移動様式である直立二足歩行と密接に関係し,その生成に適応的に形づくられている.本稿では,直立二足歩行の生成に適応的と考えられているヒトの足部筋骨格構造の特徴について,生物学的に最も近縁なチンパンジーの足部との比較を通して概説する.また,近年の化石証拠から明らかになってきた,ヒトの足部構造の形態進化のプロセスについて紹介する.
著者
岸本 泰蔵
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.122-126, 2002-08-01 (Released:2016-11-01)

女性の「美しさ」とは何か.女性とともに成長することを目指す当社では,人間工学にもとづいた科学的アプローチによって女性のからだ・意識の変化をとらえ,時代をリードする美の指標を発表してきた.時代とともに女性達が追求する理想体型はゆったりであるが確実に変化している.とくに,ここ数年は急速に,身体意識が変化している.約40年間にわたる当社の女性美の研究を振りかえり,女性の「美しさ」とは何かを考察する.
著者
久野 譜也 田辺 解 吉澤 裕世
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.91-97, 2011 (Released:2016-04-15)
参考文献数
39
被引用文献数
1 2

我が国では,今後10 年間で高齢化の加速度的進行に加えて人口減がみられることにより,健康は単に個人の課題としてだけではなく大きな社会的課題となり,国民の安心及び経済力の維持という視点でも重要な課題となる.特に,生活習慣病の克服は重要な命題であるが,国民が生活習慣,特に運動と食事をうまくコントロール出来れば,それらの課題への対処法になる可能性が示唆されている.しかしながら,運動や食事コントロールの困難さは依然として解決されていない.さらに,望ましい運動量の実施ができている国民は,依然として全体の3割にすぎない.それゆえ,生活習慣予防における運動の重要性のエビデンスの蓄積をさらに拡充すること,「運動をいかに生活スタイルに溶け込ませるのか」という研究が現在求められている.
著者
平山 大作 藤井 範久 阿江 通良 小池 関也
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.91-102, 2008
被引用文献数
4

<p>本研究は, 大学野球投手を対象とし, 投球数の増加にともなうキネティクスの変化について検討することを目的とした. 実験試技は, 2台のフォースプラットフォームを埋設した簡易マウンドからストレートを投球するものであった. 被験者には, 10秒間隔で15球投げることを1イニングとし, イニング間に6分の休息をはさみながら9イニング, 計135球の投球を行わせた. 投球数とそれぞれのパラメータから単回帰分析を行い, 回帰係数の有意性について検定を行った (p<0.05). その結果, 投球数の増加にともない, ①踏込脚の股関節伸展の正仕事, 負仕事, 絶対仕事が減少する傾向がみられた. ②投球腕の肩関節内旋の正仕事が減少する傾向がみられた. ③投球腕への関節力による力学的エネルギーの流れの減少がみられた. ④投球腕の肩関節水平内転の正仕事および絶対仕事が増加する傾向がみられた. 以上のことから, 踏込脚の股関節伸展の仕事の減少は, 下肢のトレーニングの重要性を示唆するものであり, 投球腕の肩関節水平内転の仕事の増加は, "上肢動作に頼った投球動作" を示すものであると考えられる.</p>

1 0 0 0 OA 疫学入門

著者
本田 靖
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.258-261, 2011 (Released:2016-04-15)
参考文献数
3
著者
春野 雅彦
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.172-176, 2001-11-01 (Released:2016-11-01)
参考文献数
9

我々は日常の何気ない動作の中で実に巧みに複合的で階層的な運動を行っている.例えば,テニスをするにはボールの回転や着地点といった目的が存在し,その目的を実現するための個々の動作は更に多くの要素運動の複雑な組み合わせで構成されている.本稿ではこのような階層的運動の学習機構の解明を目指し我々が計算論的立場から行っている研究について解説する.特に予測モデルを用いた行動の結果予測と,制御モデルによる実際の制御を組み合わせて学習制御を行うMOSAICアーキテクテャに焦点を絞り,その基本動作原理,シミュレーション,任意の階層構造への拡張等について紹介することとしたい.
著者
金子 文成
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.196-200, 2007 (Released:2009-03-02)
参考文献数
26
被引用文献数
1

運動感覚は,主として身体の筋・腱・関節周囲・皮膚などに存在する感覚受容器の興奮によって生じ,関節位置覚・運動覚・力覚など複数の感覚を含む意味として使用される.また,その機能として,運動制御のみならず運動学習に重要な役割を果たすと考えられている.本稿では運動感覚の運動学習への貢献という視点から,現在明らかにされている範疇で運動感覚機能と運動機能との関連について解説する.
著者
内山 孝憲 西川 龍朗 大西 祥平
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.57-68, 2004 (Released:2005-04-15)
参考文献数
12

The purpose of this study was to investigate muscle damage and reinforcement by electrical muscle stimulation (EMS).The first experiment involved two groups of athletes (Group 1 and Group 2) and one group of healthy volunteers who did not engage in daily exercises (Group 3 served as the control). The subjects’ triceps brachii muscles were stimulated electrically (EMS, subject&RSQUO;s variable tolerance: Group 1) and mechanically (concentric- and eccentric-resistance training of 60% MVC, RT: Group 2). For one of the subjects with EMS, the serum CPK levels of 3 and 4 days after the stimulation were approximately six times as high as that before the stimulation. The serum CPK levels of other subjects with EMS increased to twice or less of those before the stimulation. The serum CPK levels of subjects with RT did not change. The levels showed significant difference between subjects with EMS and RT, 2 and 5 days after the stimulation (Mann-Whitney test, p&LT;0.05).In the second experiment, the quadriceps femoris muscles were stimulated. EMS generating a force of 60% MVC was applied to each subject in Group 4 for 30 minutes every other day for a week. RT of 60% MVC was applied to each subject in Group 5. The subject did 30 trials, with 60 s resting time between every 10 trials, every other day for a week. The serum CPK levels of the subjects with EMS increased, but the increase rate varied with subjects. One of the subjects had more than six times as high serum CPK levels as that before the stimulation. Another subject had only one and half times as high serum CPK levels as that before the stimulation. There were significant changes with time after the stimulation (Friedman test, p<0.05). However, there were no significant differences between subjects with EMS and the control. For subjects with RT, the serum CPK levels increased slightly but there were no significant changes with time after the stimulation (p>0.05).In the third experiment, EMS was applied to the triceps brachii muscles of Group 1 and Group 3 for eight weeks. The non-athletes with EMS showed 30% increase of the maximum voluntary contractile force and they showed 38-54% improvement of endurance. The maximum voluntary contractile force of athletes with EMS did not change but the endurance showed 59% improvement. However the maximum voluntary contractile force of athletes without EMS decreased and the endurance did not change.In conclusion, we suggest that EMS could cause more severe muscle damage than concentric-, eccentric-resistance training. EMS reinforced the muscles of both athletes and non-athletes. Moreover, EMS showed stronger effects on non-athletes compared with the athletes.
著者
多田 充徳 中村 俊康
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.11-17, 2014 (Released:2016-04-16)
参考文献数
23

手指の関節運動は複雑な筋腱ネットワークの相互作用から生み出されている.今までの解剖学的な研究により,それぞれの筋腱が個別に関与する関節運動については明らかになっている.しかし,複数の筋腱を同時に駆動した際に発生する相互作用と,それが関節運動に与える影響については未だに明らかにされていない.これを解明するには屍体標本と計測制御技術を併用した実験が有効である.本稿では,屍体標本を対象にセンサやアクチュエータを用いて手指の運動機能(モーメントアーム長,指先発揮力,そして関節運動のように手指の運動に関わる機能)を計測,モデル化した研究を概観する.また,筆者らが開発した筋腱駆動装置の構成,この装置とモーションキャプチャ装置を用いて屍体標本の示指関節運動を計測した結果,そして深指屈筋による関節運動に虫様筋の活動が与える影響を計測した結果を紹介する.
著者
速水 則行 田中 英一 山本 創太 武内 浩樹
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.23-34, 2006 (Released:2017-02-15)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

動作解析において, これまであまり考慮されてこなかった筋疲労の影響を検討するため, 従来の力学的な筋モデルと組み合わせて使用する筋疲労モデルを開発した. そのため, 運動単位に着目し, それらを活性状態, 疲労状態により四つの状態に分割し, その状態変化を微分方程式により表現した. さらに, 代謝特性や疲労耐性の違いから三つの運動単位タイプに分割し, 運動単位の動員様式にはサイズ原理を取り入れてモデル化した. モデルの妥当性を検討するため, 先行研究や動的条件の疲労実験結果との比較を行ったところ, 筋疲労の特徴が再現できることを確認した. また, 各運動単位タイプの動員タイミング, 疲労の進行など, タイプ毎の特性の違いを再現できることが分かった.
著者
阿江 通良
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.238-241, 2006 (Released:2008-06-10)
参考文献数
6

体育専攻学生には,量的動作分析よりも質的分析が重要である.しかし,VTR動作分析実習において量的分析を経験させる意義は,時間はかかるが,(1)じっくりと動きを見ることができる,(2)それにより動きの細部を頭に描くことができるようになる(mental imageが描ける),(3)動きとデータの対応ができるようになることにある.最近では,自動動作分析装置により3次元データが比較的容易に収集できるようになっている.しかし,じっくりと動きを観察しながらVTR画像をマニュアルでデジタイズしてデータを収集させ,時系列データやスティックピクチャーと実際の動きをつき合わせて考えさせることも重要であり,これがバイオメカニクスデータを正しく解釈することにつながる.
著者
八田 有洋 西平 賀昭 東浦 拓郎 金 勝烈
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.43-52, 2010

<p>長期的な剣道鍛錬が脳─脊髄運動神経機能に及ぼす影響について, 末梢の脊髄運動神経機能については末梢運動神経伝導速度 (motor nerve conduction velocity : MCV) を用いて, 中枢の随意運動に伴う脳内処理過程については運動関連脳電位 (movement-related cortical potentials : MRCP) を用いて剣道鍛錬者と一般健康成人を対象に研究を行った. 1) 剣道鍛錬者は利き側だけでなく, 非利き側の尺骨神経伝導速度も一般健康成人より有意に速い値を示した. 2) 自発的な非利き側握力課題に先行して頭皮上より記録される運動準備電位 (Bereitschaftspotential : BP) の開始潜時は剣道鍛錬者が一般健康成人よりも有意に短い値を示した. 3) 一次運動野の皮質錐体路ニューロンの活動を反映するmotor potential (MP) 振幅は, 利き側と非利き側の握力課題において剣道鍛錬者が一般健康成人よりも有意に大きい値を示した. したがって, 脳─脊髄運動神経機能に長期的な運動トレーニングによる適応変化が生じる可能性が示唆された.</p>
著者
木村 宏樹 元田 英一 鈴木 康雄 金井 章 吉倉 孝則 種田 裕也
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.225-232, 2010 (Released:2016-04-15)
参考文献数
19
被引用文献数
1

前十字靱帯(ACL)再建術術後の大腿四頭筋筋力訓練の一つにレッグプレス運動がある.本研究では,レッグプレス運 動において,姿勢の違いがACL にかかる負荷である脛骨引き出し力や筋張力に与える影響について考察した.矢状面から動作計測を行い,下肢関節角度と足部に作用する反力から筋骨格モデルを用いて脛骨引き出し力や筋張力を推定した.11 種の姿勢について検討した結果,脛骨へは常に後方引き出し力が作用しACL 再建術術後の大腿四頭筋筋力訓練としてレッグプレス運動は安全であること,体幹を屈曲させることでより大きな後方引き出し力が作用しより安全に行えることが示唆された.
著者
石田 肇 百々 幸雄
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.200-206, 1990-11-01 (Released:2016-10-31)
被引用文献数
1 1