著者
森下 はるみ
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.132-136, 2002
参考文献数
9
被引用文献数
2

本論は,伝統芸能,バレエなど型や様式の決まっている舞踊について,身体訓練,身体意識,基本的な姿勢,跳躍・歩行・手や足使いの特徴をのべた.また演舞の生理的・運動的・心的階層を呼吸や心拍数・舞踊動作・自己意識との対応から考察した.対象は憑依舞踊から名人による至芸にわたる.さらに舞踊における「美しさ」とはなにかを論じた.
著者
増田 正 佐渡山 亜兵
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.35-42, 1988-06-15 (Released:2016-12-05)
被引用文献数
1

Motor unit action potentials were derived with multiple surface electrodes from the biceps brachii of 3 healthy adults. The electrodes comprised a 9-by-16 grid array of small gold-coated metal contacts attached to a cylindrical plate. The spacing of the contacts was 5.08mm in the direction of muscle fibers and 2.54mm in the muscle circumference. With this electrode assembly 128 channels of myoelectric signals were derived simultaneously. Individual signals were derived bipolarly from a pair of contacts adjacent in the direction of muscle fibers. These signals were sampled by a computer, displayed on a graphic terminal, plotted on a chart and analyzed visually. The myoelectric signals showed motor unit action potentials propagating along the muscle fibers. The mechanism of the generation of motor unit action potentials indicates that the source of the propagation marks the location of myoneural junctions. In each subject the measurement was repeated 20-30 times by changing recording positions and contraction levels. These records were combined to draw a topographical map of myoneural junctions over the whole surface of the biceps. The map of myoneural junctions showed the innervation zones consisting of 6-13 separate areas and lying at the middle length of the biceps in a band 30-60mm wide. The number and the size of these areas varied between subjects. This technique of multiple surface electrodes has an advantage over conventional EMG techniques, e.g. spectral analysis, in that the measurement clarifies the anatomical structure of the muscle and the results are not affected by the electrical characteristics of the instrumentation devices. This technique should become effective in the diagnosis of neuromuscular disorders and in developing new application fields of surface EMG.
著者
廣瀬 通孝
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.71-74, 2007
被引用文献数
4 2

「五感情報通信技術」とは,これまで視覚や聴覚に限定されていたコンピュータ・インタフェースをそれ以外の感覚にも拡大すること,五感の感じた情報をコンピュータが取得,処理,表示すること,などを目指した技術である.感覚というキーワードをコンピュータ技術に取り込み,さらに新しい領域を発展させていこうという目的を持つ,新世紀の技術であるといってよいだろう.本稿では VR技術を中心に,五感情報技術の現状とその周辺の話題について紹介する.
著者
増田 正
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.88-92, 2001-05-01 (Released:2016-11-01)
参考文献数
8
被引用文献数
3 2
著者
速水 達也 金子 文成 木塚 朝博
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.47-56, 2008 (Released:2017-02-15)
参考文献数
16
被引用文献数
2 1

本研究では, 体性感覚入力に基づく運動出力調節機能を体性感覚─運動連関機能と定義し, 運動経験による体性感覚─運動連関機能の違いを明らかにすることを目的とした. 対象者を運動経験の差によって運動群と一般群とに分類した. 体性感覚─運動連関機能の測定には, 運動平衡保持法と再現法を用いた. その結果, 運動群は一般群に比して運動平衡保持法の測定結果において有意に優れていた. また, 運動平衡保持法の測定結果には, 関節角度の正確な知覚と, 安定性の高い力発揮が関係していることが認められた. これらのことから, 運動の継続や長期の身体トレーニングを行っている者は体性感覚─運動連関機能に優れ, その背景には体性感覚機能と運動出力機能の向上が関係していることが考えられた.
著者
高井 智代
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 = Journal of the Society of Biomechanisms (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.190-194, 2008-11-01
参考文献数
17

排泄時の立ち座り動作に苦痛を感じるリウマチ疾患女性を想定した女性用立位小便器を開発した.和風便器と洋風便器を比較すると,後者が圧倒的に楽であるものの,「立ったまま排泄できたら楽だと思う」人は多く,立位による排泄への潜在的なニーズは大きい.立位で排尿した際の尿落下点をふまえた試作便器を作製し,リウマチ女性を被験者とする使用感評価実験を実施した.被験者 13名のうち 1名に若干の尿の飛散があったが,これは使用時に身体が傾いた結果で,直立で排尿すれば尿の飛散の可能性は低い.女性用立位小便器は,従来の和風や洋風の便器に比べ,排尿時の負担を大幅に軽減できる.
著者
山内 繁
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.268-273, 2019 (Released:2020-11-11)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1
著者
小野 誠司 木塚 朝博 岡田 守彦
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.87-95, 2016 (Released:2017-08-01)
参考文献数
28

視覚情報の入力のタイミングは運動制御の調節や適応に重要な役割を果たしている. 先行研究から, 急激な速度変化を伴う視標の動きを繰り返し眼で追うことによって, 滑動性追跡眼球運動 (パーシュート) に適応的変化が起こることが知られている. 本研究では, 視標の速度変化のタイミングに注目し, 変化時間に同期したパーシュート適応が起こるかについて検討した. その結果, ヒトのパーシュートにタイミング特異的な適応 (タイミング適応) が認められた. さらに, 先行研究よりヒトとサルの眼球運動の類似性が報告されているが, タイミング適応の場合, ヒトとサルでは適応パターンが異なることも明らかになった. これらの結果から, パーシュートのタイミング適応はヒト特有の時間予測を含めたタイミング制御機構に起因していることが示唆された.
著者
田口 周 橋本 晋吾 長谷 公隆
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.23-28, 2019 (Released:2020-02-01)
参考文献数
13

超高齢社会は我が国において重大な問題の1 つであり,その進展に伴う課題点として認知症患者の増加が挙げられる.認知症対策に関する様々な取り組みが試みられているが,それに関連して認知機能評価および訓練は重要である.また,近年,Virtual Reality を始めとした先端技術が医療及び介護分野も含めて様々な領域で応用されている.その先端技術の1 つとして近年注目されているMixed Reality を認知機能などに対して応用する試みについて紹介する.
著者
村田 哲
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.14-19, 2005 (Released:2007-02-23)
参考文献数
31
被引用文献数
4 1

模倣の神経回路の脳内局在は,腹側運動前野,下頭頂小葉,およびSTS周辺など関わっていることが,イメージングのデータによって示されている.こうした模倣の神経生理学的な基盤として考えられているのは,ミラーニューロンである.この特集にあるように,模倣は言語,心の理論,コミュニケーション,社会的行動,自閉症などと結びつけて考えられているが,ミラーニューロンが記録されたマカクザルの持っている能力と結びつけることには批判もある.そうした中で,いずれの機能も自己と他者が重要なキーワードとなっていると考えられる.本稿では,ミラーニューロンの機能を自己身体感覚と結びつけ,模倣の神経回路との関連を探る.
著者
河野 由 小笠原 一生 水村(久埜) 真由美
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.205-212, 2017 (Released:2017-12-28)
参考文献数
7

バレエにおいて上肢の動きは,豊かな表現を実現する上で欠かせない.しかし,表現を伴う上肢動作の3 次元的な運動学的特徴を報告した研究はなく,表現に必要なスキルの詳細は不明である.そこで本研究では,白鳥の羽ばたきを模した上肢動作の3 次元的な運動学的特徴を明らかにすることを目的とした.バレエ熟練者5 名とバレエ未経験者9 名に白鳥の羽ばたきを模した上肢動作を実施させ,その際の肩,肘,手関節角度および各関節運動の運動範囲と,上肢挙上または下降局面の肩,肘,手関節角度の極値が出現する時間差を算出した.その結果,バレエ熟練者は,バレエ未経験者よりも前額面の運動および上肢の回旋運動が有意に大きく,上肢挙上局面では肘関節が肩関節や手関節に先行して動き,上肢下降局面では上肢が近位部から遠位部へとしなるように動くことが示された.
著者
山口 仁一
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.123-127, 2006-08-01
被引用文献数
1 2

近年,ロボットによる二足歩行実現技術は大きく進展を見せているが,その技術群の全体構成を外から知ることは困難であった.これは,同技術の進歩を担っていた組織が大学等から民間企業等にその主軸が移り,学会等での技術発表が積極的には行われなかったことに基因するものと思われる.しかしながら,年月が経ち,民間企業等における技術も,公開特許公報や特許公報としてその多くのものが公開されるようになってきた.そこで,本解説では,筆者とソニー株式会社が共有名義・共有権利持分で出願した,脚式移動ロボット関連の安定歩行実現技術について,資質を与える技術,体だけで動く技術,考えて動く技術に分類し,各技術を代表的な特許技術を例に挙げながらその全体構成を概説する.
著者
八島 建樹 高木 敏行 出江 紳 一 永富 良一 浅尾 章彦 森 仁 阿部 利彦
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.103-109, 2016 (Released:2017-01-15)
参考文献数
24
被引用文献数
4 5

著者らが開発した末梢神経を刺激することを目的とした磁気刺激装置を用いて,健常者の橈側手根伸筋を刺激し,これ によって誘発される手関節の背屈運動と刺激条件との関係を調べた.磁気刺激の条件として,磁場強度を3 段階,刺激周波数を10 ~ 50 Hz の5 段階,刺激時間を0.5 ~ 2.0 s の4 段階に変化させ,前腕を刺激した.この時に誘発される手関節の運動角度を電子角度計を用いて計測した.刺激条件に応じて,手関節の背屈角度はごくわずかな動きから100 度を超える大きな動きまで誘発できることが明らかになった.
著者
中村 真里 中村 康雄 林 豊彦 福田 登 駒井 正彦 橋本 淳 信原 克哉 Chao Edmund Y.
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
no.16, pp.13-25, 2002-06-25
被引用文献数
9 4

Baseball pitching involves a complicated and rapid movement that has been investigated to prevent injuries and to improve the pitching performance. It is difficult to assess the pitching motion with high accuracy and a high sampling rate, due to the limitations of preexistent camera systems. The current camera system, however, has enough capacity to measure pitching motions with high accuracy and a high sampling rate. We have been diagnosing shoulder joint injuries caused by pitching. The patients (N=939) felt pain during the pitching sequence as follows: top position (32.5%), maximum external rotation (27.2%), and ball release (14.5%). Hence the top position is one of the most important postures to investigate the mechanisms of shoulder joint injury in pitchers. There have been no studies that focused on the top position, however. The main purpose of this study was to develop a system to assess the pitching motion accurately. Another purpose was to estimate the instant of the top position and evaluate the kinematics of the shoulder and elbow joints. Pitching movement was assessed using a motion capture system (ProReflex MCU500, Qualisys Inc., Sweden) in a studio that has an official pitcher's mound and home base. This system can record the positions of reflective markers at 500 Hz using seven CCD cameras. Thirty-two markers were mounted on the joints and body landmarks of each subject. Two markers were mounted on the ball. The pitching motions of eleven subjects were assessed, after a period for warm up. Kinematics parameters were calculated using three-axis gyroscopic Euler angle. The instant of the top position was observed for all subjects before the lead foot touched the ground. The interval from the top position to ball release was 0.242±0.0438 [s] (n=11). The subjects were divided into two groups by the type of posture at the instant of the top position, as follows: internal rotation group (n=5), 11.8±6.08 degrees, and external rotation group (n=6), 38.1±19.97. Other kinematics parameters at the top position were adduction of the shoulder at 74.2±19.84 degrees, horizontal adduction of the shoulder at 37.3±14.10 degrees, and extension of the elbow at 92.1±21.63 degrees. The timing and posture of the estimated top position were almost the same as those of the conventional top position. From the top position to lead foot contact on the pitching sequence, there were three patterns of elbow leading. The three patterns did not depend upon experience. We interpreted them as individual variations.