- 著者
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小宮山 伴与志
- 出版者
- バイオメカニズム学会
- 雑誌
- バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.2, pp.66-72, 2012 (Released:2016-04-15)
- 参考文献数
- 28
ヒトにおける四肢によるリズミックな運動は多種多様であるが,最も基本的であり,生活を支える重要な基盤となる移動行動は歩行運動であろう.歩行運動は,大脳からの運動指令を受けて大脳基底核,小脳,脳幹,脊髄など様々な運動中枢が協調的に働くことにより実行される.特に,四足歩行動物では,上位運動中枢と末梢感覚入力なしに四肢の屈筋- 伸筋の活動交代を再現可能な中枢パターン発振器(central pattern generator, CPG) が存在することが確かめられている.また,CPG は,屈筋- 伸筋感のリズミックな活動交代を再現するだけではなく,歩行運動の円滑な遂行に必要な様々な反射の利得調整を行っている.ヒトにおけるCPG の存在とその機能的意義を証明することは実験的に困難であるが,現在まで様々な間接的な証拠が提出されている.本稿では,歩行運動,リハビリテーション,四肢の協調運動の基盤としてのCPG の神経機構ついて概観する.