著者
久野 克也 顔 邦男 沢村 敏郎 築部 卓郎 岡田 昌義 横山 直樹 野間 大路 上谷 良行 中村 肇
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.692-695, 1992-04-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
14
被引用文献数
1

出生前診断の進歩により臨床応用されるようになった胎児手術のバックアップシステムとして, 胎児水中保育の実験を行った。ザーネン種ヤギ胎仔(平均在胎126日)の臍帯動静脈に挿管し, A-Vシャントとした。0.5m2シリコン膜型肺を組み込んだ小児用ECMOポンプで灌流を行い, 胎仔は人工羊水中で管理した。胎仔7頭に4~109時間の灌流を行い, 血行動態及び血液ガスについて検討を加えた。カラードップラー法により循環動態を観察したところ, 動脈管・卵円孔ともに灌流中の開存が確認された。また, ECMO流量と胎仔血行動態の関係では, 流量100ml/kg/分で胎仔酸塩基平衡が安定するとされる14ml/kg/分の酸素供給量を確保することができた。酸素消費量もECMO流量増加に伴って増え, 流量100ml/kg/分をこえるとほぼ安定した。胎仔に対するA-V ECMOにおいても, 新生児V-A ECMOに匹敵する100ml/kg/分の流量が必要と考えられた。
著者
山田 一 苅田 充二 三田村 好矩 阿久津 哲造
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.783-788, 1991-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
5

筆者らは, リニアパルスモータを人工心臓用アクチュエータとして基礎研究を続けてきた。今回, 試作したリニアパルスモータ(LPM-S90)の両側にそれぞれ血液ポンプを取り付けた両心式人工心臓を開発した。リニアパルスモータは, 2相励磁, 2(A)において107(N)の静推力を発生し, 65(N)の動推力を得た。本両心式人工心臓は体積520(mL), 質量1.2(kg)であり, 一回拍出量は60(mL)である。また, 人工弁にはオムニカーボン弁を用いている。本人工心臓の模擬循環試験の結果, 拍動数100(bpm), 大動脈圧80(mmHg)において5.3~5.7(L/min)の分時流量が得られた。
著者
内藤 明 老沼 正芳 酒井 清孝 渡辺 哲夫 今村 和夫 鶴見 隆 須磨 靖徳
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.65-68, 1988-02-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
5

透析中に体内電解質の移動を制御する方法の一つとして透析膜に荷電を付加することが有効と考えられる。本報では、血液透析膜を用いて、無機リンおよびナトリウムイオンの膜透過性、無機リンの溶質透過性. 膜表面電位(ζ電位)を測定し膜透過性と膜表面電位の関係を検討した。ζ電位は湿潤状態の中空糸透析膜1本について、流動電位測定装置を用いて中空糸内にKCi水溶液を圧入して測定した。無機リンの溶質透過係数は放射性同位元素で標識した32P-Na2HPO4 (5μCi/ml)の水溶液を中空糸透析膜1本に充填して一席時間透析を行い、中空糸内部の残存溶質濃度を測定して算出した。再生セルロース膜では、無機リンの総括物質移動係数および無機リンの溶質透過係数Pmに及ぼすζ電位の影響はない。PMMA膜では、ζ電位が無機リンおよびナトリウムイオンの総括物質移動係数および無機リンの溶質透過係数Pmに影響を及ぼしている。
著者
中島 淳博 福村 文雄 富永 隆治 久原 学 鐘ヶ江 靖夫 深江 宏治 宮本 和幸 安井 久喬 徳永 皓一
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.600-604, 1993-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
19

雑種成犬閉胸正常心モデル10頭に対し左心バイパスを行い, 左心補助(LHB)施行時に呼気終末陽圧呼吸(PEEP)が右心機能に及ぼす影響について検討を加えた. 0, 5, 10, 15cm水柱のPEEP負荷に伴い右室拡張末期圧の上昇, 右室拡張末期容積, 収縮末期容積の減少, 後負荷の上昇と心拍出量の低下が認められた. これらのPEEPによる血行動態の変化はLHB施行の有無にかかわらず同様であった. LHB on, offの比較では心拍出量はPEEP 0cm水柱時にはLHB on, offによる差は認めなかったが, PEEP 15cm水柱時にはLHB onによって肺動脈入力部抵抗の15%の上昇と共に(1968±736 dynes・sec・m2/cm5LHB off vs 2254±790dynes・sec・m2/cm5LHB on: p=0.056)心拍出量の20%の有意な低下を認めた. (1.07±0.45L/min, LHB off vs 0.86±0.34L/min, LHB on:p<0.05)PEEP負荷時には左心補助は心拍出量の低下をもたらす可能性が示唆された. よってLHB施行中にはPEEPの適用に対し, より慎重である必要があると考えられた.
著者
星野 修一 今井 康晴 石原 和明 沢渡 和男 竹内 敬昌 寺田 正次 三隅 寛恭 新岡 俊治 太田 淳 杉山 喜崇 大野 英昭 久保 英三
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.816-819, 1993-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
8

小児(15歳未満)における生体弁置換術の遠隔期成績, 特に弁機能不全につき検討した。1975年1月より78年12月までの4年間に当院で生体弁置換術を行った15歳未満症例中, 病院死亡を除く29症例, 30回の弁置換術症例を対象とした。平均手術時年齢は5.5±3.9歳であった。遠隔死亡は4例で, 実測生存率は82.2カ月で83.0±7.9%であった。人工弁合併症は, thromboembolismは1例(0.93%/patient-year), prosthetic valve endocarditisは2例(1.85%/p-y)であった。structural deteriorationは26例に認められ, 25例が再置換術を行った。再弁置換術は遠隔死亡4例を除く26例に, 術後14カ月から82カ月平均3年9カ月後に行われた。予測非再弁置換術の%Freedomは48カ月で52.3%に低下し, 82.2カ月で0%となり生存症例全例が再置換術を必要とし, 成人例に比し早期かつ高率であった。原因は1例は感染弁, 他の25例はstructural deteriorationであった。
著者
佐藤 眞明 吉田 哲矢 林辺 義人 紺野 進
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.639-642, 1993-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
8

大動脈内バルーンパンピング(以下IABP)が後負荷を減少させるのに対して, 遠心ポンプは前負荷を減少させ, また遠心ポンプの定常流はIABPにより拍動流化されるため, 両者の併用により相乗効果が得られる。1989年から1992年までの3年間に薬物療法およびIABPを用いても心肺離脱困難な10例に対して遠心ポンプを用いて補助循環を行った。補助循環の様式としては, 左心バイパス(以下LHB)が9例, 静―動脈バイパス(以下VAB)が1例であった。対象疾患は, LHBではA-Cバイパス術4例, A-Cバイパス術+大動脈弁置換術, 2弁置換術, 弓部大動脈置換術, 左室破裂および急性心筋梗塞はそれぞれ1例であり, VABでは再々大動脈弁置換術1例であった。LHBでは, 9例中3例が補助循環より離脱でき, そのうち2例が長期生存している。VABでは1例中1例が補助循環より離脱し, 長期生存している。
著者
合田 俊宏 大場 淳一 安田 慶秀 田辺 達三
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.807-810, 1993-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
8

AS症例におけるAVR後の心機能を使用弁サイズ毎に検討した。対象は成人AS症例30例で, 年齢は15~87(平均56.5)歳であった。使用したSJM弁は19mm:11例, 21mm:11例, 23mm:7例, 25mm:1例で, 2例に弁輪拡大術を, 1例にパッチ拡大術を合併施行した。術後の心エコー及び心カテーテルの計測値を19mm, 21mm, 23mm, 25mm弁の順に示す。LV-Ao圧較差(mmHg)は35.5±10, 26±11, 14±6, 10と19mmvs23mm(p<0.01), 21mmvs23mm(p<0.05)で有意差があった。FS(%)は29.9±5.5, 33.2±5.5, 31.9±4.0, 35.2と各群共, 術前より改善し各群間の差はなかった。ESWS (kdynes/cm2)は84.2±16.2, 81.4±20.4, 90.2±14.8, 76.6と術前より有意に低下し各群間に差はなかった。CI, PAWPには各群間に差はなかった。NYHA心機能分類では術前平均3.0から術後1.3へ改善し, 19mmと21mmでも同様に改善していた。BSA<1.5m2の症例では19mm弁で充分な心機能と臨床症状の改善を得た。
著者
高味 良行 有木 弘 宮田 義弥 大宮 孝 石原 智嘉 伊藤 敏明
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.785-788, 1993-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
8

大動脈弁置換術後65症例に連続波およびパルスドップラー心エコー法を施行し、大動脈弁位人工弁の評価法としての連続の式を用いた指標:有効弁口面積(EOA), Doppler velocity index(DVI=V 1max/V 2max), 大動脈弁狭窄率(aortic stenotic ratio(ASR)=EOA/LVOTA=V1 flow integral/V2 flow integral)の有用性について、Bernoulliの式を用いた圧較差(maxPG)と比較し検討した。(1) maxPG, EOAは、弁のサイズに強く影響され、DVI, ASRは、弁のサイズと無関係であった。(2) EOA, DVI, ASRは、maxPGと有意に負の相関を示した。(3) 種々の理由で人工弁を通過する血流量が少ないために、lnaxPGが低く算出され、連続の式の指標との間で不一致を示す例で、人工弁の開放角の低下が示された。(4) 人工弁の機能異常を示唆する指標として、DVI<0.25, ASR<0.27が得られた。以上より大動脈弁位人工弁の機能評価には、影響因子が多いInaxPGよりも、連続の式を用いたDVI, ASRが簡便かつ有用と考えられた。

1 0 0 0 OA 人工弁

著者
徳永 滋彦 富永 隆治
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.130-138, 2008-12-15 (Released:2009-07-01)
参考文献数
31
被引用文献数
1 2
著者
朝倉 文夫 滝 和郎
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.54-57, 2009-06-15 (Released:2009-10-15)
参考文献数
33
被引用文献数
2