著者
林 雅敏
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.1569-1582, 1990-12-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
31

骨折治癒過程の補助診断法の一つとして, 伝導音検査法に注目し本法の臨床応用の可能性につき実験的ならびに臨床的に検討した. 骨伝導音検査法は, 骨の破壊強度を表す吸収エネルギー値が骨の固有振動数に二次関数的な相関を有するという理論に基づいて, 周波数分析から骨癒合強度を知ろうとする方法である. ハンマーを用いて経皮的に骨の一端を叩打し骨に振動を与え, 他端のマイクにより音波として受波するものである. 本法を29頭の犬を用いた実験により実証し, 臨床的に57症例に対し本法を行い臨床応用の可能性を検討した. 動物実験の結果, 創外固定例では骨の癒合強度の指標である吸収エネルギー値と骨振動の卓越周波数は二次関数的な相関を示すことがわかった. また動物実験ならびに臨床例で保存的治療群および創外固定群は本法により骨癒合過程の診断が可能であった. しかし, 内固定群では本法による骨折治癒過程の追跡は困難であった.
著者
大崎 健一 小西 淳 池上 和仁 小出 幹夫
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.497-502, 1991-04-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
7
被引用文献数
2

短時間熱脱水架橋した線維化アテロコラーゲンと熱変性アテロコラーゲン複合体で構成される人工真皮を開発した。そこで、ラット全層皮膚欠損創にこの人工真皮を貼付し、さらに同時或いは1、2週後に自家の薄い分層皮膚(S.T.S.)を重ねて移植した。その結果、S.T.S.生着率は、同時に重層移植した群で50%、1週間後移植群で60%、2週間後移植群では90%と高率であった。組織学的には、生着例ではいずれも疑似真皮様となった人工真皮の上に、S.T.S.が極めて自然に密着していた。S.T.S.の表皮基底細胞は、植皮6日後には、BrdU(チミジンアナログ)の盛んなとり込みも見せ、旺盛な分裂増殖能を示した。以上より、この人工真皮は生体適合性が高いため薄い分層植皮の為の良いbedとなり、厚い皮膚移植や皮弁以外に方法がなかった全層皮膚欠損創の再構成にも貢献出来る可能性があるものと考えられた。
著者
鈴木 裕之
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.198-201, 2017-12-15 (Released:2018-03-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
熊野 浩
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.561-566, 1998-04-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
27

ヘパリンコーティング(HC)回路使用, ヘパリン減量下の炎症性メディエーターの変動からみたHC回路の生体適合性を検討した. 待期的開心術30例を従来回路使用10例(N群), HC回路使用10例(H群), HC回路を使用し, かつヘパリンを減量した10例(L群)に分け, 顆粒球エラスターゼ(GEL), C3a, インターロイキン6(IL-6)および8(IL-8)を, 術前から体外循環(CPB)終了24時間後までの11時点で測定した. N群とH群は初回投与ヘパリンを300U/kg, L群は150U/kgとした. その結果, N群のGEL, C3aはCPB中にH群, L群よりも有意に高値であったが, H群とL群の間に差がなかった. IL-6, IL-8はCPB後にL群では他の2群よりも有意に低値であり, N群ではHC回路の2群よりも高値をとる傾向がみられた. HC回路使用により白血球・補体活性化, サイトカイン上昇は抑制され, ヘパリン減量に伴いこれらの抑制効果はさらに向上することが示された.
著者
井街 宏 藤正 巌 大道 久 真野 勇 西坂 剛 岩井 矩成 渥美 和彦
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.5, no.6, pp.321-327, 1976-12-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
16

The rapid decrease in hematocrit (Ht) and total protein (Tp), gradual increase in central venous pressure, and peripheral circulatory insufficiency such as impossibility of standing up, poor appetite, anuria or oliguria and constipation or mucous feces were the most serious physiological problems in recent total artificial heart (AH) animal experiments. For these phenomena, a phsiological hypothesis was presented by authors under the consideration of that too much cardiac output for animal might induce such phenomena.As the results of animal experiments with goat, the following finidings were obtained.(1) High cardiac output of AH causes a marked decrease in Ht and Tp, as well as peripheral circulatory insufficiency.(2) By maintaining the cardiac output within the range of 80 to 100ml/Kg/min. during the experiments, maximum and average survival days of the goats replaced totally with AH were markedly prolonged, from 10 days to 54 days and from 4.5 days to 30.5 days, respectively. And the surviving condition of these goats were almost normal physiologically and pathophysiologically.(3) As conclusion, it became obvious that the cardiac output was one of the most important physiological parameter for control of the circulatory system.
著者
阿久津 哲造
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.403-406, 1988-04-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
20
著者
藤森 明 内藤 秀宗 宮崎 哲夫 徳小田 康秀 吾妻 眞幸 橋本 幸枝 上坂 正利 小島 弘栄 似鳥 嘉昭
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.157-160, 1997-02-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
8

3種のポリスルホン膜、PS-1.6UW、APS-150、BS-1.6を血液透析(HD)および血液透析濾過(HDF)に使用し、膜断面における蛋白付着状態を共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡で観察した。観察した蛋白は、アルブミン(Alb)、IgG、β2-microglobulin (β2-MG)、C3a、顆粒球Elastase、interleukin-1β、interleukin-6、tumor necrosis factor-αの8種類である。Alb、β2-MGは各膜ともHD、HDFで同様の強い蛍光が観察されたが、サイトカインの付着は各膜とも少なかった。緻密層の厚さや細孔構造の違い、表面polyvinyl pyrrolidone配合比率、電位の違いなどによると思われる、若干の差異を認めたものの、今回比較観察した3種類のポリスルホン膜では、これらの蛋白付着パターンに大きな違いを認めなかった。
著者
大平 整爾 長山 誠 花井 智司 岩山 清和 榎本 義雄 似鳥 嘉昭
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.3-7, 1993

中空糸間にスペーサーフィラメント(SF)を配し、透析液流を均一化することにより溶質除去性能の向上を図ったPAN-15SF(膜面積1.5m<sup>2</sup>)を臨床的に評価した。対照ダイアライザーとして従来のPAN-17DX(1.7<sup>2</sup>)、FB-150U(1.5<sup>2</sup>)、F-80(1.9<sup>2</sup>)を用いた。PAN-15SFの小分子クリアランス及び除去率は、対照ダイアライザーと同等であった。また、β<sub>2</sub>-MGのクリアランスは、同膜面積のFB-150Uより有意に高値を示した。膜面積効果を排した総括物質移動係数の比較では、PAN-15SFはBUNで従来のPAN-17DXより有意に高値を示し、他の溶質でも高値を示した。以上の結果より、SFにより溶質除去性能が改善され、PAN-15SFは、対照ダイアライザーと比較して、小分子から中高分子までの溶質に対して同等あるいはより優れた除去性能を有していることが臨床的に確認された。
著者
高浜 龍彦 古瀬 彰 水野 明 浅野 献一 吉竹 毅 柳生 邦良 和気 一夫 川内 基裕 宮脇 雷士夫 横井 泰 岡部 英男 古由 直樹
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.503-506, 1985

最近Osserman分類IIA型2例, IIB型1例の3例の胸腺腫を伴わない重症筋無力症に対し, 胸腺全摘, 郭清術術前に, 新鮮凍結血漿2,400ml(2例), 4,800ml(1例)を用いた血漿交換療法を施行することにより, 全例手術当日に容易に呼吸器離脱を行うことが出来た。これは, 血漿交換非施行例27例(I型1例, IIA型8例, IIB型11例, III型4例, IV型3例)の平均人工呼吸日数2.7±3.1日(最長12日)と比較しても, IIA型+IIB型19例の平均人工呼吸日数21±2.4日(最長11日)と比較しても, 術後の人工呼吸所要時間を著しく短縮させ得たと考えられる。4800mlの血漿交換を行ったIIB型の例では, 血中抗アセチルコリン受容体抗体は, 血漿交換施行前の30nmol/lから8.0nmol/lへと著明な減少を認めた。1例に術後非A非B肝炎罹患を認めたことから, 軽症例は本療法の適応外とし, 術前に測定した抗アセチルコリン受容体抗体の値や, 臨床的重症度に応じて血漿交換量を加減するのが適切であると考えられる。
著者
渡辺 弘 宮村 治男 林 純一 高橋 善樹 篠永 真弓 江口 昭治
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.301-306, 1996-04-15
参考文献数
10

小児例におけるIABPでは小容量のバルーンを細いカテーテルを介して高心拍で駆動させる必要があるため、駆動装置の特性によりバルーンの応答速度が異なる。駆動装置の特性が応答速度に及ぼす影響をin vitroで評価した。2、4、7、10ccのバルーンを4種類の装置を用い、成人用の通常モードと、2種類の装置では小児用モードで併せて評価した。密閉したモック内で90~180bpmで駆動し、inflation時間、deflation時間を測定した。駆動装置の多くの機種は、成人用のバルーンカテーテルの駆動を目的にしているが、いずれの駆動装置であっても小児用バルーンカテーテルの駆動は可能であった。小児用IABPでは小容量バルーンを細いカテーテルを介して高心拍で駆動するため、駆動装置によりバルーンの応答性は異なった。小児用バルーンのより効果的な駆動のためには、駆動装置の小児用IABPモードへの対応が必要と考えられた。
著者
西田 博 小柳 仁 本田 喬 関口 守衛 椎川 彰 江石 清行 高 英成 富沢 康子 中野 清治 清野 隆吉 遠藤 真弘 林 久恵
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.139-143, 1987

今回, 自験例の4例を中心に緊急手術を目的としたIABP駆動下CCU間搬送の問題点, および10機種のIABPの移送に際した性能, 特性の比較検討をおこなった。移送に際し, 問題となる点としては, IABPのサイズと搬送車のサイズの問題, 搬送距離と消費電力, 内蔵バッテリー容量, そしてその容量を越える長距離間の搬送時の電源確保などであった。新型になるにつれ, 装置の小型化がはかられているが, 旧型のものでは, サイズ的に一般救急車には搭載不能でワゴン車などのレンタカーを用いる必要があった。また省エネ化も進んでいるが, 長距離搬送の際の電源としては, 予備バッテリーの使用, 100VACへのインバーターを用いて車より確保する方法, ポータブル発電機の使用などがあげられるが, 高容量車からの確保がもっとも実際的と考えられた。
著者
佐々木 栄作 中谷 武嗣 穴井 博文 広瀬 一 高野 久輝
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.1444-1449, 1992
被引用文献数
1

IABPは簡便な補助循環法として広く用いられ, 種々の機種が市販されているが, バルーンや駆動装置の特性はあまり検討されていない. われわれは, 電気インピーダンス(Z)計測を利用したバルーン容量のリアルタイム測定法を開発した. 本法は導管内にバルーンを留置し, バルーンの前後に設置した電極間のZを計測するものである. バルーン容量(V<sub>B</sub>)は, V<sub>B</sub>=[(R<sub>I</sub>-R<sub>D</sub>)/R<sub>I</sub>]V<sub>0</sub>, (<sub>0</sub>:電極間導管容量, . R<sub>D</sub>, R<sub>I</sub>:バルーン収縮時, 膨張時のZ値)で計算される. 本法により, 市販駆動装置4機種とバルーン4機種6種の駆動圧-容量曲線, 応答速度, 外部負荷圧の影響を検討した. バルーンはそれぞれ圧-容量特性が異なり, また駆動装置も駆動圧, 駆動圧波形に差を認めた. したがって異機種組み合わせて使用する場合, 安全で適切なIABP駆動を行うために, その特性を理解することが重要であると考えられた.
著者
小机 敏昭
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.1468-1479, 1984

人工弁置換術後遠隔期の41症例に対し, 右室ペーシング負荷法による弁機能の比較検討を行なった. 対象は, AVR群16例(BS12, SJM4), MVR群14例(BS6, SJM2, IS5, H1), AVR兼OMC群7例(BS6, SJM1), AVR兼MVR群4例(BS兼BS2, SJM兼SJM2)である. ペーシング負荷時のCIの変動をSowtonの分類に従って検討すると, AVR群は安静時を最大とし以後漸減するsloped type, MVR群とAVR兼MVR群は80/min時を最大とするpeaked type, AVR兼OMC群は安静時から100/min時まではflat typeで, 120/min時に急に減少する型を呈した. 弁サイズ別の検討では, AVRに用いた機械弁は25~29mm, 23mm, 21mmの順に弁機能が優れ, MVRに用いた人工弁は機械弁より生体弁, 生体弁の中では29~33mmのIS弁の弁機能が優れていた. ペーシング負荷法による血行動態の変動を検討することは, 人工弁機能を評価する上で有用な方法であった.
著者
川西 秀樹 西亀 正之 江崎 治夫 土谷 太郎 椙山 雅文 中光 晴彦
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.10, no.6, pp.1037-1040, 1981

A hemoperfusion system has been developed in which powdered activated charcoal are embedded in a polyporous polyurethane sheet.<br>In vitro adsorption studies have revealed that tree adsorption of bilirubin and other albumin bound substance by UPC is superior to that by non-coarted charcoal beads with low release of charcoal micro-particles.<br>During batch test removal rate of bilirubin in jaundice dog serum was about 60% by UPC.<br>Dogs with ligated bile duct were subjected to direct hemoperfusion (DHP) through UPC.<br>As a result of these studies, removal rats of bilirubin was about 40%.<br>There was a transient decrease in platelet and WBC during DHP with gradual recovery to the prevalue at the end of therapy.<br>These studies suggest the UPC-DHP is effective in the treatment of FHF.