著者
三浦 義人 曽谷 愛子 矢野 悦子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.7, no.6, pp.353-357, 1966-11-15 (Released:2010-09-30)

縫目のある織物が引っ張られると, 縫目でつぎのように切断される.縫糸または経糸が切れる.あるいは縫目ピッチが長いと縫糸または緯糸が切れピッチが短かくなるにつれ経糸が切れる.理想的な縫目は次式で示される.PN (1-a) cosθ=Q-xNは縫目数, γは縫目幅の縮み, Q-xは織物の強さ, 2θは縫目の曲がり角, P (1-a) は縫糸の強さ.緯糸を押す経糸の力をH, 縫糸を引き上げる経糸の力をT0とするとH=Rsin/eμ T0=R(cosα+cos/eμ)Rは経糸張力, φは経糸の傾斜角.
著者
皆川 基
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.17, no.7, pp.256-263, 1976-07-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
21

衣類洗浄を細菌学的視点から検討することを目的として, 家庭, 通学, 通勤, ボーリング場およびスケート場などの種々の環境下で着用された靴下の汚染状態を検討した.その結果, 着用後の靴下からは多種類の菌が検出され, Staphylococcus epidermidis, Staphylococcus aureus, Enterococci, Micrococcus, Bacillus subtilis, Diphtheroid bacilli, Escherichia coli, Pseudomonas aeruginosa, Enterobacter aerogenes, Proteus vulgaris, Candida albicansなどの11種の細菌ならびに真菌が分離・同定された.靴下には運動性の高いProteus vulgarisなどの汚染細菌を含む特徴が認められ, 一般に羊毛, 絹, 綿などの天然繊維を素材とする靴下では著しく多くの菌が検出される.しかし靴下着用後の足部皮膚表面の細菌汚染状態についてみると, 天然繊維を素材とする靴下を着用した場合には合成繊維を素材とする靴下に比し, 非常に少なくなる傾向が認められるので, 靴下に付着する多くの細菌に対して, 高い除菌効果を示すような洗浄方法が確立されるならば, 天然繊維を素材とする靴下はむしろ衛生学的視点からは高く評価されるべきであろう.
著者
中川 早苗 武井 敦子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.174-182, 1984-04-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
2

サラリーマンの服装に対する意識や行動を実証的に把握し, 現代のサラリーマンにとって服装がどのような意味をもっているのかを明らかにするために統計調査を行った.その結果次のようなことが明らかになった.1) 職場での仕事が中心のサラリーマンにとって, 服装は個としての自己表現よりも社会的信用や好感を得たり, 組織の一員として仲間との連帯感を得る手段として重要な意味をもっており, 半ば制服化している“背広・ネクタイ”スタイルが, その最も無難なパターンとして支持され愛好されていることが明らかになった.2) 服装に対する規範意識・ファッション意識への反応パターンをもとに, 数量化理論皿類によってサンプルを5つの主要なタイプに分類することができた.3) 各タイプの差異が, 年令や職業, 職場での地位, 余暇のすごし方や生活関心, 職場での服装規制などによって大きく規定されていることが明らかになった.
著者
杤尾 安伸
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.649-656, 2019-08-25 (Released:2019-08-25)
参考文献数
15

本論では,日本型雇用に関する二つの理論的課題を提示する.この理論的課題とは,1 技能概念に関わる課題,2 日本の独自性に関わる課題,である.本論では,1 技能概念に関わる課題については,技能と技・知識・技術との関係に注目している.2 日本の独自性に関わる課題については,日本の二重構造の問題と,産業政策との関わりに注目している.
著者
深沢 太香子 谷 明日香
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.108-114, 2017-01-25 (Released:2017-01-27)
参考文献数
23

健康な20歳代,40歳代,60歳代の男性を対象にして,人体表面への接触物の温度評価能と温度感受性における加齢による影響を検討した.また,その身体部位による違いも検討した.体表に接触する物体の温度評価能は,各年齢層において高く,年齢による違いは認められなかった.また,身体部位によって温度評価能が異なることはなかった.一方,温度感受性は,20歳代男性は温覚と冷覚ともに鋭敏であるのに対して,40歳代と60歳代男性の温覚と冷覚は鈍化して低下していることが検証された.特に,40歳代と60歳代男性の下肢における冷覚感受性の低下は顕著であることが明らかとなった.
著者
鈴木 理紗 神山 進
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.652-665, 2003-11-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
18

本研究の目的は, 「被服によって呈示したい自己」および「自己呈示に係わる被服行動」の内容を大学生のような若者に関して明らかにすること, そして, 性別や心理的変数が「被服によって呈示したい自己」の内容, 「自己呈示に係わる被服行動」の内容に及ぼす影響を探索することであった.得られた結果は, 以下のようであった.1) 15項目の「被服によって呈示したい自己」の内容, および56項目の「自己呈示に係わる被服行動」の内容が明らかになった.2) 因子分析の結果, 「被服によって呈示したい自己」に3つの成分, 「自己呈示に係わる被服行動」には6つの成分が明らかになった.3) 性別, セルフ・モニタリング高低別, 他者意識高低別によって, これらの呈示したい自己や被服行動に相違のあることが確認できた.
著者
庄山 茂子 大谷 紗友理 窪田 惠子 青木 久恵 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.339-348, 2017-04-25 (Released:2017-04-27)
参考文献数
28

大学病院に勤務する看護師20 名を対象に,通常のユニフォーム,各自好きなユニフォーム,病棟内の話し合いで決定したユニフォームを着用した場合の3 条件で職務を遂行してもらい,ユニフォームの採用条件の違いが看護師の心理やチーム医療にもたらす効果を比較した. (1)病棟内の話し合いにより決定したユニフォームを着用した場合の看護師の仕事に対するやりがい感は,通常のユニフォームを着用した場合より有意に高かった.患者や同僚への声かけ,ストレス,緊張感については,ユニフォームの採用条件の違いによる差はみられなかった. (2)チーム医療に関する評価では,ユニフォームの採用条件の違いによる差はみられなかった.しかし,病棟内の話し合いにより決定したユニフォームを着用した場合においてのみ,「目標達成と向上心」が高い看護師は,患者や同僚への声かけが多く,やりがい感が高かった.「職務協働性」が高い看護師は,同僚への声かけが多かった.
著者
庄山 茂子 青木 久恵 窪田 惠子 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.172-179, 2013-02-20 (Released:2017-05-30)
参考文献数
15

異なる6スタイルの看護服を看護師,歯科衛生士に着用してもらい,患者と看護師ならびに歯科衛生士(病院群)を対象に各スタイルの印象を調査し,スタイル間の印象の違いを明らかにした.(1)6スタイルの中で,「花柄のチュニックと白のパンツスタイル」は,患者群と病院群ともに看護 服として好ましい割合が高く,「ダークレッドパープルのスクラブと白のパンツスタイル」は,両群ともに好ましくない割合が高かった.特に,病気や治療に不安のある患者ほど「好ましくない」と回答した. (2)6サンプルの印象について因子分析の結果,患者群では,「思いやり,信頼・責任,積極性,活動性」の4因子,病院群では,「思いやり,信頼・責任,活動性,洗練」の4因子が得られた. 「思いやり」は花柄のチュニックや花柄のスクラブの因子得点が高く,「信頼・責任」は白のワンピースや白のチュニックに白のパンツスタイルの得点が高かった. 看護服のスタイルや色により,印象評価が異なることから,今後看護服の採用にあたっては十分な配慮が求められる.
著者
鈴木 公啓 菅原 健介 西池 紀子 小松原 圭司 西口 天志 藤本 真穂
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.677-686, 2014

<p>本論文では,男性における下着の着用や購入の関心の実態,および,下着へのこだわりの背景にある心理機序について明らかにすることを目的とした.その際,心理的機能がどのような場面,目的で期待されているのか,心理的機能は下着の何が作り出しているのか,心理的機能を期待する背景にどのような要因が関与しているのか,それらをまとめた下着のこだわりの心理モデルを構築し検討した.結果,男性において,下着にも心理的な機能があり,その機能への期待が,下着へのこだわりに結びついているということが明らかになった.中でも,気合いの効果が極めて重要であり,様々な場面でのベースとなっていることが確認された.幅広い年代の男性が,日常生活において直面する様々な場面において,課題を達成するための心理的資源を得るために,お気に入りの下着を着用していることが示された.ただし,そのプロセスについては,女性ほど分化していないことも併せて示された.</p>
著者
閏間 正雄 富森 美緒
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.21, no.10, pp.438-442, 1980

本研究では, 同一被服地試料群では同一諸元よりなる色違いの被服地を試料として採りあげた.これら被服地の色がしわの官能評価に与える影響について考察を行ない次のような結果を得た.<BR>1) 一部の試料群を除き, いずれの被服地試料群とも, しわの官能評価値は, 各試料問にて高度の有意差を示し被服地の色によって, しわの判断, 評価が異なることを示した.<BR>2) 被服地試料群のしわの官能評価値と試料の明度との間には, 一部の試料群を除き, いずれの試料群でも正の相関々係が認められた.即ち, 明度の高い色に対して, 評価が高く, 明度の低い色に対して, それは低い関係にあった.一方, しわの官能評価値と試料の彩度との間には, いずれの試料群でも, 何ら相関々係は認められなかった.
著者
永野 光朗
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.35, no.9, pp.468-473, 1994

個人における被服行動の様式を客観的, 定量的, かつ簡便に測定するための質問紙尺度である「被服行動尺度」の作成を試みた.先見的に作成した64項目に関する男子大学生332名, 女子大学生431名の評定結果を性別に因子分析にかけ4因子を抽出した.これらの因子は男子, 女子ともほぼ類似したものであったので, 同様の因子構造をもつものと判断し, 被服行動尺度はこれらの因子の解釈をふまえて4つの下位尺度 (流行性尺度, 機能性尺度, 適切性尺度, 経済性尺度) から構成されるものとした.因子分析における各項目の因子負荷量と各尺度の内的整合性の検討 (Cronbachのα係数による) から, 各下位尺度毎に5項目を選定し, 合計20項目からなる「被服行動尺度」を作成した.