著者
石丸 園子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.772-784, 2006

RAS (Roken Arousal Scale) により評価される心理状態のうち, 「眠気, 全般的活性, リラックス, 緊張」の相互関係を, 多変量解析手法を用いて検討した.その結果, 「眠気⇔全般的活性」の因子と, 「リラックス⇔緊張」の因子が抽出された.さらに, 「眠気⇔全般的活性」の因子は, α波パワースペクトル積分値の閉眼/開眼比と同じ因子, 「リラックス⇔緊張」は, 心拍周波数と同じ因子とみなされる結果が得られ, 特定の心理状態を, 心電図, 脳波で関連付けて説明できることが示唆された.それらの位置関係を整理して図示した.<BR>さらに, 衣服による皮膚刺激のうち, 触刺激の違いが, 心理・生理反応に変化を及ぼすか検討を進めた.その結果, 表面摩擦係数が高く, 摩擦係数の平均偏差が小さく, かつ, 圧縮やわらかい布帛力学特性を示し, 「ふんわり, やわらかい」触感を付与できる衣服は, 心理・生理的に「リラックス」「全般的活性」の傾向を示すことを把握した.尚, 布帛力学特性―触感―心理状態―生理反応の対応関係を明らかにしたが, 生理反応については, 自律神経系と中枢神経系の両側面から心理状態を判断することが望ましいことが示唆された.
著者
西 決造
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.38, no.7, pp.369-373, 1997-07-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
2

大島紬の起こりについては歴史的には明確な文献もなく, 1720年に薩摩藩が奄美大島の島民に紬着用禁止令を出した史実があるのでその以前から農民の手で生産されていたことが想像できる.大島紬は奄美が発祥の地であり, 大島というのは固有名称であるべきであるが, いつとはなしにこれが一般名称として使用されるようになり, 各地で大島紬という名称の織物が生産されるようになっている.そのため現在ではやむなく本場という冠称をつけて本場大島紬の名称で他産地大島紬と区別している.紬というのは真綿糸から紡いだ紬糸で織った絹布のことで, 現在の大島紬は本絹糸を使用しているので紬と呼ぶのは妥当ではないが, 明治中期までは紬糸を使用し, 大島紬として消費者に知られていたので, 古来の名称がそのまま受け継がれている.明治になってから大島紬もようやく生産, 販売が自由になり, やがて市場で大きな人気を博すると共に需要も増大した.生産が軌道に乗るにしたがって家内工業から専業化, 分業化へと進んで工場生産がなされ, 産地としての基盤が形成され, 特に明治の後期になって絣締め機が開発され, 大島紬の絣加工は技術的にも生産能率面でも一大進歩をとげた.また染色面ではシャリンバイ染色が定着し, 一方製織面ではイザリ機から高機への切り替え, 原料糸の改善等もなされ高級織物としての名声と地位を確立した.明治時代はまさに本場大島紬一大技術革新の時代といえる.この技術革新が大正昭和初期にかけて実を結び需要の増大と共に生産能力も上昇し, また新製品の研究開発も進められて, 鹿児島県の一大産業にまで発展した.昭和4年には名瀬市に県立大島郡染織指導所が置かれ, 昭和56年には鹿児島県大島紬技術指導センターに名称が変更され, 県の染織工業及び手工業を代表する本場大島紬を対象に, 基本工程である意匠デザイン, 染色, 織りを中心として, 研究開発, 技術指導及び後継者育成を行っている.昭和40年代は好況期といえ, 昭和51年には97万反余の生産高を示すまでになった.しかし, 戦後急激に進んできた生活様式の洋風化に伴って, 国内の和装需要の長期低落傾向に歯止めがかからず, 産地は大幅な減産を強いられ, 平成8年には177, 510反, 最盛期の5分の1に減少し, 厳しい状況が続いている.なお, ここ2~3年の減少幅がやや小さくなってきている.
著者
橋本 令子 加藤 雪枝 椙山 藤子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.26, no.7, pp.295-301, 1985-07-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
2

本研究は嗜好色, 着用色による色彩の嗜好性と被服を選択する際に考えられるファッション意識との関連性を追及した.嗜好色, 着用色の調査は, 面接調査法を用いて行い, 色の出現率を求め, 色相, トーンによる出現傾向を調べるとともに相関係数, 分散分析によって嗜好色, 着用色の関係を検討した.ファッション意識は, SD法によって評価し, 基本因子を抽出し, 各因子別に色彩の嗜好との関連を調べた.その結果, 嗜好色, 着用色は無彩色の出現率が高く, 色相においては赤, 黄, 青, 緑系, トーンにおいてはl, t, b, v, pトーンが多く出現した.また嗜好色, 着用色に及ぼす色相, トーンの効果は, 色相よりもトーンが大きく影響した.ファッション意識に対する基本因子はファッション関心度, 流行意識, 着用態度, おしゃれ態度, 嗜好性の5つであらわされた.色彩の嗜好と因子別によるファッション意識との関係は, 因子間による差異が小さく, 色彩の嗜好は, ファッション意識の各因子に対して類似した考え方を持っているものと思われた.
著者
高野 富士子 和家 多津代 伊藤 道子 時光 明美 高橋 睦子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊消誌 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.11, no.12, pp.606-610, 1970

市販2社のPP加工とSR加工婦人ブラウス20枚 (ポリエステル65%, 綿35%混紡) を購入し, 8名の着用実験者が, 2日間ずつ交互に均等着用し, 30回の洗たく, 乾燥の繰返しを行い, 長期着用テストによる収縮率, 汚れ率は機器による定量測定をし, 表面外観上の変化 (白度, しわ, 型くずれ, 毛羽立ち) は, Scheffeの一対比較法による官能検査をし, その両面から検討を行った.<BR>その結果, 機器を用いた定量測定においては, 両加工の差が認められ, 特に汚れ率においてはSR効果があらわれ, 汚れ率が少なかったが, 肉眼判定による一対比較法では, 両加工の差がほとんどみとめられなかった.<BR>これらの結果は, 肉眼判定では汚染による灰色化よりも, けい光増白剤の効果 (による白度の増加) が大きかったためであり, 反射率測定では, これと反対に汚染の効果だけが測定されたためと考えられる.
著者
穐原 寿識
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.699-706, 2016-09-25 (Released:2016-09-25)
参考文献数
6

海外での日本人選手の活躍が目まぐるしいスノースポーツにおいて,国内のスノーアイテム市場の規模の拡大は伸び悩んでいる.それは従来の中心ターゲット層であった若年層が市場から離れている事が原因の一つである.若年層がスノーアイテムを購入する際に,機能性,デザイン性,そして価格帯の設定といった購買における重要な訴求点を,マーケティング・ブレンドによって数値化を行いプロジェクトチーム全体で共通概念とする. 今回はスノーゴーグルを考察対象とし,一つのモデルケースとする.その分析はターゲットとなるセグメントに対して行ったアンケート調査および,スノーアイテム開発に携わる関係者へのインタビュー調査から試みる.そのデータから実際に商品開発を行い,市場への投入までを本論文では行う.若年層のスノーアイテム購入に対して有効なマーケティング戦略は何が重要であるのかを,マーケティング・ブレンドによって仮説を立て考察していく.
著者
髙橋 広行 豊田 尚吾
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊消誌 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.1044-1052, 2012

<p>本研究は,震災復興支援,貧困支援,環境保護などの倫理的消費商品の購買と消費者の心理的側面との関係性をつまびらかにすることにある.具体的なアプローチは,倫理的消費商品の購買状況と価値観や社会的規範との関連性について,性・世代・地域の違いを踏まえ,アンケートデータの分析を通じて明らかにするものである.分析には,大阪ガス株式会社エネルギー・文化研究所が2012年2月に,20代から60代の男女5000人に対して行ったアンケート調査データを用いた.分析の結果,倫理的消費商品の購入には,消費者個人の価値観とともに社会的規範が大きく影響すること,特に,高年者世代ほど倫理的消費に対する意識が強いことがわかった.従来のマーケティング戦略において見落としてきた「規範」という概念の重要性,および,今後の主なターゲット層となりうる女性の高年者世代が倫理的消費に大きく関連するという点を明らかにしたことが本研究の貢献である.</p>
著者
増田 智恵 村上 かおり 平林 由果 永野 光朗
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.165-174, 2009

幅広い年齢の成人女子に適したITを利用した衣服購入用の情報を抽出するため,3次元人体形状イメージ分類を行い,体形イメージおよびサイズの異なる日本人成人女子のほぼ3世代(20-40-70代)の平均的3次元人体モデルを着衣基体として設定した.幅広い年齢の成人女子が評価可能なデザインイメージ評価用語を抽出し,それによる3次元着装シミュレーションによる実際のデザインイメージ評価を一連の研究として試みた.本報では実際の衣服選択のためのデザインイメージの分類と各イメージの特徴を示すデザイン要素,衣生活スタイル,印象などを抽出し,さらに具体的な服のデザイン要素からデザインイメージを予測した.高齢社会での消費者のためのネットなどを利用した衣服選択支援情報の抽出につながる情報が得られた.<br> 1. 3世代の平均的3次元人体モデルによる20種類の合計60のデザイン服のイメージをクラスタ分類した結果,前報で抽出した2つの主成分に対応したA1. レディ・フェミニン・A5. エレガント,A3. カジュアル,A4. スタンダード・レトロ,A2. シャープ・モダンの4つのイメージに分類された.サイズの異なる年代別でのデザイン服による大差はなく,同じデザイン服は同じ分類のイメージになった.<br> 2. 4つのイメージのデザイン要素,衣生活スタイル,印象などの主な特徴は次のようであった.A1&A5イメージ : スカートスーツやブラウススタイルなど,派手な色や無彩色の薄い素材の上衣でフット性の高い下衣など,背が高く体形カバーのあるデザインで,年上,異性,同年代の印象が良く,フォーマルおよびショッピング用の衣服傾向―A3イメージ : 上衣と下衣の組み合わせでキュロットやパンツにTシャツスタイルなど,柄物で柔らかい上衣,派手な色の下衣,若い年代や同性の印象が良く,家庭着で家族で利用可能な衣服傾向,A4イメージ : スカートスタイルに,柄のある袖やえり付きの上衣に派手な色の薄い素材でフット性のあるデザインの下衣など,家庭着でもフォーマルまた家族での利用も可能な汎用性のある衣服傾向一A2イメージ : パンツスーツやジャケットスタイルなど,明るく濃い色の上衣で,下衣は濃い色のミニ丈のものなど,細い体形に見えるデザインで若い年代での印象が良く,ショッピング用衣服傾向,であった.<br> 3. 4つのイメージを具体的なデザイン要素を用いて,2つの式 {<i>Y3</i>(R=0.98) : A1&A5-A3, <i>Y4</i>(R=0.96) : A4-A2} から精度良く予測可能とした.予測精度の高いデザイン要素でまとめると,A1&A5は主にフット性の高い下衣,派手な上衣,スカートスーツのデザインから<i>Y3</i>の予測値が大きく,逆のイメージのA3は主に鮮やかな色の下衣,柄物やTシャツの上衣で,上衣と下衣の組み合わせなどのデザインから<i>Y3</i>の予測値が小さく予測可能であった.A4は主に袖のある上衣と下衣はスカートのデザインから<i>Y4</i>の予測値が大きく,逆のイメージのA2は鮮やかな色,濃い色でフット性が高い下衣に対して,同じ濃い色,明るい色,無彩色でえりのあるミニ丈の上衣などで,パンツスーツなどのデザインで<i>Y4</i>の予測値が小さく予測可能であった.
著者
河本 直樹
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.163-171, 2015-02-20 (Released:2017-11-28)
参考文献数
10

女性ファッション雑誌の表紙における色彩分布の特徴を調べた.表紙の画像データから得られる9個の特徴量を用いて,クラスタ分析を行い,雑誌を分類した.その結果,まず女性ファッション雑誌の表紙は,他のジャンルの雑誌とは明らかに区別されることがわかった.また女性ファッション雑誌は,対象とするファッション系統によってそれぞれ特徴的な表紙を有することもわかった.また,因子分析によって特徴量を要約し,4 個の因子(あざやかさ,明るさ+細かさ,多色相性,トーンコントラスト)を得た.ティーン系の雑誌では「明るさ+細かさ」および「多色相性」の因子得点が高いこと,モード系の雑誌では「多色相性」の因子得点が著しく低いこと,ストリート系の雑誌では「トーンコントラスト」の因子得点が高いことなどがわかった.また,平均彩度と平均明度については雑誌による差異が明確であったが,色相についてはほとんど差異がなく,女性ファッション雑誌の表紙の平均色相はどれも赤からオレンジの領域にあることがわかった.
著者
三野 たまき 丹羽 寛子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.793-802, 2008-11-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
20

若年女性の衣生活における浴衣の位置づけを, 女子大生 (長野市内在学) を用いてアンケート調査した.彼女らの97.2%に和服着用経験があったが, その着用機会は夏祭りや花火大会で, 浴衣の所有率が78.3%と最も高かった.洋服・振袖・浴衣のイメージを11項目で評価させ主成分分析したところ, 日常性と興味関心の2主成分が抽出された.振袖はより非日常へ, 洋服はより日常へ偏り, 両者の興味関心は同程度であった.一方浴衣は両者の中間に位置し, 興味・関心は最も高かった.彼女らは浴衣を「着物の中の浴衣」として捉えず, 「着物」とは別な, より身近な存在として捉えていた.また, 和服着用時の難点は動きにくさと圧迫に関する申告が多かった。着用機会があっても和服を着ないと答えた人は成人式で振袖を着た時に, 息苦しく, 動きにくく, 重く, 汚しそうで気疲れした経験を持っており, これが着物離れの一因であると考えられた.
著者
上垣 良信 佐藤 哲也
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.463-468, 2015-05-20 (Released:2017-11-28)
参考文献数
6

植物染料を用いて繊維を緑色に染色する技術は,従来は鉄を発色補助剤として用いているが,色合いの濃さと耐光性の観点から改善すべき余地がある.我々は鉄と同じ遷移金属元素であるバナジウムを発色補助剤(媒染剤)として用いた新しい染色法の開発に取り組んでいる.濃度5×10-3 mol/Lで処理したバナジウム先媒染ウールを濃度50%owfの植物染料ヤシャブシで染色すると,耐光堅ろう度の高い濃緑色に染色できた.バナジウム先媒染ウールをESR分析したところ,オキソバナジウム錯体として繊維表面に付着していることがわかった.バナジウム先媒染ウールは皮膚への刺激性が低く,環境負荷を軽減可能な新しい媒染剤として有効であることが示された.
著者
矢田 和也 出口 潤子 高橋 順一
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.129-136, 2017-01-25 (Released:2017-01-27)
参考文献数
4

本研究においては,ブラジャーを対象に,CAE技術を用いた商品設計技術を構築することによ,商品機能の発現の原理解明を行い,既存の設計技術では両立が困難であった「防振性」と「快のトレードオフの関係を解決し,着用快適性の高いブラジャーの開発検討を行った. 人体及びブラジャーの3次元有限要素モデルを構築し,着用シミュレーションを行い,仮想的に験を繰り返すことで,着圧の上昇を抑えつつも,高い防振性を有する最適な商品構造を導く可能なことを明らかにした.また,シミュレーション結果と実際の着用試験による結果の比り,高い整合性も見られたことから,CAE技術による商品設計技術の有用性も明らかにすができた.
著者
三野 たまき 上條 真友子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.321-326, 2010-04-20 (Released:2016-08-31)
参考文献数
16

若年女性の関心の高い下肢部の浮腫の内,足部位に着目し,その実態を明らかにした.被験者は20歳代前半の成人女子8名(BMIは20.0±1.5)で,彼女らそれぞれの月経周期の高温期に足部容積を測定した.なお測定には自作した測定用シューズを用い,彼女らの右足部(利き足)の,足首(部位B)と足首より先端(部位A)の2部位に分けて,8:00~16:00の間に5回容積を測定した.被験者の右足部容積の増加率(y)を調べたところ,測定時間(x,単位は分)との間に,y=3.34(1-e-t/235.1)(R2=0.997)の曲線近似がなされた(足部全体).なお椅座位で8時間(480分)過ごした後の足部容積は,部位Aは561.7±50.2mlから579.3±51.7mlへと17.5ml,部位Bは194.5±35.8mlから200.9±40.0へと6.4ml,有意に増加した.また,部位Aの容積変化率はy1=3.24(1-e-t/242.2)(R2=0.976)に曲線近似されたことから,8時間以内では相対容積増加率が徐々に増えつづけることがわかった.一方部位Bのそれは,y2=3.41(1-e-t/151.4)(R2=0.949)に曲線近似され,部位Bは部位Aに比べ,容積増加率の時定数が90.4分短くなることがわかった.このように,同じ足部でも足首とその先端部では,部位特異的に容積増加率の経時変化の様子が異なった.
著者
横井 亮子 吉田 美奈子 笹川 栄子 平田 耕造
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.537-547, 2006-09-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
25

異なるサイズのガードルの衣服圧測定と, ガードルによる身体圧迫が心拍数, 皮膚血流量, 皮膚温, 呼吸量に関する項目, および主観的評価におよぼす影響を, 3つのサイズ変化に対応する独自に開発した加工ガードルを用いて解析した. (1) 各部位の衣服圧において加工ガードルは, 既存ガードルとの間に有意な相関 (r=0.95, p<0.01) が得られ, サイズ変化に十分対応していることが確認された. (2) 加工ガードルのサイズが小さくなるに伴い, 衣服圧値は徐々に高くなり, 圧感覚もよりきついレベルへ移行した.この時心拍数は有意に増加した.下腿部の皮膚血流量は有意に減少し, 同皮膚温も有意に低下した.1回換気量, 予備呼気量は有意に減少し, 予備吸気量は有意に増加することが明らかとなった.