- 著者
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藤 健一
- 出版者
- 一般社団法人 日本行動分析学会
- 雑誌
- 行動分析学研究 (ISSN:09138013)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, pp.22-30, 1987-03-31 (Released:2017-06-28)
日常行動の行動分析の試みとして, 写真の撮影行動をとりあげた。今回, 分析の対象としたのは, 著者が研究場面で遭遇する日々の出来事, 例えば実験装置の製作, 各種のトラブルなど, 研究日誌の記事に該当しそうな出来事を撮影するという, 著者自身の撮影行動であった。この撮影行動がいかなる要因の統制を受けていたかを推定するために, 1984年4月2日から1985年3月30日までの363日間に撮影された写真記録の事後分析を行った。その結果, (1)使用したフィルムは, 36枚撮フィルムが11本, 24枚撮フィルムが6本, 12枚撮フィルムが20本であった。(2)1日あたりの平均撮影枚数は, 装填していたフィルムの長さ(何枚撮かということ)によって異なっており, 36枚撮で4.5枚, 24枚撮で5.3枚, 12枚撮で2.0枚であった。(3)累積撮影枚数曲線の目視分析から, 撮影行動は写真のプリントのできあがりを強化事象とする固定比率強化スケジュールの支配を受けていたと推定された。