著者
石丸 圭荘 関戸 玲奈 咲田 雅一
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.184-189, 2003-05-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
16

これまでの鍼通電鎮痛 (electro-acupuncuture analgesia : EAA) に関する研究から、低頻度EAAでは中枢神経系を介する下行性抑制系や内因性鎮痛系が賦活され鎮痛が発現することが報告されている1-7) 。しかし、その鎮痛効果と経絡との関連は未だ明確にはされていない。また、Farberらにより合谷鍼通電によってその所属経絡である手陽明大腸経上に顕著な鎮痛効果が発現することが報告されているが、その機序は不明である8) 。そこで我々は、刺激経絡上で特異的に痛覚閾値が変化するのか否かを知る目的で合谷EAAにおける、合谷の所属経絡 (手陽明大腸経) と他経絡上 (手太陰肺経) および前額、腹部、下腿部の経穴上での痛覚閾値の変動を比較した。また、同時に血漿β-endorphin濃度を測定し、合谷EAA発現における内因性鎮痛物質と経絡との関係について検討した。
著者
佐藤 昭夫
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
自律神経雑誌 (ISSN:03870952)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.351-354, 1981-03-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
22
著者
宮崎 彰吾
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.40-44, 2021 (Released:2021-10-28)
参考文献数
5

【目的】「あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整復業」 へのCOVID-19の短期的影響について報告する。 【方法】2015年第1四半期(1~3月平均)から2020年第2四半期(4~6月平均)までの1世帯(二人以上の世帯)当たりの「あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整復業への支出金額」を家計調査から得て、COVID-19の蔓延による緊急事態措置の実施期間を含む2020年第2四半期について、前期、前年同期と比較した。また、同じ療術業ではあるが休業要請対象となった「法的な資格制度がない、その他の療術業(整体、カイロプラクティック、リフレクソロジー、骨盤矯正、など)への支出金額」を比較対照とした。 【結果】2020年第2四半期において、「あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整復業」への1世帯当たりの平均支出金額は前期より9%、前年同期より13%減少した。一方、「法的な資格制度がない、その他の療術業」への1世帯当たりの平均支出金額は前期より46%、前年同期より41%減少した。 【結論】「あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整復業」へのCOVID-19の短期的影響として、前年同期より売上高が13%減少したと考えられる一方、「法的な資格制度がない、その他の療術業」よりも減少幅が小さく抑えられたことから、需要の底堅さをうかがい知ることになった。
著者
関 行道
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
自律神経雑誌 (ISSN:03870952)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.415-419, 1981-03-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
15
著者
河瀬 美之 石神 龍代 堀 茂 中村 弘典 服部 輝男 田中 法一 絹田 章 平松 英敬 皆川 宗徳 黒野 保三
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.185-189, 2000-05-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

足三里穴の降圧効果を検討する目的で、封筒法による鍼治療の多施設臨床比較試験を行った。高血圧状態の患者に対し、足三里穴を使用する群と使用しない群に分けて血圧値の推移を検討した結果、両群の群間には有意な差はなく、足三里穴の有効性までは認められなかった。
著者
高梨 知揚 西村 桂一 辻内 琢也
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.196-203, 2014 (Released:2015-08-06)
参考文献数
12
被引用文献数
1

【目的】本研究は、 在宅療養支援診療所の医師を対象として、 在宅緩和ケア領域における鍼灸師との連携の実態を明らかにすることを目的とする。 【方法】在宅でのがん緩和ケア実績のある在宅療養支援診療所 297 施設を対象とした。 郵送法による自記式質問紙調査を行い、 回答は診療所所属の医師に依頼した。 質問紙は、 鍼灸師と連携をして在宅緩和ケアを実践している施設数、 連携の現状、 および情報共有の実態と方法を把握する内容とした。 【結果】294 施設中 98 施設から回答を得た (回答率 33.3%)。 現在鍼灸師と連携して末期がん患者のケアを実践しているのが 14 施設 (14.3%)、 過去に連携をしたことがあるのが 9 施設 (9.2%) であった。 鍼灸師と連携してケアする患者の症状は、 疼痛、 吃逆、 浮腫、 腹水、 便秘等が挙げられていた。 鍼灸師と連携することによるメリットについては、 「症状の緩和」、 「患者の満足度の向上」、 「患者のモチベーションの向上」 などの記述が見られた。 鍼灸師との情報共有の有無について、 「必ず共有する」 が 7 施設 (50%)、 「状況に応じて共有する」 が 7 施設 (50%) で、 「情報共有しない」 施設は無かった。 今後の在宅緩和ケアにおける鍼灸師との連携についての考えを尋ねたところ、 全体のうち 「積極的に連携したい」 が 9 施設 (9.2%)、 「状況によっては連携を考える」 が 65 施設 (66.3%) であった。 【結論】本研究より、 在宅緩和ケア領域において、 在宅療養支援診療所医師と鍼灸師とが連携している施設が 14.3%存在することが判明した。 また、 連携により症状緩和だけではない患者ケアが実践できる可能性が示唆された。 一方で、 鍼灸師が在宅緩和ケアの現場に関わるためには、 患者情報やチームとして行われているケアの状況を適切に把握する必要があり、 医師をはじめとした他職種と連携を図り情報共有する為の環境整備を推進すべきであると考えられた。
著者
松下 嘉一
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.568-580, 2004-08-01 (Released:2011-03-18)

六世紀に仏経経典と共に中国医学が日本に紹介されて以来、日本の医学は中国医学をべ-スとして独自の発展を遂げてきました。従って、飛鳥時代から明治時代にいたる1300年間、日本の医学の中心は漢方・鍼灸でした。しかしながら、明治時代になり、当時の政府により西洋医学が制度化してからは、漢方・鍼灸は人為的に衰滅せしめられ、「時代後れ」あるいは「非科学的」という印象を与えられてしまいました。ところが、今日、漢方・鍼灸は諸外国の学者や国内の研究者により科学的な裏付けがなされ、次第に見直されつつあります。このように-旦衰退したかに見えた漢方・鍼灸は、現在再び新たな発展を遂げつつありますが、こうした東洋医学の復興の過程における千葉県の先達の貢献・業績は誠に多大なものがあります。本稿ではその先達の業績を思い起こしてみたいと思います。東洋医学の普及と研究は、今後、益々盛んになってくるものと期待されますが、私達はこうした先達の業績を忘れず、常に基礎を大切にして、互いに切磋琢磨していくことが必要です。
著者
梶間 育郎 森 和 矢野 忠 国安 則光 原田 拡
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.308-318, 1992-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
19

脱毛症の成因については皮膚科学に於いても明確な説明が得られていない。我々は鍼灸治療の種々の脱毛症に対する有効性を検討し, その治療方針を考案するために従来の成因に関する諸説, 及び鍼灸による治験報告を再考すると共に、その成因を多角的視野で検討するために脱毛症患者534名を対象として, 頭皮所見と脱毛症に伴う身体症状の調査を行った。休止期毛性脱毛症群では頭皮の血行不良と身体的過緊張に深い関係がみられた。成長期毛性脱毛症群では自律神経系の変調を想起させる症状が頭皮と身体の双方に高率に認められた。よって脱毛症は頭皮のみの疾患ではなく, 全身的機能変調の表出と考えられる。
著者
渡辺 勝久 北出 利勝 廖 登稔 佐々木 和郎 北小路 博司 石丸 圭荘 大山 良樹 木下 緑 岩 昌宏 山際 賢 大藪 秀昭
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.154-159, 1993-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10

顎関節症は開口障害, 顎関節の疼痛, 関節雑音を主症状とする疾患で, 近年, 若年者を中心に増加の傾向にある。顎関節症は髄伴症状として, 鍼灸治療の適応である頭痛, 頸肩部の凝りなどの不定愁訴を有している場合が多い。そこで, 顎関節症に対する認識をより深め, 具体的な鍼灸治療の方法について, ビデオ教材を作成した。ビデオ教材の内容は, 前半は顎関節の解剖, 顎関節症の病態と分類などを解説し, さらに, 顎関節のMRI画像を紹介した。後半は診察の手順と治療を解説した。鍼灸治療は, 局所的常用穴を述べ手技の実際を紹介した。
著者
府川 悦山
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
日本鍼灸治療学会誌 (ISSN:05461367)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.43-46, 1971-04-15 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10
著者
大川 祐世 川﨑 寛二 深澤 洋滋 増山 祥子 山下 仁 若山 育郎
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.225-231, 2019 (Released:2020-07-13)
参考文献数
6

日韓鍼とEBMワークショップは全日本鍼灸学会と大韓鍼灸学会との学術交流の場である。 第9・10回の日韓鍼とEBMワークショップのテーマはいずれも 「診療ガイドライン=Clinical Practice Guidelines; CPG」 であった。 第9回は大阪で開催され韓国から3名、 日本から2名が講演を行った。 第10回は韓国、 チェチョン (堤川・Jecheon) で開催され日韓双方から2名ずつ講演を行った。 韓国は韓医学診療ガイドラインをいくつも作成しており、 第9回・10回ともにそれらの作成状況および改良のためのプロトコル等が報告された。 対して日本は未だ鍼灸の診療ガイドラインは作成されていないため、 鍼灸について記載のみられる日本国内の診療ガイドラインを調査した結果とそれらの質評価を行った結果を報告した。 日本と韓国では鍼灸を取り巻く環境は異なるが、 伝統医学領域の診療ガイドライン作成において先を行く韓国と本ワークショップを通じて議論を交えることができ、 日本の鍼灸診療ガイドライン作成の参考になった。 日韓両国の伝統医学発展のために学術交流を継続する必要性を再認識した。
著者
前山 文子
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.306-314, 1990-09-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10

現行慣用の経穴の名称及び位置に関する根本出典である皇甫謐:『鍼灸甲乙経』には, 鍼の刺入深度が記載されている。これを資料として原典の経穴観を立体的に探る試みを行なった。鍼刺深度を現代尺度に換算し, 深度別, 部位別, 経穴別にそれぞれ比較検討した。深度別では0.5%を占め, 1.5~2.5寸の深い経穴は3%であった。部位別では深い経穴は下腹部と仙骨部に見られ, 上肢・顔面が最も浅かった。経絡別では平均値が任脈が最も深く, 腎経・胃経に深い経穴が見られた。四肢では陰経が浅く, 陽経が深い。刺入深度が何を意味するか, その一端を探るために皮厚を測定したが, 刺入深度と皮厚と相似したパターンを示した。