著者
谷口 守 橋本 成仁 植田 拓磨
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.290-299, 2010 (Released:2010-06-18)
参考文献数
25

近年,急速なIT技術の発展が我々の生活スタイルを大きく変化させている.個人の買物行動もその例外ではなく,EC(E-Commerce)をはじめとする新たな買物行動の形が誕生している.このような買物行動の変化は実空間上の買物客をサイバー空間上へと代替させることで,都市の賑わいや活力を損なう可能性が指摘されているが,その空間代替の実態は十分に明らかにされていない.本報告では,個人行動特性に配慮し空間代替の解明を試みた.その結果,個人行動特性によって空間代替性は異なっていることが明らかとなった.また,EC経験者におけるサイバー空間への潜在的な代替量は2005年時点で年間平均2.68回であり,その値は急速に増加している可能性が明らかとなった.
著者
鈴木 春菜 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.190-200, 2008 (Released:2008-04-21)
参考文献数
23
被引用文献数
5 4 6

人々の当該地域に対する地域愛着(place attachment)は,まちづくりや景観保全,地域防災,地域のコミュニティ維持などにおいて重要な役割を担う心的要因であることがかねてより指摘されている.一方,日常生活様式が地域愛着に影響を及ぼしている可能性が指摘されているが,その検証が十分になされているとは言い難い.本研究では,都市計画・土木計画にも依存して変化し得る消費行動に着目し,消費行動によって地域風土との接触に差異が生じ,地域愛着の醸成に影響が及ぼされるとの仮説を措定した.心理調査を実施し,分析を行った結果,消費行動が買い物中のコミュニケーションや居住する地域への愛着の程度に影響を及ぼし,買い物中の地域との接触の程度が多い人ほど地域への愛着が高いことを示した.
著者
鳩山 紀一郎 板橋 慎寛
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.223-232, 2007 (Released:2007-06-20)
参考文献数
29

わが国の大規模信号交差点における長い信号サイクル長を短縮することは,交通渋滞や交通事故,環境悪化などの諸問題の改善に繋がる有効な対策の一つと考えられており,その実現のためには歩行者が安心して利用できる中央帯の設計方法を把握した上で,歩行者の二段階横断方式を前提とした交差点設計・制御を行う必要がある.そこで本研究では,中央帯滞留時の歩行者の生理心理を歩行シミュレータを用いた室内実験から計測し,歩行者の不安感が中央帯の幅員の増加や防護設備の設置によって軽減される様子や,中央帯に対して歩行者が抱くイメージと不安感の関係性を把握した.そしてその結果から,歩行者の不安感の視点から中央帯のサービス水準を設定する方法や,歩行者の不安感軽減のための更なる工夫について考察した.
著者
柴沼 一樹 宇都宮 智昭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A (ISSN:18806023)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.108-121, 2007 (Released:2007-02-20)
参考文献数
14
被引用文献数
5 5

本論文では,均質材の二次元線形破壊力学問題に対し,曲線き裂を含むX-FEMの一般的なモデル化の提案及びそれらを用いた解析結果の総合的な評価を行った.モデル化として(1)曲線き裂と分割された積分領域のモデル化,(2)C属性節点領域の範囲のモデル化,(3)C及びJ属性節点領域で構成された曲線き裂モデルの写像変換手法を提案した.その解析結果の検証より,写像変換の有効性も含め,提案したモデル化の有効性が示された.また,曲線き裂に関してM積分の経路独立に関する制限を明確にした.さらに,き裂進展シミュレーションからき裂進展方向とM積分経路内部のき裂の角度変化を用いた精度評価方法を適用し解析結果の信頼性を確認した.
著者
岡林 隆敏 中 忠資 奥松 俊博 Hao JIEXIN
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A (ISSN:18806023)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.474-487, 2008 (Released:2008-06-20)
参考文献数
33
被引用文献数
3 2 2

本論文では,常時微動自動計測システムの核となる算法を確立するために,常時微動多点観測により得られたデータに基づき多次元ARモデルから構造物の振動特性(振動数,モード減衰定数,振動モード)を高精度に自動推定する算法を提案した.橋梁の状態方程式で表した運動方程式を多次元ARMAモデルへ変換する構成法を明確にし,ここから誘導される多次元ARモデルから振動特性を自動推定する手法を示した.さらに,多点観測による多次元ARモデルと1点観測の1次元ARモデルの関係を示した.ランガー桁橋常時微動シミュレーション,5自由度系模型の常時微動実験,ランガートラス橋の常時微動実測に本手法を適用し,振動特性の自動推定の有効性を確認し,推定精度の検討を行った.
著者
京谷 孝史 平出 壮司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集C (ISSN:1880604X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.747-756, 2006 (Released:2006-11-20)
参考文献数
12

本論文では,均質化理論に基づくトポロジー最適化手法を応用したロックボルトの最適配置設計法を提案する.ロックボルトを挿入することによる岩盤の弾性係数と強度の増加は,均質化理論に基づく解析を通して定量的に評価することを通して,弾性係数と強度を配置間隔と挿入角度の関数として近似表現することができる.それらを基本関数として,岩盤構造物全体のグローバルコンプライアンスや破壊に対する安定性を表す汎関数を定義することにより,制約条件下でのそれら汎関数の最大化あるいは最小化問題としてロックボルトの間隔と挿入角度を最適化する最適配置設計問題を定式化する.例題として,提案法を道路トンネルの標準支保パターンに適用してその有効性を検証する.