著者
佐藤 好茂 阿部 孝章 稲垣 尚人 吉川 泰弘 船木 淳悟 SATO Yoshishige ABE Takaaki INAGAKI Naoto YOSHIKAWA Yasuhiro FUNAKI Jyungo
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
河川技術論文集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.205-210, 2015-06

When the river tsunami occurs in the winter period, the operation of the gutter sluice gate can beprohibited by the influence of the drifting and jamming of ice floes, increasing the inundation risk insidethe levee. Therefore, secure sluice gate operations are required against tsunami run-up during the icecoveredperiod. In this paper, demonstration experiments are performed in the Aikoku sluice gate of theShinkushiro-river, showing the effectiveness of ice control measures using submerged pumps. The fieldtest presented that submerged pumps inhibited ice formation within a radius of about 2~2.5 meters aroundthe installation location. In addition, numerical ice-thickness estimation showed that the methodguaranteed the ice control effect up to the thickness of 0.63 m. Based on these results, the applicability ofthe method is further investigated in other rivers around the coast of eastern Hokkaido. This papersucceeded in showing the effectiveness of our novel ice control measure for actual rivers.
著者
丸山 喜久 山崎 文雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.787, pp.177-186, 2005-04-21
被引用文献数
9 1

著者らは地震時の車両走行安定性に関して, 数値解析とドライビングシミュレータを用いた走行実験を行い定量的な検討を行ってきている. その結果, 地表面地震動の計測震度が6.0程度に達した場合, 震動の影響で走行車線をはみ出す被験者が多く見られ, 周囲の交通状況によっては他車との接触事故を起こす可能性があることが示された. そこで, 本研究では, 気象庁などが導入を検討している地震動早期警報である緊急地震速報の高速道路ネットワークへの応用を目指し, 運転者に地震動早期警報が与える影響をドライビングシミュレータを用いた走行実験で検討した.
著者
山根 巌
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.175-185, 1997-06-05 (Released:2010-06-15)
参考文献数
33

1891年 (明治24) 5月、京都市蹴上水力発電所の成功以後、これに刺戟されて国内各地で小規模の水力発電所が多数建設された。明治末期には岐阜県下で、当時としては比較的大規模な2つの水路式水力発電所が建設されて、名古屋へ高圧、遠距離送電が行はれた。名古屋電燈株式会社は、1910年 (明治43) 長良川水力発電所を建設し、導水路には湯之洞水路橋が、煉瓦構造5径間連続アーチ橋として架設された。一方、名古屋電力株式会社 (工事途中の1910年名古屋電燈に吸収合併) は、1911年 (明治44) 木曽川水力発電所を建設したが、導水路には旅足川水路橋として鉄筋コンクリート構造、最大径間23.6mのアーチ橋を完成させた。長良川水力発電所は現在も稼働中であり、古いドイツのジーメンス社製の発電機が保存され、水路橋も補修して利用されている。一方、本曽川水力発電所は1917年 (大正6) に、「八百津水力発電所」と改称きれ、1974年 (昭和49) まで稼働した。旧八百津発電所の建物は、県の文化財に指定されて保存されているが、旅足川水路橋は1954年 (昭和29) の丸山ダム建設に伴い湖底に水没している。これ等の水路橋は、明治末期沼本の構道物が煉瓦構造から鉄筋コンクリート構造への変換の過渡期に建設された。この報文では、これ等の水路橋が略同時期に、相異なる構造で競争して建設された歴史的背景と意義について調査結果を報告する。
著者
八木 浩一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E1(舗装工学) (ISSN:21856559)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.I_1-I_7, 2013 (Released:2014-03-06)
参考文献数
6
被引用文献数
13

自動車の車内ダッシュボード面などばね上にスマートフォンを設置し,内蔵の加速度センサとGPSの情報だけを使い,ばね下の上下変位量すなわち路面縦断プロファイルを推定する手法とその精度について報告する.本技術はばね上設置であるため実施が容易であり,路面プロファイルそのものを推定しているため平たん性やIRIなど各種指標の算出も可能である.はじめに計測原理を述べ,次にこれを実装したスマートフォンアプリケーションにより計測した値と,路面プロファイラにより計測した値の比較結果を述べる.今回行った280[m]区間での走行実験では,走行速度20~60[km/h]の速度域において,20m区間の平たん性の比較で寄与率R2=0.63~0.78,15m区間の平均面に対する凹凸量の地点ごとの比較で寄与率R2=0.63~0.80の高い相関が確認できた.
著者
西岡 和久 松井 康人 木村 寛之 佐治 英郎 米田 稔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_67-I_72, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
9

本研究では,肺胞上皮に沈着したナノ粒子がどれだけ上皮内に取り込まれるのかについて,ヒトII型肺胞上皮細胞(A549)と修飾基の異なる3種類(カルボキシ修飾,アミノ修飾,修飾基なし)の蛍光ナノ粒子を用いて,「表面修飾」,及び「表面電位」に着目し,共焦点レーザー走査型顕微鏡によるイメージング,およびフローサイトメーターによる粒子を取り込んだ細胞数の定量を行った.その結果,表面電位と細胞への取り込み量の依存性に関しては明らかにできなかったものの,曝露時間が長い程取り込み量は増加し,特にカルボキシ修飾粒子で顕著であった.
著者
村田 晶 小野 寺大 宮島 昌克 池本 敏和
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.52-58, 2009 (Released:2011-04-30)
参考文献数
8

建物の地震被害に大きな影響を与える要素として,地震動特性については,近年飛躍的に発展を遂げた国内各種の強震観測網により,多くの情報が得られるようになった.しかし,能登半島地震のように地方では震度情報しか得られない事例も見られ,被害を推定するためにはより正確な地震動の推定が求められる.そこで本研究では,このように情報の少ない地区で地震動を推定するために,周辺の地震記録と常時微動観測を用いた地震動波形の推定を行うことで,建物被害との関係について検討を行う.その結果,推定した地震動と建物被害との関係を地震動の強さだけでなく地震動と建物の共振による被害について考察した.
著者
相知 敏行 山中 英生 北澗 弘康 神田 佑亮
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_909-I_916, 2012 (Released:2013-12-25)
参考文献数
11
被引用文献数
5

自転車通行環境整備モデル地区等の整備が進む中で,自転車サインには多様な試みが見られるが,走行する自転車からの視認性への配慮が十分とは言えない状況にある.本研究では,走行中に計測が可能なアイマークレコーダーを用いて自転車運転中の多様なサインに対する注視特性を分析し,効果的な自転車通行空間でのサインの使い方を検討した.この結果,サイン種別毎の注視分析から,架空看板は注視している距離が長く,遠方からのみ注視されるため,交差点部での設置に適しており,看板柱は遠方で気づき,近くで内容を把握していることから文節部の設置に,路面表示は注視距離が近づくにつれて注視される割合が高くなり,視認性が比較的良好であり,路線内の連続設置が効果的であることが分かった.
著者
平賀 有輝 國生 剛治 石澤 友浩 西村 治久 吉野 拓也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学論文集 (ISSN:1884846X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1011-1016, 2007 (Released:2010-11-22)
参考文献数
6

近年, 新潟県中越地震のように斜面災害を多く発生させた地震もあり, その地域の住民にとってはその土地で元通り生活できるようになるのかということが非常に大きな問題である. 1939年に発生した男鹿地震は新潟県中越地震同様, 斜面災害を多く発生させている. 我々は斜面災害の比較的大きかった男鹿市北浦と同市船川の地区を視察するとともに, 当時を知る方や独自に調査されている地域の方と面談し, 地震発生から70年経った現在の男鹿半島の様子を調査してきた. この地域では斜面崩壊によって地盤に大きな影響を残しているが, 地質が良好であったり地下水の影響が小さかったことから, 地震後の生活への影響は限定的であったように思われる.
著者
依藤 光代 松村 暢彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_363-I_372, 2013 (Released:2014-12-15)
参考文献数
8

大都市近郊に位置する都市の中心市街地に立地する商店街である生駒駅前商店街において,継続的な活性化の運営の変遷および継承の要因を,担い手個人レベルに着目しながら明らかにすることを目的として,文献およびヒアリング調査を実施した.その結果,特徴的な4つの運営の時代に分けられ,ハード整備事業が中心の行政主導の運営から,ソフト事業に比重が移され,その運営の担い手が,商工会議所主導,商店街役員主導,商店街役員及び多くの個店主導と変遷してきたことが分かった.ハード整備実施後に活性化活動が途切れることなく,ソフト的な活性化活動にスムーズに結びついていくためには,商店主らが共同で定例的に行う取組によるつながり,及び活性化活動の実践の中で商店街役員らの間に形成されるつながりが重要であると考えられる.
著者
川崎 雅史 堀 秀行 佐佐木 綱
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.1993, no.458, pp.121-127, 1993

本研究は, 日本の伝統的な空間に現れる陰影の意匠性を把握するための一つの方法として, 谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」に表現された陰影とその演出のしくみを景観論的に整理したものである. はじめに, 景観論的な視点を設定するために陰影の基本構成と基本類型の定義を行い,「陰翳礼讃」に表現された陰影の典型を抽出した. さらに, 抽出された陰影の構成要素ごとに美的な演出方法についての考察を行った.
著者
森下 政浩 阿曽沼 剛 栗木 茂幸 竹本 憲介 齊藤 和伸 松尾 啓
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A (ISSN:18806023)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.865-876, 2006 (Released:2006-10-20)
参考文献数
19

本研究では,爆発荷重を受ける鉄筋コンクリート構造物の設計法及び防護法の確立に資するため,豊浦標準砂を用いた覆土の有無,ペントライト爆薬の質量及びスタンドオフ距離をパラメータとして鉄筋コンクリート版試験体の近接爆発試験を実施し,試験体に生じたクレータ,スポール及び貫通孔の発生状況に着目して検討を行った.その結果,爆発荷重に対する覆土の緩衝効果が明確に認められること,McVayのスポール損傷予測法を基に本研究で提案した方法により,覆土のない場合の鉄筋コンクリート版の損傷をより精度よく予測できることなどが明らかとなった.
著者
北村 隆一 山本 俊行 神尾 亮
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.1999, no.625, pp.171-180, 1999
被引用文献数
1

本研究では世帯の交通エネルギー消費量, 通勤交通機関, 自動車保有台数, 通勤距離を内生変数とする構造方程式モデルを1990年京阪神パーソン・トリップ調査結果を用いて推定し, 世帯の交通エネルギー消費性向に考察を加えると同時に, このモデルを土地利用政策のエネルギー消費削減効果の分析に適用している. モデルの推定結果は, より高密度で職住近接型の土地利用を推進することにより世帯の交通エネルギー消費を削減することが可能であることを示唆している. しかしながら, 既に高密度・混在型の土地利用が展開し自動車利用率が比較的低い京阪神都市圏で世帯交通エネルギー消費の大幅な削減を図るとすれば, 都市圏外延部に居住し長距離通勤を行う世帯を対象とする土地利用政策が必要となることを本研究の結果は示唆している.
著者
濵口 舜 石垣 泰輔 島田 広昭 尾﨑 平 戸田 圭一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.I_1387-I_1392, 2015
被引用文献数
4

Some parts of Japanese mega cities such as Tokyo, Nagoya and Osaka are below sea level and these areas are prone to floods. These three areas are in coastal zone and over 1000 people were sacrificed by storm surge in the past time. Inundation of underground spaces by pluvial and tsunami flood in the center of Osaka have been investigated in our previous works. Underground inundation by storm surge caused by super typhoon is discussed in this paper. The results show that 50 percent of total overflow discharge intrudes into underground spaces. Almost all amount of intruding discharge into underground mall fall down to the subway stations connected to the mall. The damage is different from the results caused by pluvial and tsunami floods. This means that administrators of underground space have to make different countermeasures for each disaster.
著者
亀山 修一 川端 伸一郎 豊田 邦男 川村 彰 笠原 篤
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.742, pp.51-60, 2003-09-20
被引用文献数
1 1

1999年8月~2000年4月にかけて道東自動車道 (芽室I.C~池田I.C.) の縦断プロファイルを測定した. 特に, 2000年2~4月の期間中は測定を毎週実施し, 冬期間における国際ラフネス指数 (IRI) の変動について解析した. 切土の占める割合が大きいセグメントでは, IRIが冬季になると増加し, 春季になると減少する傾向が見られた. 推定された凍結深さが調査期間中に凍上性材料の路床に達したことに加え, 凍結指数の増加とともにIRIが増加し, 春になるとIRIが冬季前のレベルに回復する傾向が見られたことから, 凍上によって冬季の平坦性が悪化することが分かった. また, 冬季のIRIは, 盛土部や橋梁部よりも切土部において大きく増加し, 局所的に秋季の約5倍に達した.
著者
戸部 暢 加藤 哲治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.547, pp.75-86, 1996

本研究は, 厚い凍土壁を地下水が貫流している場合の凍結閉塞現象を論じたもので, 平板状の開口部内の凍土の成長を表わす計算式を新しく導出した. また, この場合の凍土壁の閉塞条件を明示し, 凍結閉塞しない場合には, 通常, 2個の平衡凍土面が存在することを示した. 実施工への応用として, 本研究の理論を適用したものを例示した.
著者
複合構造委員会・FRPと鋼の接合方法に関する調査研究小委員会
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.II_120-II_133, 2014 (Released:2014-05-31)
参考文献数
38
被引用文献数
1

土木学会 複合構造委員会「FRPと鋼の接合方法に関する調査研究小委員会(H211)」では,FRP構造物の接合方法,および補修・補強を目的としたFRPと鋼部材の接合方法に対して,設計事例,国内外の設計基準,研究開発の動向を調査・研究し,接合部の評価方法を整理して性能照査型設計法の策定に向けた基礎資料を提供することを目的として2年3カ月間活動を行ってきた.本報告では,小委員会でとりまとめた報告書「複合構造シリーズ09 FRP部材の接合および鋼とFRPの接着接合に関する先端技術」(第1部:FRP部材接合の設計思想と強度評価,第2部:鋼構造物の補修・補強のためのFRP接着接合の評価)について,その概要を説明する.
著者
乗藤 雄基 猪股 渉 末冨 岩雄 石田 栄介 山崎 文雄 鈴木 崇伸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.I_520-I_526, 2014 (Released:2014-07-15)
参考文献数
8
被引用文献数
1

東京ガスのリアルタイム地震防災システム「SUPREME」では,首都圏に約4,000点の超高密度地震観測網からSI値等を収集し,地震被害推定を行う.2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の際には,約5分間で観測SI値等を収集し,地震発生から10分後に50mメッシュのSI値分布を算出し,初動判断のための情報を提供している.観測開始から約10年経過し,これまでに多くの記録が蓄積されている.本論文では,地震観測記録から各観測点での平均SI値増幅度を,K-NETの地震観測記録を活用して算出した.これにより,東京東部低地,西部の丘陵地帯,地形が複雑な横浜市内の特性を把握した.そして,様々な地盤条件での観測記録が得られているので,得られたSI値増幅度と地形分類の関係,平均S波速度との関係を検討し,観測点により大きく値は異なるものの,平均的には低地でよく揺れる従来の関係と調和的であることが分かった.
著者
中村 晋 広田 すみれ 高田 毅 山口 彰 中村 孝明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
構造工学論文集 A (ISSN:18816614)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.138-146, 2016

The objective of this paper is to establish the method to explain technology for creating the reliability between people and engineer. Therefore, the view with which the risk communication model about formation of the risk perception in social psychology or reliance and the idea about new engineering accounting were united was established. The homepage about the maintenance management of the road structure in Fukushima Prefecture was made into the example, the issues on technical explanation were summarized, the contents were corrected using the method, and the effect was investigated. It is found that a new technical explanation method is useful because intelligibility increased from correction before and by having used the method.