著者
岸田 俊二 内田 晴久 磯村 雅夫 佐山 和弘 山田 明 岡田 至崇 笠井 秀明 坂上 護 梶川 武信 内海 和明 高田 俊和 木村 英樹 江部 広治 首藤 直樹 加藤 芳秀 上松 敬禧 佐藤 理夫 小原 宏之 須田 不二夫 原 一広 和泉 茂一
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
應用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.741-743, 2010-08-10
参考文献数
5

<p>温暖化と資源の枯渇を克服し,持続可能な社会を築くことが人類喫緊の課題である.持続可能な具体的社会像と,今後10〜20年に開発すべき技術群を描いた.自然エネルギーへの大胆な転換と画期的な省エネルギー技術の普及が必須で,特に,太陽光からの燃料の直接生産の実現がキーとなる.これらの産業技術は新たな経済発展のテコになると期待される.</p>
著者
荒川 泰彦 野澤 朋宏 田辺 克明
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.81, no.7, pp.585-588, 2012-07-10 (Released:2019-09-27)
参考文献数
17
被引用文献数
1

量子ドットは,単接合型半導体太陽電池に対して新たな設計自由度を与え,高効率化をもたらす可能性を有している.本稿では,多中間バンドの導入により,理論変換効率が80%近くまで達しえることを示すとともに,開放電圧の劣化のない量子ドット太陽電池やフレキシブル量子ドット太陽電池の実現などについて論じる.さらに,太陽電池の超高効率がもたらすコスト競争からの脱却に向けたパラダイムシフトや,今後取り組むべき課題についても言及する.
著者
折原 良平
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.488-494, 2021

<p>ディープラーニングをはじめとする人工知能技術の新たな適用先として芸術の創作が注目されており,絵画,音楽,文学などの分野で研究例がある.研究成果である計算機の「作品」の中には,オークションハウスにて高額で取り引きされたり,著名な美術館に展示されるような作品もあらわれている.こうした流れの中の1つの方向性として,すでにこの世に亡い芸術家の作風を機械学習し,その芸術家をほうふつとさせる作品の生成を試みるものがある.話題になったプロジェクトとしては,レンブラントや美空ひばりの例がある.現代日本を代表する芸術であるマンガにおいても,先ごろ手塚治虫の「新作」を生成しようとするプロジェクト「TEZUKA2020」が実施され,話題を呼んだ.本稿では,TEZUKA2020の概要と技術的背景を解説するとともに,人工知能技術を用いた発想支援の実践としての文脈からプロジェクトを評価する.</p>
著者
田口 幹朗
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.37-43, 2015

<p>シリコンヘテロ接合太陽電池は非常に高い変換効率が得られるとともに,低温で形成可能,表裏対称構造で薄型化が可能,両面発電型モジュールへの応用が容易など,多くの優れた特長を有する太陽電池である.当社が世界に先駆けて商品化したこの太陽電池の開発の歴史,特長について解説し,変換効率の世界記録更新など最近の高効率化への取り組みや,応用商品である両面発電型モジュールについて紹介するとともに,今後の展望について述べる.</p>
著者
小林 伸聖
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.21-24, 2018

<p>光が透ける磁石があれば,専門家でなくてもさまざまな新しい用途に期待が膨らむだろう.ことさら磁性材料研究者にとって透明な強磁性体の開発は,その応用のみならず物性面において,魅力ある研究テーマの1つであろうと想像する.本稿では,我々が開発した透明かつ強磁性を示すナノグラニュラー材料について紹介する.ナノグラニュラー材料は,フッ化物などの絶縁体から成るマトリクスにナノメータサイズのFeCo合金などの磁性金属から成るグラニュールがほぼ均一に分散した微細構造を有し,フッ化物マトリクスに起因する良好な光透過性と同時に,FeCo合金グラニュールに起因する強磁性を併せもつ.</p>
著者
井上 英一 小門 宏 伊沢 晃
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.54-55, 1974

A new type of electrochromism was found on titanium oxide prepared from the hydroly-sis of titanium tetrachroride with dilute hydro-chloric acid. To prepare the electrochromic panel, the titanium oxide powder with or without resin binder was sandwitched between two NESA glass electrodes. By applying a DC voltage (10_??_200V) to the electrodes, the color of the layer near the cathode changed rapidly from white to dark blue or black, and the dark color disappeared quickly to the original white by cutting off the voltage. The optical density of the dark color was 0.5_??_0.6 and the half life time of the colored state was about 2 seconds at room temperature.
著者
内田 裕之
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.90, no.6, pp.366-370, 2021-06-05 (Released:2021-06-05)
参考文献数
9

燃料電池は,外部から供給する燃料がもつ化学エネルギーを電気化学反応により電気エネルギーに直接変換するクリーンで高効率な発電装置です.本稿では,各種燃料電池の作動原理,構成材料,応用例とともに,変換効率の計算法について概説します.また,燃料電池自動車(FCV)や家庭用燃料電池として市販され始めている固体高分子形燃料電池(PEFC)の電極触媒開発のトピックスも紹介します.最近では,固体高分子形水電解や固体酸化物形電解セルに再生可能電力を供給して高効率に製造・貯蔵した水素を工業的に利用したり,燃料電池で高効率に電力に変換する社会の実現を目指す研究が続けられています.
著者
高井 裕司 伊藤 糾次
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.723-726, 1984-08-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
9

透過電子顕微鏡法による断面構造の観察は,薄膜積層構造のみでなく,エピタキシャル成長層やイオン注入層の結晶構造の観察にも有力な手段である.本稿では,断面観察に必要な断面試料の作製手順,ならびに観察例として,多結晶Si/SiO2構造,Siイオンを注入したSi結晶に発生した欠陥の分布等を示した.
著者
竹内 延夫 馬場 浩司 桜井 捷海 上野 敏行
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.1630-1636, 1987
被引用文献数
2

擬似ランダム変調CWライダー (RM-CWライダー) はcwレ-ザー光を擬似ランダムコードで変調することによって散乱体の空間分布を得る新方式のライダーである.半導体レーザーはピーク出力は大きくないが平均パワーは比較的大きく, RM-CWライダーの光源として適している. RM-CWライダーの原理と半導体レーザーを光源とした装置,特徴,大気汚染・気象計測への応用,とくに視程や粉塵拡散の測定例を紹介する.
著者
高辻 正基
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.68, no.8, pp.909-913, 1999-08-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
8
被引用文献数
1

異常気象,土地浸食などの環境問題や人口増大の影響で, 21世紀前半以降の人類の食糧問題が懸念されている.従来の土地利用型農業だけでは,特に日本の食糧を支えきれない可能性がある.そこで,植物工場のような超集約的食糧生産技術の実用化が期待される.応用物理的技術の応用として,発光ダイオードやレーザーダイオードを植物栽培用の光源として利用する可能性について論じる.
著者
戸田 盛和
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.640-651, 1985-07-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
14

非線形の波動現象はソリトンと呼ばれる安定運動の集まりと考えられる場合,大変見通しのよいものになる.ここでは最も早く発見されたソリトンを中心にして,ソリトンの特長を解説する.
著者
遠藤 忠
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.712-724, 1990

1990年1月1日を期して,ジョセフソン効果に基づいた電圧標準に加えて,量子ホール効果に基づいた抵抗標準が,世界中で統一して用いられている.これにより,量子現象の持つ普遍性と恒常性という優れた特長に支えられて,世界的に全く統一のとれた電磁気量の実用標準体系が実現した.この結果は,両標準の技術的側面の研究もさることながら,むしろ,地道な努力を重ねて永年行われてきた種々の基礎物理定数の測定のこれまでの総決算により生まれたものといえる.本稿では,基礎物理定数との関わりを中心に,両標準の実現に至った背景について解説する.
著者
李 瑞
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.449-450, 1998-04-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
8
被引用文献数
1
著者
橘 篤志
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.627-633, 1972-06-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
18
著者
洪 鋒雷
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
應用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.546-549, 2010-06-10
参考文献数
35
被引用文献数
2

<p>2005年ノーベル物理学賞の受賞理由の一つは,モード同期レーザーによる光コム技術の開発であった.超短パルスレーザーと精密分光の融合技術である光コムは高精度標準などの精密計測に欠かせない道具となった.本稿は,光コムの誕生を振り返りつつ,光コムの測定原理について述べる.また,光コムがもたらしてくれたもの,およびこれから発展する研究内容について紹介する.</p>
著者
島川 正憲 長野 幸隆
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.882-892, 1974

Laser science has now entered in new era in many countries and the demand for appling this technique to industry is rapidly growing up in these days. Several applications are now being used for production, such as drilling of diamond, watch stones, ceramics, plastics, stainless steels and tungsten carbides, cutting of metals and non-metals, welding of small components .in watch and electronics industry, resistor trimming and ceramics scribing. The present situation of laser material processing not only in Japan but also in foreign countries are described.
著者
常木 澄人 久保田 均
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.101-105, 2020-02-10 (Released:2020-02-10)
参考文献数
19

機能性デバイスの物理的な性質を利用し,ニューラルネットワークをハードウェア実装することで低消費電力かつ高速な人工知能の実現を目指す研究が行われています.本稿では,ナノサイズの強磁性体から成る自励発振素子であるスピントルク発振素子を人工ニューロンとして用いた研究について紹介します.