著者
石井 慶造
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.67-73, 2018-02-15 (Released:2018-02-15)
参考文献数
6
被引用文献数
2

漁市場及び農産物市場では,多量の魚介類及び農作物が出荷される。これらの出荷物が放射性Csで汚染されているかどうか,非破壊で多量に検査できる装置を開発した。本装置は,ベルトコンベヤーのベルトの下に,1直線に並べられた120個のγ線検出器を置き,ベルトの上に食品を載せベルトを移動させながら放射線を計測することにより,食品の放射性Csの比放射能及び汚染分布を求めている。20 cm位の魚の場合,1時間に2000匹以上検査することができる。本装置は,石巻市,女川町,北茨城市の魚市場で,丸森町ではタケノコ汚染検査場で,及び白石市ではみやぎ仙南農業協同組合白石農機センターで稼働しており,食の安全・安心に貢献している。
著者
伊丹 純
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.385-392, 2011 (Released:2011-09-29)
参考文献数
9
被引用文献数
1

1895年のRoentgenによるX線発見以来100年以上が経過した。放射線治療の歴史は,X線管から加速器への外部照射の発達と,ラジウムをはじめとする放射性同位元素による内部照射が複雑に影響を与えあいながら発展してきたことを示している。また,今日行われている多くの技術の萌芽概念はすでに1960年代までにみられていることがわかり,その実現の基礎を作ったのは物理工学技術の進歩であった。
著者
山田 英夫 黒田 彰 矢田部 タミ 稲葉 妙子 千葉 一夫 飯尾 正宏
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.311-317, 1981

よいfittingを得るために, log-logisticおよびcubiclog-logit式によるRIAデータ処理のフ.ログラムを開発した。Logistic, log-logisticを解くためにはテーラー展開を用いる繰り返し最小二乗法を用いた。重みとしては, <I>W</I>=1, 1/var (<I>Y</I>) または1/σ<SUP>2</SUP>を用いた。Logit変換のさいには<I>W</I>=<I>Y</I><SUP>2</SUP>・ (1-<I>Y</I>) <SUP>2</SUP>, <I>Y</I><SUP>2</SUP> (1-<I>Y</I>) <SUP>2</SUP>/var (<I>Y</I>) , <I>Y</I><SUP>2</SUP> (1-<I>Y</I>) <SUP>2</SUP>/σ<SUP>2</SUP>を用いた。σ<SUP>2</SUP>はRodbardに従い, 109 (σ<SUP>2</SUP>+1) =log (<I>A</I>) +<I>J</I>log (y) より求めた。また丘fittingの良否の検定には多重決定係数, 純誤差不偏分散とモデル不適合不偏分散の比を用いた。AFPの測定においてlog-logisticはlogisticに比し優り, コルチゾールのようにlogit変換にて, ゆるやかなS字状の曲線を示すものではquadratic log-logit に比し, cubic log-logit がはるかに優っていた。このことはおのおののpredicted precision profileにも示された。精度の高い測定をするためには回帰モデルの選定が重要であることを考察した。
著者
粟屋 隆
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.325-333, 1994

広い領域に線源がばらまかれたとき, その領域内の複数の測定結果から, その領域の放射能の平均値を計算するためのシミュレーションを行った。線源の分布を変え, 相加平均 (算術平均) と重みっき平均 (荷重平均) の両方の計算を比較した。相加平均は常によい結果を与えるが, 重みっき平均は常に小さい推定値を与える。また平均値の誤差を算出するための新しい計算方法を試みた。
著者
田中 修 広 三寿 池田 洋
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.40-46, 1966

フィールドパイアス型ベータトロンはflux-forcingと呼ばれる2つの磁気回路をもっている点で普通型べータトロンと異なっている。軌道磁界に静磁界のバイアスをかけることにより加速時間を長くし, 交流励磁だけの場合に比べて加速エネルギーを2倍近く増加させることができる。したがって, べータトロン本体の大きさの割合にエネルギーが大幅に上げられる。しかし, 中心磁束と軌道磁界の間に位相のズレを生じ, そのためにバイアス角に限界があり, X線出力は現在までに45°のバイアス角まででている。けれども, 中心磁束と軌道磁界の位相のズレから, 電子の安定軌道が自然に拡大する, いわゆるセルフエクスパンジョンの現象と安定軌道半径が連続可変であることから電子軌道について興味ある知識が得られた。また, 高エネルギーX線によるラジオグラフィの技術が進歩し, 重量金属物体の透過試験にも使用されている。
著者
和田 英太郎 野口 真希
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.331-342, 2017
被引用文献数
3

<p>我が国で著しい進展のあったδ<sup>15</sup>N, δ<sup>13</sup>Cを用いた窒素・炭素安定同位体精密測定法(SI法)による食物網解析法の進捗についてまとめた。特に,食物連鎖に見出された,窒素・炭素同位体効果に関する二つの経験則に注目し,近年のアミノ酸レベルのδ<sup>15</sup>Nに関する成果を考慮に入れて,その成立の境界条件を考察した。経験則1:栄養段階(TL)が1段階上がるごとに3.4±1.1‰高くなる事が過去の研究で示されている。この経験則は動物の筋肉タンパクについて得られているが,±1.1‰の変動について本稿で考察した。経験則2:海洋と陸域の代表的な食物連鎖について,窒素・炭素同位体効果の比(Δδ<sup>15</sup>N/Δδ<sup>13</sup>C)が動物の種類に関わらず,ほぼ一定であることが示唆されている。一般的に,食物連鎖に沿ってδ<sup>15</sup>Nはδ<sup>13</sup>Cと統計的に有意な回帰直線の関係を示す。この関係の成り立ちの可能性について代謝系の共通性から考察した。</p>

1 0 0 0 OA 放射能の測定

著者
佐治 淑夫 石割 隆太郎
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-10, 1953-06-15 (Released:2010-07-21)
参考文献数
11
被引用文献数
1
著者
作本 彰久 新井 英彦
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.570-579, 1985-10-15 (Released:2010-07-21)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1
著者
中畑 雅行
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.893-906, 2019-12-15 (Released:2019-12-15)
参考文献数
16

Super-Kamiokandeは岐阜県神岡の地下1000 mの場所に建設された50,000 tの超純水を使用した水チェレンコフ型観測装置である。1996年から観測を開始し,大気ニュートリノ,太陽ニュートリノの観測によりニュートリノ振動を発見した。現在,観測装置を高度化し,過去の超新星爆発起源のニュートリノ観測の準備をしている。Super-Kamiokandeがニュートリノ振動によって得てきた成果,今後の天体ニュートリノ観測によって期待できる成果について述べる。
著者
佐藤 徹也 焦 玉栄 今泉 洋 狩野 直樹
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.215-219, 2011 (Released:2011-05-28)
参考文献数
8

水素の放射性同位体であるトリチウム(T)はプロチウム(H)と化学的挙動が類似しており,トレーサとして用いられている。一つの応用例として,無機結晶中の結晶水の挙動を明らかにするためにこの方法を適用した。用いた試料は硫酸銅五水和物である。この化合物をT標識し,これを脱水することで結晶水の脱離の情報を得た。その結果,得られた観測値を基に物質量と比放射能の挙動とを相互比較した結果,以下のことが明らかになった。(1)用いたT濃度の範囲では,加えたHTO水のT濃度は結晶水全体の挙動に影響を与えない。(2)硫酸銅五水和物は3種類のエネルギー的に異なる結晶水を持つことをTトレーサ法で確認できる。(3)結晶水のT濃度は配位する位置によって異なり,HTO分子は結合力の弱い位置には配位しにくい。(4)Tトレーサ法が物質中の結晶水の挙動を解明するのに役立つ。
著者
吉田 陽 今泉 洋 佐藤 貴之 狩野 直樹
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.121-128, 2009 (Released:2009-04-28)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3

トリチウム(3H又はT)が生態系に及ぼす影響を定量評価するために,三つのアミノ酸(L-チロシン,L-フェニルアラニン,L-2-フェニルグリシン)とHTO蒸気との間の水素同位体交換反応(T-for-H交換反応)を,50~70℃の温度範囲で固-気反応の形で観測した。得られたデータにA"-McKayプロット法を適用することで,この反応における各官能基の速度定数(k)を求め,相互比較した結果,以下のことが明らかになった。(1)各アミノ酸の官能基の反応性は温度の上昇と共に増加する。(2)T-for-H交換反応において,本研究で用いたアミノ酸の官能基の反応性は,L-チロシン<L-フェニルアラニン<L-2-フェニルグリシンの順であることがわかった。(3)L-チロシンにおける各官能基の温度依存性はCOOH基<OH基<NH2基であり,OH基の反応性はNH2の反応性の約3.8倍であり,更にCOOH基の反応性はNH2基のそれの約2.0倍である。(4)NH2基の反応性に及ぼす置換基の影響はCOOH基の反応性に及ぼすものに比べ大きい。(5)A"-McKayプロット法を使うことで,マスク剤等を使わないで,Tが物質に取り込まれる挙動を非破壊的,実態的,定量的に解析することが可能である。(6)本研究で得られた結果は,T汚染の防止やTの挙動を明らかにする上で利用できると思われる。
著者
下 道國
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.477-478, 1996-07-15 (Released:2010-07-21)
参考文献数
9
被引用文献数
1