著者
貝塚 祐太 鈴木 博元 上原 知也
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
アイソトープ・放射線研究発表会
巻号頁・発行日
vol.1, 2021

<p>がん細胞では一般にアミノ酸などの栄養素に対する需要が増加しているため、アスタチン-211(<sup>211</sup>At)標識アミノ酸誘導体によりがんのα線治療を行うことができる。そこで当研究室が開発した<sup>211</sup>At標識母体であるネオペンチル構造をヒスチジンと結合させた薬剤を設計した。本研究では、<sup>211</sup>At標識薬剤を開発する前段階として、<sup>211</sup>Atと同族の<sup>125</sup>Iを標識した薬剤を用いて基礎的評価を行った。</p>
著者
河野 孝央 安藤 佳明 泉 雄一
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.621-630, 2015
被引用文献数
1

天然の<sup>40</sup>Kを含むインスタントコーヒーで16個のコーヒーブロック線源を製作した。形状と放射線強度に製作差はほとんどなかった。1分間測定で放射線防護の3原則に関する模擬実習を5回繰り返した。全体的には防護の3原則を説明できたが,個々のデータは変動が大きかった。しかし,5分間測定又は5人の1分間測定を平均した計数値では,ばらつきが減少し,放射線防護の3原則を無理なく説明できた。
著者
大井 信明 白岩 善博
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.255-264, 2015

微細藻類を用いたバイオ燃料創出のための技術開発が精力的に行われている。その実現のためには,オイル含有量の高い新規微細藻類株の自然界からの単離,培養条件の最適化によるオイル生成速度と蓄積量の増大,遺伝子工学や代謝工学による有用燃料脂質の合成能の向上や代謝改変技術の確立等を実現する必要がある。そのためには,微細藻類の有用脂質代謝経路に関する基礎情報が不可欠となるが,その詳細な解析技術は不十分である。そこで,イオントラップ型質量分析計を導入して,微細藻類のための脂質メタボロミクス手法の開発を試みた。その結果,海洋優占種の1種であるハプト藻<i>Emiliania huxleyi</i>を用いて,油溶性画分から10脂質種600以上の脂質分子種を同定する解析系の確立に成功した。
著者
佐藤 博隆
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.449-462, 2012 (Released:2012-08-28)
参考文献数
27
被引用文献数
1

パルス中性子イメージングでは,材料を透過してきた中性子の波長依存スペクトルを位置ごとに測定する。透過スペクトルの低エネルギー領域には,ブラッグエッジと呼ばれる特徴的パターンが現れる。ブラッグエッジには結晶構造・結晶相・集合組織・結晶子サイズ・ひずみといった各種結晶組織構造情報が含まれているため,本手法によりこれら構造情報を広範囲にわたって非破壊的に可視化することが可能となる。本稿では,新しいマテリアル解析ツールとして期待されているブラッグエッジイメージングの原理と特徴,測定例について紹介する。
著者
津旨 大輔 坪野 考樹 三角 和弘 立田 穣 三浦 輝 青山 道夫
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
アイソトープ・放射線研究発表会 第58回アイソトープ・放射線研究発表会 (ISSN:24364487)
巻号頁・発行日
pp.45, 2021 (Released:2021-09-06)

福島第一原発敷地からの直接漏洩は大幅に減少したものの、引き続き継続している。海洋分散シミュレーションを2020年9月まで延長した。年平均表層放射性セシウム濃度分布の観測結果とシミュレーション結果は、よく一致した。敷地からの直接漏洩の影響が大きいが、特に2019年10月の豪雨時には、河川からの粒子態による放射性セシウムの供給の影響が大きいことが示唆された。
著者
田崎 和江 キリー ブランドン 山本 幸子 佐藤 誠 林 隆志 竹原 照明
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.383-392, 2016-09-15 (Released:2016-09-15)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

近年,河川や湖沼,海洋の放射能による環境汚染が問題になっており,物理的・化学的対応がなされている。また,持続的な環境修復という視点から,低濃度でしか存在しない場合でも生物濃縮機能の利点からバイオレメディエーションが注目されている。本研究では,身近な現象として貯水池(金沢市俵町大池)に大量発生し用水溝を詰まらせているアオコ(Phytoplankton biomass),オオマリコケムシ(Pectinatella magnifica),珪藻などについて生物的環境浄化の視点から研究を行った。これらの微生物についてICP-MSとSEM-EDSを用いて観察したところ,生息するこれらの微生物にストロンチウムを収着する機能があることが明らかになった。さらに,アオコが発生した池の水に焼成したゼオライトを投入したところ,急速に水が澄む現象を認めた。身近な汚染環境の浄化に土着の微生物が密接に関与している事実と安価・簡便な環境修復技術を資料として提供する。
著者
佐野 博敏
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.52-64, 1965-01-15 (Released:2010-07-21)
参考文献数
51
被引用文献数
1 1
著者
木庭 啓介 木下 桂 大西 雄二 福島 慶太郎 尾坂 兼一 松尾 奈緒子 舟川 一穂 瀬古 祐吾 目戸 綾乃 平澤 理世 小川 奈々子 兵藤 不二夫 由水 千景
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.291-299, 2021-07-15 (Released:2021-07-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1

微量試料での炭素窒素安定同位体比を測定可能とする連続フロー型元素分析計連結式安定同位体比質量分析計(EA-IRMS)への改良について検討を行った。通常使用されている反応管の口径を小さくするなどの簡易的な改良を実施することで,通常の約1/5の試料量(約6 µg窒素,10 µg炭素)で十分な精度と確度を得られることが明らかとなった。
著者
大山 研司
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.477-490, 2010 (Released:2010-08-27)
参考文献数
10
被引用文献数
1

中性子回折法は,今日でもバルクの性質としての磁気構造を調べる上でもっとも信頼できる実験手法である。本稿では,磁気構造解析の基本的な手法を,粉末中性子回折実験にもとづき説明する。とくに,実際のデータを用いて,実際のプロセスに従って説明をすすめる。まず最初に,典型的なcommensurate構造とincommensurate構造を説明し,その構造をフーリエ分解により定式化する方法を説明する。中性子での磁気構造因子の理論式を示したのち,希土類化合物TmB2C2での実際のデータをもとに,実験データから磁気構造ユニットセルの決定,磁気構造モデルの構築方法を説明する。ここでは,国内で磁気構造解析に適する中性子回折装置についても説明する。最後に,解析に用いる有用な解析プログラムについての情報を提供する。
著者
森 千鶴夫 神谷 均 佐合 穣 宮川 俊晴 田中 隆一 掛布 智久 森山 正樹 緒方 良至 秋吉 優史 臼井 俊哉 村上 浩介 羽澄 大介 中村 嘉行 渡辺 賢一 瓜谷 章
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1-12, 2020

<p>高等学校などで使用されているクルックス管は,一般的に漏洩X線を発生している。X線の線量率の測定に,これらの学校が保有している箔検電器を使う方法を提案した。箔検電器の箔の開き角は電極に与えられた電位に依存して変化する。この電位はX線によって空気中に作られたイオンを集めて減少し箔は閉じて行く。しかし,空気中のイオン密度は周辺の電位や風,および箔検電器に荷電する電荷の正負の影響も受ける。正電荷を荷電した場合に箔が閉じる時間と負電荷を荷電した場合のそれとの幾何平均値をとることによって,電離箱で測定した線量率との間に再現性のある関係を得ることができた。この関係を校正線と呼ぶが,他の同様の市販の箔検電器にも適用できる。</p>