著者
兼島 清
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.162-165, 1988

子供のころはやんちゃ坊主でいたずら好きだった私は, それがエスカレートして化学の実験に興味を覚え, 化学の道に進んでいった。戦後宮古島で軍の残した変性アルコールのドラム缶のメチルを分析し, メチルの入ってないものを選別し, 木炭で精製して, 飲用の可能性を人体実験によって確め, それをもとに大宴会を催すなど奇抜なことをやり, 若いころがむしゃらに生き抜いた。琉球大学の創設にかかわり, 無の状態から出発して化学教室を作りあげた。研究では天然ガス付随水の分析から, 天然ガス埋蔵の可能性や温泉としての利用の口火を開いた。東京工業大学に内地留学し, リン鉱の地球化学的研究に打ち込み, 化学の研究のすばらしさを知り, 未知の世界の探求者に最高の喜びのあることを知った。日本南極観測隊に参加し, 南極の美しさを満喫し, スライドに収めて沖縄の青少年に南極の感動を語り激励している。
著者
小出 力
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.482-483, 2007
参考文献数
5

近畿支部内における20年をこす中学校・高等学校のクラブ発表を中心に,小学校,中学校,高等学校における課外活動の位置づけ,内容,成果について簡潔に紹介する。同時に,これら生徒の化学研究に当たる教諭の皆さんの労苦に感謝の気持ちを表す大切さを伝えたい。
著者
定方 正毅
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.85-87, 1999-02-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
4

ラジカルによる反応の制御は室温での高速反応や非平衡での反応が可能など様々な利点を有するがこれまで実用技術までに発展した例は少なかった。その最大の原因はラジカルの計測が難しいこととラジカルの生成効率が低いためラジカル生成に高エネルギーコストがかかる点である。最近, 連鎖反応の利用や平衡ラジカルの利用および固体電解質を用いたイオンラジカルの生成技術の開発によりラジカルの高効率生成が可能になりつつある。
著者
野田 達夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.182-183, 2017-04-20 (Released:2017-10-01)
参考文献数
2

私語をする,居眠りをする……など,学生が授業に集中せずクラスの秩序が失われていくさまは,新任教員にとって時に恐怖を感じさせるものとなる。筆者はこれまでに,アクティブラーニング(以下AL)型授業による授業改善に取り組んできた。本稿では,AL型授業を行った際の学生の様子について紹介する。
著者
尾中 証
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1974, no.2, pp.255-259, 1974
被引用文献数
3

(CHs)sGe,-Mn(CO)5の赤外吸収スペクトル(2200~60 cm-1)を測定し,この分子とH3Ge-Mne(CO)5, H3Si-Mn(CO)5の基準振動の解析をUrey-Bredley型の力場を用いて行なった。このシリーズの化合物のWb金属原子とMnとの間のπ結合性は類似のハロゲン化合物よりも弱いことがK(MMn), K(Mn-C), K(C-O)の力の定数の組からわかった。これまで基準振動の解析の行なわれた類似化合物のこれら三つの力の定数をC13Sn-M無(CO)5のそれと比較した。各化合物のK(M-Mn)とClgSn-Mn(CO)9のそれとの差をK(Mn-C)の差に対してプロヅトすると,(1)金属原子間のπ-結合性の強さ,(2)金属-金属相互作用の強さが構成金属原子と無関係e= Nb金属原子に結合している配位子によって制御されてしまうことが明らかとなった。
著者
青島 淳 山口 辰男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.5, pp.641-649, 1986
被引用文献数
3

高濃度溶液中の還元12-モリブドリン酸(PMo<SUB>12</SUB>)の溶存化学種とそれらの反応を, <SUP>31</SUP>P-NMRとポーラログラフィーを用いて検討した。還元度が4以下のPMo<SUB>12</SUB>の<SUP>31</SUP>P-NMRの化学シフトは, 50%ジオキサン水中で, α-PMo<SUB>12</SUB>(0):-3.6ppm, β-PMo<SUB>12</SUB>(0):-3.3ppm, α-PMo<SUB>12</SUB>(II):-5.8ppm, β-PMo<SUB>12</SUB>(II):-6.6ppm, α-PMo<SUB>12</SUB>(IV):-4.6ppm, β-PMo<SUB>12</SUB>(IV):-12.9ppmと帰属した。非還元水溶液中でβ-PMo<SUB>12</SUB>(0)のα-PMo<SUB>12</SUB>(0)への異性化はきわめて速く, 50%ジオキサン水中でβ-PMo<SUB>12</SUB>(0)の存在を<SUP>31</SUP>P-NMRで確認した。α-PMo<SUB>12</SUB>(0)の=二電子還元生成物は, 50%ジオキサン水中ではα-PMo<SUB>12</SUB>(II), 水溶液中では,α-PMo<SUB>12</SUB>(0), β-PMo<SUB>12</SUB>(II),β-PMo<SUB>12</SUB>(IV)の混合物となった。<BR>水溶液中で, α-PMo<SUB>12</SUB>(II)はβ-PMo<SUB>12</SUB>(II)に異性化し, っついてβ-PMo<SUB>12</SUB>(IV)とβ-PMo<SUB>12</SUB>(0)に不均化し, 後者は, ただちにα-PMo<SUB>12</SUB>(0)に異性化したものと考えられる。四電子還元溶液中は,β-PMo<SUB>12</SUB>(IV)のみが安定に存在した。α-PMo<SUB>12</SUB>(IV)は, 半減期が2.2時間(水中), 280時間(50%ジオキサン水中)でβ-PMo<SUB>12</SUB>(IV)に異性化する。α-PMo<SUB>12</SUB>(0)からβ-PMo<SUB>12</SUB>(IV)への還元に, α-PMo<SUB>12</SUB>(IV)を経由するものと, α-PMo<SUB>12</SUB>(II)の異性化によって生成したβ-PMo<SUB>12</SUB>(II)の不均化による二つの経路がある。水溶液中, 弱還元剤の作用は後者によることを明らかにした。
著者
Handa Makoto Matsumoto Hiroki Yoshioka Daisuke NUKADA Ryoji MIKURIYA Masahiro HIROMITSU Ichiro KASUGA Kuninobu
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
Bulletin of the Chemical Society of Japan (ISSN:00092673)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.1811-1816, 1998-08-15
参考文献数
49
被引用文献数
12

A series of chain complexes of molybdenum(II) trifluoroacetate linked by <i>p</i>-quinones, [Mo<sub>2</sub>(O<sub>2</sub>CCF<sub>3</sub>)<sub>4</sub>(<i>p</i>-quin)]<sub><i>n</i></sub>, <i>p</i>-quin = 9,10-anthraquinone (9,10-aq), 2,6-dimethyl-1,4-benzoquinone (2,6-dmbq), and 1,4-naphthoquinone (1,4-nq) have been prepared. The X-ray structure analyses showed that the carbonyl oxygens of the <i>p</i>-quinones are coordinated to the Mo<sub>2</sub> dimers with distances of 2.478(6) and 2.532(5) &Aring; (for 9,10-aq), 2.619(9) and 2.596(10) &Aring; (for 2,6-dmbq), and 2.522(8) &Aring; (for 1,4-nq), respectively. The Mo&ndash;Mo bond distances are 2.107(1)&mdash;2.117(1) &Aring;, which are slightly longer than that of Mo<sub>2</sub>(O<sub>2</sub>CCF<sub>3</sub>)<sub>4</sub> (2.090(4) &Aring;). Elongation of the C=O and C=C bonds of the 9,10-aq and 2,6-dmbq molecules on the coordination has been observed, but the bond distances of the coordinated and uncoordinated 1,4-nq molecules are similar to each other. The difference is discussed in terms of the oxidizing abilities and the symmetries of the <i>p</i>-quinones.
著者
横田 勝一郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.198-199, 2011
参考文献数
4

私が中学生の時,すばらしい理科の先生に出会った。30年余り経った今も,楽しく,分かりやすい授業のようすを思い出す。「先生,○○はどうしてですか?」どんな質問にも,その場で分かりやすく教えてくださった。私が理科教員になった理由のひとつにその先生の影響がある。生徒にとって,楽しく分かりやすい授業がしたい。科学の楽しさや有用性を伝えたい。教員になって26年,日々そんな思いで授業に臨んでいる。
著者
西井 圭 亀山 雅之
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.504-507, 2014-10-20 (Released:2017-06-16)

金属銀(Ag)は古代から栄光や富と分かちがたく結びついてきた金属である。また,銀イオン(Ag^+)としては,最近,身近なところでたくさん見られるようになった除菌・消臭グッズがある。一方,ホスト-ゲスト化学の分野では,ねらいの分子を選択的に内包,あるいは内包分子を外部刺激によって放出するシステムの開発にAg^+が利用されている。本稿では,銀の用途や性質,さらには銀化合物の触媒作用について化学的な視点から紹介する。
著者
中野 英朗
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.40, no.10, pp.663-667, 1992-10-20 (Released:2017-07-13)

茗溪学園は, 筑波研究学園都市に位置する創立14年目の私立中学校・高等学校である。創立時より高校生ひとりひとりが自ら選んだ課題を長期間研究し, まとめあげるプログラムを計画していた。それが準備から数えて今年で13年目になる「個人課題研究」である。これは, 中学1年から毎年行われるフィールドワークの延長であり, 生徒が自分の将来を真剣に考える進路指導の機会でもある。本学園でしかできない特別な内容は一切ない。その方法は多くの学校で応用できるものと考えている。
著者
宮久保 圭祐
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.628-629, 2017-12-20 (Released:2018-06-01)
参考文献数
4