著者
橋本 静信 小池 和太郎 岡畑 恵雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1973, no.6, pp.1139-1143, 1973-06-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1

アセトニトリルを溶媒にして80℃で,CuCl2の存在または不存在下で過酸化2-テノイルとヨードベンゼンとの反応を行なった。CuCl2の存在下ではヨードペソゼンの水素が置換されてヨードフェニル2-テノアート(o-:m-:p-=55:19:26)が得られ,一方,CuCl2が存在しないときはC-I結合の炭素に置換が起こりフェニル2-テノアートが生成した。CuCl2の存在下で起こる水素置換反応は,部分速度比の対数と置換基定数σ+との関係からみて,生成した2-テノイルオキシラジカルがベンゼン環に付加したシクロヘキサジエニル型ラジカルがCuCl2により酸化される機構で説明される。一方,CuCl2の不存在下ではシクロヘキサジエニル型ラジカルの分子内で2-テノイルオキシ基が転位することによりフェニル2-テノアートが生成する機構を提出した。この2-テノイルオキシ基の分子内転位については,さらにt-ブチル2-テノアートからイソブチル2-テノアートへのラジカル転位を行なって,その関連性からも検討した。
著者
長谷川 俊勝 平野 徹
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.923-925, 1969-04-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
6
被引用文献数
1

NaHSO3水溶液中にDASを懸濁させると,両者の付加反応は進行するが,付加化合物の組成はDAS1molに対してNaHSO3は1molであった。このような付加物のうち,イオウ含有率6.25%の試料で240mμにおける紫外吸収極大は消失した。この吸収極大がDASのアルデヒド基に関係しているかどうかについて,n-ブチルアルデヒド,フルフラール,ベンズアルデヒド各水溶液にNaHSO3水溶液を添加し,その吸収極大の変化を追求した。その結果,それはアルデヒド基による吸収と考えられるが,RおよびK吸収帯への帰属については今後検討しなければならない。
著者
佐藤 元泰 三井 利幸
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.4, pp.349-354, 1993-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
5

ニトラゼパムおよびジアゼパムをガスクβマトグラフ質量分析計(GC1MS)で測定後,得られた複数のフラグメントイオンのイオン強度を用いて,多変量解析法によりそれぞれの定量を行った。定量計算に使用するニトラゼパム,ジアゼパムおよび内部標準物質として用いたドトリア=ンタン(n-Cs2H66)の複数のフラグメントイオンは,数墨化理論第IV類を用いて抽出した。次に,抽出された複数のフラグメントイオンのイオン強度を基にして,クラスター分析,偏差値からのクラスター分析および主成分分析を行い,未知試料がどの既知試料に最も類似しているかを明らかにした。さらに,主成分分析から得られる主成分得点と固有殖を用いて,正確に未知試料の濃度を決定した。計算されたニトラゼパムおよびジアゼパムの濃度は,理論値とほぼ一致し,精度の高い定量が可能となった。
著者
西山 太一郎 柚木 邦博 本田 孝善 矢沢 久豊
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.3, pp.201-206, 1998-03-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
15
被引用文献数
4

医薬品製造工程は, 粉砕, 混合, 空気輸送など, 粉粒体を取り扱う操作が多く, 静電気に起因する粉粒体の付着, 凝集などの製造トラブルにしばしば遭遇する. このトラブルの原因究明のため, 粉粒体の輸送状態における帯電量と粉体特性の変化を測定評価する帯電特性評緬装置の開発を行った, この評価装置は, 粉粒体を空気輸送によって帯電させ, 経時的に帯電量を測定できるもので, いろいろな物理化学的特性を有する原薬や造粒物質について評価検討を行った.その結果, 空気輸送によって変化する帯電量と粉体特性値から粉粒体のパイプ輸送や回転型混合容器等で発生する帯電, 付着が予想できるようになり, 原薬製造における晶析操作条件の最適化, 粉粒体の取扱い操作ならびにプラソトの安全運転に必要なデータの提供が可能となった.
著者
清水 昌 森川 忠則 新田 一誠 坂本 恵司 和田 浩一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.1, pp.1-9, 2002 (Released:2004-03-03)
参考文献数
34
被引用文献数
1

D-パントラクトン(D-PL)は,B群ビタミンのD-パントテン酸やD-パンテノール,D-パンテテイン,コエンザイムAの合成に重要なキラルビルディングブロックである.D-PLの製造は,これまで,化学的合成法により得たラセミ体混合物をキラルアミンによるジアステレオマー塩生成を含む複雑な光学分割法により行われてきた.D-パントテン酸製造におけるこの光学分割プロセスを回避あるいは改良するため,立体選択的な酵素反応の導入を検討した.すなわち,この目的に利用できる幾つかの反応を微生物に探索し,ラクトン環の2位OH基の立体を認識して分子内エステル結合を不斉加水分解し,DL-PLをD-パント酸とL-PLに分割できる反応がFusarium属および類縁糸状菌に広く分布することを発見した.本反応に関与する新規酵素“ラクトナーゼ”の諸性質を解明するとともに,本酵素を高活性で含むFusarium oxysporumの菌体をアルギン酸カルシウムで包括固定化することによって酵素の安定化と再利用を図り,180回以上の繰り返し使用を可能にした.これにより,常温,中性付近の温和な条件下に,副生物をほとんど伴わず,30–35%のDL-PLをほぼ定量的に分割できる実用的方法が確立された.本酵素的光学分割法は,1999年より3000 t/y規模(D-パントテン酸カルシウム換算)で工業化され,従来法に比し,経済性のみならず環境調和型の点でも優れた生産法であることが明らかとなっている.
著者
島内 功光
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1982, no.8, pp.1363-1370, 1982-08-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1

フェノールとアセトンとから濃塩酸または塩化水素存在下でビスフェノールAを合成する方法について種々の検討を行なった。触媒として濃塩酸助触媒として3-メルカプトプロピオン酸を用いてビスフェノールA合成条件を検討し,フェノール/アセトンモル比4,反応温度70℃,反応時間5時間で最高収率を得た。触媒として塩化水素を用いてベンゼンなどの不活性有機溶媒を添加し,これら溶媒が製品の収率におよぼす影響について考察した。その結果,ビスフェノールA溶解度の小さいヘキサン,o-ジクロPtベンゼンを少量添加し低温でそれぞれ82.0%と88.0%の好収率で製品を得た。o-クレゾールとアセトンとから塩化水素存在下で有機溶媒を添加してビスフェノールCを合成し,溶媒の製品
著者
山本 英治 井ノ上 恵照 篠崎 勝彦 矢沢 久豊
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.9, pp.654-657, 1997-09-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
9

医薬品抗生物質の重要中間体,セファロスポリンCエステルを醗酵法で得られたセファロスポリンCから酢酸エチルを溶媒にして,エステル化を行い,直接,抽出分離を行う反応抽出プロセスの最適化検討を行った.反応抽出溶媒酢酸エチル相の容積分率が大きい(0.33以上)領域では攪拌の影響を受けないが,容積分率が0.17以下になると攪拌の影響が現れ,物質移動が律速となる化学反応であることがわかった.また,スケールアップ条件の最適化に必要な攪拌の反応速度への影響を評価した結果,攪拌浮遊動力比で示されるスケールアップ因子(Z)と容積分率0.17で得られる総括物質移動係数との間に良好な相関性を認め,Zが反応抽出の最適条件のスケールアップ因子として有効であることがわかった.
著者
梅沢 純夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.675-679, 1964-05-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
77