著者
伊藤 章 大久保 隆男
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.455-459, 1988

CS-807を臨床的に7例の呼吸器感染症に投与し, 以下の成績がえられた。<BR>1) 肺炎1例, 慢性気管支炎3例, 気管支拡張症, 気管支喘息, 肺線維症各1例, 計7例に投与した。<BR>2) 副作用のため投与を中止した慢性気管支炎1例を除く6例に対する臨床効果は, 有効4例, やや有効1例, 無効1例で有効率は66.7%であった。<BR>3) 1回200mg投与例では4例中2例が有効であったが1回量400mg投与例では, 2例共有効であった。<BR>4) 5例で, 起炎菌が検出され,消失2例, 不変1例, 菌交代1例, 不明1例であった。<BR>5) 副作用として下痢が1例で認められ,本人の判断で1日後に中止したが, 2日目には特に治療を要することなく正常値に回復した。<BR>6) 本剤によると思われる臨床検査値異常は認められなかった。<BR>7) 有効率の低さは, 症例が少ないための偏りであろうと考えられた。<BR>8) 症例を選択して本剤を用いれば, 有用な経口抗生剤となりうるであろう。
著者
大西 信治郎 吉浜 博太 上田 良穂 小林 恵子 伊藤 依子
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.780-785, 1985

米国Pfizer社で開発されたβ-lactamase阻害剤SulbactamとABPCのmutual prodrugであるSultamicillinを耳鼻咽喉科領域感染症22例に投与し, 以下の成績を得た。<BR>慢性中耳炎12例, 急性副鼻腔炎1例, 慢性副鼻腔炎3例, 急性扁桃炎4例, 慢性扁桃炎1例, 慢性咽頭喉頭炎1例の計22例の臨床効果は, 著効4例, 有効8例, やや有効6例, 無効4例で有効率は54.5%であった。<BR>副作用としては2例に下痢が認められた。本剤によると思われる異常値は, BUNの上昇が1例, Al-Pの上昇が1例, γ-GTPおよびLDHの上昇が1例に認められた。
著者
津田 良子 若松 浩美 藤本 尚
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.641-648, 1993

アミノグリコシド系抗生物質であるnetilmicin (NTL) を測定するにあたり, 酸・塩基指示薬であるthymolphthalein (TP) およびmethylred (MR) をしみ込虫せた濾紙を用い, <I>Bacillus subtilis</I>の発生するCO<SUB>2</SUB>の酸性度により, この濾紙が変色する度合いを比色分析法によって測定した後, この変化量から試料中のNTLの量を求める新しいbioassay法について検討を行った。<I>B. subtilis</I>懸濁液, nutrient broth, 0.1Mリン酸塩緩衝液 (pH8.0) およびNTI水溶液をガラスバイアルに入れ, TP-MRおよびNaOHをしみ込ませた濾紙をパイアルのセプタムの内側に貼り付け, 3時間培養した。TP-MR濾紙は培地中の<I>B.subtilis</I>の生育に伴い変色 (脱色) し, その色はNTL濃度に依存した。この変色をコンプリメンタリートリスティミュラス法を利用し, pH依存性であるTP-MR濾紙の色を分光光度計で測定した結果, NTL濃度と滋紙の変色の間には十分な相関, y=0.0286x+ 0.0832;r (相関係数)=0.943, が得られた。本法は, 従来のbioassay法に比べて試験時間を13時間以上短縮することができ, NTLの簡便で有用な測定法であることが示唆された。
著者
大石 正夫 永井 重夫
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.800-805, 1983

新しい注射用セフェム系抗生剤Cefpiramide (CPM, SM-1652) の眼科臨床応用のために, 基礎的・臨床的検討を行なった。抗菌スペクトルはCefazolin, Cefoperazoneに類似して<I>P. aeruginosa</I>にも抗菌作用を示した。臨床分離の<I>S. aureus</I> 20株は0.39~3.13μg/mlに感受性分布を示して, 0.78μg/mlに10株 (50%) があって分布の山をなした。<I>P. aeruginosa</I> 20株は1.56~50μg/mlに分布して, 12.5μg/mlに8株 (40%) がみられた。白色成熟家兎に50mg/kg1回筋注または静注して, 眼内動態を検討した。筋注で注射1時間後に前房水内に1.88μg/mlのpeak値を示し, 房血比は10.16%であった。静注により1/2時間後2.94μg/mlのpeak値で, 14.59%の房血比を示した。筋注, 静注時とも外眼部, 眼内部組織へはかなりの高濃度の移行が認められた。臨床的に, <I>S. aureus, S. epidermidis</I>による外麦粒風<I>S. viridans</I>, GNRによる角膜潰瘍, <I>S. epiderrrzidis, S. viridans</I>による化膿性虹彩毛様体炎, <I>S. hemolyticus</I>による眼窩蜂窩織炎ならびに<I>S. epidermidis</I>による全眼球炎の全10症例に, 本剤1回1.0g, 1日1~2回静注または点滴静注して臨床効果を検討した。著効3, 有効6の結果が得られた。副作用として特にみとむべきものはなく, 血液検査, 肝腎機能検査で異常値を示したものはなかった。
著者
小川 浩司 松崎 道男 宮下 裕子 本村 茂樹 伊藤 章 大久保 隆男 丸田 壱郎 児玉 文雄
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.398-410, 1987-05-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
12

白血病治癒の主要薬剤であるDaunorubicin (DNR) の代謝, 分布, 排泄を知るために, 白血病患者にDNR 40 mgを3分間で静注し, 血中濃度 (血漿中, 赤血球中濃度), 尿中排泄を高速液体クロマトグラフィー (HPLC) を用いて測定した。 同時に3コンバートメントオープンモデルを用いて血中濃度の薬物動力学的解析を行ない, 以下のような結果を得た。1. DNRの血漿中, 赤血球中濃度のピーク値は5分後にあり, 各々228.00±204.00ng/ml, 237.00±111.00ng/gであった。 血中濃度曲線は, α, β, γの3相を呈した。 血漿DNRの半減期は, α相0.0351±0.0157 hr (約2分), β相1.83±2.01 hr, γ相15.8±8.4 hrであった。2. DNRの主要代謝物は, Daunorubicinol (DNR-OL) であり, その血漿中, 赤血球中濃度のピーク値は, 96.50±62.90 ng/ml, 205.00±115.00 ng/gであった。 2時間値で, DNRの血漿中濃度は20.00±15.80 ng/ml, DNR-OL 41.40±27.20 ng/mlで, 赤血球中濃度は40.00±19.50 ng/g, 40.20±13.60 ng/gであり, 2時間以後では, DNRよりDNR-OLの濃度が高値となることが示された。3. 3コンパートメントオープンモデルの解析結果では, DNRの体循環コンパートメントから組織コンパートメントIIおよびIIIに対する移行速度定数K12, K13は大きく, 逆に組織II, IIIから体循環コンパートメントへの移行速度定数K21, K31は小さく, DNRは速やかに組織に移行し, 組織に高濃度に保持され, 放出は緩やかであることが考えられた。 また, 体循環コンパートメント分布容量V1は, 組織コンパートメント分布容量V2+V3に比べ極めて小さく, 投与されたDNRの多くが組織に分布することが示唆された。4. 尿中排泄率は, 24時間においてDNR 6.33±2.93%, DNR-OL 5.30±2.48%で, 総排泄率は, 11.8±5.1%で尿中への排泄は少ないことが示された。
著者
鈴木 富士夫 麻生 久 小林 弘行 大西 勉 石田 名香雄
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.488-494, 1986-06-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
30

Carboxyethylgemanium sesquioxide (Ge-132) のウイルス感染症に対する影響をマウスのインフルエンザ感染モデルを用いて検討した。10LD50量のインフルエンザを感染させたマウスに100mg/kg量のGe-132を経口的に頻回投与すると, 生理食塩水投与の対照群に比べ, 1) 生存率の上昇, 2) 肺内ウイルスの増殖抑制, 3) 肺内コンソリデーションの出現抑制, 4) HAI抗体価の上昇抑制などが認められ, 本化合物の感染防御効果が明らかとなった。この有効性は予防的投与では発現されず, ウイルス感染前後および直後からの予防・治療的あるいは治療的投与で顕著であった。また100mg/kgのip, sc, およびimなどの投与で, あるいは33~300mg/kgの経口投与でGe-132の抗ウイルス効果が確認されたが, 経口的に100mg/kg量を頻回投与するのが最も有効であった。Ge-132はin vitroでウイルス粒子やその感染細胞に直接的な影響を及ぼさないので, in vivoにおけるこのような効果は, 宿主の防御機能を介して発現されるものと思われる。因みにGe-132がinterferon-γを誘起したり, natural killer細胞の活性を亢進させることはすでに確かめられている。
著者
尾家 重治 神谷 晃
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.743-746, 1992-06-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
19

経腸栄養剤の投与バッグ内壁の赤色化から, 本剤の高濃度細菌汚染が判明した事例を経験した。使用残液の検討よりバッグ内壁の着色は, Serratia marcescensが産生した赤色色素によるものであることが判明した。この汚染原因としては, 16時間という長時間をかけて投与していたことと, 調製用具や投与バッグを水洗のみで繰り返し使用していたことが考えられた。
著者
吉田 俊昭 山本 真志 大石 和徳 田口 幹雄 井手 政利 渡辺 貴和雄 松本 慶蔵
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.332-343, 1986

本邦で合成開発された新アミノ配糖体系抗生物質HBKの蓬礎的・臨床的研究を, 他のアミノ配糖体系抗生物質を対照として行なった.呼吸器感染症由来の病原性の明礪な臨床分離株に対する本剤の抗菌力は, 他のデミノ配糖体系抗生物質と比較し, <I>S.aureus, E.coli, K.pneuronia, Entrbcter</I>, sp.に対1し他剤より優れ, <I>P.aeruginosa</I>に対し, ては中等度の成緩であった.<I>P. aeruginosa</I>に対し本剤と<I>Cefsulodin</I>との<I>in vitro</I>相乗作用が認められた.<BR>本剤75mg筋注時および100mg 1時間点滴静注時の血中濃度はピーク値で8.09μg/ml.半減期は109分, 108分であった.点滴静注時の局所疾中濃度の最高値は1.38μg/mlで, 喀痰中濃度は1. 15μg/mlであり, 喀痰中移行率ほ10.1%でありた.本剤気管内注入後の家兎血中濃度は30/分にピークを示し, 濃度依存性であった.<BR>呼吸器感染症10例に対し本剤75mg (または100mgないし50mg) を1日2回 (または1回) 筋注投与し, 著効1例, 有効9例, やや有効1例, 無効1例であった.2症例に本剤の吸入療法を行い有効性が認められた. 9症例に本剤100mg (または75mg) を1日2回点滴静注し, 有効6例, やや有効3例であった.有効以上の有効率は筋注, 吸入, 点滴静注でそれぞれ83%, 100%, 67%であった. 1例に耳閉感の副作用が認められた.<BR>以上より, 本剤は呼吸器感染症に対して臨床的有用性の高いアミノ配糖体系抗生物質であると結論される.
著者
椎木 一雄
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.604-609, 1989-05-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
11

New quinolone系抗菌剤, 4剤 (OFLX, ENX, NY-198, T-3262) の唾液中濃度を測定し, 口腔領域の感染症治療における有用性ならびにTDMへの応用について検討した。New quinolone系抗菌剤は各薬剤間に差はあるものの, 唾液中に測定可能な高い濃度力; 得られ, 血中濃度とパラレルな濃度推移を示した。この結果は今までの抗菌剤とは異なる本剤の特徴であり, chemoprophylaxisとしての有用性を評価し得るものであった。また, 唾液中濃度と血中濃度間には強い相関関係が得られ, 本剤は唾液中濃度から血中濃度を推測することの可能な薬剤であると考えられた。
著者
一宮 朋来 竹岡 香織 山崎 透 那須 勝
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.640-646, 1995-06-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
35

緑膿菌性慢性気道感染症の難治化の要因とされるbiomm形成に朗するclindamycin (CLDM) およびerythromycin (EM), tobramycin (TOB), piperacillin, ceftazidime, ofloxacinの影響をin vitroにて検討した。Biomm形成の指標として, 緑膿菌産生のアルギン酸と菌体外多糖類を定量的に測定した。緑膿菌ムコイド株のアルギン酸産生量は, 普通寒天培地上で産生されたアルギン酸を高速液体クロマトグラフィーにて定量し, 非ムコイド株の菌体外多糖類 (91ycocalyx) は, シリコン片上に形成させたbiofilm中の多糖類をトリプトファン法により定量化した。それぞれにつき最小発育阻止渡度以下の濃度 (sub-MIC) 作用下での影響を検討した。アルギン酸産生はCLDM≧1/64MIC, EM≧1/256MIC, TOB1/4MICにおいて (P<0.02), glycocalyx産生はCLDM≧1/16MIC, EM≧1/16MICにて有意に産生抑制が認められた (P<0.05)。他の抗菌薬のsub-MICはまったく影響を与えなかった。走査型電子顕微鏡による観察においてもCLDMのsub-MIC作用下にてbiofi1mの産生が抑制される像が得られた。以上より, CLDMは, EMと同様にsub-MICにおいて緑膿菌biomm形成を抑制することが示唆された。
著者
四辻 彰 伊東 優子 保田 隆 才川 勇 大角 誠治 矢野 三郎 上田 泰
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.294-303, 1988

Compromised host の対象として高齢者を取り上げ, その血清中での β-lactam 系抗生剤の sub-minimum inhibitory concentration (sub-MIC) シこおける抗菌作用を調べた。各血清60μl に薬液10μl を加え, それに菌懸濁液10μl を接種し 37℃ 4時間培養後, 生菌数の増減を測定した。高齢者の血清殺菌力は健常者に比べ <I>Escherichia coli</I> および <I>Klebsiella pneumoniae</I> に対しては弱まっている例が多かった。<I>Proteus</I> <I>mirabilis</I> T-277 株に対しては約半数例で高齢者の血清殺菌力は強まっていたが, T-250株 に対しては強まっている例はなかった。また<I>Proteus vulgaris</I>。<I>Pseudomonasaeruginosa</I> および<I>Staphylococcus aureus</I> に対しては健常者と同等の殺菌力であった。この殺菌因子として非働化で弱められる易熱性物質やペントナイト処理で除かれるリゾチームの関与が推定された。次に高齢者血清中での beta-lactam 系抗生剤の sub-MIC での殺菌作用をみると, pipera-cillin, cefoperazone および cefbuperazone は nutrient bmth (NB) 中でも高齢者血清中でも殺菌的または静菌的に作用した。一方 carbenicillin, cefazolin および cefmetazole は NB 中では菌の増殖を阻止したが高齢者血清中ではほとんど抗菌作用を示さなかった。
著者
山口 惠三 宮崎 修一 岡本 博樹
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.55-65, 2003-09-30
参考文献数
21
被引用文献数
5

Telithromycin (TEL) の日本の臨床分離株に対する<I>in vitro</I>抗菌力を検討し, マクロライド系抗生物質のerythromycin A (EM), clarithromycin (CAM), azithromycin (AZM), ペニシリン系抗生物質のamoxicillin (AMPC), セフェム系抗生物質のcefdinir (CFDN) ならびにニューキノロン薬のlevofloxacin (LVFX) と比較した。その結果, TELは, EM感受性<I>Streptococcus pneumoniae</I> (MIC<SUB>90</SUB>=0.008μg/mL) だけでなく<I>mefE</I>保有 (葉物排出型) EM耐性菌および<I>ermB</I>保有 (作用部位変異型) EM耐性菌のいずれに対しても試験葉物中もっとも強い抗菌作用 (MIC<SUB>90</SUB>=0.125μg/mL) を示した。さらに, TELはEM感受性および<I>mefE</I>保有EM耐性株に対し, 殺菌的 (MBC<SUB>90</SUB>/MIC<SUB>90</SUB>=1) に作用したが, <I>ermB</I>保有EM耐性株に対するそれは若干弱かった (MBC<SUB>90</SUB>/MIC<SUB>90</SUB>=4)。TELは, <I>Streptococcus pyogenes</I>および<I>Streptococcus agalactiae</I>に対しても<I>S.pmumoniae</I>同様もっとも強い抗菌作用を示した。TELは, EM感受性および誘導型EM耐性<I>Stapkylococcus aureus</I>に対しもっとも強い抗菌作用 (MIC<SUB>90</SUB>=0.125および0.25μg/mL) を示したが, 殺菌的な作用は弱かった (MBC<SUB>90</SUB>/MIC<SUB>90</SUB>=16および8)。また, TELは構成型EM耐性株に対しては効果を示さなかった。同様の結果が, <I>Stapkylococcus epidermidis</I>についても得られた。TELはEM感受性<I>Enterococcus faecalis</I>に対しもっとも強い抗菌作用 (MIC<SUB>90</SUB>≦0.063μg/mL) を, EM耐性株に対してもEM, CAMおよびAZMより32倍以上強い作川 (MIC<SUB>90</SUB>=4μg/mL) を示した。さらに, TELはEM感受性株に対し殺菌的な作用 (MBC<SUB>90</SUB>/MIC<SUB>90</SUB>=4) を示したが, EM耐性株に対するそれは弱かった (MBC<SUB>90</SUB>/MIC<SUB>90</SUB>=32)。TELは, <I>Entmcoccus faecium</I>に対してももっとも強い抗菌作用 (MIC<SUB>90</SUB>=2μg/mL) を示した。<I>Haemophilus influenzae</I>に対するTELの抗菌作用 (MIC<SUB>50</SUB>=2μg/mL, MIC<SUB>90</SUB>=4μg/mL) はEM, CAMより2~4倍強く, AZMと同等もしくは2倍弱かった。TELは<I>Moraxella catarrhalis</I>, <I>Rordetella pertussis</I>, <I>Legionella</I> spp.および.<I>Neisseria gonorrhoeae</I>に対し強い抗菌作用 (MIC<SUB>90</SUB>=0.25, 0.032, 0.063および0.125μg/mL) を示した。これらのTELの効果は, <I>M. catarrhalis</I>に対する効果がAZMより劣っていた以外は, EM, CAMおよびAZMと同等またはそれ以上であった。しかし, EM, CAMおよびAZMと同様, TELの<I>Klebsiella pneumoniae</I>に対する抗菌作用は弱かった。TELは<I>H. influenzae</I>および<I>M. catarrhalis</I>に対して殺菌的な作用 (MBC<SUB>90</SUB>/MIC<SUB>90</SUB>=1) を示した。次に, <I>S. aureus</I> Smith株による全身感染モデルを用いて, TELの<I>in vivo</I>感染防御効果を検討し, CAM, AZM, CFDNおよびLVFXと比較した。その結果, TEL, CAM, AZM, CFDNおよびLVFXは感染防御効果を示し, そのED<SUB>50</SUB>はそれぞれ, 7.3, 12.1, 13.2, 2.1および5.7mg/kgであった。以上の実験結果から, TELはグラム陽性菌に対し非常に強い抗菌力を有し, 特に<I>S. pneumoniae</I>においてはEM耐性菌に対しても作用を有すること, グラム陰性の市中呼吸器感染の原因菌にも優れた作用を有すること, および<I>S. aureus</I>性感染モデルにおいてCAMおよびAZMよりも強い感染防御効果を有することが明らかになった。
著者
田辺 潤 谷口 真 肥後 敦子 小橋 吉博 米山 浩英 矢野 達俊 木村 丹 沖本 二郎 田野 吉彦 松島 敏春
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.545-550, 1996-07-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
17

急性重症肺炎患者の臨床像を知る目的で, ICUでの治療を必要とした肺炎患者51名と一般病棟で治療され治癒した肺炎患者52名を比較検討した。また予後に関与した因子を知る目的でICUの肺炎患者を生存, 死亡群に分けて比較検討した。ICUの肺炎患者はICU人室時, 病棟の肺炎患者は入院時の (1) 年齢・基礎疾患,(2) 臨床症状,(3) バイタルサイン,(4) 血液・生化学検査,(5) 胸部X線上の浸潤影の拡がり, (6) 酸素療法の有無, 加えて (7) 転帰, および (8) ICUの肺炎患者では生存, 死亡群に分けた転帰を比較検討した。その結果, ICUの肺炎患者の臨床像の特徴として (1) 臨床症状として呼吸困難と中枢神経症状,(2) バイタルサインとして頻脈と頻呼吸,(3) 臨床検査値として低アルブミン血症,(4) 胸部X線で浸潤影の広い拡がり,(5) ICUの死亡例でのアシドーシスの存在を認めた。したがって以上の所見を認めた場合には重症肺炎と考え, ICUで管理のうえ, 治療を開始する必要があると思われた。
著者
中沢 昭三 小野 尚子 大槻 雅子 井沢 武年
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.512-521, 1970-09-25 (Released:2011-03-08)
参考文献数
5

Cefazolin is a new synthetic cephalosporin derivative developed at Central Research Laboratories of Fujisawa Pharmaceutical Co. in 1969.Presented in this report are the results of our study where this new antibiotic was compared with two known antibiotics of the cephalosporin family, Cephalothin and Cephaloridine, as to in vitro antimicrobial activity including antimicrobial spectrum, sensitivity of clinically isolated strains of Staphylococci, E. coli, etc., the effect of culture pH on the antimicrobial activity, stability against beta-lactamase, bactericidal activity, and development of resistance and in vivo therapeutical effect in experimentally induced infections in mice with Staphylococcus aureus, Diplococcus pneumoniae, E. coli and Klebsiella pneumoniae.Results : 1. Cefazolin is virtually the same antimicrobial spectrum as that of Cephalothin and Cephaloridine. In the antimicrobial activity, Cephaloridine was found superior to the other two, these latter two being virtually equal, when tested with Gram-positive organisms, while the three were comparable to each other when tested with Gram-negative ones.2. Clinically isolated staphylococcal strains were sensitive in the range of 6.25-0.05mcg/ml to Cephaloridine, in the range of 6.25-0.2mcg/ml to Cefazolin, and in the range of 0.78-4.2 mcg/ml to Cephalothin. Clinically isolated E. coli strains, on the other hand, were sensitive in the range of 50-3.12mcg/ml to Cephaloridine, in the range of 25-0.78mcg/ml to Cefazolin, and in the range of 100-0.78mcg/ml to Cephalothin.3. The antimicrobial activity tended to increase when the pH of culture increased in relative acidity.4. As was the case with Cephalothin and Cephaloridine, Cefazolin was found stable against betalactamase produced by Staphylococci.5. In therapeutical effect on infections in mice induced by Gram-positive organisms such as Staphylococci and Diplococcus pneumoniae, Cephaloridine was found best, followed by Cefazolin, then by Cephalothin. The same order of effectiveness resulted when cephalosporins were tested on the infections induced by Gram-negative organisms including E. coli and Klebsiella pneumoniae.
著者
永井 章夫 長沢 峰子 河村 泰仁 児玉 卓也 前花 淳子 南 新三郎 渡辺 泰雄 成田 弘和 清水 喜八郎
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.200-206, 1995-02-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
15

Vancomycin (VCM) とarbekacin (ABK) 誘発性の腎毒性に対するpiperacillin (PIPC) の軽減作用についてラットを用いて検討した。ラットにVCM 160mg/kg (iv), ABK 16mg/kg (im) をそれぞれ4日間連続投与して腎毒性を誘発させた。VCMの160mg/kg単独群では腎尿細管腔の拡張などの軽度腎障害がみられた。ABKの16mg/kg単独群でも尿細管上皮の硝子滴変性が軽度にみられた。これらの変化はPIPCの320mg/kg投与により軽減された。また, VCMにABKを併用するとBUN, 血中クレアチニンの上昇, 尿中NAG, 尿中蛋白量, 尿中β2-マイクログロブリンの増加, 腎重量の増加がみられ, 組織学的には尿細管上皮の壊死などの腎障害像が観察され, 各単独群に比べ腎毒性は著しく増強された。これらの変化に対してもPIPCは軽減作用を示した。
著者
堀 誠治 川村 将弘
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.460-463, 2002-07-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
9
被引用文献数
1

われわれは, 非ステロイド薬 (NSAIDs) とキノロン薬の薬物相互作用の強さを, mouse脳室内投与によるnorfloxacin (NFLX) およびgatinoxacin (GFLX) の痙攣誘発作用を指標として検討した。NFLXおよびGFLXの脳室内投与によりmouseに投与量依存的に痙攣が誘発され, その痙攣誘発作用はNFLX<GFLXであった。NFLXの痙攣誘発作用は, biphenylacetic acid (BPA), flurbiprofenの同時投与により増強された。Indomethacin, ketoprofenでは中等度の, loxoprofen,(-)-naproxenでは軽度の痙攣誘発作用増強が認められたが, ibuprofen, sodium diclofenac, mefenamic acid, tenoxicam,(+)-naproxen, aspirinおよびacetaminophenでは変化が見られなかった。一方, GFLXの痙攣誘発作用は, BPAで軽度増強されたものの, 他のNSAIDsでは変化を認めなかった。以上の成績より, NSAIDsによりキノロン薬との薬物相互作用の強さに違いがあり, さらに, キノロン薬との組み合わせによっても差のあることが明らかとなった。
著者
堀 誠治 川村 将弘
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.460-463, 2002-07-25
参考文献数
9
被引用文献数
7

われわれは, 非ステロイド薬 (NSAIDs) とキノロン薬の薬物相互作用の強さを, mouse脳室内投与によるnorfloxacin (NFLX) およびgatinoxacin (GFLX) の痙攣誘発作用を指標として検討した。NFLXおよびGFLXの脳室内投与によりmouseに投与量依存的に痙攣が誘発され, その痙攣誘発作用はNFLX<GFLXであった。NFLXの痙攣誘発作用は, biphenylacetic acid (BPA), flurbiprofenの同時投与により増強された。Indomethacin, ketoprofenでは中等度の, loxoprofen,(-)-naproxenでは軽度の痙攣誘発作用増強が認められたが, ibuprofen, sodium diclofenac, mefenamic acid, tenoxicam,(+)-naproxen, aspirinおよびacetaminophenでは変化が見られなかった。一方, GFLXの痙攣誘発作用は, BPAで軽度増強されたものの, 他のNSAIDsでは変化を認めなかった。以上の成績より, NSAIDsによりキノロン薬との薬物相互作用の強さに違いがあり, さらに, キノロン薬との組み合わせによっても差のあることが明らかとなった。